”安倍晋三前首相は,働く女性の数を増やそうとしました。実際にその数は増え,女性就業者人口は過去最高の3000万人に達し,労働力に占める割合は米国や欧州を超え71%に至りました。では安倍氏は「よりジェンダー平等な日本」を残したといえるのか。その判断はみなさんに委ねます。以下スレッドです。”
1/ "安倍氏は,日本の縮小する労働人口への答を,労働者として扱われなかったり活躍の機会に恵まれなかった女性たちに見出しました。「アベノミクスはウーマノミクス」と宣言した安倍氏は,女性が仕事と家庭を両立できるよう,支援策を盛り込みこれを推進しました。" [参考] camri.or.jp/files/libs/129…
2/ "ジェンダー平等化を推進する安倍氏の幾つもの施策は女性に対する労働市場の開放に大いに貢献しました。8年近い任期中,労働力に占める女性の割合は全ての年齢層で10%以上増えました。”
3/ "しかしながら,新たに労働力として加わった女性就業者の多くが得た仕事は,パートを含む低賃金の非正規雇用でした。第二次安倍内閣以降,新たに就業人口に加わった女性就業者330万人の内,実に66%が非正規雇用者でした。“
4/ “2019年時点では,パート雇用の男性就業者の割合が若干22.8%なのに比べ,女性就業者の割合は56%にも及びました。”
5/ "女性の正規雇用者の割合を詳しく見てみましょう。若い年齢層の女性を正規に雇用することが若干増えているのに対して,より高い年齢層の女性を非正規で雇用することが増えているのがわかります。”
6/ "これは2005年から2018年の間に他の先進国で見られたものとは真逆の傾向です。”
7/ "しかも,非正規雇用の女性は,正規雇用の女性や男性よりも収入が少なくなります。”
8/ ”より詳しく見てみます。非正規雇用女性の44%が年100万以下の収入しか得られないのに対して,正規雇用女性ではわずか4.1%に留まります。”
9/ "前出のチャートに非正規・正規雇用男性を加えるとこうなります。日本の男女間の収入格差はOECD諸国の中では韓国に次いで2番目に大きく,女性の収入は男性の74.3%に留まっています。この格差は安倍政権下では3.4ポイントしか縮まっていません(2012年時点で70.9%)。"
10/ "日本では男性は生涯を通じて賃金が上昇し続け,50~60代でピークを迎えます。女性は業種にかかわらず同じ賃金の成長を享受できません。(IT分野で65~70代の女性の収入が急増しているのは興味深い傾向ですが…!)”
11/ ”パートタイムで働くというということは,福利厚生や雇用の安定性,昇進の機会が失われるということでもあり,新型コロナが引き起こしたパンデミックはこの脆さを浮き彫りにしました。” [関連記事] bloomberg.co.jp/news/articles/…
12/ "[今年] 4月の非正規雇用者の離職者数は97万人でしたが,女性が7割以上を占め,2012年以来初めて,女性就業者数の減少が見られました。”
13/ "さらに心配なのは,ジェンダー不平等と新型コロナ不況の両方の影響が相まって、例年よりも多くの女性が自殺により亡くなるかもしれないことです。[今年] 8月には,女性の自殺は2019年の同月から40%も跳ね上がりました。これは,過去4年間の平均よりも23%も高い数値です。”
14/ "このような苦境の中、なぜ多くの日本人女性がフルタイムではなく、将来性に乏しいパートの仕事を選んでいるのでしょうか?
