Thread by @CoinGeckoJapan

今月の仮想通貨市場の振り返り記事をnoteにて公開しました。

今回のトピックはマーケット概観に加えて、Web5、Celsius、3AC、dydxチェーンの5つです。直近1ヶ月の業界動向のキャッチアップにぜひご一読ください。
note.com/coingeckojapan…

1. 6月のマーケット概観

2022年6月の仮想通貨市場は、5月同様に月の初めに大きな下落を経験し、一時的にBTCは3万ドル強から1.8万ドルまで、ETHは2000ドル弱から880ドルまで大幅に急落しました。

仮想通貨市場全体の時価総額は、1.4兆ドルから1兆ドル弱まで収縮しました。

先月のUST崩壊の影響によって、一般的なステーブルコインへの不信感は高まっています。

最大銘柄であるUSDTの時価総額は急速に減少している(ATHから-20%)ものの、仮想通貨市場全体の時価総額におけるステーブルコインのパーセンテージは過去最高値である33%に達しています。

2. Web3への宣戦布告：Web5

6月10日、Block(旧Sqaure)CEOのジャック・ドーシー氏は、現存のWeb3ムーブメントに宣戦布告する形で、ビットコイン上の分散型ウェブ・プラットフォームであるWeb5を発表しました。

https://twitter.com/jack/status/1537546515597733890?s=20&t=AeErekKx0133maLKGecrNQ

同プロジェクトは、DID(分散型ID)及びDWN(分散型ウェブノード)などのベース技術を土台に、分散型アプリケーションを開発可能なオープンプラットフォーム(Web5)を提供することを目的としています。

直近では、分散型取引所(DEX)であるtbDEXの開発が進んでいる模様です。
developer.tbd.website/projects/tbdex/

3. Celcius破綻危機

6月13日、100万人以上の顧客ベースと約112億ドルの運用資産を持つとされている仮想通貨レンディング大手のCelsiusは、顧客資産の引き出しとアカウント同士の交換及び送金を全面的に停止しました。

Celsiusの流動性危機が危ぶまれ、ユーザーが同社によるstETHの売却を恐れた結果、stETHの投げ売り/デペッグが発生しました。
coingecko.com/en/coins/lido-…

Coindeskによれば、ゴールドマンサックスが、Celsiusの倒産に際してその運用資産をディスカウントで買収するために、20億ドルの資金調達を行う予定であるといいます。
coindesk.com/business/2022/…

Celsiusのネイティブトークン $CEL は一時的に大きく下落しましたが、ゴールドマンサックスによる買収の噂と同時に #CelsiusShortSqueeze ムーブメントが立ち上がり、激しい反発を見せました。

4. 3AC(Three Arrows Capital)の債務超過及びデフォルト

現在最も業界を騒つかせているのは、180億ドル以上の運用資産を持つ最大規模のクリプト・ヘッジファンド3ACの債務超過及及びデフォルト問題です。

共同創業者のZhu Su氏のツイート↓

https://twitter.com/zhusu/status/1536876343815983104?s=20&t=tujLTEzkegOb3pwTohM6Ig

3ACに最も大きな損失を与えたのは、単なるマーケットの下落だけでなく、UST/LUNAの崩壊だと考えられます。

3ACは5億5,900万ドル分のロック期限付きの1,090万LUNA(現LUNC)を過去に購入していたと言われていますが、現在その価値は約930ドルとなっています。
coingecko.com/en/coins/terra…

同ファンドの流動性不足は、彼らが既に保有しているアセットの売却可能性を高めます（*以下は3ACの投資リスト）。

VCとして保有している以下ポートフォリオ銘柄などは、ロック解除と同時に今後売却される可能性が高いと考えられています。

上場企業である暗号資産ブローカーVoyager Digitalは、3ACに貸し出していた15,250BTC及び3億5,500万USDC(合計6億5,000万ドル)の返済が行われなかったため、同ファンドにデフォルト(貸倒れ)の通知を出しています。

その後、VoyagerはAlamedaから5億ドルの借入を行いました。
theblock.co/post/154316/vo…

市場環境は悪くなるばかりです。今後数週間のうちに、新たに破綻の危機に晒されるCeFiレンディング企業(以下リスト画像出展：

https://twitter.com/mattysino/status/1541181423536807937?s=20&t=GzS1f2oOfokgQtjikbymSg

)が出てきても不思議ではありません。

5. dydxチェーン(V4)：Ethereumを離れCosmosへ

6月22日、無期限先物DEXであるdydxは、現在利用しているEthereum L2ソリューションであるStarkNetを離れ、Cosmos SDKを利用したTendermint PoSコンセンサスの「dydx cain」のローンチを発表しました。

https://twitter.com/dYdX/status/1539607062291877889?s=20&t=tujLTEzkegOb3pwTohM6Ig

dydxの決断の背景・理由に関して様々な憶測や考察が飛び交っていますが、公式ブログの内容によれば、主にパフォーマンスと分散性、独立性の向上という点が最も強調されているメリットです。

$DYDX はこれまで証券規制への懸念から、ホルダーへのプロトコル収益の分配システムを持っていませんでした。

しかしL1ネイティブトークンとなったことで、PoSセキュリティを維持する対価として、バリデータ/ステーカーはdydxの収益を一部受け取れることになります。

coingecko.com/en/coins/dydx

dydxの決断はEthereumにとっては痛手となりましたが、Ethereum L2の発展・アダプションは続きます。

OptimismはOPトークンのエアドロップを通してTVLを順調に伸ばし、ArbitrumはOddyseyというNFT配布キャンペーンなどによって活気付いています。

defillama.com/chain/Optimism

スレッドは以上です。記事では各トピックに関してより深く解説を行なっていますので、ぜひ目を通してみることをお勧めします。
note.com/coingeckojapan…