安保理でまもなく、ロシアを非難する決議案について採決が行われます。ライブで訳してお伝えします。
ロシアが拒否権を行使し、廃案になります。目的は「ロシアを孤立させること」。中国の出方に注目が集まります。
議場の外、ゲルニカのタペストリー前では、各国大使がウクライナ旗を掲げています。
安保理会合は予定の2時間遅れ、日本時間午前7時から。
理事国15カ国のうち、票の行方がわかっていないのは、中国、インド、UAEです。
決議案の提出は米国と非常任理事国のアルバニア。強い賛意を示す「共同提案国」には、すでに数十の国が名を連ねています。
■記事→bit.ly/3InAted
フランスの国連大使、会合前に報道陣に声明発表。
「常任理事国であるロシアが、隣国をつぶそうと戦争をしている。すべての国連安保理メンバーが、選ばなければならない。そして責任を果たさねばならない」
欧米につくのか、ロシアにつくのか。それを迫るような発言。
アイルランドの次席大使も会合前に対応。
「アイルランドの票は、ロシアの侵略によって命を脅かされている人たちへの連帯を示すものになる。安保理には、国際の平和と安全を維持する責任がある」
「ロシアが拒否権を使っても、ロシアの責任を問う国際社会の動きを妨げることにはならない」
NY時間午後5時10分、チャイムが鳴って会合開始。
安保理にとって、歴史的な採決になります。
安保理議長は15カ国の持ち回りで、今月は偶然ロシア。国連大使のネベンジャ氏が進行役です。
ロシアを非難する決議案に、「共同提案国」として名を連ねている国が、続々と読み上げられています。60カ国程度でしょうか。
採決の前に、発言したい国が今回の決議案について説明します。
米国の国連大使。
今回の武力行使について「選択の戦争=War of Choice」と表現。「忘れてはならない。ロシアが選択した」
「ウクライナの人々に計り知れない苦しみを与えることを選んだ。主権を侵害し、国際法・国連憲章に違反することを選んだ。ウクライナ全土で、市民が命かながら逃げている」
続・米国国連大使。気持ちがこもっている。
「公園の子どもたちは、わずかな持ち物で自宅を去った。幼稚園や孤児院への攻撃も報告されている。集中治療室にいる赤ちゃんも、出来合いの防空壕に避難させられた。幼い子どもたちに、駅で父親に別れを告げた。48時間で5万人がウクライナから避難した」
続・米国。
「ロシアは侵略者だ。中道は存在しない。みなさん、単純な投票です。国連憲章を信じているなら、ウクライナや国家の主権、領土保全を支持するなら、ロシアが責任を取るべきだと思うなら、イエスだ。ロシアに同調するなら、ノーだ」
米国とともに決議案を出したアルバニア。
「私たちが話している間にも、ウクライナは空爆の被害を受けている。人びとが殺されている。欧州の一国が、隣国によって破壊されようとしている。常任理事国は、平和と安全について決める力と信頼を与えられているのに、その一つが支配と死に手を染めたのだ」
英国。
「国連憲章は、平和への厳粛な呼びかけで始まっている。国連は、戦争の惨劇から次なる世代を救い出そうと作られた。暴力や紛争から、人々を守ることが目的だ」
「この決議案は、戦争に抗議している、勇敢なロシア市民へのメッセージでもある」
ガボン。
「国連は、残虐な戦争の灰の中に造られた。我々には戦争も、新たな恐怖も必要ない。戦争は願望を否定するものだ。死と破壊の悪臭を振りまき、そのトラウマは壊滅的で、修復不可能なものだ。戦争に勝者など存在しない。地獄を、さらに地獄にするだけだ」
メキシコ。
「我々は主権国家への侵略を目の当たりにしている。メキシコも経験してきた。1846年には米国により、国土のほぼ半分を失った。メキシコは平和を支持している。武力行使の禁止を擁護している。我々は、敵対行使を直ちに停止するよう求める」
ブラジル。
「国際秩序への脅威、国連憲章違反という未曾有の状況にある。ウクライナで民間の犠牲者がふえ、恐怖と荒廃が広がっている。どんな戦争でも、必然的に起こることだ。加盟国の領土保全に対する武力行使という一線を越えて、黙ってはいるわけにはいかない」
一方、「対話の余白」にも言及。
※ここで採決。
賛成=11カ国
反対=ロシア
棄権=中国、インド、UAE
決議案は廃案に。わかってはいたけれど。
アルバニアが採決後の発言。
