Thread by @MCgunngu

ぼくとカラカルが見つけたその廃墟は体育館くらい広くて、誰かにじっと見られているような感じがしたんだ。「ラッキーさん、ここって…」「ココハ"モーションキャプチャースタジオ"ダヨ」
「モーションキャプチャー…？」
「ねぇ、キュルル」
カラカルが不意にぼくを呼ぶ
「なんか変な臭いしない…？」

言われてみると、ツンと鼻につく臭いがした。
「これじゃないかしら」
カラカルが指差したそれは、埃被った長机の上に乗った紙コップだった。中にはくしゃくしゃに丸まった怪しい色のティッシュが入っている。
「これ？」
ぼくは恐る恐るその紙コップに鼻を近付けてみる。「クサッ！！！！」

その鼻を通り抜けて首筋から飛び出すような強い臭いに、一瞬気絶しそうになった。
「臭い……」
「そんなに臭いの？」
カラカルがぼくの後を追う
「！！」「何よ～！めちゃくちゃ臭いじゃな～い！！」
臭いの正体はこの紙コップに間違いなさそうだ。
「めちゃくちゃ臭いじゃない！」
そうだね…

「臭すぎるじゃない！」
うん、そうだね…
「うぇっ…！くっさ……！」
？
「くさいくさいくさーい！」
カラカル…？
「くさいくさーい！！」
どうして嗅ぐのをやめないの…？
「カラカル臭いのだいすき～♪」
「カラカル！？」

それが、ぼくがもう一人のカラカルにはじめて出会った日だったんだ。