スコット・リッター&ジョー・ロンバードー、アメリカ・ヨーロッパのロシア制裁がヨーロッパに及ぼす影響について語る
Scott Ritter and Joe Lombaardo talk about the effects of US Sanctions in Europe/Issues that Matter with Cynthia (全訳) ImageImageImage
”For they have sown the wind, and they shall reap the whirlwind. ” Hosea 8-7
「自ら災いの種を撒き、最悪の結果を刈り取る。」ホセア書8章7節 その2 ImageImage
①シンシア・プーラー:Issues that Matter(「大事な話」)へようこそ。シンシア・プーラーです。今日のゲストはスコット・リッターとジョー・ロンバードーです。ジョーはイギリスから帰ってきたばかりです。私たちは一緒にヨーロッパに行きました。 Image
②シンシア:今日は、ヨーロッパの人々がこれから直面しようとしている現実について話し合いたいと思います。非常に重要な問題であり、全ての人が知るべき問題だと思います。ジョー、あなたはどれくらい長くイギリスに居ましたか?
③ジョー・ロンバードー:5月中旬から10月5日までいました。10日前に帰ってきたばかりです。

シンシア:アメリカのロシア制裁が現在のヨーロッパの困難な状況の原因になっていると思いますか? Image
④ジョー:ヨーロッパ全体が非常に困難な状況にあると思います。その原因は、アメリカとそしてヨーロッパ自身がロシアに課している制裁にあります。まさに自分で自分の首を絞めているのです。なぜならヨーロッパへの主なエネルギー供給元はロシアであり、またロシアはアメリカにも供給しています。
⑤ジョー:したがって、ロシアを制裁すること(非買制裁)によって、当然のことですがヨーロッパは天然ガスと石油の不足に陥ります。加えて、ロシアは世界最大の穀物生産国の一つであり、最大の肥料生産国でもあります。
⑥ジョー:したがって、食料品の価格に始まって交通費・運賃、つまりエネルギーに依存する全てのものの価格を高騰させます。ヨーロッパのすべての国々がその悪影響を受けています。
⑦ジョー:私は他のいくつかのヨーロッパの国々にも滞在して、たとえばNATO会議が開催されていた時、マドリッドのNATOに反対する人々と話しました。ドイツの反NATO活動家とも話しました。彼らはみんな同じ様に現在の危機的状況について話していました。イギリスは二桁のインフレに苦しんでいます。
⑧ジョー:同時に経済の収縮と不況に苦しんでいます。多くの人々が失業し、全国的にストライキ活動が活発化しています。二桁のインフレに賃金上昇が追い付かず、それどころかますますインフレが拡大しています。
⑨ジョー:多くの労働者が解雇され、政府は残った人々により長時間働くことを要求し、さらに賃金カットを要求しています。去年に比べて収入は少なくなっているのに、物価はずっと高くなっているというわけです。ですから、危機という言葉は正しいです。
⑩ジョー:前首相のボリス・ジョンソンはこの大規模な経済後退ゆえに辞めさせられたのです。法律を軽視する彼の態度がその根本にあると思います。ジョンソンに代わって首相になったリズ・トゥラスですが、彼女は選挙で選ばれて首相になったのではありません。いったい誰が彼女に票を入れるでしょうか? ImageImage
⑪ジョー:彼女は保守党内のごく少数のメンバーによって抜擢されたというに過ぎません。ほとんどの人が投票をボイコットして、そのうえ投じられた少ない数の票のうち30%が破壊されました。候補者の両方に票を入れたくないとみんなが思っていました。現在、議会の多数派は保守党です。
⑫ジョー:オピニオン・ポールで20ポイントほど労働党を上回っています。しかし、労働党も党内に大変な問題を抱えています。私には彼らにイギリスの抱えている問題が解決できるようには思えません。
⑬ジョー:テレビを見ると、毎晩のように放送しているのは「この冬をどうやって乗り越えたらいいんだ?ガスが買えないよ」という人々の声です。昨年と比べるとガスの価格は5倍にもなっています。政府が強制的に2.5倍までという上限を設けましたが、それでも普通の人々が賄える価格ではありません。
⑭ジョー:トゥラスは色々やっていますが、彼女のやることなすことが状況をされに悪化させています。彼女は財務大臣を更迭しましたが、彼女自身が更迭される日がすぐにやってくるでしょう。イギリス政府とイギリス経済の破綻はあまりにも明らかだからです。
⑮シンシア:この冬、暖房用の灯油やその他の生活必需品必要が買えなくて、アメリカ合衆国の人々も同じように苦しむことになるでしょうか?

