ウクライナ戦争「ロシアは圧倒的に勝っている」

前国連兵器査察官スコット・リッター
マックス・ブルーメンソール(ザ・グレイゾーン)
アロン・マテ(ザ・グレイゾーン) 3/7
The battle for Ukraine, with ex-UN weapons inspectorScott Ritter
“Russians are winning in a big way.”

Max Blumenthal (The Grayzone), Arron Mate (The Grayzone) (全訳) 3/7
①マックス・ブルーメンソール:ウクライナとシリアに共通するもう一つの要素に、アメリカの支援を受けた、しかもアメリカの縛りの利かない極端に過激で実際に現場で戦闘に携わっているグループの存在があると思います。
②マックス:それらのグループが、バイデン政権内の人々でロシアとの直接衝突を避けたいと考えている人々の思惑を台無しにしてきました。私はマリオープルの劇場爆破事件について書きましたが、これなどは明らかにAzovによる偽旗事件でした。
③マックス:ウクライナのAzovはまさにシリアのアルカイダやISISのアナログだと思います。彼らは感情を激しく揺さぶって大衆を戦争へと導入するために、極端にドラマチックな企画・演出をやります。
④マックス:後でわかった事ですが、その事件では爆破前に劇場から人を退出させていたので誰一人死なず、怪我人も出ませんでした。
⑤マックス:それまで劇場爆破をロシアの犯行としてやかましく騒ぎ立てていたメディアは、それについて謝罪も説明もせず、何事もなかったかのようにすぐに次のナラティブに飛び移りました。「次にロシアは生物化学兵器を使うぞ」というのがそれです。
⑥マックス:しかもそこに偽りの信憑性を加えるために、もう一つのナラティブがセットになっていました。「ロシアは負けている。そして切羽詰まっている。だから生物化学兵器を使う」というのがそれです。その他にもさまざまな噂があります。
⑦マックス:例えば「劇場爆破はロシア人レポーターによって予告されていた」とか「マリオープルの住人が、トルコ人の建てたモスクが標的になると言っていた」とか、「数日以内に劇場は攻撃される」とか、そして、これなどは非常にイライラさせられるものですが、
⑧マックス:「数日以内にラボヴにいるアメリカ人外交官が襲撃される」という噂が流されています。いずれにせよ、縛りの利かない過激な民兵組織が「生物化学兵器使用」などの様々な偽旗事件を起こし、状況をさらに悪化させ、アメリカをさらに大きく紛争の泥沼に引き摺り込む危険があります。
⑨マックス:そこで私の質問ですが、バイデンのホワイトハウス内で、状況の悪化を望んでいるのはいったいどういう要素でしょうか?バイデンはエスカレートさせたくない、軍の上層部もエスカレートさせたくないのだとしたら、バイデン政権の中でいったい誰が悪化させたいと思っているのでしょうか?
⑩スコット・リッター:過去の類似する歴史的事件を例にとって説明しましょう。イラクの例です。私はイラクにずっと関わってきたこともあって、例を挙げやすいのです。
⑪スコット:1992年、アメリカ大統領選でジョージ・H・W・ブッシュが敗れ、新星ウィリアム・ジェファソン・クリントン(ビル・クリントン)次期大統領が決定した時のことを思い出してください。

※George H. W. Bush /Bill Clinton with Hillary
⑫スコット:まだブッシュがホワイトハウスにいた時のことですが、国連の仕事でイラクの武器査察に携わっていた私はイラクの石油相アミラ・ラシードに会いました。彼は鬼の首でも奪ったような勝ち誇った調子で私を嘲笑って言いました。

