Aug 14, 2021 147 tweets 34 min read Read on X
コロナの発祥地はアメリカ合衆国だった?!

第二部:2019年夏、フォート・デトリックで何が起きていたのか
〜WHOによるフォート・デトリック査察が必要とされる至極もっともな理由

第一章: 性懲りもなく繰り返される中国発祥説
②コロナ中国発祥説と中国叩きがいつまでもしよう懲りもなく続いています。まず5月23日※ニューヨークポストのこの記事(季節風邪で病院を外来しただけなのに、ヘッドラインにはhospitalized(入院した)になっている)に始まり(赤アンダーラインはTSSP)、
③③※これについては以前アップしたスレッド
「またまた流行り始めた、武漢発祥地説について」
をご覧ください。
④その後もヤフーニュース(6月23日付/REUTERS)などが少し表現を変えて中国発祥(可能性)説を執拗に報じ続けているようです。この記事はとてもわかりにくい記事です。なんでもないことをまるで何かあるかのようにこじつけて書くとこういうわかりにくい記事になるようですね。
⑤ここで記事を解剖してみると、内容は大きく分けて次の二つ:
❶中国で新型コロナウイルス が発生したのは、公式発表よりもずっと早く2019年10月初旬から11月中旬にかけてと推定。日付としては11月 17日の可能性が最も高く、20年1月にはおそらく全世界に広がっていた。(ケント大学研究結果)
⑥❷武漢大学がSRAから以前提出した配列データ削除して証拠隠滅を図った可能性がある(フレッドハッチンソン がん研究センター、ジェシー・ブルーム氏)。

というもの。
⑦❶から見ていきます。このケント大学研究論文(Dating first cases of COVID-19)は、学術誌「PLOS Pathogens」に掲載されたものですが、コロナの最初のケースは公式発表である2019年12月の武漢のケースよりも早く、おそらく10月の初めから11月中旬にかけて武漢以外の中国のどこかで発生し、
⑧2020年1月にはすでに世界中に広がっていったと論じています。この研究では203の国と地域を調査したとも書いています。
⑨ところが、この研究で使用された方法というのが生物環境保護科学(coservation scinence)であり、厳密な血漿試験をしていないので、これでは実は中国発祥地説を証明できないのです。
⑩つまり、この論文は「初めに中国発祥あり」という仮定から出発して、そこからコロナがどういうふうに世界に広がっていったかを示したたいへん奇妙な研究なのです。
⑪今年、WHO査察チームのメンバーであったオーストラリアのウエストミード病院の感染病専門家であるドミニク・ドワイヤー教授は、「(ケント大学の結果は)憶測の域を出ない」と言っているし、
⑫オーストラリアのカービィ・インスティチュートのスチュアート・タービル教授も、ケント大学の研究について「確証性を強めるには血漿サンプルの試験が必要だ」とコメントしています。
⑬❷の”データ削除”の話は、少し込み入った話です。順を追って説明すると、まず2021年6月19日に、フレッドハッチンソン がん研究センター(米シアトル)のジェシー・ブルーム氏宛に彼の同僚から、ある電子メールが転送されてきました。
⑭それは、<武漢大学とSRA(Sequence Research Archive)の間で交わされたメール>でした。その写がこれです。

↓以下メール文:
⑮武漢大学:「最近、私が先に提出したSRAデータへのアクセスが困難になっています。それがために、古いデータを更新できません。更新済みのデータはすでに別のウェブサイトに公開したので、混乱を避けるために古いデータを削除したいのです。削除したいデータIDはXXXです。よろしくお願いします。」
⑯SRA:「SRAのあなたのアカウントからデータを削除したいのですか?ここに二つXXXXとYYYYがあります。同じように、バイオプロジェクトとバイオサンプルも削除しますか?」
SRA:「もしデータ提出について質問があればなんでも質問してください。通常、二日営業日内でお答えします。」

