全面核戦争へ秒読み開始 2/2

「私は、西側政府だけでなく、西側の人々一般に希望を失いました」 スコット・リッター

Scott Ritter - The situation will be resolved in the battlefield (全訳)
①スコット・リッター:私たちが生きている世界が理想的な世界、完全な世界だったらヘルガが追求している、その絵に描いたような理想的結果も可能でしょうし、実際にそうなるでしょうし、もちろん、そうなる事が望ましいのです。
②スコット:しかし、私たちの住んでいる世界は理想の世界とはほど遠い、不完全な世界です。今の私の正直な気持ちを言うと、私は「世界平和を実現するパートナー」としての西側に対し、自分が今まで抱いていた信頼を喪失しました。私は単に西側の政府だけについて言っているのではありません。
③スコット:率直に言って、私は西側の人々一般に希望を失いました。消費駆動型社会の虜となり、たとえ政府がどのような恐ろしい罪を犯したとしても、私たちはそれを黙認するようになってしまいました。嘘をつく事の罪。騙す事の罪。
④スコット:他の国に対して嘘をつくだけでなく、自国民を騙す事についても、それと知りながら当然と見做すようになりました。私たちに供給されるエネルギーが低価格である限り、十分な食料がある限り、わずかばかりの快適さが保証される限り、政府の犯すおぞましい犯罪を全て許してしまう。
⑤スコット:それはロシアへの西側のアプローチの中にもありありと見ることができます。どのような嘘であっても、どのように真実を歪めようとも、全て額面通りに正常なビジネス慣行、賢いテクニックの一つとして許容してしまう。
⑥スコット:そのようにしてロシアは私たちの中で「悪魔化」され、私たちはその嘘を当然のように受け入れてきました。それは、1億5,800万もの人口と長い複雑な歴史・文化を持つ一つの大国をたった一人の戯画化したウラディミール・プーチンに象徴して捉える幼稚極まりないものでした。
⑦スコット:そしてそのウラディミール・プーチンその人についても、西側は何一つとして本当の事を知らないのです。未だに西側はウラディミール・プーチンを歴史的分脈の中で適切に評価することができていません。
⑧スコット:プーチンが現代ロシアの中でどのような位置にあり、何を達成したか、そしてそれが今日、私たちが直面している地球的問題の解決にとってどういう価値を持つのか評価することができません。西側のロシアとプーチンの理解は、歴史も文脈も厚みもない、この薄っぺらな漫画のイメージだけです。
⑨スコット:アンゲラ・メルケルは今日、嘘つきになったのでしょうか?それともずっと嘘つきだったのでしょうか?その問いに答えることにできるジンブチはアンゲラ・メルケルだけですが、しかし、一つはっきり言える事は、彼女は嘘つきだと言うことです。
⑩スコット:アメリカの法律の原則に「一つの嘘をつく者は、いつも嘘をついている」というのがあります。一度、彼女が嘘をついた時、もう二度と彼女は信用に値しないという意味です。同じことがフランスについても言えます。アメリカ合衆国についても言えます。西側世界一般についても言えます。
⑪スコット:私たちはロシアに嘘つきと取引しろと要求しているのです。ずっと嘘をつき続けてきた者が明日からはもう嘘をつかないと信頼して、その生存を担保にして、ロシアに取引しろと迫っているのです。ロシアから見たら、なんと身勝手で非現実的で受け入れ不可能な要求になるのではありませんか。
⑫スコット:ところが、その身勝手で非現実的で受け入れ不可能な要求がまかり通るものと私たち西側の人間は期待しているのです。
⑬スコット:西側は失敗した、それゆえ、ロシアは西側を交渉の席に招き、西側の失敗を全て許し、西側が完全にロシアの善意、ロシアの良識に依存できる状況を整えてくれるだろうと期待しているのです。しかし、私には、それがロシアにできるとは思えないのです。
⑭スコット:私は、ロシアがそれをやりたいのは山々であることを信じます。実際、ロシアが今までやってきた事は西側が今までやってきた事と180度反対だったからです。
⑮スコット:今に至っても、NATO理事長ヤン・ストールンバーグを始め、西側のエリートたちは皆、「ウクライナの決着はウクライナの戦場でつける!」と息巻いています。つまるところ、ロシアはそれに100%賛成する事になりました。ウクライナの決着はウクライナの戦場でつけられることになるでしょう。
⑯スコット:西側に与えられた最善の道は何でしょうか?それは、ロシアが(決定的破壊の前に)あの1945年9月の東京湾ミズーリ号艦上で交わされた調印式と同じものをここで再現してくれるように願うことです。
⑰スコット:敗北した敵・日本に対し、無条件降伏文書に調印するか、さもなくば「死」かの選択を迫った調印式です。そこで、ロシアはウクライナに無条件降伏か、さもなくば「死」かを選択させることができるのです。その調印式の日程は早ければ早いほど良いのです。
⑱スコット:しかし、その日程を決定するのはあくまでもロシアです。唯一、ロシアがその軍事的勝利を決定的なものにし、無条件降伏を迫る調印式の時が来たとロシアが西側に通告する時です。西側にはただ一つの決定権もありません。西側には投票権を要求する資格すらありません。
⑲スコット:元々、西側が投票権を持つべきではなかったのです。西側は勘定のうちにも入りません。ウクライナ紛争の解決に投票権を持つ唯一のパーティはロシアです。ですから、私たちにできる次善の策は、
⑳スコット:
❶私たちはロシアの人道主義を信じます。
❷成熟したロシア国民の善意と成熟したリーダーシップを信じます。
❸ロシアがその勝利を悪用しないと信じます。
❹ロシアが構築する新しいヨーロッパの「平和と安全保障」システムを信じます。