※Amer Mohammad Rashid
⑬スコット:「よくも今まで、国連の威を笠に来てイラクを小突き回してくれたな。しかし、それも今日で終わりだ。お前たちともこれでおさらばだ。制裁は解除されるぞ。俺たちはアメリカに石油を売るぞ。俺たちは既にクリントンの政権移行チームと交渉を開始しているんだぞ。」
⑭スコット:それは嘘ではありませんでした。これについて書いた本がもうじき出版されます。実際に、来たるべきクリントン政権はイラク制裁解除と石油輸入再開に向けて動いていました。それでいったい何が起こったと思いますか?
⑮スコット:レイムドック入りのジョージ・H・W・ブッシュ大統領が仕事の最後の締めくくりとして1993年1月、クエートを訪問した時、そこでブッシュ暗殺未遂事件が起こったのです。大量の爆発物を持ってバスラから来たという男が逮捕され、拷問され、そいつが犯人だということになりました。
⑯スコット:その事件のために、クリントン新政権はイラク情報省にクルーズミサイルを打ち込むことを余儀なくされました。確か6月だったと思います。アミラ・ラシードをあれほど喜ばせていた制裁解除も貿易再開も、もちろん全てがオシャカです。
⑰スコット:さすがに前アメリカ合衆国大統領暗殺を企てるような国と貿易はできませんからね。しかし、このナラティブを陰で操っていたのはクリントン政権のスタッフではなく、クエートと関わりの深いブッシュ政権のスタッフたちでした。
⑱スコット:クリントン政権とイラクの関係が良好になるのを恐れていたクエートが黒幕だったのです。イラク制裁が解除され、貿易が再開されたら、自分達は置き去りにされてしまうとクエートは感じていたのでしょう。
⑲スコット:このように、ホワイトハウスの外側のパワーの謀略が、アメリカが目指していた政策を台無しにし、さらにアメリカが望んでいない方向へと駆り立てていく場合が、アメリカの政治ではしばしばあるのです。
⑳スコット:私がなぜ今この例を引き合いに出したかというと、私はバイデン政権内にバイデンを謀略に引き込もうと息を潜めている工作員がいるとは思いませんが、しかし、ホワイトハウスの外側の要素が、この場合はウクライナの情報局と密接な関係を持つ国家安全保障チームだと思いますが、
㉑スコット:彼らの謀略がバイデンが望まない方向へとバイデンを導いていく可能性があると私は心配しています。このような外側のパワーに対してホワイトハウスはたいへん脆弱です。それは今まで何度も証明されてきました。
㉒スコット:私は作り話をしているのではありません。あの時、私たちは実際に暗殺未遂に関与したとされるイラク人関係者を全員逮捕しました。イラク人情報局の工作員を逮捕しました。全ての関係書類を押収しました。そして、分かったことは彼らは全てシロ(無実)だということでした。
㉓スコット:それ以来、アメリカ合衆国政府の人間でその事件について言及する者はいません。誰も語ろうとしません。つまり全てがでっち上げだったのです。アメリカはクエートの仕掛けた罠にはまり、その嘘に駆られて一つの主権国家を攻撃する羽目になった。つまり、そういうことです。
㉔マックス:ヌーランドは、バイデンが望まない方向にさらに突き進もうとしていると思いますか?

スコット:100%、そうだと思います。私の考えでは、ヌーランドはずっと先まで行きたいと思っていますね。しかし、彼女にはそれだけのパワーがありません。
㉕スコット:ロシア関係者の中で一番パワーを持っている人物はウィリアム・バーンズです。彼が何をしているのか私たちの耳に全く入ってこない理由がそれです。ずっと以前から、彼はロシアとの不必要な衝突を避けるために背後で忙しく立ち回っているはずですね。

※William Burns
㉖スコット:つまるところ、ブリュッセルはバイデンが一番行きたくない場所なのです。
ジョー・バイデンは東京に行きたいのです。
ジョー・バイデンはソウルに行きたいのです。
ジョー・バイデンはマニラに行きたいのです。
ジョー・バイデンは北京に行きたいのです。
㉗スコット:ジョー・バイデンは太平洋に行きたいのです。なぜなら、そこにアメリカの未来がかかっているからです。経済の未来はそこにあるからです。ロシアがオイル・マネーを中断する前にバイデンはそこへ行きたいのです。今、全世界がモスクワに向かってシフトしようとしています。
㉘スコット:モスクワ-北京の軸は正真正銘本物のパワーです。ロシアは世界第二位のエネルギー輸出国であり、ルーブルはドルに代わるもう一つの国際基軸通貨になろうとしています。私はロシアが経済超大国になるだろうとは言いません。
㉙スコット:しかし、ロシアのGDPはイタリアより小さいという人がいますが、その人は何もわかっていませんね。このトレンドからすると、ロシアがEU全体のGDPを凌駕するのは時間の問題でしかありません。いいですか。ウクライナやヨーロッパは、バイデンが一番関わりたくないと思っている所です。
㉚スコット:実のところ、バイデン政権の中でそこに関わりたいと思っている人は誰もいないと思います。ただ一人、ヌーランドだけが関わりたいと思っているというところです。しかし現実を見ると、アメリカはヨーロッパという罠にすっかり嵌まり込んでしまっています。
㉛スコット:自ら作り出した泥沼にはまり込んでいます。なぜなら、ロシアが真剣であるという自明の事実を理解できないほどアメリカが愚かだったからです。現実のロシアについて何一つ知らず、自らの作ったプーチン・ファンタジーですっかり頭が凝り固まったアカデミーに政策を委ねてしまったからです。
㉜マックス:アロン、何か言い加えることはありませんか?