ジョー:すでにアメリカは高いインフレに苦しんでいます。10%に近づいています。ほぼ二桁に近いということです。
⑯ジョー:しかし、エネルギーのロシア依存度がヨーロッパに比べるとずっと小さいですから、ヨーロッパに比べるとまだずっといい状況です。私たちは国内に石油埋蔵量があります。ヨーロッパに液化天然ガスを売ることもできます。しかし、それほどたくさん売ることはできません。
⑰ジョー:私たち自身がそれを必要としていることが見えてきたからです。結局、ヨーロッパを助けることができません。私たちも石油価格の上昇のため、この冬は厳しいものとなるでしょう。しかし、ヨーロッパやイギリスに比べたらまだずっといいでしょう。
⑱シンシア:スコット、あなたの考えはどうですか?

スコット・リッター:私は経済学者ではないので、ここに座って、立派なケインジアン理論を述べることはできません。しかし、エネルギー安全保障やそれに関連することについてずいぶん勉強しました。 Image
⑲スコット:ここでは、ロシアへのエネルギー制裁(非買)について考えてみましょう。私は以前に何回か言及したことがありますが、アメリカがロシアを国の体裁を持つ大きなガソリン・スタンドだと例えることはロシアに対する大変な侮辱であるということをここで再び述べたいと思います。
⑳スコット:ロシアの人々、ロシア国民に対してこれほど馬鹿にした言い方はありません。
㉑スコット:しかし、ここで非常に単純化した喩えで説明すると、もし、あなたが車で長旅をしていて、旅の途上でガソリン・スタンドをボイコットしたら、つまり非買したら、あなたは砂漠のど真ん中かどこか日暮れの山道でもうその車を動かすことができなくなるということです。
㉒スコット:それは、自分で自分の首を絞める、全く愚かな行為です。ヨーロッパは他に選択肢はありません。例えば、アメリカから天然ガスを買うとしたら、価格はロシア価格の一単位あたり$300から一気にアメリカ価格$3000に跳ね上がります。
㉓スコット:一単位がなんだったか思い出せませんが、全然高いものになってしまうことだけは確かです。それだけではありません。大西洋を渡って船で運んで来なければなりません。船のコストはまた別料金となります。つまり誰も買うことができないほど高くつくというわけです。 Image
㉔スコット:今、アメリカのガスの予約を取っても、いったい誰にそれが買えるというのでしょうか?万一、十分な量のアメリカのガスがあったとしても、ヨーロッパでそれを買えるものなどいません。それは自分で自分の首を絞める行為、自殺行為です。
㉕スコット:唯一、そこで得をするものはアメリカのエネルギー産業くらいなものでしょう。彼らにとって、この機会はまさしくタナボタというところでしょうね。考えられますか?私たちはヨーロッパにロシアの安いエネルギーを買うなと要求し、私たちの高いエネルギーを買えと要求しているのです。
㉖スコット:どんな無茶なことでも、アメリカが要求することはなんだって通ると私たちは思っている。こんなことをやって、アメリカはいったい何が得られるというのでしょうか?エネルギーの世界市場において消費者がどういう力を持っているのかということをロシアは誰よりもよく知っています。
㉗スコット:ロシアはグローバル経済のエキスパートなのです。サウジアラビアもその道のエキスパートだという人がいます。いいえ、サウジアラビアはリージョナル(地域的)エキスパートであって、グローバルなエキスパートではありません。サウジアラビアは長い間、アメリカに従属して生きてきました。
㉘スコット:サウジアラムコがなぜ過剰な石油生産をしてきたのか、その理由はサウジアラビアはアメリカの支配下にあって増産するのも減産するのもただただアメリカを満足させるためだったからです。過去何十年もそうだったのです。しかし、それももうおしまいです。その理由がロシアです。
㉙スコット:昨年の7月のことでした。ジョー・バイデンがある男の前にひざまづいて懇願しました。その男というのは、かつてバイデンが「私は二度とこの男には会わない」と言った男です。その男名前はムハンマド・ビン・サルマーンです。

