Thread by @de90899284

「人がレイプやＤＶ(デートＤＶ)被害にあったとき、なぜ、抵抗できなくなるのか？」について、「フリーズ(凍りつき/身が竦む)」、「擬死反応/強直性不動状態(Tonic immobility)」という現象を説明するにあたり、防衛反応として「扁桃体」が関与しているとするこのＢＢＣの動画はよくできています。

https://twitter.com/tkatsumi06j/status/1817234220710056202

インパクトのある映像であることもあり、多くの人がＲＴとしています。
その中には、医師や医療関係の記者も含まれています。
しかし、この映像は、「フリーズ(凍りつき/身が竦む)」、「擬死反応/強直性不動状態(Tonic immobility)」という現象の一部を説明しているに過ぎません。
なぜなら、

「扁桃体」の働きが、直接「フリーズ(凍りつき/身が竦む)」、「擬死反応/強直性不動状態(Tonic immobility)」をもたらすわけではないからです。
人が危機に遭遇すると、ⅰ)脳の「視床」が危険の情報をキャッチし、ⅱ)防衛反応として、「扁桃体」が危険信号をだし、ⅲ)その危険信号にもとづき、

「視床下部」で分泌される「ＣＲＦホルモン」が「脳下垂体」を刺激、ⅳ)その「脳下垂体」は、「副腎」を刺激し、緊張(ストレス)ホルモン「コルチゾール」「アドレナリン」を分泌させる、つまり、「ＨＰＡ(視床下部-脳下垂体-副腎皮質)機能」が、闘争、逃走、気絶という反応をもたらし、その結果、

一方で、ⅴ)「脳幹」が血圧を上げ、心拍を早くし、血糖値を上げる、もう一方で、ⅵ)この「ＨＰＡ機能」が、言語を司る「ブローカー野」を停止させ、声をだせなくなる』というメカニズムが、フリーズ(凍りつき/身が竦む)、あるいは、擬死反応/強直性不動状態をもたらします。
つまり、

このインパクトのあるＢＢＣの動画では、ⅱ)だけの説明になっていて、しかも、ⅲ)ⅳ)の過程では、「ＨＰＡ機能」としての”闘争””逃走”は、逆に、「抵抗できる」ことの根拠となり得ることになり、「なぜ、抵抗できなくなるのか？」の根拠として、フリーズ(凍りつき/身が竦む)、あるいは、

擬死反応/強直性不動状態を説明するものではありません。
したがって、レイプやＤＶ(デートＤＶ)事件の刑事・民事裁判(警察での被害の訴えを含む)などでは、このインパクトのあるＢＢＣの動画の内容では、「なぜ、抵抗できなかったのか？！」の根拠を示すことはできないだけではなく、上記のように、

「抵抗できる」ことの根拠となり得ることになります。
つまり、上記ⅳ)の「ＨＰＡ機能」としての”気絶”に加え、ⅵ)の「「ブローカー野」が停止し、声をだせなくなる」の説明があってはじめて、「なぜ、抵抗できなくなるのか？」に対する根拠を示すことができます。
このインパクトのあるＢＢＣの動画を

補足するのが、ツリーにあるジェームス・Ｗ・ホッパー博士の説明をまとめられた「note記事()」です。
この「note記事」の記述には、ＣＲＦホルモン、コルチゾール、アドレナリン、ＨＰＡ(視床下部-脳下垂体-副腎皮質)機能などのキーワードは使われていませんが、note.com/tkatsumi06j/n/…

解離の説明を踏まえて、上記ⅳ)までの重要な説明がていねいにまとめられています。
しかし、ⅵ)の「ブローカー野が停止する」との記述がなく、「なぜ、抵抗できなくなるのか？」の根拠となり得る「フリーズ(凍りつき/身が竦む)」、あるいは、「擬死反応/強直性不動状態」の説明としては不十分です。

したがって、レイプやＤＶ(デートＤＶ)事件の刑事・民事裁判などでは、この「ｎｏｔｅ記事」の内容の説明では、やはり、「抵抗できる」ことの根拠となり得ることになります。
加えて、レイプやＤＶ(デートＤＶ)事件の刑事・民事裁判などでは、上記ⅰ)-ⅴ)のメカニズムとＡＳＤ/ＰＴＳＤの発症、

ＰＴＳＤが重症化し、併発症としてのうつ病の発症との関連性を示すことが重要となります。
なぜなら、ＡＳＤ/ＰＴＳＤを発症したあとに危機に合うたびに、ⅰ)-ⅵ)が繰り返されることが、つまり、トラウマの追体験が繰り返されることが、ＡＳＤが継続され、ＰＴＳＤとなり、さらに、

ＰＴＳＤの重篤化させ、そのＰＴＳＤの重篤化が、うつ病、パニック障害、解離性障害、身体表現性障害などの併発症をもたらす原因となっているからです。
ⅴ)は発汗、動悸、ふるえ、過呼吸などのパニックアタックにつながります。
また、ⅰ)-ⅵ)の反応と関係ある部位の働きは、人の「記憶」と深く関係し

この理解なく、ＰＴＳＤの症状としての「侵入」としてのフラッシュバック・悪夢と示される鮮明な記憶を説明することはできません。
そこで、ＤＶ被害支援室poco a pocoが、被害者のアドボケーターとしてまとめ、裁判所などに提出してきたレポート『被害の事実と後遺症、その経過』に添付してきた

解説書の『別紙２ｂ(Ａ４版３０５頁)』の該当部分のＰＤＦを添付します。
インパクトのあるＢＢＣの動画、ジェームス・Ｗ・ホッパー博士の説明をまとめられた「note記事」に加え、参考にしていただければと思います。

(お願い)
このインパクトのあるＢＢＣの動画をＲＴされている医師、記者の方たちは、ア)動画で説明している「扁桃体」の働きと「凍りつく/身が竦む」状態は「＝」ではないこと、そして、イ)動画は一部の切りとりであることを踏まえ、そのあとのツリーの「note記事」を読むこと、併せて、

ウ)レイプやＤＶ(デートＤＶ)事件の刑事・民事裁判などでは、上記ⅵ)の「ブローカー野の停止」の説明が必要不可欠である(この説明がないと、闘争、逃走反応として、「抵抗できる」ことの根拠となり得る)ことも補足説明し、ＲＴしていただきたいと思います。

ＤＶ被害支援室poco a poco 庄司薫