アロン:2014年にウクライナでクーデターが起きた時、バイデンは副大統領でした。そして何度もウクライナを訪問し、息子のハンター・バイデンがバリズマで職を得ました。
㉝アロン:その事と、バイデンに正常な政策決定ができない事の間に何か関係があると思いますか?

スコット:100%!100%!私は、ジョー・バイデンは最も妥協させられた大統領だと思っています。J.F.K.以来、彼はおそらく最も妥協させられた大統領でしょう。
㉞スコット:ドナルド・トランプ以上に妥協させられた大統領です。
私はここでハンター・バイデンのラップトップの話に入り込むつもりはありません。それは話の脱線だし、私はその話をするためにここに来たのではありませんから。
㉟スコット:しかし、ずっとバイデンの熱心な応援団だったニューヨークタイムズでさえ、ラップトップはリアルだ、e-メールに注目しなければならないと言っています。そこで、e-メールに注目してみると、そこにはバイデンとバリズマとウクライナの関係についての汚いゴタゴタがいっぱい詰まっている。
㊱スコット:それは、アメリカ合衆国の大統領の資格としてたいへん望ましくないことです。その弱みから、バイデンはウクライナに対して妥協せざるを得なくなったのだと思います。私の考えでは、ウクライナはバイデンが一番近づきたくない所ですね。
㊲スコット:ビリングス・モンタナの机の引き出しの中に何か秘密を隠している時、ビリングス・モンタナには近づきたくありません。フロリダのペンサコーラにFBIを派遣して、キーウエスト島の海から潜望鏡で偵察させたいとは思っても、モンタナだけはごめんだというわけです。
㊳スコット:それと同じように、本当はバイデンはウクライナに1分たりとも時間を費やしたくはないのです。けれども現実には、ほとんど全ての時間をウクライナに費せざるを得ない状況に置かれているというわけですね。

アロン:ここで、この番組を見ている視聴者の皆さんにお願いがあります。
㊴アロン:もし、この番組を気に入ってくれたら「いいね」をクリックしてください。それからグレイゾーンをサブスクライブしてください。アルゴリズムの抑圧から番組を助けることになります。今日は本当にたくさんの人がこれを見ていますね。
㊵スコット:どうしたのだろう、気がつかないうちに顔が火照ってしまったよ。心臓発作でも起こすのかな?

マックス:最近、ますます心臓発作で倒れる人が多くなっています。地球温暖化と関係がるという人もいますが、私にはわかりません。
㊶スコット:なんのことはない。私が歳をとっただけのことだよ。

マックス:スコットにはもう少し付き合ってもらいたいと思います。ここで一人の人の訃報を紹介します。イラクで50万人の子どもが死んだことには価値があったと言った人です。マドレイン・オルブライトが死にました。
㊷マックス:今、チャットはその話で持ちきりですね。彼女のメモリアルにこれから一つの動画を紹介しようと思いますが、スコット、あなたはクリントン政権下にいてオルブライトをよく知っていますね。

※Madeleine Albright
㊹マックス:あなたを抜きにして、この長期にわたってアメリカの外交を支配し、アメリカの武力介入に関与してきたオルブライトの話はできないと思います。私はオルブライトのバイオグラフィーを調べてみました。まず、動画を見てみましょう。
㊺これは、プラハのある書店で開かれた彼女の出版祝賀イベントの模様です。たくさんのセルビア人が抗議に押しかけています。

動画:「×××..!」(セルビア人)
「出ていけ!」(オルブライト)
「×××××××...!」(セ)
「出ていけ!」(オ)
「×××...!」(セ)
「気持ちの悪いセルビア人ども、出ていけ!」(オ)
㊻マックス:これが故マドレイン・オルブライトです。彼女は反共主義者で元チェコスロバキアの外交官ジョセフ・コーベルの娘としてヤノコーべロバに生まれました。コーベルはチトーを心から憎んでいました。
㊼マックス:父親と共にアメリカに来た彼女は、確かCIAのプログラム・コースに沿ってデンバー大学に入学しました。彼女の恩師はジョージタウン大学のブレジンスキーでしたが、彼の家族がやはりガリシアの大地主で、チトーに土地を奪われました。