※Mohammad_bin_Salman Image
㉚スコット:かつてバイデンは「私は二度とあの男に会わない。あの男は人間じゃない。殺人鬼で、屠殺魔だ。ジャマール・カショーギを惨殺した。アメリカはサウジアラビアを孤立させる」と言いました。
㉛スコット:ところが去年の7月、バイデンはそのムハンマド・ビン・サルマーンの前にひざまづき、踊りを踊り、増産してくれるならなんでもしますとばかりに懇願したのです。サウジアラビアは「まあ、考えておこうか。しかし、8月のOPEC+プラス会議まで答えは出せないな」と言いました。
㉜スコット:この+プラスというの何のことでしょうか?もちろん、ロシアのことです。
㉝スコット:つまりサウジアラビアの石油増産・減産についてかつて思うがままだったアメリカは、今やOPECの中で強い裁量権を持つロシアの意見を待たなければ何も決められなくなった。サウジアラビアの石油増産・原産を決めるのは今やロシアであるということです。
㉞スコット:サウジアラビアはロシアとがっしりと手を結んでいて、単に石油増産をしないだけでなく逆に1日あたり200万バレル減産すると決定しました。なぜ、バイデンはそこまで切羽詰まってサウジアラビアに石油を増産させたいのでしょうか? Image
㉟スコット:アメリカに行ったことのある人は誰でも、その石油の安さに驚いたと思います。アメリカでは石油を湯水のように使うことができるという表現は決して誇張ではありません。アメリカの繁栄の全てはその安い石油に支えられているのです。その価格は国際価格の相場よりもずっと安いのです。
㊱スコット:アメリカにそれができた理由は人工的に大量の国内リザーブを国内消費向けに投入していたこと、足りなくなったらサウジアラビアに好きなだけ増産させることができたからです。もちろん強大な軍事力や国際準備通貨としてのUSドルの力で脅しをかけることによってです。
㊲スコット:ところが今、サウジアラビアははっきりと「ノー」と言いました。なぜならロシア経済が正常に機能するためには$70/barrelであることが必要だからです。これは国際価格の相場です。
㊳スコット:ロシアはサウジアラビアのプロジェクト2030の巨大投資国であり、それはサウジアラビアの経済と社会に大きな利益をもたらすと見込まれています。だから、サウジアラビアはロシアの利益を尊重して$70/barrelに保ちたい。これは国際価格ですから、そもそも少しも無理がないのです。
㊴スコット:ところが国際相場よりもはるかに安い価格で国を運営してきたアメリカにとって、石油価格が国際相場並みになるということは、アメリカを動かしているすべてのものが大幅に値上がりすることを意味します。アメリカの競争力を低下させます。
㊵スコット:サウジアラビアはアメリカの都合でアンダーライティングするのに飽き飽きしていました。サウジアラビアはもうアメリカの利益のためには働かない、サウジアラビア自身や他の石油産油国の利益になるために働くと決めたのです。
㊶スコット:サウジアラビアは、世界の未来が東にあること、中国やインドやロシアはBRICSにあることに気付いたのです。これは世界のあり方が大規模に西から東へとシフトしていることを表しています。バイデン政権はこの決定的破綻を11月の中間選挙までなんとしてでもアメリカ国民に隠しておきたい。
㊷スコット:しかし、中間選挙が終わると一気に破綻が明るみになっていくことでしょう。サウジアラビアの劇的な東へのシフトはまた、USドル支配の終焉を告げるものです。ご存知のように、ペトロダラーは国際準備通貨です。ところが今やサウジアラビアは中国に人民元で石油を売っています。
㊸スコット:インドにルピーで石油を売っています。ロシアにはルーブルで売っています。US ドル以外ならどんな通貨でも売ってくれます。世界はUSドルの一局支配経済からより平等な多極経済へとシフトしている。これはアメリカにとっては悪いニュースです。ヨーロッパにとっても悪いニュースです。
㊹スコット:なぜなら、ユーロはUSドルに深く依存しているからです。USドルが崩壊するとユーロも崩壊します。ユーロが崩壊するとヨーロッパの金融システムが破綻します。ドイツ銀行に聞いてごらんなさい。スイス銀行に聞いてごらんなさい。エネルギー市場に関して、彼らにマネーはないのです。
㊺スコット:来るべき破たんは、ベア・スターンズ危機よりも2008-2009年の経済危機よりもはるかに大規模で深刻なものになるでしょう。それは、ロシアを国の体裁を持つ大きなガソリンスタンドだとバカにした結果です。
㊻スコット:ロシアは私たちの誰よりもこのビジネスに精通しています。エネルギーのグローバル経済において世界で最も影響力を持つ国がロシアだからです。
㊼シンシア:ジョー、ヨーロッパとアメリカのこの冬はどういうものになるでしょうか?

