PubMedで確認できた最古の反ワクチン関連文献を読んでみたところ、後世に語り継いでほしいという著者の意思を勝手に感じたため、約140年の時を経て現代日本に置いておきます。
Dent Regist . 1884 Mar;38(3):144-146. “ The Folly of Anti-Vaccinators ”
誤訳・意訳気にならない方向けに、以下日本語↓
“ The Folly of Anti-Vaccinators ”
「反ワクチン主義者の愚行」
ワクチンの有効性を示す膨大なエビデンスを前にして、知性のある人間がどうして進んでワクチン接種に反対することがあろうか?皆目見当もつかない。
Rotherhitheに住んでいたWilliam Scottという男は、 “ Medical and Surgical Reporter”に記されている通り(著者だった?)、イングランドにおける過激な反ワクチン主義者の一人であった。
そして、最近のことだった。天然痘の感染が彼の家族を襲い、彼の妻、そして三人の子供たちの命を奪った。
「家族の命を守ることができるもの」があったのではないか・・・という後悔は彼の心を蝕み、とうとう彼は自らの命を絶ってしまったのだった。
ワクチン接種に関する事実が十分に周知されていたことを考えると、どうしても彼の妻と子供たちの死を彼のせいにしてしまいたい思いに駆られる。
もちろん彼は、彼の良心に基づいて反ワクチン主義に傾倒していたはずだ。しかし、それでもなお、そこに議論の余地はないのだ。
この素晴らしい発見に対する彼の反発を正当化する十分な根拠を見出すことは、知性ある人間にとっては不可能だと言っていい。
この悲劇は、反ワクチン扇動者への戒めとして、広く語り継いでゆくべきである。(本文終わり)
“ Folly ”(愚かさ、愚行)
とは辛辣なタイトルだが、侮蔑的な表現ではなく、本文の印象からは「なぜこんなこんなことをしてしまったのだ」という怒り、悲しみ、無念さの表現のように感じる。
この時点でも「1884年にもなって反ワクチン主義者がいるなんて信じられない」という当時の風潮を感じるが、NCCCMさんに紹介していただいた文献によると、この25年後のアメリカにおいても、状況はむしろ逆行している様子。
まさに著者の言う “retrogressive”・・・
天然痘が存在する中でどれほど個人の自由意志が尊重されていたか等、当時の状況を完全に理解する知識はないけど、いくつかの文献を見た限り、“ unvaccinated ~”(未接種者)ではなく、あくまで“ anti-vaccine agitator ”(反ワクチン扇動者)が批判の対象になっていることには、少し安心する。
海外のごく限られた図書館に紙で保管されている100年以上前の文献が、今や誰でも簡単に無料で入手できるのは本当に凄い。
中には、過去の研究者のメモで汚れたものすらあった。
ネットで拾った「医者が隠した衝撃の裏情報!」みたいなのに右往左往する前に、先人達の知恵に学ぶことができる。
ここ200年余の反ワクチンの歴史がまとまった2023年の文献。
興味深い一方、愚行が繰り返されていることを痛感。
ワクチンにより感染症の脅威が抑えられると、反科学デマを流し脅威を復活させる。メディアを汚染する。子供と親を特に狙う...これが反ワクチン主義の伝統...
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36800918/
じゃあ最古のワクチン関連文献は、で探したら約240年前の人痘接種に関する文献。江戸時代。
(Lond Med J. 1784 Oct-Dec;5(4):399-401.)
この時代の日本語の本なんて恐らく読めないけど、英語だとかろうじて読めるのは不思議。
ジェンナーがワクチンを開発する以前のものまで登録されてるのは凄い...
Pubmed上で「ワクチン」の最古は1799年、ジェンナーの理解者でもありライバルでもあったG Pearsonの論文(Med Phys J. 1799 Apr;1(2):113-114.)。
ジェンナーの最古論文(1798年)は恐らくPubmedにはなく、国際日本文化研究センターで見つけられた。
shinku.nichibun.ac.jp/NOMA/new/books…
ジェンナーの開発後、ナポレオン時代のフランスは迅速にワクチンを普及させた。
あのナポレオンが、ちょっと前まで敵国だったイギリスのいち科学者に過ぎないジェンナーに対しては頭が上がらなかったという文書も残っている。
政治においてワクチン/科学がいかに尊重されていたかということが窺える。
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