いくつかの注目すべき理由を発見し,昨年この記事 [※本ツイート内リンクはその日本語版] を書きました。明らかな要因が1つあります。"
bloomberg.co.jp/news/articles/…
15/ "それは日本の労働契約の硬直性にあります。フルタイムとパートタイムの中間に当たるものが存在せず,長時間の融通の利かない労働を余儀なくされることが,家事や育児におけるジェンダー不平等の原因により、男性よりも女性を直撃するものとなっているのです。”
16/ "日本の妻は,夫の6倍の時間を育児や家事に費やしています。これはアメリカの割合の2倍に当たります。"
17/ "週末でさえ,妻は夫よりも子供と一緒にいる時間が多いことがわかっています。(夫は一体どこに消えたのでしょう???) "
18/ 本人による訂正:’M’ curve became an 'L' curve.は正確にはMは女性の就業率全体、Lは女性の正社員雇用率を表しているため,二つは別物であり「M字カーブは解消しつつあるものの、L字カーブという正社員雇用率が20代後半から下がり続ける新たな問題提起がされています」とするのが正しい文でした。
19/ "ここで大切なのは、仮にM字カーブが解消されたとしても,それが必ずしも女性の離職率を減らす訳ではないことを理解することです。2018年にリクルートがまとめたデータによると,第一子出産時に離職したり長期間休職することになった働く母親(=ワーキングマザー)は全体の44.2%に及びます。”
20/ "またワーキングマザーの中でも非正規雇用のワーキングマザーの離職率が高いことがわかっています。”
※"accounting for 64.1%"以降の文については片沼さん本人から以下留意事項がありますので後続のツイートをご参照ください。
※上記の「第一子妊娠判明時の雇用形態別、職種別の出産離職率」に関するツイート20では、離職率全体のうち非正規が占める割合なのか、非正規全体のうち離職した方の割合を指しているのかが不明瞭であるため,片沼さんご自身の依頼により翻訳をスキップさせていただきます。あらかじめご了承ください。
21/ "つまり、鍵はより多くの女性が正規雇用されるようにすることにある。では、安倍氏は女性の就業促進を本当に支援したと言えるのでしょうか?
賛否は分かれますが少なくともそう努力はしました(それが女性のためか経済のためかは別として)。しかしその努力は、まだ実を結んだとは言えません。”
22/ "「働き方」の柔軟性を高めることを目的に、安倍氏は仕事と家庭の両立を目指す母親を主な対象として、「限定正社員」という選択肢を設けました。しかし、昨年取材した多くの女性は正社員の場合と同じような仕事量に直面し、それが機能していないことに気が付かされました。"
23/ ”保育園の待機児童解消も注目すべき改革の一つでした。安倍氏は当初の公約を守り2017年までに40万人分の定員を追加で拡大しましたが,一方で需要も加速度的に増加しました。厚労省によると、2020年4月現在の待機児童は1万2,439人となっています。”
24/ "ゴールドマン・サックスが2019年に公表したその他ウーマノミクスKPI(主要実績評価指標)の評価では,「日本は女性リーダーの輩出に関する目標達成にはまだほど遠いが他の分野では前進している 」と指摘されました。詳細はこちら。"※リンク先と画像を日本語版に差し替え
goldmansachs.com/japan/insights…
25/ "オピニオンライターの @Noahpinion 氏のこのレポートによると、安倍氏が日本企業間のジェンダーに関する情報開示を急進的に推し進めた結果、女性の雇用が奨励されたのは事実です。"
26/ "安倍氏の判断の中で残念だったのは,税制や社会的疎外要因に取り組まないことを選択したことでした。下記の一連のツイートで説明したように,[日本の] 社会制度には,女性を低賃金の非正規雇用に「誘導」してきた歴史があるからです。”
27/ "最後に…女性は(そして男性も)未だにその姓を巡る戦いを続けています。[※本ツイート内リンクは日本語版]
bloomberg.co.jp/news/articles/…
28/ "さて,安倍氏は本当にどのくらい,日本のジェンダー平等性を向上させたといえるのでしょうか?”
各種ソース
OECD統計:
oecd.org/els/soc/LMF_1_…
日本の労働力統計:
stat.go.jp/data/roudou/2.…
日本の賃金構造統計:
mhlw.go.jp/toukei/itiran/…
家事関連時間:
stat.go.jp/data/shakai/20…
自殺者数:
npa.go.jp/publications/s…
L字カーブ:
www5.cao.go.jp/keizai2/keizai…
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