ジョー:厳しいものになると思います。アメリカはヨーロッパに比べて少しはいいですが、長期的に見るとやはり非常に厳しいものになるでしょう。スコットがいろいろ話してくれた通りです。 ImageImage
㊽ジョー:アメリカ合衆国は世界の42カ国に対して経済制裁を課しています。今や、彼らは互いに団結し、アメリカの制裁に対して反撃し始めています。
アメリカの制裁の具体的な形として、アメリカは他国のマネーを文字通りに盗むということをやります。
㊾ジョー:例えば、世界の主要な石油産出国であるベネズエラから莫大な量のゴールドを盗みました。アメリカ国内にあるベネズエラの製油所・ガソリンスタンド(CITZCO)を押収しました。文字通り、盗んだのです。泥棒したのです。海賊行為です。イギリスも同じことをしました。
㊿ジョー:多くの国がその保有するゴールドをブリティッシュ・バンク・オブ・ロンドンに預けています。彼らは何の理由も告げることなく、ベネズエラの13億ドル相当のゴールドを押収しました。ブリティッシュ・バンク・オブ・ロンドンはロシアに対しても同様の泥棒行為を行いました。
51. ジョー:彼らは当たり前のようにただただロシアのマネーを取ったのです。こんな泥棒銀行をいったい誰が信用するというのでしょうか?こんな泥棒にいったい誰が大切なマネーを預けると言うのでしょうか?
52. ジョー:アメリカの気まぐれ一つで全てが盗み取られてしまうようなUSドルでいったい誰が貿易したいと思うのでしょうか?ワシントンが敷いた体制はこうした全ての泥棒行為、海賊行為を当たり前のように合法化してしまう。
53. ジョー:ただ、他の国々の犠牲の上にアメリカに利益が得られるように合法化してしまうのです。国際連合の憲章で犯罪行為とされていることをアメリカ合衆国は平気な顔をして毎日毎日当たり前のようにやってきたのです。ですから、長期的に見て、アメリカはますます苦境に陥っていくことでしょう。
54. ジョー:アメリカの労働者は他国の労働者に比べてずっと恵まれた環境に置かれてきました。USドルを基礎にした国際金融制度によるアメリカのヘゲモニーのおかげです。
55. ジョー:IMFや世界銀行を使った高金利政策でその国に多額の借金を負わせ、担保として国の国家インフラを接収し、社会福祉を破壊し、経済そのものを破壊してきました。しかし、それももう終わりです。
56. ジョー:ワシントンとウォール・ストリートが支配する金融システムは終わりを告げ、より平等な多極的世界が始まるのです。中国もロシアも他のグローバル・サウスの国々ももうアメリカの制裁に振り回されることは無くなります。それはアメリカの人々にとっても打撃になるでしょう。
57. ジョー:しかし、インフレや失業を目の当たりにすることで、長期的に見てアメリカの人々自身が本当に必要な改革を行うようになれば道は開けてくるはずです。イギリスでは、人々はインフレでも賃金が上がるから大丈夫だと言われていますが、現実には賃金がインフレに全く追いついていません。
58. ジョー:その困難の自覚が人々を革命に導き、公正で平等な社会を実現することに希望をつなぎたいです。ヨーロッパでもアメリカでも世界のどこででもアメリカ帝国主義を終わらせ、公正な世界を持つことができると思います。
59. シンシア:ジョー、あなたはいろいろなところでたくさんのデモを見てきましたね。

ジョー:イギリスでは彼らはトーリー党を倒したい。そして、労働党を政権に戻したいと思っていますが、労働党自体が帝国主義者に乗っ取られているという状況です。
60. ジョー:キュア・スタマーズという男が労働党から本当の左翼を粛清してしまったのです。おかげで今や、労働党は新自由主義の党となり、人々に緊縮財政を敷いています。

※Keir Starmers Image
61. ジョー:しかしながら、イギリスの労働組合のリーダーたちはアメリカに比べてずっと良いです。彼らは真の階級闘争を知っています。例えば彼らは今、イギリス全土において「もう十分だ」というラリーを展開し、日々、拡大し続けています。
62. ジョー:労働党から粛清されたコービンを含めて様々な運動が既存の政治システムの枠外で集結していくと、革命はずっと現実味を増していく事でしょう。イギリスもアメリカも既存の政治システムは腐敗しきっていますから、その枠の外側から運動を築き上げていく事が根本的なチェンジのために重要です
63. シンシア:スコット。