※Zbigniew Brzezinski / Josip Broz Tito
㊽マックス:彼の父親はポーランド国家警察と共にソ連と戦いましたが、この国家警察のジョセフ・ピルスドゥスキーはAzov大隊のインスピレーションになっている人物の一人です。そういうわけで家族ぐるみ因縁深い反共主義者と言えるのでしょう。

※Józef Piłsudski
㊾マックス:第二次世界大戦の怨念が今でも続いていて、それがこの書店のイベントに押しかけたセルビア人抗議者にも現れているわけです。彼女が出版した本のタイトルは※『Facism Today』というものです。

※正しくは、"Fascism: A Warning"
㊿マックス:本は、彼女の嫌いなすべての国はファシストの国であり、特にロシアがファシストの国であり、私たちはそれらファシスト政権を倒し、ファシズムを終わらせなければならないと言った内容です。彼女の赤裸々な世界観がよく表れている本だと思います。
51. マックス:スコット、あなたは、現実のロシアについて何一つ知らない、ただ「ロシアは悪だ」で凝り固まったイデオローグたちがアメリカの政策を決定していると言いましたが、オルブライトについてのあなたの考えを聞かせてください。

スコット:マドレインとは本当に長い付き合いになります。
52. スコット:もし、戦争の話が聞きたければ戦争の話をしたいと思います。1998年まで、私はCIAの回し者とか世界最悪の人間とか色々な言われ方をされてイラクを追放されていました。
53. スコット:CIAの〜というところを除いては全て当たっていると思いますが(笑)、私はホワイトハウスに行き、これについてどう対応すべきかと意見を求められました。私はホワイトハウス西棟地下のシチュエーション・ルームで対応すべき潜在的な選択肢について意見を述べました。
※The Situation Room
54. スコット:私はイラクをこのまま見逃してはいけませんと言いました。私は、彼らはまだ国連査察団のチーフ査察官を誰にするか決めかねているのだと思いました。しかし、私の上司のリチャード・バトラーが人選を担当していたのを知っていたので、

※Richard Butler
55. スコット:もしリチャード・バトラーが私をチーフ査察官に推薦したら、あなたたちは私を後方支援しなければいけないと彼らに言いました。彼らは「ノー、ノー。もう、お前に決定しているんだよ。お前がひとり名指しされたんだよ。何があってもお前に行ってもらわなくてはいけない」と言いました。
56. スコット:同じ頃、コフィ・アナンがイラクに飛んで政府と交渉し、査察チームを無条件で受け入れ、大統領官邸内の極めて微妙な場所への立ち入り調査を許可する取り決めを認めさせていました。

