Thread by @okadaic

私は『エリザベート』の、「僕はママの鏡だからママは僕の思いすべてわかるはず」「わからないわ（なんぼ血縁いうても会うの自体）久しぶりなのよ」と、百年前の王侯貴族の育児スタイル使って現代の観客に「ここ最近ポッと出の伝統的家族観とかいうのマジ愚かですよね」とやる歌詞が大好きなんですが、

続）これを読んでふとそのことを思い出していた。

https://twitter.com/kurihashi/status/1626783774477520897

続）育児はアウトソーシングするもの、当然みんながみんなそうできる時代や階層にあったわけではないが、つきっきりで子供の面倒を看ることこそが多数派で正しい親の姿だとは到底言えない。高度経済成長期以降の中流家庭しか知らんで「人類はギャートルズの時代からそうしてきた」とか言わんことよな。

続）年数回会うだけのママを恋い慕いながら密室で折檻されて育つ孤独なちびルドの心情は痛いほどわかるが、年数回会うだけの息子（成人済既婚）に過剰な期待寄せられたら母親側だって「そういう一方的な聖母像の押しつけウザいんだわ」と拒んでいいと私も思う。「不幸」「破滅」を見物する芝居だしな。

続）あとフランツは良き皇帝や良き夫を目指す努力は重ねた驚異のメンタルタフネスの持ち主だが、自分と同じ狂った環境に生まれ、似たマザコンを発動した、自分よりひ弱な息子を、自分と同程度には機能する後継者に育てることができなかったの、男親としてダメだなと思う。（※史実でなく劇中描写の話）

続）自分が女親に「強く厳しく冷静に冷酷に」育てられたから、自分もまた息子に同じことしたのだろうが、おまえの選んだ嫁あんなに強く厳しく冷静で冷酷（ある意味で姑ソックリ）なんだから、息子に「二人寄り添えれば全てに堪えることができる」と愛を注いで理想や天命を説くべきは父だったろう、と。

続）マックスが大好きだけど本人はゾフィーとのほうが共通点多くてフランツがパパみたいでないことにガッカリしたシシィと、シシィみたいな女が大好きなマザコンという共通点のある似た者父子で、どこまでも追いかけていって死神以外の大半には勝ててるフランツと、マリーと心中してしまうルドルフと。

続）……あくまで私が解釈した『エリザベート』ですがね。「あんな環境で育ったのにあんな環境で育ったからこそ驚異的なメンタルタフネス（≒鈍感力）を発揮して人間界一厄介な女を黄泉の帝王と奪い合う」フランツ、石川禅→佐藤隆紀のラインが好きなんですよ。あのシシィ死んだ後も長生きする感が。笑

続）シシィは父マックスみたいな気質だった、あの時代に女に生まれてしまったからパパのようになれなかったのだ、という解釈もあるし多分主流かなと思うのだが、私はむしろ「婚家がうまいことシシィの覚醒スイッチを押してやったらゾフィー以上の『名君』になったろうに」と思って観てしまうんだよな。

続）黄泉の世界がどんなんか知らんけど、人間なのに人間だからこそトート閣下の寵愛を受けたシシィが死後どうなるかって、残りの人類が肩にトロロ昆布のっけて呻いてる間も一人だけ天頂でピカピカ輝いてトートダンサーから「黄泉でただ一人のオトコ」とか呼ばれて恐れられる実効支配者になるんじゃろ？

続）育児アウトソーシングの話から飛躍しましたが『エリザベート』の配信二つとも堪能しました。後半ガクッと老けてみせるちゃぴシシィに若き日の花シシィを重ねつつ、登場の瞬間からラストシーンが視えるお花様も泣けたし、王侯貴族の狂気が描けるまりンツも俺の嫁にしたくなるしゅがンツも好きです。

続）百年前や百数十年前のいろんな家族を覗き見しつつ、観劇感想スレッドのようでいて、もしかしたらこれもまた #我はおばさん 話なのかもね。老嬢ばんざい。あと私はギャートルズは原始時代ではなく60〜70年代を描いた漫画だと思っているが、そのあたりを読解できない大人が多くて本当に驚くよね。

https://twitter.com/kurihashi/status/1626788042144100352

続）「シシィに一目惚れしたフランツが強引に結婚相手を決めた」解釈が世の主流だろうけど、私のフランツ像は禅フランツが軸になってるので、「生まれる環境さえ違えばマックス（や鍛冶屋）みたいな男になったかもしれない」皇帝陛下の、その気質にシシィも瞬時に気づいて惹かれたんだと解釈している。

続）「狂った血脈に生まれた私が彼女を見初めてしまったがゆえに不幸に巻き込んでいる……」と苦悩する姿はまりンツが上手いと思うが、私は「僕一人では無理でも彼女と二人なら幸せになれると思ったのにィ〜！」と最後まで信じ続けてるメンタル強すぎ皇帝（むしろシシィが先に心折れて死ぬ形）も好き。