スコット:ジョーは社会運動のエキスパートなので、私がそこに付け加えられることはありません。しかし、エネルギー安全保障について、ヨーロッパへのインパクトに関連してもう少し話したいと思います。二つあります。 ImageImage
64. スコット:一つは、アメリカがノードストリーム・パイプラインズを攻撃したことです。誰もアメリカが攻撃したとは言わないし、みんなあえて無視したふりをしていますが、やったのは間違いなくアメリカです。なぜ、私にそれが言えるのでしょうか?
65. スコット:もし、私が検察官で裁判に臨むとき、次の三つの理由の視点からデモンストレーションします。一つ目は動機です。アメリカは公の場で憚りもなくパイプラインの破壊を口にしてきました。 Image
66. スコット:アメリカの大統領がロシアがウクライナ国境を超えたら、ノード・ストリームはシャット・ダウンだと言い続けてきました。事件の起こるずっと以前から犯人は犯行を自白していたのです。 Image
67. スコット:二つ目は、犯行によって最も利益を得るのは誰かということです。ヨーロッパに安価で豊富なエネルギーを供給していた120億ドルのプロジェクトが破壊されたことに対し、アメリカ合衆国国務長官アントニー・ブリンケンは遺憾の意や哀悼の言葉を少しも述べることなく、
68. スコット:「それはロシアのヨーロッパにおけるエネルギー支配を覆す絶好の機会となりました。ヨーロッパにアメリカの天然ガスを売る最高の機会をもたらしてくれたのです」と述べたのです。他人の不幸は俺の幸福だとこれまた公の場で憚りもなく言ったのです。これは犯人自身による自白です。 Image
69. ※ブリンケン:「これはヨーロッパのエネルギーのロシア依存をキッパリ断ち切るための絶好の機会だ。」

「もう金輪際、プーチンはエネルギーを武器にすることができなくなり、」

「彼の帝国主義的野望を打ち砕くことになるだろう。」 ImageImageImage
70. スコット:三つ目は、方法です。アメリカ海軍はバルト海の事件周辺で盛んに演習を繰り返していました。特にこの6月ごろ、毎日のように繰り返していました。どんな演習をしていたのでしょうか?水中ドローン(underwater unmanned vehicles)を使った目標物爆破訓練です。
71. スコット:使用していたドローンもわかっています。SeaFoxです。みんなが知っています。2015年、アメリカ海軍はノード・ストリームの直近をこの
SeaFoxの演習場に定めましたから。
以上の三つの理由から、私は犯人はアメリカだと断定します。 ImageImage
72. スコット:しかし、誰もそれを言いません。ヨーロッパは完全に沈黙しています。ドイツは恐ろしくて調査しましょうとさえ言えない。スエーデンは証拠を集めていて、誰がやったのか知っていますが、もちろん口が裂けても言いません。デンマークは「私は何も見てません」の一点張りです。
73. スコット:ロシアが合同調査を提案していますが、彼らは一致団結してそれに反対しています。ロシアはとっくに証拠を掴んでいて誰が犯人かを知っていますが、事実を公表したところで西側で報道されることはないでしょう。
74. スコット:動かし難い事実は、アメリカはヨーロッパ全域に天然ガスを供給していた巨大エネルギー・ハブとしてのドイツの可能性を殺したということです。ドイツはロシアと共同で、550億立方メートル/yもの輸送力を持つノードストリーム・プロジェクトに莫大な投資をしてきました。 Image
75. スコット:アメリカはそれを殺したのです。アメリカの一人勝ちだ!ですか?慌ててはいけない。アメリカが予期しなかった二つの要因が浮上してきました。その一つがトルコです。黒海を潜ってロシアからトルコに天然ガスを運ぶタークストリーム・パイプラインがあります。