※Kofi Annan
57. スコット:コフィ・アナンがイラク政府との交渉で勝ち取った取り決めが非常に重要に思えたので、私はその場でその極めて微妙な場所を査察する決心をしました。過激に査察すべきか、お手柔らかに査察すべきか、中位の厳しさで査察すべきかを示し、標的を全てリストアップしました。
58. スコット:ところがその最後の1秒で突然、イラク国防総省をリストに加えるよう指示が入りました。私は「おうおうおうおう!私たちには国防総省の本部に入って武器をコントロールする法的根拠がないですよ」と言いました。
59. スコット:「それに、タリク・アジーズが、それはレッド・ラインだ。それをやったら戦争だと言っていますよ。イラクはわたしたちをそこに入れませんよ」と私は言いました。「だからこそ、我々はそれをやりたいのだ」と彼は言いました。
60. スコット:「お前がやらないのなら、俺たちがやる」と彼らは言いました。私はニューヨークに戻って、そのことをリチャード・バトラーに報告しました。実は、私がホワイトハウスにいる間、リチャード・バトラーは内務省でマドレイン・オルブライトと会っていました。
61. スコット:ニューヨーク市に戻ると、私たちは大使館に呼び出され、ビル・リチャードソンのオフィスに行きました。部屋には私とリチャード・バトラーとチャールズ・デルフィとビル・リチャードソンと副大使とその他に数名の人がいました。バトラーが前に出てホワイトボードに何か書き始めました。
62. スコット:そして私に向かって言いました。「リッター、お前はこの日ここに行かなくてはいけない。そしてここでイラクの国防相に遭遇して彼と対決する。その日が我々が爆撃を開始する日となるだろう。」私は驚いて言いました。
63.スコット:「我々が爆撃を始める?我々が爆撃を始めるって、それは一体どういう意味ですか?この仕事は国連の仕事ですよ。アメリカ合衆国はその手伝いの一員というだけですよ!」私はさらに続けました。
64. スコット:「あなたが私を査察官としてイラクに派遣するとき、私はあなたの元で仕事をしているのと同時に、国連安全保障理事会のもとで仕事をしているのです。その時、当然、私たちは国連決議に従う義務があります。国連決議は、私たちに戦争を始めろとは全く言っていません。」
65. スコット:しかし彼は言いました。「ノー、ノー。お前は黙って言われるままに仕事をしていればいいんだ。あとは俺たちに任せておけ。」しかし、その日の私の戦争への逡巡が明らかにマドレインの耳に入ったのですね。
66. スコット:私はすぐにバーレインに派遣され、そこでその任務のためにトレーニングを始めていました。非常に困難な任務でした。それはイラクとの間に戦闘を起こして、あえて彼らにアメリカ人捕虜を取らせるという込み入った任務でした。心配の多い、ストレスの溜まる任務でした。
67. スコット:この任務のためにチームを厳しくトレーニングしました。そこへ突然電話が鳴りました。お前はもうチーフ査察官ではない。オルブライトがお前を解任した。お前はお払い箱だという電話でした。私は「よろしい。では誰がこの任務を続行するのですか?」と聞きました。
68. スコット:「我々は誰か他の者を見つける」と電話の声は言いました。私はチームのところに行って、みんなにその事を話しました。私は何も言いませんでしたが、チームはすぐバトラー宛に「リッターが辞めるのならば、私たちも全員辞めます。査察は中止です」という手紙を書きました。
69. スコット:そこであわてたバトラーが電話をして、また大騒ぎになりました。誰がビル・クリントンを味方にするかという競争が始まりました。なにしろ「ニューヨーク市のその年の人」はビル・クリントンでしたから。オルブライトが、ビル・リチャードソンが、CIAが競走しました。
70. スコット:最終的にリチャードソンが裏をかいてバトラーに私を取らせました。クリントンにこう言わせたのです。「この任務には最高のスタッフが必要だ。スコット・リッターがそうだ。私はスコット・リッターを支持する」と言わせたのです。
71. スコット:その頃、マドレイン・オルブライトはパリでフランス人とディナーをとっていたのでした。彼らは嬉しげに話し合っていました。「もうすぐ戦争が始まりますよ。クルーズ・ミサイルがバグダッドに打ち込まれるのです。美しいですよ。美しいですよ。」
72. スコット:「どうしてそんなことがわかるのですか?」「ちょっとした細工をいたしました。」ところが、その時彼らが知らなかったことは、その細工と言うのが他ならぬ私だったということでした。
73. スコット:私はバグダッドに行って、イラクの防衛相と交渉し、その席にいたタリク・アジーズやラシードや他の閣僚たちに直接言いました。「みなさん、これは罠です。もし、あなた方が査察を拒否すると、それを口実にアメリカはすぐさまミサイルを発射するでしょう。」
74. スコット:「それで一巻の終わりになります。ですから、査察を受け入れて私に仕事をさせてください。私が必ず戦争が起きないようにしてみせます。私たちは戦争をしなくてもいいのです。」結局、イラクは査察団を受け入れ、私はそこで条件の許す限り最大限の仕事をし、戦争を止める事ができました。
75. スコット:そのことでオルブライトは私を心の底から憎みました。8月に私はアメリカに一時帰国しました。オルブライトが査察を中止しました。それが進めばもう戦争を始めることが不可能になるはずの大きな査察でしたが、オルブライトはそれを中止にしました。
76. スコット:彼女はリチャード・バトラーに電話し、私を退けるように命令しました。国家安全保障アドバイザーのサンディ・バーガーがビル・クリントンに耳打ちして私をその仕事から外させました。私は戻って、辞表を提出しました。
77. スコット:アメリカに戦争をさせてはならないと思ったのであちこちで秘密を暴露しました。私は上院公聴会で証言する用意がありました。オルブライトは私の隣で証言する必要がありましたが、彼女は、私が全ての証拠、書類、領収書の類を持っていることを知っていましたから出席を拒否しました。
78. スコット:同じ理由から、ウィリアム・コーエンも出席を拒否しました。その一方で、オルブライトはマスメディアに多く姿を見せて、どのようにこの苦境を乗り切ったのかとか、これはアメリカの政策ではないとか、例の調子で自らの立場を正当化しようと懸命でした。
79. スコット:基本ラインは、私はオルブライトは大嘘つきだと証言し、さまざまな機会を通じて彼女に恥をかかせたというわけです。全部本当の事だったので、彼女も査察を妨害したことを認めざるを得ませんでした。
80. スコット:しかし、彼女は新聞にop-edを投稿し、例の得意の思わせぶりな調子で「査察をコントロールしようとしたことは本当です。それは難しい選択でした。複雑な政治的なタイミングやテンポに考慮する必要があったのです」と、国民にアピールしました。
81. スコット:アメリカ合衆国国務長官であってもやってはならないことがあります。ジョー・バイデンが「こうやってスコッティ・ボーイは大金を稼ぎ、リムジンに乗る」と言いました。しかし、確かなことは、オルブライトは私を憎んでいたということです。
82. スコット:心の底から私を憎んでいたということです。私と彼女の間に共感できるものはひとつもありませんでした。これが私とかの有名な死んだ女性との関係です。

