Thread by @freeushiku

①もう昨日になりましたが神奈川近代文学館で開かれた明治学院大学教授で元難民審査参与員の阿部浩己さんとミョーチョーチョーさんの講演会に出席しました。許可を頂いた上で講演内容をまとめます。10分遅刻したので途中からです。
#柳瀬難民審査参与員の証人喚問を求めます
#入管法改悪反対

②1975年のマクリーン判決はどのような外国人を受け入れるかは国が決めていい、在留制度の範囲内でのみ活動できるという考え方。外国人は人間として扱われず、基本的人権は保証されていない。21世紀の世界が脱却しようとしている旧時代の国民中心主義の現れ。
courts.go.jp/app/hanrei_jp/…

③在留資格は国が自由に決めていい国境管理の方法だがその例外的存在が難民。世界では2710万人。国内避難民は5320万人。無国籍者も例外的存在で双方とも保護すべきとの考えだが後者は関心が低く日本ではほとんど関心が持たれていない。今日は難民に絞ってお話。

④保護を受けられる国から保護を受けられないのが難民。第1次世界大戦後、大量のロシア難民に欧州に逃れ国際連盟が難民高等弁務官というポストを設置したのが難民保護の始まり。現在の難民制度は第2次大戦後の1948年の世界人権宣言で「全ての者は迫害からの庇護を他国に求め、かつ享受する権利を有する

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と謳ったのが始まり。主にユダヤ人を対象にしたもので当時の状況を反映している。1951年には難民条約採択、国連難民高等弁務官事務所（UNHCR）設立。これらが3本柱。当初は3年時限設立も5年、さらに5年と延長され、21世紀になってから恒久組織に。特定の国に重い負担にならないよう国際協力。

⑥日本は在日コリアンという戦前は日本国籍を持っていた人がいるのに「単一民族国家」という幻想に基づき長年難民受け入れを拒否。排除と同化、さもなくば退去というのが日本政府の基本姿勢。遠く離れた国から来た難民に関心などなかった。1978年にようやく方針を変更。

⑦ベトナム戦争後にベトナム、カンボジア、ラオスからボートピープルがやって来た。多くが別の船に救助され最初の寄港地で降ろすのが国際的慣行だが日本は法的根拠がないと強く拒否していたが国際社会の強い抗議、米国からの圧力でいやいや、それも法律ではなく閣議了解で受け入れた。

⑧日本は難民受入を渋りに渋ったため受入に消極的、冷淡だと国際的悪評。ようやく難民条約に加入。最後の勅令と言われた出入国管理令が出入国管理法に変わり難民認定手続きが定められ最終的には1万人以上受入。2005年に瀋陽の日本領事館に駆け込んだ脱北者を追い出し国内外で批判を浴びたことで改正。

⑨それで導入されたのが難民審査参与員制度。難民審査は2段階。8つの地方入管に難民申請→難民調査官による調査、インタビュー、その結果を入管庁難民認定室で判断し法務大臣が判断。認定室での議論は全く謎。不認定になったら地方入管に不服申立（＝審査請求）。そこで難民審査参与員が登場。

⑩外部の有識者が3人1組で書類、インタビュー審査で意見を法務大臣に出す。第2次審査では審判課が書類をチェックするが全く不透明。法務大臣の認定。日本の認定数、認定率は極めて低い。シリア難民は欧米諸国ならほぼ無条件で受け入れたが日本は消極的。

11.日本は難民の定義を極めて狭く解釈。民族や宗教の違いで武装勢力に襲われる危険があれど自国政府が守ってくれず命の危険があり逃げてきた場合でも、日本はまず難民認定せず。他国なら守ろうとしても守れないなら難民認定。武装勢力に無差別攻撃→「あなた自身を狙ってるわけではない」として認めず

⑫狙われているうちの一人に過ぎないとみなす。これが他国と日本の難民認定との決定的な違い。つまり日本はできる限り難民として認定しないように制度を運営。
#柳瀬難民審査参与員の証人喚問を求めます
#入管法改悪反対

⑬難民審査時には書類になぜ保護を求めるかを記述、インタビューで質問。審査官がそれを信じるか信じないかにかかっている（供述の信ぴょう性評価）。日本は確かな証拠がなければ信じない。だがそんな証拠を持つ人はほぼおらず。それがなくとも供述がそれなりに一貫しているなら信用するのが国際標準

⑭まかり間違っても難民を迫害を受けている国に送り返してはならないから。難民だと誤って判断することがあっても受け入れるのが国際標準だが日本は逆。難民制度を利用する「偽装難民」がいるとの認識が広がっているが、これは難民審査が入管庁だけで完結することに関連。