メール文は以上
⑰さて、ジェシー・ブルーム氏は「武漢大学の削除依頼の意図が何なのかわからないが」としながらも(6月30日、同氏ツィート)、その新しいウェブサイトを見つけることができなかった。そこで問題の”透明性”を高めるために、その削除されたデータをグーグル・クラウドの中から復元し、
⑱最終的に13のウイルスの部分配列データを得たと言います。そこからブルーム氏が得た結論は、次の二点でした。:
⑲❶最初のSARS-CoV-2は、武漢以外の中国のどこかである。結果は、すでに有力な説となっている
❷SARS-CoV-2ウイルスの原型(the progenitor)は、のちに海鮮市場のウイルスに変異した3つの原型を含み、SARS-CoV-2コウモリ・ウイルスに近いことが分かった。
⑳しかし、特に❷について私が指摘しておきたいことは、そのコロナウイルスの原型ウイルス(the progenitor)は種類も多く、そしてもともと中国に限らず世界中に広く分布しているごくありふれたウイルスであるということです。
㉑そして、コウモリという生き物が中国に限らず世界中に広く分布している動物であるということは言うまでもないことです。だからそもそも、武漢が必死になって隠蔽しなければならないほど大そうなものでは無いのです。
㉒そのprogenitorは”中国原産・限定のウイルス”ではないし、それをあたかも中国原産・限定であるかのように印象づけるのはおかしい。
㉓”元々どこにでもいるウイルス”なのですから、わざわざ武漢大学が”証拠隠滅”のためにSRAに以前提出したデータ削除を依頼しなければならなかった動機がそもそもどこにもないのです。
㉔別に深い意味はないですが、ジェシー・ブルーム氏はModernaとFlagship Labs 77、二社の顧問を兼務している人で、そこから相当の収入を得ているということを、ここで付け加えておきましょう。
㉕そんなことよりジェシー・ブルーム氏はモデルナ・アームのようなことが起きないようにそのことをもっとモデルナワクチンの問題点解消に研究の情熱を注ぐべきではないでしょうか?
㉖「可能性がある」とか「その可能性は否定できない」とか「指摘されている」とかいう言い方は持って回った言い方であり、その一方で可能性としてはずっと高いはずのアメリカ発祥地説を取り上げる研究者もメディアもほぼ皆無という状況です。
㉗第一章終わり。
そこで、前置きが長くなりましたが、明晩からいよいよ「コロナの発祥地はアメリカ合衆国だった?!」の可能性について考察していきたいと思います。🙂
第二章:2019年夏、突然閉鎖されたフォート・デトリックでいったい何が起きていたのか〜アメリカ合衆国保健福祉省(HHS)・アメリカ疾病予防管理センター(CDC)・アメリカ合衆国農務省(USDA)アーカイブの記録から
②『コロナの発祥地はアメリカ合衆国だった?!
第一部「11の暗示的エピソード」』

ですでに詳しく紹介しましたが、2018年〜2019年にかけてアメリカでは次のような6つの異常事態が発生していました。
③❶季節外れのM型流行曲線インフルエンザ
一般的に気温や湿度が高くなると死滅するはずのインフルエンザウイルスは、春夏に向かって終息する。ところが一旦終息した季節インフルエンザが、6月になってまたぶり返して流行し始めた。異様に長く続くインフルエンザだった。
④❷アメリカの風土病?電子タバコ肺炎 ?
アメリカで電子タバコのビタミンEアセテートが原因と言われた肺炎が大流行した。不思議なことに電子タバコ喫煙者の多いイギリスでこの現象は見られなかった。
⑤❸高齢者施設で季節外れのインフルエンザ大量感染
2019年7月、バージニア州スプリングフィールドの高齢者施設で入居者の間に肺炎を伴う原因不明の呼吸器疾患が広がり、入居者263名中、63名が感染。
⑥そのうち3名が死亡。さて、そこからポトマック川(州境)を超えたすぐ目と鼻の先のフレデリックにはフォート・デトリックがある。
⑦❹突然のフォート・デトリック閉鎖
2019年7月18日、メリー・ランド州 フレデリック郡にあるアメリカ軍生物化学兵器防衛研究施設フォート・デトリック(USAMRIID)の突然閉鎖。
⑧理由は施設の杜撰な管理体制にあったとされ、特に標本・試料の取扱い・廃棄の仕方に重大な問題があったと言われているが、詳細は明らかにされていない。
⑨❺ベルビル市長マイケル・メルハム氏の抗体テスト
2019年11月21日木曜日、突然、謎の肺炎に襲われたアメリカ合衆国ニュージャージー州エセックス郡ベルビルの市長マイケル・メルハム氏の抗体検査の結果はSARS-CoV-2陽性だった。
⑩❻赤十字社主催の献血イベントで陽性反応
2019年12月13日から2020年1月17日の間に、9つの州で赤十字社が行った献血イベントの血液残余を調べたところ、7,389人中106人にコロナウイルス(SARS-CoV-2)陽性(1.4%)の結果が出ました。
⑪さて、ここでは特に❹「突然のフォート・デトリック閉鎖」に焦点を絞って、2019年夏、そこでいったい何が起きていたのか事実を追っていくことにしましょう。

