奥付は2020年12月15日ですが,昨日12日(火),ようやく入手しました。
稲葉寿編著『感染症の数理モデル[増補版]』(2020年 培風館)
2008年発行の初版に,その後の研究の進展を補い,さらに新型コロナウィルス感染症(COVID-19)に関する章を新たに設けたもの。
もうひとつ重要な文献。
特集「新型コロナウイルスと闘うために数学にできること」(数学セミナー2020年9月号,日本評論社)
この号,数学セミナー史上,おそらく空前の売り上げ,そして絶後の売り上げとなるのではないでしょうか。
知りませんけどね。
最も重要だと思うのは,数学セミナー2020年8月号特集中の:
西浦博 @nishiurah 「感染症数理モデル元年に機構と外挿の狭間に立つ」
(以下も敬称略)
これすら読んでないのに西浦はじめ数理モデルを駆使する理論疫学者を批判するのは止めたほうがいいですよ。
赤っ恥。読んでて恥かしい。《続
@nishiurah 承前》前記論文で,西浦は「機構的モデル」と「外挿的モデル」という分類を用いて,感染症を数学的に把握する方法論に言及しています。
おおざっぱに言うと,「機構的モデル」とは,感染症の感染伝播の動態を把握することから始めて,その内的動態を数理的にモデル化したものと言えます。《続
@nishiurah 承前》また,「外挿的モデル」とは,感染症の感染伝播の内的動態とはとりあえず別に,なんらかの数理モデル曲線(例えば正規分布曲線)を,例えば新規感染者の経日曲線の推移として適当ではないか,とするものを言います。《続
@nishiurah 承前》単純にまとめると:
機構的モデル; 「○○感染症は,その性質からして,このように拡がっていくだろう」→「ゆえに,こういう数理モデルで記述できるだろう」
外挿的モデル; 「○○感染症は,こう流行してる」→「(既存の/創作した)この曲線・モデルで表現できるのではないか」《続
@nishiurah 承前》外挿的モデルが歴史的に失敗を繰り返してきたことについては,上記西浦論文を読んでいただくとして,私たちは COVID-19 について,同じ失敗を繰り返してはならないのだと思います。
逆に言うと,過去の失敗に鑑み,様々な外挿的モデルの妥当性を厳しく問い続けなければいけません。《続
承前》稲葉寿編著『感染症の数理モデル[増補版]』は,おそらく大学院レベルの入門書なのでしょう。
ですが,なんのことについて述べているかはうっすらと解るのですが,私には,なぜその数式で表現できるか,が,最初の数ページ以降,どんどん解らなくなります…(泣《続
承前》要するに,常微分/偏微分方程式などの理解をはじめとする私の数学力が,この本を理解するところまで行ってない,ということなのでしょう。『「感染症の数理モデル」を理解するための数学入門』的な本を読んでからでないと,私にとっては,独学で理解するのは無理っぽいですね…《続
承前》ただ,『感染症の数理モデル』増補版で加えられた,第10章,國谷紀良・稲葉寿「COVID-19 の数理モデル解析」は非常に重要な記述が多くて有益でした。
Twitter でしばしば問題になる箇所をひとつだけ挙げておきます。《続
承前》 ―― 中国やオーストラリアにおける大量の PCR 検査の結果から推定される検査特異度 q は,0.9999 以上というはるかに高い値であり,検体汚染などのヒューマンエラー等がない限り,PCR 検査の特異度は,おおむね 100%(偽陽性はおおむねゼロ)であるという指摘もある。《続
承前》参照
小黒一正「PC R検査体制の拡充と偽陽性の問題」 - (独)経済産業研究所(RIETI)《続
rieti.go.jp/jp/columns/a01…
承前》そのような場合には的中率はほぼ 100%であり,偽陽性者隔離の問題は起きない。コスト的に実行可能であれば,感染症の流行規模にかかわらず,大量検査を伴う検査隔離政策は有効な手段である。(國谷紀良・稲葉寿「COVID-19 の数理モデル解析」『感染症の数理モデル[増補版]』p.327)《続
承前・了》『感染症の数理モデル[増補版]』や数学セミナー2020年8月号特集などは非常に手強く,なかなか勉強が追いつくものではないかもしれません。
しかし,この程度までは行かずとも,煽りではない,正確で有益な情報を精選して,デマゴーグに煽られないようにしたいものです。
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