MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 Profile picture
もう70歳になってしまった。京都女子大学名誉教授。東日本大震災・原子力災害伝承館 客員研究員。元 関西外国語大学 外国語学部 教授(元 英語・デジタルコミュニケーション学科長)。「つぶやき」は一時的なものであり、その内容を保証するものではありません。RP(repost)は賛意でなくto take noteの意です。

Sep 21, 2020, 37 tweets

12)
これを見ると、今後どう推移するか、見えてくるのではないだろうか。逆に、日本は、こういう戦略をとっている、という言い方もできる。つまり今後も、こうやって「騙し騙し」時間を稼いでワクチン開発を待つ、という感じであろうか。

13)
この戦略をHammer and Dance戦略と呼ぶ。これは2020年4月上旬に、西村大臣もテレビでポロッと口に出していたので、日本政府は、こう考えていることがわかる。9月中旬には小池都知事もハンマーアンドダンスとテレビで言っていた。公知の戦略である。
medium.com/@tomaspueyo/co…

14)
The Hammer and the Danceとは
1)ハンマーとは:仮に最初期に、感染者数が増えすぎてロックダウン(または緊急事態宣言)をした場合、それをハンマーで叩いて無理やり減らすという意味を込めて、「ハンマー」と呼ぶ。

14)
2)ダンスとは:その後、人々は気を抜き、第二波が来る(かもしれない)。しかし「経験」もあるので、感染者数がそれほど増えないうちに、減らせる可能性が高い。このような、「第二波」以降の増え方+減り方を、絵として見るとダンスしているように見えるので「ハンマーとダンス」と呼ぶ。

15)
この図の中に、どの時期がThe Hammerで、どこがThe Danceか、が記入してある。横軸は時間(日数)である。ブワンブワンと増減を繰り返す様子を、「ダンス」と呼んでいる。

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次に、東洋経済のサイトで使われる「実効再生産数の近似式」(西浦博教授)の意味について。toyokeizai.net/sp/visual/tko/… 計算式は「(直近7日間の新規陽性者数/その前7日間の新規陽性者数)^(平均世代時間/報告間隔)」。平均世代時間は5日、報告間隔は7日と仮定。これはどういう意味なのか。

17)
この部分を数式で書くと。
A = (直近7日間の新規陽性者数/その前7日間の新規陽性者数)、とおき、x = (平均世代時間/報告間隔)、とおくと、元の式はAのx乗、これを、A^x と書く。ここで ^ は数字の右肩の上、つまり何乗するのか、という意味である。

18)
さてそれで、これはどういう意味なのか。まず実効再生産数とは、「一人の人が、治癒する間に、何人の人を感染させるか」という数だった。治癒する間(時間)に、というわけだ。この時間を、平均世代時間、と呼ぶ。

19)
仮に、平均世代時間=7日なら、指数の肩は 1なので、元の式は、(直近7日間の新規陽性者数/その前7日間の新規陽性者数)、つまり1週間(治癒する間)に何倍に増えているか、という数字。つまり実効再生産数そのものだ。従って大雑把には、増加の比の値であり、増加率(変化率)を意味する。

20)
実際には、平均世代時間=5日程度らしい。そんなわけで、(直近7日間の新規陽性者数/その前7日間の新規陽性者数)^(平均世代時間/報告間隔)という計算をしている。ここで、平均世代時間は5日、報告間隔は7日と仮定、している。

21)
S(非感染者数)は、どこから取ってくれば良いか。元々は人口10万人といったような集団。しかし現状では罹患率は0.1%もないので、近似的にS(非感染者数)は集団の全人口と近似できる。式の上では、Sは感染者数(+回復者数)から逆算できると思っても良い。

22)
βは、感染確率。ある確率で感染するはず。確率は一定ではない。しかし平均すれば、感染させやすい感染症と、そうでない感染症があるから、それは、感染確率が違うと考える。その確率をβをおいた。この段階では、未知のパラメータである。(この値β自体は分からないが、Sβ/γという形で扱う。)