まず一般に出回っているアーミー・タイムズの2019年8月8日の記事を見てみましょう。

この記事からわかることは、
⑫(ⅰ) エボラ出血熱ウイルス、その他の感染性病原体備蓄のあるフォート・デトリックは、6月に発覚したFSAP(Federal Select Agent Program )違反で閉鎖されている。
(ⅱ) 政府は、環境や住民の健康に危険はないとしている。
(ⅲ) しかし、それ以上の詳しい情報を開示しなかった。

ということです。
⑬ところが、よく調べていくと、この事件はアメリカ合衆国保健福祉省(HHS)、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)、アメリカ合衆国農務省(USDA)の”2019 Annual Report of the Fedral Select Agent Program”にちゃんと記録されており、一部が一般公開されているのです。
⑭こういうところは、皮肉でなくアメリカは本当に偉いですね。
bloximages.newyork1.vip.townnews.com/fredericknewsp…
⑮ですから、これから私が書くことは全てアメリカ政府の公式発表・第一次資料であり、使われている専門用語もアメリカ政府の公式定義に基づいているものなので、私の空想でも作り話でもないことをはじめにお断りしておきます。
⑯その内訳は次の通り。

●Departure 42CFR 73-12(b) (Immediate Action, Serious) 07/19/2019
●Departure 42CFR 73-12(a)(Final, Serious) 08/29/2019
●Departure 42CFR 73-11(a)(Final, Moderate) 08/29/2019
●Departure 42CFR 73-17(a)(3)(Final, Moderate) 08/29/2019
⑰●Departure 42CFR 73-12(b)(Final, Low) 08/29/2019
●Departure 42CFR 73-12(b)(Final, Low) 08/29/2019
●General Concern 42CFR 73-12(b)
●General Concern 42CFR 73-12(a)
●General Concern 42CFR 73-12(b)
⑱●General Concern 42CFR 73-12(b)
●General Concern 42CFR 73-12(a)
●General Concern 42CFR 73-12(b)
●General Concern 42CFR 73-12(a)(3)
⑲●General Concern 42CFR 73-12(b)
●General Concern 42CFR 73-12(a)

記録から、6件のDepartures (2019年7月19日付が1件、2019年8月29日付で5件)と9件のGeneral Concernがあったことがわかります。
⑳これらの記録には暗号や専門用語、空欄などが使ってあって大変わかりにくいものなので、読み解く前にまず暗号解読と用語解説から始めましょう。🤔🧐
㉑⑴Departure:<違反>という意味です。FSAPの規定によるとそれは「深刻な指定病原体管理法違反であり、人、植物、動物の健康、農・畜生産物への深刻な脅威となる違反行為。」なお、このDeparture<違反>はFSAPの規定により次の三つのカテゴリーに分けられています。三つのカテゴリーとは:
㉒❶Immediate Action Departure(緊急行動を要する違反):「深刻な指定病原体管理法違反であり、関係機関は安全確保のための緊急な行動の実行が求められる。また、実行した緊急行動の詳細を定められた期限内にFSAPへ電子メールで報告しなければならない」
㉓❷Preliminary Departure(予備的違反行為):「査察により、深刻な違反に発展する可能性があると評価され、改善を要求されたもの。報告の義務なし」
㉔❸Final Departure(最終的違反):「指定病原体管理法違反であり、対応策としてとられるべき期待された改善措置が逸脱している場合も含まれる。詳細は、定められた期限内にFSAPへ電子メールで報告しなければならない」
㉕⑵General Concern:<一般的懸念>という意味です。「指定病原体管理法からの逸脱行為として観察されたもの。改善が望まれる。報告の義務なし。」
㉖⑶42 CFR 73 で始まる暗号:42 CFR 73
は、SELECT AGENTS AND TOXINS(指定病原体及び毒物)に関する<規則内容>です。ここでは
❶73-11(a)、❷73-12(a)、❸73-12(b)、❹73-17(a)(3)の4件が該当しています。内容を見ていくと、まず
㉗❶73-11は、Security(安全保証)に関する規則集です。そのうち、
㉘73-11(a):「ここに登録することを求められた個人あるいは組織は、書面で安全確保計画を作成し、それを実行しなければならない。その安全確保計画は、指定病原体および毒物への不正アクセス、盗難、紛失、流出を防止するための十分な安全保護手段を満たすものでなければならない。」
㉙❷73-12:Biosafety(バイオセイフティ:指定病原体及び毒物封じ込め管理レベルに関する規定)です。
Observationの項の4行目に”BSL-3 and BSL-4 laboratory operations” と書かれているのがわかりますか?は、BSLは、Biosafety Levelという意味です。
㉚WHOでは、BSL(Biosafety Levels:バイオ・セイフティ・レベル)には次の4つのレベルを規定しています。