マックス:あなたはクリントンのズル賢いウィリーのこともうまく言い表しましたね。

スコット:(笑)
83. アロン:民主党のプライマリーの時、私はそれについてスコットにインタビューしたことがありましたね。後でそのクリップも紹介しましょう。ジョー・バイデンとのやり取りの中で、バイデンは彼をスコッティ・ボーイと呼びました。
84. アロン:それから、これは関わりがあると思うのですが、あなたは辞めた後、ブッシュ政権はオルブライトの政策を継続しましたね。国連査察チームをすっかりアメリカの道具に仕立てて、イラクをスパイさせていました。そしてそれはイラク側の知るところとなりました。
85. スコット:私がそれを暴露したからです。国連の査察団は公正でなければならないからです。ですから、私が辞めた後の査察団がアメリカの道具になっていると彼らに知らせる必要があったのです。2002年に私はイラクへ行き、イラクの議会でスピーチし、イラクの閣僚たちに会いました。
86. スコット:彼らは私が誰で、私が何をやったかみんな知っていました。私は彼らに言いました。「歴史の流れを止めることはできません。査察団は無条件で受け入れなければいけません。」私は副大統領のタハヤ・ヤシン・ラマディーンに言いました。
87. スコット:彼はいつでもお前を殺してやるぞと言った目つきで私を睨みました。殺しが彼の専門なので、これは仕方がないと思いました。しかし、彼は「わかった。フセイン大統領にこの話をする。何が起きているのか、いずれわかるだろう」と言いました。
88. スコット:私が言いたいことは、私は、私が誰で、私が何で、何が起こったのかについて決してイラク人に嘘をつかなかったということです。イラク人に対して私はいつでも正直でした。彼らは私を信用して査察団を再び受け入れる決断をしました。これは疑いなく良い事でした。
89. スコット:しかし、アメリカ合衆国は決して、「良い事」が起きるのを歓迎しません。新しい国連査察団はUNMOVIC(国際連合監視検証査察委員会)と呼ばれる組織で構成されていました。UNMOVICを率いていたのはハンス・ブリックスです。