23)
γは回復率。これは小文字のガンマ(γ)。大文字のYではない。平均して、何日で回復するか、例えば平均10日で回復するなら、1日あたりの回復率は1/10、単位は[1/日]。つまりγは、1日あたり1/10が平均で回復する。そういう数字がγである。

24)
あとは自明。一人の感染者が、歩き回って、移す人数は、
1)移す相手=非感染者Sが多いほど、多い。だからSに比例する。
2)感染確率が高いほど、多い。だからβにも比例する。
従ってSβに比例する。しかし治癒もするので、γを引き算しないといけない。最終的に移す人の増加率は、Sβ-γとなる。

25)
ここで、増加率 = Sβ-γ = γ (Sβ/γ - 1) と変形して、このSβ/γ = R と書く。これが実効再生産数Rである(Rt、あるいはReとも書かれる)。実効再生産数が1ならば、増加率ゼロ、つまり感染者数が増える端から治るので、現状維持。Rが1を超えると結果的に増加する。これが答えだった。

26)
以上をまとめる。
1)感染確率βは、何もしない限り、変わらない。つまり感染者数は指数関数的に増え続ける(初期)。
2)現代社会では途中で気付き、マスコミも騒ぎ、皆が気を付ける。
3)この結果βは減る。従って実効再生産数も減る。
4)つまり実効再生産数とは、社会意識の反映である。

27)
ここまでは、前置き。2020年7月20日頃に私は、東京都の実効再生産数が減り始めたことに気づいた。この段階ではメディアは、東京で増え始めた事実に注目した。しかし私は、実効再生産数の変化トレンドに注目していた。なぜなら、実効再生産数が減るのは、簡単ではないからだ。

28)


仮に何もしなければ、この新型コロナ感染症は、基本再生産数は2.5程度である。これは西浦教授がおっしゃっている通りだと、私も思う。逆に、この値の2.5を減らすのは、社会的な「意識」のあり方、つまり国民の行動変容によるしかない、ということが理解できる。

29)
感染者数がいつピークアウトするかは、この実効再生産数の減り方のトレンドを見れば、一目瞭然である。実効再生産数がいつ1を切るか、いつ、1以上から1以下に変化するか。傾向性を外挿すれば、予測できる。ただしある程度の中期的な継続性は、必須である。難しいのはこの見極めである。

30)
この予測方法は、実効再生産数を減らす(感染確率を減らす)には、行動変容しかない、という事実認識と同時に、マスメディアによる情報伝搬が社会的にほぼ同時にリアルタイムで起こる事実、従って実効再生産数は系統的に変化する、という仮定が、前提である。

31)
このような仮定は、社会的な要因であるから、簡単に崩れることも理解する必要がある(予想が外れることも起こる)。言うまでもない。外れる要因は、GoToキャンペーンなどで感染確率の減り方に社会的(人為的)な擾乱(撹乱)が加わった時。あるいはお盆の帰省なども同様だ。

32)
実際に東京都のデータで、この予測方法を示す。ここで7日での移動平均を取る人は多いが、これをやると、各データ点が統計的に独立ではなくなる。このため、ここでは単純に「7日ごと」で、まとめたデータを表示する。結果は次の通り。

33)
ちなみに、どの7日を取るかで、データの見え方は微妙に変わる。ここでは、月曜日の発表データは週末(日曜)の数の反映だとした。つまり1週間を週末(月曜発表)までと考え、このグラフでは、火曜日から次の月曜までを、7日として合計とした。

34)
まずは、元データをプロットしておく。これは9月7日段階の東京都ホームページでの数字である。これは見慣れた新規感染者数の日々の推移である。

35)
次の図(上)は、これを1週間で合計した数字である。図(下)には、その週の増加率を示した。ここで増加率の定義は、(ある週の合計)/(前の週の合計)ー1、である。従これに1を足して5/7乗すれば、東洋経済サイトの実効再生産数と一致する。基本的に両者は同じ傾向性を示す数字である。