BSL-1:ヒトあるいは動物に病気を起こす可能性の低い微生物。
㉛BSL-2:ヒトあるいは動物に病気を起こすが、実験者およびその属する集団・家畜・環境に対して重大な災害を起こす可能性はほとんどない。実験室感染で重篤症状に陥っても、有効な治療法・予防法があり、感染の拡大も限られている。例:季節インフルエンザウイルスなど。
㉜BSL-3:ヒトあるいは動物に感染し生死に関わる程度の重篤な病気を起こすが、有効な治療法・予防法がある。黄熱病ウイルス・狂犬病ウイルスなど。
※ちなみに、現在、パンデミックを起こしているSARSコロナウイルス・SARSコロナウイルス2はBSL-3のレベルに指定されています。
㉝BSL-4:極めて高い感染性を持ち、ヒトあるいは動物に感染すると生死に関わる重篤な病気を起こす場合がある。有効な治療法・予防法は確立されていない。多数存在する病原体の中でも毒性や感染性が最強クラスである。エボラウイルス・マーブルグウイルス・天然痘ウイルスなど。☠️
㉞❷’ABSL(Animal Biosafety Levels:アニマル・セイフティ・レベル):動物実験に関するセイフティ・レベルです。Observation 1.の項の3行目に”ABSL-3□” と書かれているのがわかりますか?ABSLは、Animal Biosafety Levelという意味です。
㉟BSLと同じようにABSLには4段階のセイフティ・レベルが決められています。ここでは直接関係のあるABSL-3とABSL-4について説明します。
㊱ABSL-3:ABSL-3は、空気感染の可能性が考えられ、深刻な病気もしくは致死性疾患の原因となる、現地性もしくは外来性の病原体に感染させた実験室の動物の適切な取り扱いに関するレベル。
㊲ABSL-3実験室は、基本的現場作業、具体的手順、封じ込め装備に関してABSL-2の施設機能の上に構成されるが、そこにさらに次の4点の特別な工学的、設計上の特徴が加えられている。

1. 動物施設へのアクセスは厳重なものでなければならない。
㊳2. 作業を行う関係職員は、動物施設での作業に関して特別な教育・訓練を受けていなければならない。
3. 作業を重なう関係職員は、潜在的な危険の可能性、微生物学、動物取り扱い術及び畜産手順の豊富な知識を持つ個人の管理指揮を受けて作業しなければならない。
㊴4. 感染物質の飛沫やエアロゾールが発生する場所における取扱手順はBSC(バランスツ・カード・システム?)で行わなければならない。あるいはその他の物理的封じ込め装置を使用して行われなければならない。
㊵(続き)伝染性病原体、動物、汚染した設備との接触のリスクを減らすための適切な個人用防具が使用されなければならない。従業員の健康に考慮して、従業員職業健康プログラムが実行されなければならない。
㊶ABSL-4:ABSL-4は、致死性疾患の原因となる危険な外来性病原体、空気感染型病原体、および感染について未知の感染の危険が考えられる関係病原体を対象とした作業をする場合に求められる最高レベルである。
㊷ABSL-4レベルの病原体に近似、或いは同一の抗原を持つ病原体は、レベル4で作業すべきかレベルを下げて作業しても構わないかを決定できるだけの十分なデータが得られるまで、レベル4の厳重さで取り扱われなければならない。
㊸動物飼育係は極めて有害な病原体及び病原体に感染した動物を取り扱うための具体的かつ徹底的な教育・訓練を受けていなければならない。動物飼育係は、標準的及び特別封じ込め作業、封じ込め装備、実験室設計上の特徴に関してのプライマリー及びセカンドリー機能を完全に理解していなければならない。
㊹全ての動物飼育係及びその監督責任者は、動物及び病原体の取り扱い方、ABSL-4が要求する封じ込めレベルのあらゆる作業手順に熟達していなければならない。
㊺ABSL-4内の動物施設へのアクセスは動物施設責任者の管理下でなされるか、あるいは組織のポリシーに従い、実験室監督責任者の管理下でなされなければならない。
㊻ABSL-4の実験室には次の2つのモデルがある:

1. 病原体、感染させられた動物、感染させられた動物を保管している実験室での作業は、BSCクラスⅢに基づいて行われなければならない。
㊼2. 特殊スーツ着用が求められる実験室では、作業者は正圧防護スーツを着用しなければならない(アペンディクスAを参照)。感染した動物は負圧ベンチレーション及びHEPAフィルター付きの排気管付きの容れ物に入れて保管されなければならない。
㊽感染した動物は、第一バリア・システムに基づいて取り扱われなくてはならない。第一バリア・システムには例えば、BSCクラスⅡ もしくはそれに匹敵する封じ込めシステムなどがある。
㊾ABSL-4実験室は、基本的現場作業、具体的手順、封じ込め装備に関してABSL-3の施設機能の上に構成されるが、、ABSL-4の実験室および作業時着用スーツは、作業員の感染及び微生物の環境への拡散を防止するための特殊な工学的設計によって特徴付けられる。
㊿ABSL-4実験室は、クラスⅢ BSCにもとづくABSL-3実験室とは全く異なる、はるかに厳しいレベルの厳重度で設計されるものである。
51. 73-12(a):「ここに登録することを求められた個人あるいは組織は、書面でバイオセイフティ計画を作成し、実行しなければならない。計画は、使用目的を正確に考慮した上で指定病原体及び毒物のリスクを十分カバーするものでなければならない。
52. 計画は、バイオセイフティ、指定病原体及び毒物封じ込め方法、さらに意図的にあるいは事故によって意図せず、動物・植物が指定病原体、毒物に触れた場合の、あるいは感染した場合の詳細な情報と書類を含むものでなければならない。」以下(1)~(4)略
53. 73-12(b):「バイオセイフティと封じ込めの過程は、指定病原体および毒物を封じ込めるための施設のインフラの物理的精度と管理者の取り扱いレベルの両方において十分なものでなければならない」
54. 73-17:Records:記録に関する規則です。
(a):「ここに登録することを求められた個人あるいは組織は、関係する作業について完全な記録を取らなければならない。具体的には以下の項目を含む:」
以下、省略。
55. さて最後に空欄部分なっている二つの暗号:
❶(b)(3):42 U.S.C. § 262a-(h)(1)(D)
❷(b)(3):42 U.S.C. § 262a-(h)(1)(E)
を見てみます。
56. 42 U.S. Code § 262aは、 Enhanced control of dangerous biological agents and toxins(強化された指定病原体及び毒物管理システム)のことであり、特にその中の(h)はDISCLOSURE OF INFORMATION(情報開示)に関する規則が書いてあります。
57. 特に(1)はNONDISCLOSURE OF INFORMATION(機密情報)に関する規則です。
58. (D):「指定病原体及び毒物の流出、盗難、及び紛失に関するすべての情報は、サブセクション(b)(c)に従って届け出ること。」
59. (E):「評価及び限定された登録検査官によって実行された検査報告に関する全ての情報。指定病原体の特定、また検査官の居場所の特定にヒントとなるような全ての情報。漏洩の結果、公共の安全に重大な脅威を与える可能性のあるものはサブセクション(f)に従って届け出ること。」
60. つまり、この部分は守秘義務に関することが書いてあるのです。機密漏洩によって指定病原体への不正アクセス、流出、紛失、盗難が生じる可能性があり、結果として公共の安全に重大な脅威となる場合があるので機密事項になっているという意味です。だから、この部分は空白部になっているのです。
61. さらに“biological agent” とか“toxin” の定義について知りたい人は、law.cornell.edu/uscode/text/18…
を参考にしてください。
62. 長い間、お疲れ様でした。😗💨さて暗号が解けたところで、いよいよHHS、CDC、USDAの2019年度FSAP報告書に記録された事件の詳細を見ていくことにしましょう。
63. これらはすべてアメリカ合衆国政府の公開ドキュメントであり、私の空想や作り話ではないということをもう一度ここではっきり断言させていただきます。なお、非公開とされている部分(空白スペース)は□で表します。
64. ●Departure : UID: 42-12-38200.1
42CFR 73-12(b) (Immediate Action, Serious) 07/19/2019

タイトル:<Departure: 違反>、違反された条項:42 CFR 73-12(b)、
深刻度:<Serious: 深刻(最高レベル)>、
対応カテゴリー:<Immediate Action:緊急対応を要する違反>、
2019年7月19日付
65. ⚫︎Requirement(必要事項):そのバイオセイフティ及び封じ込め手順は、指定病原体及び毒物完全封じ込めに十分なものでなければならない。(例、施設の統一体としての物理的構造及び特性、そして作業実行の手順における防御手段など)
66. ⚫︎Observation(観察された逸脱行為):□及び□の結果となった二件の違反の報告。これら□の組み合わせは、フォート・デトリック(USAMRIID)が、BSL-3およびBSL-4実験室での作業で□発生した指定病原体および毒物封じ込めの手順の実践・保守において組織として完全に失敗していたことを意味する。
67. ⚫︎Corrective Action(是正処置):フォート・デトリック(USAMRIID)は、問題が発生した□からの登録実験室エリアを含む、指定病原体及び毒物に関する全ての業務及び作業を直ちに、そして完全に停止すること。
68. この処置は各事件について問題の原因が完全に究明され、その結果がFSAPに提出され、検討されるまで継続されなければならない。
69. ●Departure : UID: 42-12-38200
42 CFR 73-12(a) (Final, Serious) 08/29/2019