※Turkstream pipelines Image
76. スコット:2本のパイプがあり、すでに稼働していていますが、輸送量は2本合わせて315億立方メートル/yとドイツのノードストリームに及びませんでした。トルコは「いつかきっとエネルギー供給の一大ハブになる」と願い続けてきました。
77. スコット:ドイツはトルコを嘲笑って、「それは無理だ。世界のエネルギーハブは私だ」と言いました。今、そのノードストリーム・パイプラインをアメリカは殺してしまったのです。そこへ持ってきて、昨日、プーチンはエルドランドに「私たちはタークストリーム2を作りましょう」と言いました。
78. スコット:「世界のエネルギー・ハブとしてのトルコの発展をロシアは応援します」という意味です。「それに乗るな」とアメリカはトルコに強力な脅しをかけてくることでしょう。
8もう一つの要因は:しかし、ヨーロッパ全域、そして北アフリカにまたがる巨大エネルギー・ハブになることはトルコにとってどんなことがあっても捨てることができない悲願です。そうなれば、トルコはシリアに侵略してコソコソ石油を盗む必要もなくなります。トルコは絶対に乗るでしょう。 Image
80. スコット:もう一つの要因はイランです。イランは長い間、アメリカの過酷な制裁を受け続けてきた国です。そのイランがロシアに言いました。「ロシアさん、私の国へ天然ガスを輸出してくれませんか?イラン北部でそれを消費します。イラン南部でも消費します。」
81. スコット:「あなたがヨーロッパに売れなくなった分、私たちがそれを買います」と言いました。
こんなふうに世界中がロシアの天然ガスを買うようになります。そこでまた「日頃の御礼としてディスカウントしましょう」とロシアが言います。
82. スコット:しかし、それでもロシアが今まで売っていた値段よりは高く売れます。どっちにしたって、ロシアは大きく儲けることができるわけです。つまり、村で一番賢かったのはロシアで、一番バカだったのはアメリカだったというわけですね。アメリカがやったことの全てが愚行でした。
83. スコット:やることなすこと1から10まで全てが馬鹿なことばかりです。アメリカが関わってきたら最後、その国、その人々はご臨終だと考えたほうがいいです。近年の歴史を振り返って、アメリカがやったことの中でただの一つも良かったことは見つけられません。
84. スコット:ロシアは正反対です。ロシアが関わってくると死んでいたものにさえ命の花が咲きます。ロシアはまるで花咲か爺さんのようです。ロシアが栄えます。アジアが栄えます。アメリカとヨーロッパ以外はどこでも栄えます。私は何もロシアは完璧だと言っているわけではありません。
85. スコット:ロシアも間違いをします。しかし、ただ一つ確実に言えることはロシアはアメリカよりもはるかにはるかに良いことをしているということです。それに引き換え、私たちは自分たちの問題一つ解決することができません。なぜでしょうか?なぜなら、私たちは世界で最も無知な人々だからです。
86. スコット:私たちは自分たちが住んでいるこの世界について何も知りません。特にロシアについて何もしりません。平均的アメリカ人にロシアについて聞いてご覧なさい。ただ一つの回答「プーチン!」が返ってきます。そう答えるようにプログラムされているからです。
87. スコット:反露バーナーを体に巻いて「ロシア!プーチン!」「ロシア!プーチン!」「ロシア!プーチン!」です。ロシアが壮大な歴史と複雑な文化を持つ国であることすら理解していません。その複雑さをなぜたった一人の戯画化した人物に単純化してしまうのか。思考がまるで小学校低学年並みです。
88. スコット:そんな人間がハーバードやエールを卒業して政府のブレーンになっているのです。私たちが真摯な態度で現実のロシアを学ぼうとしない限り、私たちは永遠に解決に至ることができません。
89. シンシア:ジョー、最後の締めをしてください。

ジョー:長い間、死んでいたアメリカの反戦運動が少しずつ蘇りつつあります。私たちは明日から全米及びカナダ60ヶ所で週ごとの行動を開始します。どのような形でも構いませんからこの行動に参加するように私は人々に呼びかけます。 ImageImage
90. ジョー:アルバニー地区ベツレヘムでは、「平和を求める近所の集い」が明日から始まります。アメリカの戦争、いかにアメリカが嘘の脅威を煽り、反戦運動を攻撃し、ロシアや中国との戦争に人々を駆り立てているかが主なテーマになります。
91. ジョー:とても小さな始まりですが、きっと大きな広がりに育っていくと思います。現在の緊急な状況の中でそれは大変重要な行動になるでしょう。この戦争には二つの顔があります。一つは武器を使った撃ち合い、文字通りの戦争です。もう一つの顔は経済戦争です。
92. ジョー:この経済戦争でアメリカは深刻なダメージを受けることになるでしょう。すでに数千という人々が殺されました。

シンシア:スコット、最後に最近あなたが出した本について紹介してください。
93. スコット:本について話す前に、ジョーが話したことに関連して少し。11月15日、ベツレヘム・ライブラリーで集まりがありますね。

ジョー:その通りです。
94. スコット:ジョー、私は全力を尽くしてその集まりに何が何でも参加することを約束します。私はオーディエンスの一人としてそこに座り、参加者の発言を一言も逃さず、聞くつもりです。
95. スコット:それから10月26日(水)、私は「ファーマーズ&シェフス」で出版記念サイン会を催します。farmersandchefs.comm もしくはオーナーのジョンに直接電話で聞いてみてください。電話番号は:
845-337-4949です。サイン会の時間は午後6:30-午後9:30の3時間です。豪華晩餐会付きです。 Image
96. スコット:チケットの代金には食事代と本の代金が含まれています。そこで本の著者が話をし、参加者から質問を受けます。著者が希望者全員にサインすることを私は約束します。私は著者をよく知っていますから。