というメッセージを送る事です。
㉑スコット:覚えていますか?ロシアが提唱した新しいヨーロッパの「平和と安全保障」の枠組みを覚えていますか?ロシアはそれを2021年12月17日、二通の条約原稿で詳細に渡り、明確に示しました。そしてその内の一通はNATOに、もう一通はアメリカ合衆国に送られました。
㉒スコット:その原稿の中で、ロシアはNATOの解体を要求したりしませんでした。ロシアは西側の降伏を要求したりしませんでした。ロシアはただ西側に、ロシアが西側の安全保障を尊重すると同じように、ロシアの安全保障も尊重してくださいと要求しただけです。そして、完全に無視されました。
㉓スコット:それでもなお、もし、西側が本当に心の底から誠実にメッセージを送ったなら、ロシアはきっとそれを受け入れてくれるだろうと私は信じます。ウクライナ紛争が終わった時の環境の中で、それこそが未来の交渉の基礎になると思います。
㉔スコット:私は、バチカンの仲裁は信頼できないとは言いませんが、ただ今はまだそのタイミングではないと思っています。私はいつかその時がきたら、バチカンが勝利したロシアと敗北した西側の間に立って、中立の立場で仲裁役となる可能性を信じます。ただ、まだその時は来ていません。
㉕スコット:ウクライナにネオナチという癌が今でも存在している限り、それは不可能です。その癌は西側が発生させ、西側が武器を与え、西側が動機付けした癌です。この癌がウクライナ社会から永久に根絶される日が来るまで、中立な交渉の場はあり得ません。
㉖スコット:そして私は、これこそが唯一の現実的な状況分析だと思います。そして、それを無視したならば、ロシアを交渉の席に着かせようとするいかなる努力も全て逆効果になると思います。いわんや、もしロシアを武力で強制しようとしたなら、その結果は世界全面核戦争と人類の終わりとなるでしょう。
㉗スコット:西側が今でも「ロシアとは如何なる交渉もしない」と主張しているこの時点で、西側が今でもウクライナに武器を供給してこの時点で、西側が今でもウクライナの勝利を謳い挙げているこの時点で、
㉘スコット:単にロシアに交渉を強制するいかなる努力もけっきょく最悪の結果になるだけだと私は心配しているのです。西側がウクライナに対して今まで行ってきた大虐殺が完成する前に、西側に気づいてほしいと思います。

(了)

オリジナル動画:
㉙解説:この動画のオリジナル出典は不明です。ただ、内容から前半のダイアン・セラとヘルガ・ゼップ=ラルーシュとの会話の続きと思われます。
㉚台湾をめぐる有事から核戦争に至る可能性はあっても、ウクライナから核戦争に至る可能性はほとんどないとずっと言い続けてきたスコットですが、ここへきてそれを心配し始めた理由は、一つは事態がスコットの提案した問題解決の「唯一の可能性」からますます遠ざかっている現実にあるのです。
㉛先月、スイスのダボスで開催された世界経済フォーラムは、NATOによる全面参戦の提唱に始まり全面参戦の提唱に終わりました。まず会の冒頭のビデオ参加で99歳のヘンリー・キッシンジャーが「ウクライナのNATO加盟」を訴えたところから始まりました。
㉜昨年5月、「問題解決はウクライナがロシアに領土の一部を譲渡するしかない」と言っていたヘンリー・キッシンジャーが180°宗旨替えをしことになります。
㉝これを受けてNATO理事長のヤン・ストルテンバーグは