タイトル:<Departure: 違反>、違反された条項:42 CFR73-12(a)、
深刻度:<Serious: 深刻(最高レベル)>、
対応カテゴリー:<Final:最終的違反>、2019年8月29日付
70. ⚫︎Requirement(必要事項):ここに登録を求められた個人もしくは団体は、指定病原体及び毒物の使用目的に合った、バイオセイフティ・プランを書面で作成し、正確に実践しなければならない。そのバイオセイフティ・プランはその指定病原体および毒物に意図的に感染させた、
71. あるいは事故で感染した霊長類を含むすべての実験用動物、植物についてのバイオセイフティと封じ込め手続きを説明する十分な情報と書類を備えていなければならない。その現在行われているバイオセイフティ・プランは最初の登録時に提出されなければならない。
72. また更新のたびに、そして提出を求められた時はいつでも提出されなければならない。
73. ⚫︎Observation(観察された逸脱行為):フォート・デトリック(USAMRIID)は、バイオセイフティおよび指定病原体及び毒物に適応した封じ込め手順実行の確保において、組織のレベルで完全に失敗した。具体例としては次のような事件があった。:
74. 1. 建物□内において登録団体職員が故意に基本的作業手順からの逸脱行為を行なった。ABSL-3実験室□で発生した大量の危険廃棄物(具体的には実験に使用された動物の大量の死骸、臓器、骨、皮膚、組織、血液、体液等を指す)を処理していた時、隣の圧力滅菌室へのドアを開け放ったままにしておいた。
75. この逸脱行為は、汚染された空気が実験室□から流れ出て、通常、個人が防毒マスクを着用しないで作業している圧力滅菌室に流れ込む危険を増大させるものである。
2. 以下、空白スペース

⚫︎Corrective Action(是正処置):空白スペース
76. ●Departure:UID: 42-11-00100
42CFR 73-17(a)(3)(Final, Moderate) 08/29/2019

タイトル:<Departure: 違反>、違反された条項:42 CFR 73-11(a)、
深刻度:<Moderate: 中程度>、
対応カテゴリー:<Final: 最終的違反>、2019年8月29日付
77. ⚫︎Requirement(必要事項):ここに登録を求められる個人、もしくは団体は、書面で安全プランを作成し、実行しなければならない。その安全プランは、指定病原体及び毒物への不正アクセス、盗難、紛失、流失を防止するために十分なものでなければならない。
78. ⚫︎Observation(観察された逸脱行為):空白

⚫︎Corrective Action(是正処置):空白
79. ●Departure:UID: 42-17-01200
42 CFR 73-17-(a)(3) (Final, Moderate) 08/29/2019

タイトル:<departure: 違反>、
違反された条項:42 CFR 73-17(a)(3)、
深刻度:<Moderate: 中程度>、対応カテゴリー:<Final: 最終的>、
2019年8月29日付
80. ⚫︎Requirement(必要事項):ここに登録を求められる個人、もしくは団体は、ここに定められた作業に関して完全な記録を取り、それを管理保持しなければならない。そこには、病原体及び毒物の現在の正確な在庫状況が含まれる。
81. ⚫︎Observation(観察された逸脱行為):□は、□と□のために受け取り、使用した毒物の正確な現在庫状況の記録を取っておらず、保管もしていなかった。17(a)(3)条項が要求する記録が全く存在していなかった。
82. ⚫︎Corrective Action(是正処置):正確に□と現在の□在庫状況を把握し、その記録を提出すること。そして、完全な指定毒物の在庫状況の記録が取られ、保持されることを確保できる措置を提出すること。
83. ●Departure:UID: 42-12-26000
42CFR 73-12(b) (Final, Low) 08/29/2019