⑮基本的に外国人は選別して好ましからざる者は入れないというのが入管の基本姿勢。国境管理的性格。難民申請者は旅券やビザを偽造せざるを得ない場合もあるが入管のメンタリティでは受け入れないことになってしまう。そういう機関が難民認定を行うのは難民保護や制度と矛盾する。
#入管法改悪反対

⑯トルコから来たクルド人は裁判で認められた1人以外難民と認めていない。ミャンマー人にも厳しい。政治的外交的関係が左右していると思われ。1980年代の入管の研修教材には「友好国からの難民申請は厳しく」と書かれていたがメディア批判で消滅。しかしその考え方残存。難民認定機関は独立させるべき

⑰独仏豪加は難民審査の2段階のうち少なくとも1段階を入管から独立させ政治的、外交的配慮、国境管理的発想の影響を受けさせない。それがなくして適正な難民審査はできず。ウクライナからの避難民2429人。一方で難民認定は30年で1117人。全国的に受け入れの機運高まる。彼らは難民条約上の難民。

⑱問題はなぜシリア難民、ロヒンギャ難民を受け入れないのか。日本政府は避難民なる用語を使いウクライナ人は特別扱いできるという印象を植え付け。難民に差別をつけてはならないという難民条約違反。外交的、地政学的に受け入れている、欧州人なら可哀想という人種主義的メンタリティが背景に。

⑲（事前質問への答え）
A1　難民条約を守る気持ちがないなら脱退したほうがいいというのは理解するが踏みとどまって世界の一員としての役割を果たそう。
#入管法改悪反対

⑳
A2　2011年に難民法を入管法から切り離して作った。10％を超えたが認定率が低下傾向で数年は1％代。2回とも法務大臣が判断。難民保護委員会は手続きが独立していないのが問題。社会と意識の閉鎖性が日韓の共通点。
#入管法改悪反対

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A3　供述の信ぴょう性評価だが、証拠がないからと不認定にしてはいけない。多少矛盾があっても大筋で一定していれば受け入れるべき。出身国情報もきちんと見るべき。敷居は低くするのが基本。間違っても追い出して危険にさらしてはいけないから。
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A4　財界も入管も高度人材は積極的に受け入れ永住権も出す。移民、難民の受け入れ方は市場の要求と国境管理のせめぎあいだが、現在の日本にその齟齬はない。
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㉓A5　難民調査官は有能な人が多く最初から排除の決意を持っている訳ではないが組織の文化に思想や行動が働いて出世するうちに染まっていく。行政に忠実な人ほど頑な。市民や政治の力が入管を変えないと。直接の対話では変わらない。

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A6　供述の信憑性評価で違いが多く出る。難民性に関わる確信的なことを言ってればいいが、些末なことで違えば疑う人もいる。ミャンマーの人が国軍から攻撃を受けても「あなた自身が攻撃されているわけではない」という驚愕する意見を出す人も。プライドの高い人達だから変えていくのは困難。

㉕A1　選考過程はわからないが日弁連やUNHCRなど推薦母体があるがどう選ばれるのがかわらない。なぜ選ばれたのか理解に苦しむ人も。自分はUNHCRと法務省で働く素晴らしい国際法学者からの推薦で。
#入管法改悪反対

㉖国民中心主義、難民の受け入れは例外というのが世界標準だったが、国際人権法が力をつけ変容しつつある。9つの主要人権条約。国民中心主義から人間中心の法体系への変容を促す。明確な理由がなければ国籍による差別は許されない。いかなる場合でも人間にふさわしい処遇を保証しなければならない。

㉗レイシャル・プロファイリングやヘイトスピーチの問題も存在。マクリーン判決は直ちに修正されるべき。インクルーシブな社会は難民保護水準の向上と連動。移民統合指数は欧米高い。アジアでは韓国が一番高く19位、日本は35位で反差別分野で極度に点数が低い。包括的差別禁止法がないから。

㉘外国人、外国ルーツの人への差別が起きて、個々で裁判で闘うが叩いても叩いても新しい差別が出現。差別禁止は誰にとっても生きやすい社会。国境における外国人の処遇とつながる。差別まみれの国は国境管理だけで人権を守っているわけがない。独立的難民審査機関と同時に包括的差別禁止法が必要。