「安保理は結束と力、有効性を世界に示す機会を失い、妨害された。失望しているが、驚いてはいない。そしてこれで、我々の努力が終わるわけではない。侮辱ではなく尊重に、混乱ではなくルールに基づいて、この侵略を非難し続ける」
米国。
「ロシアは決議案に拒否権を行使することができても、我々の声、ウクライナの人々に拒否権を行使することはできない。戦車が街中を走り、爆弾が通りに落ちる。それを想像するのは難しい。ただ、ウクライナの人々はこども、国、大切なものを守るため、行動しているのだ」
棄権したインド。
「暴力と敵対的行為の即時停止に向け、努力がなされることを強く求める。対話は、相違や紛争を解決するための唯一の答えであり、外交の道を諦めたことが残念だ。それが棄権した理由だ」
英国。
「決議が採択されなかったのは、拒否権によるものだ。紛争に手を染めているのは誰か。ロシアは自衛だと主張しているが、不合理だ。ロシアの唯一の自衛行為は、今日、この決議案に対し、反対票を投じたことだ。間違ってはならない。ロシアは孤立している」
ノルウェー。
「すでに大規模な避難民が発生している。我々はロシアとともに、この攻撃を助長したベラルーシも非難する。他の同盟国とともに、迅速かつ具体的な対抗策を講じる。ウクライナに対する揺るぎない支持を、改めて表明する」
アイルランド。
「ロシアは外交に背を向けている。対話の申し出を拒否し、緊張緩和の要請も拒んだ。拒否権は、現代にふさわしくない時代錯誤のものだ。軍事的侵略のあからさまな擁護に、拒否権が使われた。ロシアに対し、ウクライナに対する侵略を今日、終わらせるよう求める」
フランス。
「ロシアの唯一の目的は、ウクライナを属国にすることだ。ウクライナは、ロシア大統領による計画的な侵略の犠牲者だ。誰もそれを正当化できない。投票結果は明らかであり、ロシアは、孤独だ-Russia is alone」
ガーナ。
「賛成したのは、最低限の義務だからだ。ロシアを最も強い言葉で非難するのは、ロシアが国連加盟国としての義務に違反したからだ。一昨日、平和のための新たな機会を作ったのに、信頼と誠意が、残酷で無慈悲な形で壊されてしまった。世界は、ロシアの武力行使を受け入れない」
ブラジル。
「より和解に資する文書を作れたはずだし、ブラジルはそのために戦った。国際の平和と安全を維持するため、安保理が責任を果たすには、常任でも非常任でも関係ない。拒否権を持っていようが、持っていまいが、それも関係ないのだ」
棄権票を投じたUAE。
「我が国は一貫して、緊張緩和を呼びかけてきた。外交チャンネルに期待。全ての加盟国が主権や独立、領土保全の権利を有すると信じている。同様に、包括的で議論によるプロセスの必要性を理解している。決議案は、対話の再開、前進の道筋の基礎となる必要がある」
ううむ。
ケニアのキマニ大使。
「ウクライナの人々への同情に満ちた思いで賛成票を投じた。愛する人を失ったウクライナの全ての家族に、哀悼の意を表する。国連憲章は引き裂かれ、ぐちゃぐちゃにされた。外交への信頼がなくなければ、さらなる被害につながる可能性がある」
棄権の中国。
「外交的努力に向けたあらゆる努力を歓迎、奨励。ロシアとウクライナがこの問題を解決することを支持。この1週間、安保理では十分詳しくそれぞれの立場を説明してきた。燃料を投下するのではなく、事態を鎮めることが必要だ。ウクライナは東洋と西洋の架け橋に」
これまでとほぼ同様。
ロシア、ネベンジャ国連大使。
「なぜ反対か。文章をざっと眺めるだけで十分なので、説明は必要ないだろう。この決議案は、ウクライナ国民の重要な利益に反している。ウクライナ民族主義者による犯罪にどうして触れていないのか」
顔を上げず、読むだけ。モスクワの作文なんだろう。
ロシア、携帯を取り出して、BBCニュースも批判。
「ウクライナ紛争の記事を出しているが、誤解を招く画像が出ている。リビアやシリア、ベイルートのものが、ウクライナで起きていることとして描かれている。フェイクの情報。みなさんに送っておく」
自分のところは棚に上げる。それがロシア流。
米国、さらに発言。
「ロシアによるひどいウソやプロパガンダに付き合うつもりはない。決議案の共同提案国として、名前が省かれてしまった国がありますので…」
日本もここで名前を呼ばれる。議長のロシアに対するこの表情が、全てを物語っている。
ウクライナ、キスリツァ国連大使。