「プーチン大統領がこの戦争に勝利しないことは極めて重要です。それがウクライナにとっての悲劇というにとどまらず、私たち全員にとっても大変危険であるからです。」
㉞「なぜなら、国際法を破り、武力を用いてその野望を達成することが許されるというメッセージを世界中のプーチンのような独裁者たちに送ることになるからです」と述べ、「武器を送ることが平和への道である “Weapons are the way to peace.” )」
と訴えました。
㉟また、フィンランド首相サンナ・マリン(フィンランド社会民主党党首)は

「いつ戦争が終わるのか、私たちにはわかりません。ただ一つ、ここで確認しなければならない事は、戦争が終わる時、それは必ずウクライナの勝利で終わらなければならないと言うことです。他の選択肢はありません。」
㊱「もし、ロシアがこの戦争に勝利すれば、それは今後10年間、今ウクライナで起きている事が私たちの国でも起こるのを私たちは見ることになるからです。」
㊲「もし、ロシアがこの戦争に勝利したなら、それはロシアはまた他の国を侵略し、攻撃し、その領土を奪うことができるというメッセージを世界中に送ることになるからです」

と訴えました。
㊳またドイツが戦車を送ることについて、ドイツ外相アンナレーナ・ベアボック(同盟90/緑の党)は

「それゆえ、私がここ数日間言い続けているように、私はウクライナを防衛しなければならないということです。戦車についても、私たちはもっとやるべき事をやらなければならないということです。」
㊴「しかし、それ以上に重要なことは、私たちの敵はロシアであって、私たちが戦争している相手はロシアである言うことをはっきりさせなければならないと言うことです。それについてヨーロッパの中で私たちが互いに批判したり、仲違いしてはならないということです」
㊵と、この論調に同調しない者は誰でも敵であるかのように釘を刺しました。
㊶また1月19日、バイデン政権は更なる武器支援を発表しました。
㊷そして、1月29日(4日前)、ついにNATO軍事委員会委員長ロブ・バウアー提督は「NATOはロシアとの直接対決の準備がある」と述べました。すでにこの戦争がウクライナを駒にした代理戦争からNATOとロシアの直接戦争に移行しようとしていることを暗示しているのです。
㊸ところが問題は、これらの責任ある人々の発言がどれも現実と完全にかけ離れているということなのです。NATOに軍事的にロシアに対抗できる力はないし、「 NATOはこれまでになく、団結している」という言葉と反対に実際のNATOは完全に分裂しています。
㊹ポーランドを除いて、ヨーロッパの国々でロシアと戦争したいと思っている国は一つもありません。それはロシアがNATOと戦争したくないと思っているのと同じです。つまり、彼らの言っていることは全て嘘です。では、なぜ、このような不条理が進行しているのでしょうか?
㊺それは誰もがワシントンの起源を損ねたくないと思っているからです。そして、そのワシントンの主人たちは、戦争の現実を全く知らないイデオロギーに凝り固まった人々であると言うことが、今、世界を大変危険な状況に置いているといえるでしょう。
㊻それを強行して、NATOと駐留するアメリカ軍が敗れた時、「どうしても現実を認めたくない」その主人たちが次に向かうところは全面核戦争しかないからです。
計画が破局に向かうことはすでに何十年も前から警告されていました。それを無視して進み続けてきた結果、状況はますます悪くなっています。
㊼間違いを認める時期が遅くなればなるほど、状況は悪くなり、ますます認めにくくなっていきます。
㊽半藤一利による日本のノンフィクション小説に『日本のいちばん長い日』というものがあります。昭和天皇や鈴木貫太郎内閣の閣僚たちが御前会議において日本の降伏を決定した1945年(昭和20年)8月14日の正午から宮城事件、
㊾そして国民に対してラジオ(日本放送協会)の玉音放送を通じてポツダム宣言受諾を知らせる8月15日正午までの24時間を描いていたものですが、国民に降伏を告げるために命懸けの攻防があったことが描かれており、実際に人が死んでいます。今、私たちの状況も命懸けのものかもしれません。

(了)

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②スコット:私は労働者階級の家に育ち、労働者階級的な音楽環境の下で育ちました。しかし、現在、私たちが直面している核戦争の危機を端的に表現していると思う音楽を私はここで紹介できます。 Johnny Cashの ”The man comes around”という曲です。実際に死の床から歌ったような凄みがあります。
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