Thread by @rongtangjushi

中国の某有名出版社から､びっくりするような連絡が来る｡僕の紹介した日本人の作者について「中共の中国統治、ひとつの中国の観点を認めるか､もしくは反対しないか確認し､返信を写メで送ってほしい」という｡
もちろん拒否。
暗澹とする。いよいよ、ここまで来たのか。

もちろん、まだ「社内忖度」の段階。だけど言論界において着実に､悪い雰囲気が形成されているのは確か。
四五年くらい前から､僕も「日本人だから掲載拒否」を告知されるようになった。
この編集者は、ずっと僕に好意的であったからこそ、ここまで来たかと胸が痛む。

問題になった原稿は、日本人による「漢詩」｡詩の内容はもちろん中共批判でも､台湾やチベットなどの独立の主張でも､何かの罵詈雑言でもない。
山川草木、花鳥風月､そして歴史や日常生活のなかに「情性」をこまやかに託した、如今の我が朝の水準を代表するに足る優れた作品｡

今後の「文墨之交」はどうしようかと、本気で考えはじめる。
授業中に日本を褒めた教師が、告発されて解雇される時代｡
早い話が、相手に迷惑をかける可能性があるということ。
大陸において大いに培った人脈だけど、今後は台湾と積極的に関わってゆくしかないかな。

「令和五年正月十六日感事述懷」
正學先生殉孔顏，斬衰投筆墨痕斑。
書燈照淚風搖戶，一片文心重泰山。

「令和五年正月十六日 事に感じて懷を述ぶ」
正學先生　孔顏に殉ず、斬衰 筆を投ずれば墨痕 斑なり。書燈 淚を照らし風 戶を搖らす、一片の文心 泰山よりも重し。

「正學先生」とは明の大儒の方孝孺のこと。燕王朱棣による簒奪後、即位の詔書の執筆を迫られたが、筆を投げつけて慟哭し、最後には「燕賊篡位」を大書した。
僕も言葉をあつかう人文系の学者であればこそ、「はい」「いいえ」の一言の重さと、許諾・拒絶の責任とを考えたい。

こんな「亂世の預兆」みたいなことでバズっているのは悲しいのですが……普段は漢詩・漢文、漢学文化、東洋古典音楽の魅力について、つぶやきます。
漢詩や漢文の創作力につけては日本一(になりたいです)｡
以後、お見知りおきを。