36)
この図から次の事が判る。
1)感染者数の推移をよく見ると7月13〜20日頃に変曲点がある(増え方が減り始めた)。
*)変曲点とは、下に凸か上に凸かの「変わり目」の点。
2)この「増え方の減り方」を延長すると、増え方=0の点が予測できる。8月上旬となる。これがピークアウトである。

37)
それがこれ。

ここでは変曲点という言葉を使わなかった。上の図には変曲点を記入。変曲点でグラフは「下に凸」から「上に凸」に変化し、変化率が増加から減少に転ずる(増え方が鈍化=微分が増加から減少に転じる)。その時、変化の変化率(2次微分)はゼロを切る。

38)
実際に、2次の微分の値(2次差分の、元の平均値に対する割合)を縦軸、横軸を同じ日付にして、書いたのが次の図。元のグラフの変曲点は、2次の微分=ゼロの場所で起こる。なお2次の微分(導関数)は高校の数学IIIで学ぶ内容であるが、ご存知でない方にも雰囲気は理解できると思う。

39)
大阪府のピークアウト予測
この意味で、ここで説明しているのは「感染者数の変曲点と実効再生産数の系統性を使ったピークアウトの予測」とでも命名できる。
この方法を、大阪府の新規感染者数に適用した。まず大阪府の新規陽性者数の報告値をプロットする。最後は9月7日である。

40)
次に、
1)1週間ごとにまとめる。
2)週ごとの変化率を計算(実効再生産数の計算に相当)
3)その実効再生産数の変化を見て、その系統性と、変曲点を調べる
4)上の分析から実効再生産数=0となる時期(ピークアウトの時期)を予測する
大阪府の場合に、これを行った結果を次の図に示す。

41)
この図から大阪府の場合も東京都と同様にして、約2週間前にはピークアウトの時期を予測できたはず。
1)感染拡大の初期は指数関数的に増える。
2)7月20〜27日頃に変曲点がある(増え方が減少)
3)増え方の減少を外挿すると「増え方=0の点」=ピークアウトは8月10日頃と予測できる。

42)
次に神奈川県の場合も、同様にしてピークアウトを予測してみよう。
神奈川県はデータのばらつきが大きいので、2週間の合計をプロットする。結果は、東京都や大阪府と全く同じ方法で、ピークアウトが8月24日頃であったと、予測できたはずであったことが、次の図から理解できるだろうと思う。

43)
以上、本稿では、日々の新規陽性者数の公開データを使って、流行(第n波)のピークアウトがいつ起こるのか、予測する方法について解説した。もちろん、私が勘違いしている事項や、誤解している箇所もあるかもしれない。お気づきの点は、ご指摘をいただければ幸いだ。

44)
ここで述べた予測方法と、それが使える条件について、まとめておきたい。

1)第n波の感染初期であること。
言い換えると、
1-1)感染初期には、人々の注意レベルが低く、感染者数は指数関数的に増加するはずである。この指数関数的増加の傾向が見えていること。

45)
1-2)初期の増加の傾向がしばらく続くと、マスメディアの警告や注意喚起の声は大きくなる。これが起こっていること。

2)マスコミ報道に応じて、国民は注意レベルを上げ、3密回避やマスク・手洗いに、注意を傾けるに違いない。この結果、指数関数的な増加に変化が起こるはずである。

46)
なぜなら、出歩く人は減り(非感染者数Sは減少)、感染確率βも下がるからである。この結果は、実効再生産数Rの変曲点として、観察されるはずである。

3)その変曲点を(目視でも)発見できること。そこから実効再生産数は、系統的に下がり始めるはずである。この部分も観察できていること。

47)
4)実効再生産数の系統的な低下は、しばらく続くはずである。なぜなら、マスメディアに反応するタイミングは全国民同時でも、危機感が人によって異なるから。この低下傾向が続けば、あとは簡単。実効再生産数が1を横切る時期を目視で検討を付ける。それがピークアウトの予測時期である。

以上

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