※Hans Blix
90. スコット:チーフ査察官はギリシャ人でディミトリ・パラコスという名の男でした。UNMOVICはずる賢い組織でした。査察の内容が決して人々の知るところとならないように工夫していました。それは国際社会の公正なコントロールとかけ離れたところにいました。
91. スコット:アメリカ合衆国とイギリスが全てをコントロールしていました。あの組織は、帝国の情報産業組織に他なりませんでした。彼らは米英の利益に沿った人材だけを選んで重要な場所に配置していました。私は数少ない例外の中の一人だったと思います。
92. スコット:というのは私には私がロシアにいた頃から私を知っていて、かつて私がイラクと戦ったことも知っている陸軍の大佐がいて、レーダーをかいくぐって潜入させてくれたからです。私はそこで国連社員として採用されたのです。UNMOVICの推薦リストさえ退けて私を採用してくれました。
93. スコット:すると私が国連社員であるという事実をアメリカ合衆国は無視できません。アメリカも通常、国連内部の影響力を確保するために国連社員という事実をつくりますから。しかし、UNMOVICが国連組織というのは名ばかりのことで、あれの実質は完全に米英帝国の機関なのです。
94. スコット:UNMOVICがUNSCOMから継承したシステムの一つが隠しカメラです。施設の隅々まで監視できます。取り付けるのはもちろんCIAの仕事です。この技術は映像だけでなく会話も盗聴することができ、小さな秘密のファシリティで圧縮したデータを上空のU2偵察機に送ります。
95. スコット:この技術は現在でもUNMOVICが採用しています。過去のアメリカの作戦、1998年の「砂漠に狐作戦」、「イラク解放作戦」で使われていました。データはアメリカがレジーム・チェンジの標的とした国に対して使用されますした。いいですか。CIAは全てを台無しにします。
96. スコット:平和にとって良いものは全て文字通りCIAが台無しにします。私は情報機関に反対しているのではありません。私自身が情報将校です。何をするにしても情報が必要です。情報を集める手段が時として非合法的であることもあるでしょう。それは仕方がないと思います。
97. スコット:ただし、それが正しい大義のために使われる場合に限ります。しかし、CIAには正しい大義などひとつもありません。
そうそう、それに関連して、もう一つ戦争の話を思い出しました。私はルーマニアでイギリス人と一緒にある作戦を実行していたことがあります。
98. スコット:イラクの代表団がルーマニアに訪問しようとしているところでした。私たちは部屋に侵入して盗聴マイクを仕掛け、腐敗したルーマニアのビジネスマンを雇って警備員を泥酔させ、ブリーフケースを押収し、証拠写真を撮りましたが、その時の私たちには正当な理由がありました。
99. スコット:それはイラクの兵器取引をつかむための大掛かりなオトリ作戦だったのです。イラクはルーマニアからミサイルの部品を輸入しようとしていたのです。私たちはそれらの部品に秘密の発信器を取り付け、そのままイラクへと輸出させます。
100. スコット:後で、発信機の信号を元に私たちはイラクでそれを隠している場所へ行って、動かぬ証拠を抑えることができるというわけです。これは情報工作の良い面です。ところがそこへCIAが来て、全てをぶち壊してくれました。
101. スコット:ルーマニアの情報局に私のことをイスラエル情報局とロシア情報局のスパイだと言いふらし、だから私を信用するなと言い、途中から来て作戦を横取りしていきましたが、結局、作戦そのものがポシャることになってしましました。CIAは毒です。世界の毒です。
102. マックス:CIAは、あなたのことを外国のスパイだと言ったですか?

スコット:そうです。

マックス:酷い話ですね。

アロン:ルーマニアの作戦はアメリカ合衆国海兵隊情報将校としての仕事だったのですか?
103. スコット:ノー、ノー。国連武器査察団の仕事でした。国連の仕事をするときは、私は必ず忠実と誠実をモットーに仕事をします。その時、私はアメリカの秘密の政策”Wink, wink, nod, nod”に従いません。そのためにCIAは私を憎んでいました。CIAは世界最悪の組織です。

(了、4/7へ続く)
104. 一言解説:今回はウクライナから脱線しましたが、スコットの個人的経験を通じて政治決定の現場を垣間見ることができて面白いと思いました。私たちは、アメリカ政府を一つの人格のように捉えがちですが、それは<場所>であって、そこでは本当にさまざまな人が行き交うのだなと思いました。😚💨
105. それは希望でもあります。悪い人が少し、良い人が少し、普通の人がたくさん。少しの悪い人が権力を握ると、たくさんの普通の人が良心を殺してそれに従い、良い人は苦しくなる。けれども良い人が勝てば、たくさんの普通の人は喜んで従うのではないでしょうか。やっぱり革命が必要ですね🙂 (了)

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Apr 13
緊急

またまたツィッターアカウントを凍結されたスコット・リッターが、ブッカ虐殺についてツィートしたかった重要ポイント☝️

ザ・ジミー・ドー・ショー/2022年4月13日 (11:07~16:23全訳)

Twitter CENSORING Ukraine War Coverage/ Scott Ritter on The Jimmy Dore Show 2022/04/13 (11:07~16:23)
①スコット・リッター:まず最初に理解してもらいたいのは、私は現場に行って調査したわけではないということです。私は現場から何千マイル離れた自宅の椅子に座っています。しかも、なぜか私はアクセスしたいデータに自分からアクセスすることを禁じられています。
②スコット:しかし、誰もがアクセス可能なデータだけを一瞥してもそこから否定し難い明白な事がいくつか拾い上げることができます。
一つのデータは、ロシアの戦争犯罪の証拠として、ウクライナ政府自身が提示した動画です。そこには道路に転がっている数々の死体が映っていました。
Read 24 tweets
Apr 9
偉大なる中国文明 (1)

