【市場は「致命的な勘違い」をしている】
ホルムズ海峡の危機は「船が通れない(物流の遅延)」じゃない。
「工場そのものが吹き飛んだ(供給能力の破壊)」んだ。
原油の話だと思っている人は置いていかれる。
これは我々の文明を根底から支える「LNG」の構造的崩壊の話。
詳しくみていきましょう👇
<「輸送ショック」と「能力ショック」の絶望的な違い>
輸送が止まっただけなら、海峡が開けばガスは再び流れる。
市場が織り込んでいるのはこの楽観論だ。
だが、現実は違う。
カタールのLNG液化設備そのものが破壊された。
海峡が開こうが平和になろうが、
「そもそも世界に売るガスが存在しない」という最悪のフェーズに入った。
<復旧まで「3〜5年」の悪夢>
QatarEnergyのCEOによれば、Ras Laffan施設の損傷は極めて深刻だ。
ロイターの試算では、年間7,700万トンの生産能力のうち、約17%(1,300万トン)が構造的に吹き飛んだ可能性がある。
復旧には3〜5年かかる。
数週間待てば解決する問題じゃない。
「数年分」の供給が消滅した。
<「金を持たない国」から死んでいく>
日本のJERA、世界最大級のLNG買い手のトップは「世界にこの穴を埋める余剰能力はない」と断言した。
代替供給がないならどうなるか?
答えは「札束での殴り合い」だ。
高く払える国だけが資源を独占し、払えない国は経済ごと脱落する。
<すでに始まった「弱者の足切り」>
資金力のない新興国は、すでに壊れ始めている。
・スリランカ:週15Lの配給制、週4日勤務、水曜休校
・ベトナム:ディーゼル価格が40〜59%急騰
2月末以降、実に95カ国で燃料価格の高騰が報告されている。
これが「札束の殴り合い」のリアルな結果だ。
<「電力」だけの話じゃない>
破壊されたラスラファンはLNGだけの拠点ではない。
ヘリウム、尿素、メタノール、硫黄。
これらが止まればどうなるか。
半導体、医薬品、農業(肥料)、食品包装まで、すべてが連鎖して止まる。
これはエネルギー危機ではない。「現代文明の基礎素材」が消滅する危機だ。
<欧州の「完全な誤算」>
欧州はロシア産のガスを捨て、カタールのLNGに依存することで生き延びるはずだった。 だが、その大前提が崩壊した。
ガスは「高い」のではなく「存在しない」。
化学大手BASFなどはすでに肥料の減産に動いている。
結局、制裁したはずのロシア産LNGにすがるしかないという皮肉な構図だ。
<これは数週間のノイズではなく、数年単位の「構造変化」だ>
・物流の遅延ではなく、生産能力の喪失(17%減)
・エネルギーから半導体・食糧(肥料)への波及
・新興国のデフォルト連鎖リスク
私がここで注視するのは、欧州ガス、アジアLNG、肥料、化学、そして新興国通貨のショートだ。
「海峡が開けば元に戻る」という希望的観測は捨てた方がいい。
我々は今、数年単位の『慢性的な欠乏』を前提とした市場に足を踏み入れている。
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