タイトル:<Departure: 違反>、違反された条項:42 CRF 73-12(b)、
深刻度:<Moderate: 軽度>、対応カテゴリー:(Final: 最終的)、
2019年8月29日付
84. ⚫︎Requirement(必要事項):そのバイオセイフティ及び封じ込め手順は、指定病原体及び毒物完全封じ込めに十分なものでなければならない。(例、施設の統一体としての物理的構造及び特性、そして作業実行の手順における防御手段など)
85. ⚫︎Observation(観察された逸脱行為):建物□内の実験室の壁は、密閉シール処理を施されておらず、そのため洗浄と殺菌に十分な効果が得られない状態にあった。具体的には、建物□の□室には導管ボックス周りに亀裂が見られた。また、建物□の実験室□天井に亀裂が入っていた。
86. また、建物□の部屋□の生物学的セイフティ整理棚の上の薄層に亀裂が見られた。[BMBL: (BSL-3)D3]

⚫︎Corrective Action(是正処置):問題の箇所に密閉シール処理を施し、十分な殺菌効果を回復した上で、その証拠(作業手順報告、写真等)を提出すること。
87. ●Departure:UID: 42-12-41500
42 CFR 73-12(b) (Final, Low) 08/29/2019

タイトル:<Departure: 違反>、違反された条項:42 CFR 73-12(b)、
深刻度:<Moderate: 軽度>、対応カテゴリー:(Final: 最終的)、
2019年8月29日付
88. ⚫︎Requirement(必要事項):そのバイオセイフティ及び封じ込め手順は、指定病原体及び毒物完全封じ込めに十分なものでなければならない。(例、施設の統一体としての物理的構造及び特性、そして作業実行の手順における防御手段など)
89. ⚫︎Observation(観察された逸脱行為):BSL-3およびABSL-3の実験室の掲示版に本来表記されていなければならない必要事項が表記されていなかった。具体的には、実験室の入室・退室において定められている個人用防御具の着用手順が表記されていなかった。
90. ⚫︎Corrective Action(是正処置):実験室の入室・退室において定められている現在の個人用防御具の着用手順を含む必要な表記事項が、全ての実験室の掲示板に表記されていることを確認し、その証拠を提出すること。
91. ●General Concern:UID: 42-12-41500.1
42 CFR 73-12(b)

タイトル:<General Concern: 一般的懸念>
92. ⚫︎Observation(観察された逸脱行為):ABSL-3実験室□の入り口に表示されるべきである、バイオハザードの兆候、接触情報、バイオセイフティ・レベルが表示されていなかった。入り口にはただ、2018年5月以来”使用されていない”という表示があるだけだった。
93. しかし、そのエリアは、もし必要なら、BSAT廃棄物の貯蔵所として使用されるだろう。もし、その実験室が貯蔵所として使用される場合は、入室に際して確認できるように、十分な情報の表示が確保されるべきである。
94. ●General Concern:UID: 42-12-48500
42 CFR 73-12(a)

タイトル:<General Concern: 一般的懸念>
95. ⚫︎Observation(観察された逸脱行為):BSL-3実験室□で、その□を取り外す事ができない。その機械は非BSAT用にのみ使用されるべきものであること、あるいは指定病原体及び毒物の使用に先立って、その機械がバイオセイフティ整理棚の中にあることをを確認するための管理運営の実行を考えよ。
96. ●General Concern:UID: 42-12-63200
42 CFR 73-12(b)

タイトル:<General Concern: 一般的懸念>
97. ⚫︎Observation(観察された逸脱行為):煙を用いた流体運動試験でダウンドラフト・テーブル(スノコ状の作業台から下向きに塵、黴、細菌、ウイルスなどを吸い込み、拡散を防ぐ装置)を調べたところ、期待される空気の層流が背後の壁からの排気流によって妨げられていることがわかった。
98. このような乱気流の発生は、全てのプライマリー封じ込め装置を用いる場合、想定外の状況で汚染物質が室内に拡散し、作業者が汚染されることを考えれば、避けなければならないことである。
99. ●General Concern:UID: 42-12-42600
42 CFR 73-12(b)

