ニュージーランドの「Stuff」紙に載った東京五輪への挽歌 とも言って良い記事。「Stuff」のチーフ・スポーツ・ニュース・ディレクターの Kevin Norquay さんの記事です。
「そして金メダルは、Covid-19に渡ってしまうだろう。それでも東京オリンピックを開催すべきか？」
bit.ly/3bcH64w
”私（Kevinさん）はオリンピック狂だ”
”1964年（東京五輪）の中距離選手、ピーター・スネルの活躍を見て以来、この大会に魅入られてきた。”
”4年毎に、私はNZの8人組ボート、射撃、ホッケーの金メダリスト、サイクリスト、投擲選手、ヨット、ランナー、そんな人々と共に涙を流すことが喜びだった。”
”国家、表彰台、オリンピックリング、メダル、国旗掲揚、そしてFaster、Higher、Strongerという盛り上がるオリンピックのモットー、何もかもが私を惹きつけた”
”2012年、ロンドンオリンピックのアーチェリー女子決勝を見て、目を涙で濡らしている私を妻が見つけ、愕然としていた。
確かに、当時の私はがんの治療中で、これが私の観戦できる最後の大会になるかもしれないと心配していたのだ。”
”が、私のオリンピック熱はさらに増すばかりだった”
”4年毎の観戦どころか、過去に戻り、1936年のベルリンで行われた男子1500mを観戦することが多くなった。NZのジャック・ラブロックが優勝し、有名な解説者（奥さんのこと？）に怒鳴られているのを知らないかのように、私は夢中で見ていた。”
”私はNZの選手だけを応援しているわけではない。私の「オリンピック狂」は地理的な制限を受けない。私は3つのオリンピックを現地で観たり、ソファで観戦したり、仕事の目を盗んで観たりして、何十カ国ものアスリート達に出会ったものだった”
”1972年のミュンヘン五輪事件も、1976年のモントリオール五輪と1980年のモスクワ五輪のボイコット騒動も、2016年のジカ熱も、私のオリンピック熱を止められはしなかった。”
”しかし、今は？”
”今、日本ではオリンピック選手よりも、Covid-19の統計が「より速く、より高く、より強く」なっている。オリンピックが開催される2ヶ月後にどこに到達しているかはまだ推測の域を出ない。”
”日本では、2021年に入って2回目のピークを迎え、今週の7日間の平均では1日6000人近くの感染者が出ている。”
”これは、2020年の東京オリンピックが開催される予定だった昨年7月の約20倍だ。東京では14万3000人の患者が発生し、2000人近くが死亡している。”
”疫学者ではない私は、マイケル・ベイカー教授の言葉を引用させてもらおう。"Staging the Olympics will kill people"「オリンピックの演出は人を殺す」”
”日本はすでに窮地に立たされている。さらに、世界中から集まった何千人もの選手や関係者を加えて、観客は一切入れない。歌にもあるように、世界を巻き込むほどの大きなコロナのるつぼができあがっているようだ。”
※この「歌」とはBlue Minkの"Melting Pot"の事でしょうか？
”インドでは、IPL（Indian Plemium League クリケットの最高峰リーグ)を開催しようとしたが、選手が防護服を着て、高級ホテルに泊まり、旅行用の「バブル防疫」を使って移動する数百万ドル規模のリーグの防衛線も結局は破られた。IPLは中断され、海外の選手はインドを離れる為に奔走する事になった。”
IPLが失敗だったのに、マイナスの要素や複雑な要素が加わるオリンピックが上手く行くわけがない。
選手数：マイナス要素。
スタジアムの数：マイナス要素。
移動手段：マイナス要素。
多くの共同生活：大きなマイナス要素。
より多くの国籍の混在：通常は肯定的であり、喜びでもあるが、今回は違う。
”IPLが破綻したとき、NZのクリケットチームは、チャーター便で20人強の選手をインドから脱出させるだけで精一杯だった。
2016年のリオ五輪に、NZは199人の選手を派遣した。その時と同じくらいの東京五輪派遣選手が平行棒から落ちる（危険にさらされる）ようなら、早く脱出するのを見届けるしかない”
”悲しいことに、この14ヶ月の間に起こったことによると、オリンピック主催者とコロナウイルスとの最終的な対決は、金メダルが「Covid 19」に授与されるという結果になる可能性が高いようだ。
残り100日の時点で行われた世論調査では、日本人の70％がオリンピックの開催を望んでいない。”
”大会が中止なら、選手は全力を尽くした後で意気消沈し、関係者も疲弊する。オリンピック狂の私もがっかりだ。
が、オリンピズムの3つの価値が「卓越」「友情」「尊敬」であるならば、日本の人々を安らかにしておくことは、医療の混乱の中で大会を開催するよりも、それらの価値を体現するだろう。”
結びの言葉です。
"I’ll climb off the podium now."
「私も表彰台から降りる時が来たようだ」
50年以上の長きにわたりオリンピックを見つめ続けてこられた、Kevin さんの言葉だけに、ズシッとした重みがあります。この言葉を受け止めて、決断すべき時が迫っています。
#オリンピックより命を守れ
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