㉙質疑応答
Q.柳瀬房子氏に難民審査の25％が割り振られた経緯？
A.班ごとに難民調査官がいて案件を割り振る。柳瀬氏は臨時班で大量の案件を処理。割り振りは審判課の担当者がやっていると思われるが詳細は不明。
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㉚
Q.25日の法務委後の記者会見で、元UNHCR職員の方が参与員に選ばれたが干されたと言っていたがどういうこと？
A.班に割り振られていない人もいる。そういう人はピンチヒッターで入ることになっているが仕事が回ってこない人もいる。その基準や入管の思惑の有無、時間が合わないだけなのかは不明。

㉛
Q.難民認定の証拠
A.日本では難民申請者に代理人（弁護士）がつかない場合が圧倒的に多く理解できないままで手続き進行。ついた場合とつかない場合で認定率が圧倒的に違う。何を提出すべきかわからない。代理人が資料を集めてインタビューのやり方を教えるという制度が最低限必要。

㉜ミョーさん：2回目の1次審査請求の参与員インタビューでは代理人が一緒に座っていたが発言は一切許されなかった。代理人が参与員の発言を阻止しようとしたが、「あなたは発言しないでください」と言われた。
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㉝Q.浅川晃広氏は出身国情報を見ずに3899件に審査したというが可能？
A.不可能なはずだが悪い意味での慣れのせいかも。似たようなケースなら慣れてくるとこういうケースならこうだと結論を先に出してしまう。経験を積めば積むほど却って審査が荒っぽくなる。だから継続的な研修とクロスチェックが必要

㉞
Q.いい加減な審査が横行している背景は？
A.偉すぎるのが問題。高検の検事長や元大使などは入管庁長官より偉いから研修を受けろとは言えない。思い込みを含めて自分達の領域で培ってきた経験でやればいいという思い込みがあるが、研修がないからダメ。偉すぎる人がやるべきではない。

㉟
Q.権威性で人命が軽んじられているが、外国人だから差別だから？
A.背景には人種主義がある。ウクライナ人とロヒンギャの受け入れが根本的に違う。
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㊱ミョーさん：仮放免では何もできず。支援者がいなければ生きていけない。仕事不可、病院行けず。仮放免者は約4000人、うち支援者いるのは100人強。あとは支援者の方から探して支援する。自分はミャンマー情勢で送還不可との理由で特定活動6ヶ月ビザ、28時間労働が認められ支援受けつつ支援する立場に

㊲
Q.「偽装難民」とは？
A.自分は難民申請した人をすべて認めたわけではない。一部メディアは不認定の人が偽装難民だと言っているが、ただ単に難民としての条件に合わなかっただけ。偽装難民呼ばわりはひどい。排除しようとする考えが背景にある。働こうとすることは尊い。

㊳
Q.柳瀬氏にとって難民参与員になるメリットは？報酬？
A.手当は何件こなしても1日22000円、前は1万9000円。彼女の言葉を信じるのなら、難民として助けるべき人をもっと助けたい、だから多く審査するのだと。
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㊴
難民を助ける会のページには自分達とは関係ないと。関心あれど知識がないと誠実に言っている。難民を助ける会はインドシナ難民から活動してきた立派な団体だが、支援と審査は別物なのに、入管がそこを利用しているのかも。
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㊵ミョーさんのお話から一部抜粋。ミャンマー国軍は135民族だけを認定しロヒンギャは入っていない。日本はミャンマー難民を認めない。しかし海外でデモ参加しただけで帰国後に殺害または拉致。日本の外務省がミャンマー大使館にリストを渡しているから。

㊶難民審査インタビューでは2点を詰められた。1つはなぜ飛行機で来れたのか。2つは証拠を出せ、逮捕礼状を提出せよと言われた。そんなものがどうやって手に入るのか。ロヒンギャが難民じゃなければ誰が難民だというのか。

㊷難民審査不認定後の2012年1月、入管職員が玄関先で待ち構え国に帰るかと言われたが帰らないと言ったら手錠をかけられ連行。その日から人生がひっくり返った。この国に助けを求めてきたのになぜ手錠をかけられなければならないのか。入管は帰れないのならどういう道があるのか一切何も教えてくれない

㊸ただ「国に帰れ」というばかり。収容所の中でミャンマー人に声をかけられてもう一度難民申請を出そうとしたが入管職員は出してくれようとせず、翌日に牛久に移動させられた。

㊹難民を保護する、条約に入っていると口だけで言うのではなく、実行せよ。参与員はしっかりすべき。なぜ人を死なせるのか。ウィシュマさんの氏は誰のせいか。送還して向こうで殺されたら入管のせい。(以上）
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㊺【お断り】ミョーさんからはもっと様々なお話をうかがったのですが当事者のプライバシーは必要以上に出さないというFREEUSHIKUのガイドラインに従って一部だけ抜粋しました。ご了承ください。