「安保理はつい先日、まさにこの議場で、戦争を防ぐ方法を話し合っていた。そしてまさにその時、空爆が私の国、市民に投下された。昨晩は、ネオナチと戦っているふりをした誰かさんに攻撃された。そんな国に決議案に反対されても、驚きはない」
「ロシアはナチス的な路線を継続している。大統領は、残酷で非人間的な行動を起こすだろう。ロシアの言葉をどうやって信用すればいいのだろう。ロシアの言葉は、プレッツェルよりに空いた穴よりも、価値がない」
ウクライナ大使の演説を、多くの国が聞いている。
ウクライナ「殺された人たちのために黙祷の時間を」
ロシア、キレて遮ろうとする。
ウクライナ大使、数秒間黙祷し、会場からは拍手が漏れる。
続・ウクライナ大使。
「ロシアを容認しようとしている国があることが残念だ。どんなに複雑な歴史があっても、今起きていることを正当化することはできない。幼稚園や孤児院、病院への攻撃を正当化するものはない。占領軍を平和維持軍と呼び、自衛権を主張するのは狂気の沙汰だ」
会合は終わり、グテーレス事務総長が声明。
「人道的ニーズは刻一刻と増え続けている。危機的な状況にある。国連憲章は、過去にも危機に瀕したことがある。だが、しっかりと、平和、安全、正義、国際法、人権の側に立ってきた。できることを、なんでもしなければならない」
これだけの国連大使がここに並ぶ様子を、私は見たことがありません。二つのグループが、ウクライナの人々への連帯、ロシアへの避難を表明。
「プーチン大統領は侵略者だ。中間点はない。我々は国連憲章違反に立ち向かう特別な責任がある。ロシアは説明責任に対して、拒否権を使うことはできない」
こちらが否決された決議案です。
国連の文書には全てに番号が割り振られます。これは「S/2022/115」です。Sは安保理を意味します。
「結局否決されるのに」という方がいるかもしれません。ただ、何度でも言いますが、「ロシアが反対した」という記録が、確かに残ります。
1点、黙祷の場面で補足。
ウクライナ「黙祷を」
ロシア「申し訳ないが、黙祷する前に、過去にドンバスで亡くなった人を含めたい。全ての人命に価値があり、それを忘れないでほしい」
キレて遮った際に、こういう発言がありました。
誤字や脱字、省略しすぎ、拾うべきところを拾えていないなど、ご容赦ください。
会合の動画はこちら(bit.ly/3pdY0qr)です。
2日前には、会合後に以下の記事を書きました。記者活動を応援していただけますと、うれしい限りです。
asahi.com/articles/ASQ2S…
「国連は戦争から生まれ、戦争を終わらせるためにできた。きょう目的は達成できなかったが、私たちは決して諦めない」(グテーレス事務総長)
緊張が高まって以降、ロシア批判の姿勢は鮮明に。リーダーとして、ここが踏ん張りどころだと、自覚しているのがわかります。
asahi.com/articles/ASQ2V…
「本当に国連を捨て、やっぱり自助努力しかない、でいいのでしょうか」
秋山教授の意見、勉強になります。
「問題の解決そのものよりも、問題解決のための行動方向性を与えたり、正当性を与えたり、あるいは逆に規制を与える、つまり枠組みを作ることが…」
事態が深刻になっています。
ウクライナ南東部の都市が制圧され、首都キエフ中心部に近いエリアには2発のミサイルが落ちたそうです。
地元警察が「キエフで地上戦が始まった」と、住民にテレグラムで流したとの情報もあります。
24時間体制で速報しています。
digital.asahi.com/articles/ASQ2V…
国連軍縮部門のトップ、中満泉事務次長の言葉もぜひ、みなさんに知ってほしいです。日頃から常任理事国と顔を突き合わせ、「外交のリアル」を知っている方です。
国連にはいくつもの顔があるのだと。昨日とは違う顔を、私もまた、伝えていけたらと思います。
安保理の会合を記事にしました。
典型的な国連原稿の書き方でないことは重々承知しています。でも、読んでもらうためにはどうしたらいいだろう、どうしたら関心を持ってもらえるだろうと考えながらやっています。
「国連は戦争から生まれ、戦争を終わらせるためにできた」
asahi.com/articles/ASQ2V…
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