珠工房🎲 Profile picture
Jan 16 17 tweets 1 min read Read on X
30年前の今日、セッション疲れもあって、熟睡していた私は、ふと寒気をおぼえて、布団の中で目を覚ましました
寝たまま時計を見ると5時40分
この日は高校の早朝清掃当番だったので時間が気になっていたので、まだ余裕があることにほっとして、もう一度布団を首元まであげました

1月ですから、5:30は真っ暗で、壁時計が読めるはずないのです
でも、その時ははっきりと時刻が読めました
だから、その時間、外は何かの理由で薄明るかったんです
なんでかは、わかりませんが、同じ事を言っている人が後でいっぱいいました
→その時、地面がゆさゆさっと揺れました。「地震だ!」と思ったのですが、この日はとても寒くて布団から出たくなかった私は、そのまま布団の中に潜り込みうつ伏せ、布団をかぶり、後頭部に手を重ねました
たぶん数秒もなかったはずです
「これでだいじょう…」
と、心の中で言い切る前に体が宙に浮きました

ぽぉんと
布団ごと部屋ごと家ごと、そして地面ごと
トランポリンで跳んだみたいに縦に跳び上がりました
強く2回、跳んだ後、今度は揺さぶられるように左右にがぐがくと揺られました

枕があった場所にタンスがドンと倒れました
そして布団の上には、当時すでに立派なオタクだった私の、みっちりと愛蔵書が詰まった本棚が2つ、倒れてきました


人生最大の衝撃でしたし、恐怖でしたが、死ぬかもとは思いませんでした
最初の揺れが短かったので、震源は近いということを揺られながら考えていました
なすすべもなく、揺れが収まるのを待っていました


私が「死ぬかも!」と思わなかったように、その瞬間、死を覚悟していた人なんていなかったかと思います
そんなふうに、昨日と同じように続くと思っていた、当たり前の今日が、突然変わってしまった瞬間でした

(ダブルクロスみたいだ…)

揺れが収まり、父と母が私達兄弟を呼ぶ声がしました
弟の声が聞こえ、父が私の名前を悲痛な声で呼びながらダンスを持ち上げる気配がしました
私は羽毛布団と毛布に守られて、(本棚2つの下敷きになった割には)比較的平然と隙間をもぞもぞと這い出ました
最後に妹の部屋で本の山に埋まっていた妹を掘り出して、家族全員の無事を確認できました

先程、時間確認できるくらいには薄明るかったのに、布団から這い出ると真っ暗でした
何も見えない中、倒れた家具や物が障害物となって廊下も階段もまるで進めません
三階の寝室から、悪戦苦闘して一階に家族全員避難しました

途中、非常用に決まった位置に置いてあった懐中電灯を探しましたが、激震で何処かに飛んでいってしまっていました
なんとかラジオは探し出しましたが、テープとラジオの切り替えツマミが折れていて、ラジオになりません
見つけた鉛筆を突っ込んで、無理やりラジオに切り替えました

聞こえてきたラジオは、まだ通常番組でした
少しして「地震がありました。奈良県では震度4を記録し一部でブロック塀が倒れたところが…」と聞こえてきました
大きな地震の経験は初めてでしたし、真っ暗で何もまだ見えていませんが、そんな生半可な状況ではないと、思いました
急に怖くなったことを覚えています

ラジオを聴き続けましたが、情報は大して増えませんでした
情報が入ってこないくらい、大変な状況になっている
なにか、これまで信じていたものが足元から崩れるような孤独感を感じました
私達家族は小さく輪になって、一つの毛布に足をつっこんで暖を取りなから、明るくなるのを待ちました

外が薄明るくなったので、私は外に出ました
玄関前の床が真っ二つに割れて段差ができていました
門を出ると、道路が割れて地面から水が噴き出していました
少し離れたところで、電線がヘビのように垂れ下がっていました
そして、その向こうで
阪神高速が下の43号線に落ちていました

CoCで、神話的真実を理解したとき、これまで常識だと思ってたことが、足元から崩れて恐怖判定を要求される時、みたいな感じでした
私たちの日常が、あんな一分にも満たない時間で崩れるなんて
落ちた阪神高速を見て、私は自分の安心安全な日常は薄氷の上にあるんだと思いました

幸い私達は在宅避難で済みました
余震におびえながら、家の一階で過ごしました
それから3日は、とにかく必死
あんまり思い出せないくらい必死でした
17日の夕方、夕焼けより赤く燃えている西の空をみて震えたり
電気はきたけど、ガスも水も使えなくて、トイレは玄関前で吹き出してる水を汲んできて使ったり
それでも、家で過ごせる分、生きてる分、家族が欠けることなくいる分、そして食べられてる分、私はラッキーだなって思ってました

5日たったとき
学校や近所の友達の安否は確認てきていて、ホッとした反面、気になっていたことが
16日、一緒にセッションをしたメンバーは、西宮の古い酒蔵が並ぶ地域
友達の家も、古い2階建ての瓦屋根のお家
あの家は、友達は無事だろうか?
電話をしてもつながらず
私は、歩いて訪ねることにしました

震災前日、6人で同じ景色を見た古い木造2階建ての家は、瓦の重みで2階部分が押し潰されていました
私達がセッションをしていた部屋が、高さ30センチになっていました
周囲の家も、ほぼ崩れていて、瓦礫の街になっていました
わけがわかりませんでした


また今度、が実現しなかったのは、これが理由です

まだ高校生だった私たちには無限に時間がある気がしていましたし、また、というのは今日と地続きの近い未来でした
ても、それがなくなることがあると眼前に示されました

また、会いましょう

この、また、は奇跡のように大切なものです
だから、人との出会いや繋がりは、大切にしたいと思っています
そんな思いの根っこは、このあたりにあるのかもです

ちょっと昔語りしちゃいました
長々とごめんなさいね

• • •

Missing some Tweet in this thread? You can try to force a refresh
 

Keep Current with 珠工房🎲

珠工房🎲 Profile picture

Stay in touch and get notified when new unrolls are available from this author!

Read all threads

This Thread may be Removed Anytime!

PDF

Twitter may remove this content at anytime! Save it as PDF for later use!

Try unrolling a thread yourself!

how to unroll video
  1. Follow @ThreadReaderApp to mention us!

  2. From a Twitter thread mention us with a keyword "unroll"
@threadreaderapp unroll

Practice here first or read more on our help page!

Did Thread Reader help you today?

Support us! We are indie developers!


This site is made by just two indie developers on a laptop doing marketing, support and development! Read more about the story.

Become a Premium Member ($3/month or $30/year) and get exclusive features!

Become Premium

Don't want to be a Premium member but still want to support us?

Make a small donation by buying us coffee ($5) or help with server cost ($10)

Donate via Paypal

Or Donate anonymously using crypto!

Ethereum

0xfe58350B80634f60Fa6Dc149a72b4DFbc17D341E copy

Bitcoin

3ATGMxNzCUFzxpMCHL5sWSt4DVtS8UqXpi copy

Thank you for your support!

Follow Us!

:(