タイトル:<General Concern: 一般的懸念>
100. ⚫︎Observation(観察された逸脱行為):観察されたいくつかの行為:使用中のABSL-3実験室から退出して個人防御装備を脱衣する時、かなり長い時間、実験室のドアが半開きの状態になっていた。
101. 煙を用いた流体運動試験から、ほんのわずかの時間(5〜10秒)で、実験室から廊下へ空気が流れ出ることがわかった。たとえ汚染された空気が汚染エリアから外に漏れない場合でも、汚染エリアに人が呼吸器防御装備をつけずにいた場合、感染の危険と職業病になる危険は著しく増大する。
102. ドアの敷居を超えて個人防御具を脱衣する際には次のようなことを総合的に考慮し(例、ドアを開けている時間(半開きの時間も含む)を可能な限り短くし、廊下などでは呼吸器防御装備をつけていない人に近づかないこと。)、
103. 廊下にいる人がABSL-3実験室から流れ出てくる汚染された空気に接触しないように万全を期すことなど。
104. General Concernがあと4件ほど残っていますが、割愛させていただきます。これだけでもフォート・デトリックがどれほど杜撰で惨憺たる状態であるのか理解するのに十分だからです。残りの4件を含めて全てスレッド内にアップしてあるので、興味のある人はご自分で調べてみてください。
105. 機密事項に指定されているために不明な部分がありましたが、2019年の夏、フォート・デトリックが極めて深刻な状況にあったことだけは明らかだと思います。HHS、CDC、USDAの記録を要約すると、次のようになります。
106.
ⅰ. バイオセイフティ・レベルおよびアニマル・バイオセイフティ・レベル3〜4の実験室およびその周辺で、指定病原体及び毒物封じ込めについて二件の重大なFSAP違反が発覚し、2019年7月19日にフォート・デトリックはCDCから完全業務停止命令を受けた。
107. しかし、その後も事態は一向に改善されず、それどころか業務停止命令さえ徹底されていなかった。40日後の8月29日には再び停止命令(Final)を受けた。
108.
ⅱ. 空気感染を含む、極めて伝染力の強い、致死性の病原体や毒物を大量に処理している場所のドアを故意に長時間にわたって開け放ってあった。また、その場所に接する廊下や隣室には防御装備をつけていない人が作業していた。
109. ⅲ. 実験室の入室退出手順、そして防御服着脱手順がデタラメであり、汚染エリアから汚染した空気が外に漏れていた。
110.
ⅳ. 極めて危険な指定病原体及び毒物を取り扱っているにも関わらず、在庫・保守管理がデタラメであった。きちんとした記録さえ取っていなかった。どこにどんなモノがあり、誰がいつどういう理由でどれだけ使用したかという正確な記録がないということは、
111. 誰がいつ何を持ち出して、いつ元に戻したのか、あるいは戻していないのさえわからない。例えば最悪の場合、キレた職員が勝手に病原体を持ち出して水道水に混入すると言うような犯罪も起き得るということである。
112. また、実験室入り口など、表記してあるべき場所に表記がなかった。(不正アクセス、不正な持ち出し、盗難、紛失、流失が日常的にいつ起こっても不思議ではない状況であった。)
113. ⅴ. 守秘義務が守られておらず、第三者による指定病原体及び毒物を管理している人物及び場所の特定が可能な状態であった。(不正アクセス、不正な持ち出し、盗難、紛失、流失が日常的にいつ起こっても不思議ではない状況であった。)
114. ⅵ建物・施設・装備が老朽化し、十分に機能していないにも関わらず、それらを改善せず無神経に使用し続けていた。
ⅶ. スタッフは、十分な教育・訓練を受け、経験知識豊富な管理者の指導のもとで作業しているはずなのに、実際には教育も訓練も受けておらず、職業意識・倫理も高いとは言えない。
115. ※フォート・デトリックが絶えず求人広告(特に動物飼育係)を出さなければならない理由がここにある。労働者は育てるよりも使い捨てた方が安上がりであるからで、つまり病気になれば解雇していたのでしょう。フォート・デトリックの労働者は、使い捨て労働者なのです。
116. 記録からわかることは、フォート・デトリックでは、いつ指定病原体が外に流出しても不思議ではない状況にあった。というより、流出しないのが不思議というくらいの状況にあったと言った方が正確なくらい杜撰な状況にあったということです。
117. さて、フォート・デリックから病原体が漏れたとしたらその病原体は何だったのでしょうか?それは機密事項に指定されていて一般公開されていないのでわかりません。しかし、SARS-associated coronavirus(SARS-Cov)が、FSAP(HHS)のリストの20種のうちの一つであることだけは確かにわかるのです。
118. もし、そこでSARS-associated coronavirus(SARS-Cov)の流出があったらどうなるのでしょうか?その時、ぼんやりと散らばっていた全ての点が太い一本の線でばっちりつながるのではないでしょうか?
119. 第二章:2019年夏、突然閉鎖されたフォート・デトリックでいったい何が起きていたのか〜アメリカ合衆国保健福祉省(HHS)・アメリカ疾病予防管理センター(CDC)・アメリカ合衆国農務省(USDA)アーカイブの記録から

終わりです。
120. 明晩は、

第三章:フォート・デトリック概史〜アメリカ合衆国陸軍未来戦展望司令部(United States Army Futures Command)の一機関としてのフォート・デトリックの過去と現在から今のコロナウイルス・パンデミックを超えて見えてくるもの

をスレッドします。お楽しみに。🙂

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