(了)オリジナル動画:
97. 解説:ドイツを特徴づけてきたものの一つがその工業製品の品質の高さでした。ドイツの工業製品の高さは高度の教育を受け、高度の知識と技能を身につけた労働者に負うものです。
98. 彼らは高品質の製品を作りだすので、その収入は高収入であり、それが政府の安定した税収を支え、政府はその安定した財政をもとに社会インフラをさらに充実させ、教育を充実させ、健康と社会福祉を充実させ、それがさらに労働者の質を高めて、
99. より良い製品を作り出すという理想的なサイクルがドイツの特徴だったのです。しかし、その理想的サイクルの大前提はロシアからの安価なエネルギーでした。したがって、これを失った時、前述の全てが崩壊することになります。
100. ロシアからの天然ガスを失った時、ドイツはロシアのガスより10倍も高いアメリカの液化ガスに頼らなければならなくなります。すると、ありとあらゆるコストが上がります。ドイツは必然的にその競争力を維持できなくなります。すると次には工場や会社を閉鎖しなければならなくなります。
101. 高収入、高学歴で高度の知識と技能を持つ労働者が解雇されていきます。収入を失うことで彼らは家のローンが払えなくなり、どこかへ行ってしまいます。コミュニティ全体が沈没します。アメリカのラスト・ベルト(Rust Belt)で起きたことがドイツで繰り返されるわけです。
102. ドイツは文字通り、第三世界の水準に落ち込み、そこから立ち直る道はありません。ドイツはEUの中核です。マルクはユーロの中核です。ドイツが崩壊する時、ユーロ・ゾーンが崩壊します。EUが崩壊します。NATOが崩壊します。G7が崩壊します。
103. なぜなら、G7とは世界で最も影響力のあるトップ7の国々の集まりなはずですが、もう影響力を行使することができないからです。G7にとって変わり者はなんでしょうか?BRICSです。すでに世界経済におけるBRICSの影響力は遥かにG7を上回っています。
104. ヨーロッパに生じた真空地帯を埋めるものはなんでしょうか?アジアとロシアです。今までずっとロシアは西側に焦点を合わせてきました。しかし、これをもって完全にアジアに焦点を移すことになるでしょう。この兆候はロシアのウクライナ介入のずっと以前から認められていました。
105. 2月4日の北京オリンピックで、愚かにもバイデンはそれを無視しました。外交上、極めて重要なことが進行しているときに、それを無視してはならないのです。
106. 北京で習近平とプーチンが話し合いをし、「世界はアメリカの一局支配から多極世界に変わる」という5000語の共同声明を出していた時、バイデンは北京に飛ぶこともせず、ただただ中国を封じ込める、ロシアを封じ込めると嘯いていたのです。
107. アメリカでは「終わりなき戦争に関わるのをやめてもっと国内のことに目を向けよう」という声が日々高まっています。しかし、そこには大変大きな壁が立ちはだかっています。それはアメリカ国内の石油価格の問題です。
108. アメリカに行ったことのある人なら誰もがアメリカ国内の石油の安さに驚いたことでしょう。国際市場の相場よりもはるかに安いのです。アメリカは世界最大の石油産出国です。アメリカはその大量の石油を国内市場に注ぎ込む事ができ、それでも足りない時はサウジアラビアに増産を強いて補えばいい。
109. それも国際相場よりもはるかに安い価格なので、サウジアラビアの利益にはなりません。今までアメリカはその無理を軍事力や国際準備通貨USドルの力で無理強いしてきたのですが、それがもうできないことが明らかになりました。アメリカも国際相場に合わせなくてはいけなくなったのです。
110. それはアメリカを動かしてきたすべてのものが値上がりすることを意味しています。帝国主義のツケは途方もなく高いものになりそうですね。(これは日本も同じです)
111. 一回で説明できるにはもう限界なので、最後にスコットの新しい本を紹介しましょう。

“Disarmament in the Time of Perestroika: Arms Control and the End of the Soviet Union”

です。 Image
112. かつて米ソ間で現実に締結された軍備管理の成功の過程について書かれたものです。絶対不可能であると思われていたことが実際に可能になった歴史的事実。それは絶望の現代に多くの肯定的示唆を与えるものです。歴史は多くの失敗と成功によって構成されています。
113. それを学ぶことで私たちは現在と未来を変えることができる。これはスコット自身の体験をもとに書かれた本で、決して語られることのなかった貴重な歴史的事実満載!ちなみに私は9月18日にAmazonで注文したけれど、まだ発送されていない言うことです。🥲

(了)

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Oct 14
ウクライナ最新情報/スコット・リッター

”For they have sown the wind, and they shall reap the whirlwind. ” Hosea 8-7
「自ら災いの種を撒き、最悪の結果を刈り取る。」ホセア書8章7節