推敲(すいこう)とは、文章を何度も練り直す事。
唐代、都の長安に科挙を受けるためはるばるやってきた賈島は、乗っているロバの上で詩を作っていた。その途中、「僧は推す月下の門」という一句を口ずさんでから、「推す」の他に「敲く」という語を思いついて迷ってしまった。
②彼は手綱をとるのも忘れ、手で門を押すまねをしたり、叩くまねをしたりしたが、なかなか決まらなかった。あまりにも夢中になっていたので、向こうから役人の行列がやってきたのにも気づかず、その中に突っ込んでしまった。
③さらに悪いことに、その行列は知京兆府事(長安の都知事)、韓愈の行列であったため、賈島はすぐに捕らえられ、韓愈の前に連れて行かれた。そこで彼は事の経緯をつぶさに申し立てた。
Read 6 tweets
Apr 7
緊急速報
ブッカ虐殺の犯人は誰か〜元国連武器査察官・アメリカ合衆国海兵隊情報将校スコット・リッターはこう推理する & 彼のツィッター・アカウントが凍結された理由

BREAKING: Scott Ritter Banned from Twitter | Richard Medhurst Interviews Scott Ritter から(18:00~27:20)
①リチャード・メドハースト:たった今、スコット・リッターのツィッターアカウントが凍結されました。今日のゲストはそのスコット・リッターです。ハイ、スコット。気分はどうですか?

スコット・リッター:気分は最高です。ありがとう。君はどうですか?
②リチャード:私はたいへん心配しています。凍結された時、一番最初に何を考えましたか?ところで、この前あなたがこの番組に出てくれた時、私はみんなにあなたをフォローしてくださいと言いました。あなたのフォロアーが増えた矢先でした。

スコット:君のせいだよ。(笑)
Read 32 tweets
Apr 4
ウクライナ戦争「ロシアは圧倒的に勝っている」

前国連兵器査察官スコット・リッター
マックス・ブルーメンソール(ザ・グレイゾーン)
アロン・マテ(ザ・グレイゾーン) 2/7 ImageImage
The battle for Ukraine, with ex-UN weapons inspectorScott Ritter
“Russians are winning in a big way.”

Max Blumenthal (The Grayzone), Arron Mate (The Grayzone) (全訳) 2/7 ImageImageImage
①スコット:プーチンのタイミングは完璧でした。私たちが今こうして話をしている間もブリュッセルのNATO緊急会議で彼らは非常に危ない話をしているからです。NATOは即刻平和維持軍を西ウクライナに送るべきだと、ポーランドが強く主張しているのです。私は一週間前からそうなるのを予測していました。
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Apr 1
ウクライナ戦争「ロシアは圧倒的に勝っている」

前国連兵器査察官スコット・リッター
マックス・ブルーメンソール(ザ・グレイゾーン)
アロン・マテ(ザ・グレイゾーン) 1/7
The battle for Ukraine, with ex-UN weapons inspectorScott Ritter
“Russians are winning in a big way.”

Max Blumenthal (The Grayzone), Arron Mate (The Grayzone) (全訳) 1/7
①マックス・ブルーメンソール:みなさん、こんにちは。今日は私とアロン・マテ、そしてもう一人、エクスパートをゲストに迎えてお贈りしています。そのゲストは前国連兵器査察官スコット・リッターです。ここで詳しく彼を紹介する必要はないでしょう。
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Mar 27
ロシア人軍事専門家アンドレイ・マチヤーノフが語るロシアのウクライナ・ディナチフィケーション(非ナチス化)/エヴァ・バートレット(聞き手)

Russian Military expert Andrei Martyanov on Russia's denazification operation in the Ukraine /Eva Bartlett 2022/03/17 (全訳) 2/2
①エヴァ:ここ週間で西側メディアの流したプロパガンダの中でも最も許し難いプロパガンダについて話してくれませんか?確か、「スネーク・アイランド事件」と呼ばれているものです。

アンドレイ:イエース。おー、マイ、グッドネス!あれは全く爆笑モノでした。
②アンドレイ:あれで彼らは”殉教者たち”を作り上げようとしたのですね。殉教者たち、誰も死ななかった殉教者たちです。

エヴァ:確かあれは、ロシア軍がやってきて降参しろと脅したが、ウクライナ軍は降参せず、勇敢に戦って全員戦死した、というような内容ではなかったでしょうか。
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