プラモデル用塗料の王者「ラッカー系塗料」
○乾燥が早い
○塗膜が強い
○安い
●匂いがキツい
●人体には良くない
とさまざまな特徴があります。
今回はラッカー系塗料について解説します♪
#プラモデル
#ガンプラ
まず、プラモデル用のラッカー系塗料はニトロセルロースを使った本物の「ラッカー」ではなく、アクリル樹脂て作られた着色成分を有機溶剤で溶かした「合成樹脂塗料」であるということです。
これはMrカラーとガイアカラーのラベルですが、しっかりと「合成樹脂塗料」と書かれています。
本物の「ラッカー塗料」は溶剤成分が強すぎてプラスチックを侵しやすいのでプラモデルには使えません
合成樹脂塗料は使い勝手がラッカー塗料と似ているため「アクリルラッカー」と呼ばれ、いつしかラッカー塗料と混同してしまう人がすごく増えてしまったんですね
だからラッカー「系」塗料なんです♪
○乾燥が早い理由
ラッカー系塗料は揮発性の高い有機溶剤で希釈されています
「揮発性」とは液体の蒸発のしやすさのこと
有機溶剤は沸点が低く、塗料を塗るそばからどんどん蒸発するので塗料の乾きが早いのです
ゆえに大量の塗料を一気に吹き付けるエアブラシやスプレー塗装に向いているのです
○塗膜が強い理由
ラッカー系塗料に含まれる有機溶剤はわずかにプラの表面を溶かすぐらいの溶解度に調整されています
塗料とプラを溶かして固着させる、つまりわずかに「塗料がプラモの表面に接着されている」ため剥がれにくく、塗膜が強いのです
○安い理由
塗料の原料となるアクリル樹脂は値段が安いんですね。
塗料の製造工程も有機溶剤に塗料成分とつなぎとなるクリアーやフラットベースのような体質素材を溶かすのがメインとなるためコストが低く抑えられるのです。
需要が高く、大量に生産されているのも安さの理由です
●人体に良くない理由
これは溶剤に含まれているトルエンやキシレンなどよるものです。
吸うと喉が痛くなったり、息が詰まるのは粘膜から刺激成分が吸収され血管が収縮するため
トルエンを吸引するといわゆる「シンナー遊び」のように中枢神経を侵し、脳に障害が出る危険があります。
ですが、このあたりはしっかりと対策が取られており、現在主流となっているラッカー系塗料のMrカラーにはトルエンは含まれていません
他の塗料も「シンナー遊び」に使われるようなトルエン純度100%溶剤と同列に扱うのは過剰反応すぎると思います
●嫌な匂いがする
嫌な匂いは後からわざとつけられています。
これは有害な揮発性分が無味無臭であると気が付かない間に中毒になってしまう危険が高いため。
あの匂いは「セーフティースメル」だと思ってください。
ラッカー系塗料は何よりもガンプラの塗装に向いています
大量のパーツを手早く塗る必要があり、可動部が多く擦れて剥がれやすいため塗膜強度はどんなジャンルよりも大事なのです
最近は匂いゆえにアクリル系塗料や水性エマルション塗料と比較され、ちょっと肩身が狭いラッカー系塗料ですが
日本がこれだけプラモデル文化がしっかりと根付き、続いてきた上でラッカー系塗料は非常〜に重要な役割を果たしているのです!
ヨーロッパなどの海外モデラーの作品は基本アクリル系塗料かハンプロールなどのエナメル系塗料で塗装されています。
これはそれらの塗料が特別優秀であるからではなく、ラッカー系塗料が規制されており、家庭でプラモデル用として使うのが難しいためなんです。
ラッカー系塗料は欠点を補って余るくらい、プラモデルの塗装に向いています。
1980年代に入るとプラモデルはホビーとして市場が縮小した国が多かったのに対し、日本ではガンプラの誕生により途切れること無くプラモデル文化は続きました
もし、ヨーロッパのようにラッカー系塗料が使えなかったら?
手軽に使える塗料なければ、プラモ文化は継承されません
昔GSIクレオスのインタビュー記事で読んだのですが
「我々は塗料を売っているのではなく、プラモデルという文化を守っている」
と語られており、なるほど!と感動したのをよく覚えています。
というわけででラッカー系塗料の解説でした!
もしラッカー系塗料が使えなくなっていたら、日本のプラモ文化はとっくの昔に衰退していたかもしれません。
次塗装するときはぜひそのあたりの歴史と文化を噛み締めて使ってみてくださいね♪
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