「あるいは、世界が一変した9月」
9月初めのウクライナ軍によるカウンター・アタック、ルガンスク・ドニエツク・ザポリチア・ケルソン四州で実施されたレフレンダム、マザー・ロシア再編入とマザー・ロシア防衛宣言までをスコット・リッターがまとめて解説します。
スコットは、Scott Ritter News、The Grayzone、Richard Medhurst、Redacted、U.S. Tour of Duty、The Dive、The Left Lense、Judge Napolitano、Issues that matter、Garland Nixon、Diane Sareその他で精力的に情報を発信し続けていますが、その動画のほとんどが2時間超の長さです。
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Aug 11
前USA海兵隊情報将校・国連兵器査察官スコット・リッターのアップデート/台湾戦争勃発の瞬間が近づいている〜アル・ザワヒリ暗殺のタイミング〜ゼレンスキーは自国民によって処刑される

Scott Ritter - Biden, terrorism & foreign policy/Judge Napolitano - Judging Freedomから全訳 ImageImage
①ジャッジ:2022年8月2日火曜、東海岸時午後8時5分です。
今日はたくさん話すことがあります。まずナンシー・ペロシの訪台、それからカブールでのアル・ザワヒリ暗殺、そしてウクライナの最新情報などです。まず、ミセス・ペロシから始めましょうか。訪台で彼女が得るものは何なのでしょうか?
②ジャッジ:習近平主席と中国指導部にとってどういう意味があるのでしょうか?

スコット:まず、最初にはっきりさせておかなければならないことがあります。それは、ナンシー・ペロシの訪台を支持しているのはナンシー・ペロシ本人だけだということです。国務省は支持していません。 Image
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Aug 4
ダグラス・マクグレゴー大佐アップデート/ウクライナ、中国、台湾、日本、北朝鮮

Col Doug Macgregor - Ukraine Russia latest (全訳)
①ジャッジ:先日、TNYTのフロントページに「キエフに夜の賑わいが戻ってきた。2月以来初めてのことだ。レストランも開いて、人々は不安なく生活しているように見える」という記事を見ました。大佐、ウクライナの最新の状況について話してください。ロシアはキエフを占領するつもりでしょうか?
②ダグラス:ロシア軍は任務を完了しつつあります。ウクライナ南部、ドンバスは完全にロシア軍が掌握しています。キエフにとって今が戦闘を終わらせる最後の機会になると思いますが、モスクワがいまさらそれを受け入れるとも思えません。
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Jul 31
スコット・リッター「敵と友だちになること」
2022年7月22日、ニューヨーク、キングストン

Scott Ritter in Kingston, NY: Making friends with an enemy Image
①スコット:私が軍隊に入って最初に訓練されたことは、ロシア人を憎むことでした。それは重要な仕事の一部でした。なぜなら、戦争に行って敵を殺すにはその敵を憎んでいる必要があります。大好きな人を殺すことはできませんからね。殺すことができるのは心の底から憎んでいる敵だけです。 Image
②スコット:私は軍隊に入ってロシア人の憎み方を学びました。ところがひょんなことから任務の関係で、私が心の底から憎んでいるそのロシア人と一緒に仕事をするハメになったのです。1988年から1989年にかけて丸々二年でした。
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Jul 27
ダグラス・マクグレゴー大佐のウクライナ・アップデート 

アメリカ(NATO)が戦争して、勝てる見込みは百万分の1もない

Col. Douglas Macgregor - Russia Ukraine latest/ Judge Napolitano - Judging Freedom (全訳)
①ジャッジ:みなさん、今日は。ジャッジンング・フリーダムのジャッジ・ナポリターノです。2022年7月19日火曜日、アメリカ合衆国東海岸時間午後2時です。今日も最高の軍事専門家をお招きしました。ダグラス・マクグレゴー大佐です。軍事・情報・歴史における彼の一生の技能・知識の蓄積があります。
②最近、視聴者の皆さんは大佐を戦争の戦士ではなく、平和の戦士として見ているようですね。大佐、再び、ジャッジング・フリーダムにようこそいらっしゃいました。

ダグラス:また呼んでくれてどうもありがとうございます。
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Jul 17
ロシア介入4ヶ月後のウクライナ再評価/スコット・リッター

シリーズ⑹習近平も決してホラを吹かない。

今年2022年2月24日、ロシアは
❶ウクライナの非ナチス化
❷ウクライナの非NATO化
という二つの明確な目的を挙げてウクライナに軍事介入しました。
あれから4ヶ月、今、ウクライナはどうなっているのでしょうか?
スコット・リッターが下した最新の「ロシア特別軍事作戦ウクライナ4ヶ月評価」をダニー・ハイフォン(The Left Lens)インタビューから6回シリーズ。衝撃の最終回です。🤯
Ukraine War Update and Analysis w/Scott Ritterから (長大なのでスコットの解答部分のみ全訳)
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