Gakushi Fujiwara / 藤原学思 Profile picture
朝日新聞記者。札幌→岡山→京都→東京→NY→東京→ロンドン。ウクライナ/英国/アイルランド/北欧/バルト三国を担当。Reporter for the Asahi Shimbun (Japanese Daily Newspaper) based in London. gakushifujiwara@gmail.com

Mar 2, 2022, 42 tweets

国連総会の緊急特別会合、まもなく最終日を迎えます。
可能な限り、ここでも伝えようと思います。

2日目に印象深かったのは、ドイツ外相のスピーチ。
「数日前、キエフの地下鉄駅で、女の子の赤ちゃんが生まれました」。そんな始まりです。

戦争とは。国連とは。

asahi.com/articles/ASQ32…

ロシア非難決議案は数時間後の採択。今回は、

・共同提案国=強い賛意
・賛成
・棄権
・反対
・無投票

という五つの選択肢があります。各国代表部によると、すでに94カ国が共同提案国に名を連ねています。これに通常の「賛成」をとれだけ積み重ねられるかが勝負です。

採決にかけられる予定の決議案は、ロシアを非難し、軍の撤退を迫るもの(bit.ly/3K9nJsa)。

2014年、クリミア併合を「無効」とする決議案は、賛成が100票でした。ロシアが切り崩しにかかり、以下の58カ国が棄権に回りました。

今回、賛成が100票を上回ることは間違いありません。

こちらが決議案の全文です。

現段階ではまだ「案」です。ドラフトです。しかし、これが「決議」になります。国際社会の一つの声になります。

読みづらい文章ですが、みなさんもぜひ、一読してみてください。ロシアへの怒りが、少しでも伝わるかと思います。

NY時間10時10分、国連総会緊急特別会合、3日目開始。
残るスピーカーは11人。まずはソロモン諸島。

「国連は世界大戦から生まれたことを決して忘れてはならない。ソロモン諸島の市民は、大戦がもたらした帰結の中で生きてきた。新たな戦争が起きてはならない。人類が無残な帰結に苦しんではならない」

ミャンマー、チョーモートゥン国連大使。

「ミャンマーは、ウクライナの人びとの苦しみがわかります。ミャンマーでも軍部により、人類に対する犯罪が行われています。恐ろしい攻撃を受けています」

新潟に留学していました。母国はクーデターに揺れ、暗殺を企図され、それでも声を上げ続けます。

ミャンマー国連大使の最後のセリフがグッときた。

Just, freedom and peace must prevail all over the world.
正義、自由、平和は世界中で勝つ。

声が震えていた。自分の声が母国にも届いてほしいと、きっとそう思っているのだろう。

パキスタン。

「外交の失敗となった事態を深く憂慮している。新たな交渉、継続的な対話、外交の必要性を我々はくり返し強調してきた。紛争によって大きな打撃を受けるのは発展途上国だ。ウクライナにいるパキスタン国民、学生の安全を最も懸念している。人道支援を支持する」

ジブチ。

「危機にしっかりと対応できない安保理が嘆かわしい。大多数の国連加盟国は、不作為を拒否する。それは、安全保障状の課題に直面しても、国連の存在意義を保とうという、加盟国の決意を示している」

安保理へのいらだち、やはりかなり強いです。

ブータン。

「安保理の行き詰まりにより、平和のための結集決議が活用されるのは40年ぶりになる。ヒマラヤ山脈の頂上も、ゴツゴツとした山々に滝も、何千マイルも離れた場所で起きる出来事から、我々を守ってくれるわけではないのです」

危機感が伝わってくる。

ラオス。

「ラオスは全ての国と、平和、独立、友好、協調を追求してきた。ウクライナで起きていることは複雑だ。一方的な制裁には疑問を持っている。全ての関係者に、緊張の激化をあおるような行動を慎むよう求める」

ここの"全ての関係者"は、ロシア寄りを意味します。

カンボジア。

「ウクライナにおいて人の命が失われていることに深刻な懸念を表する。平和的な対話と交渉によってのみ、長期的な平和が達成される。我々は決議案の共同提案国になっており、賛成票を投じる」

アゼルバイジャン。

「市民の命、インフラは常に保護されなければならない。民間人絵の迅速な措置が必要だ。主権、領土保全、国境の不可侵性を尊重しなければならない。平和的手段によって解決される必要がある」

カンボジアに続いてシンプル。

ベラルーシ。「反対票を投じる」と。

「8年前、安保理はミンスク合意遵守に関する決議を採択したが、ウクライナに履行を促さなかった。ドネツク、ルガンスクで高齢者、女性、子どもたちが亡くなっている。違法な武力行使をしているとの疑いを断固として否定する」

米、西側への批判。正当化。略。

米国。

「国連はいま、近代におけるどの時点よりも試されている。もし、国連に何かの目的があるとすれば、それは戦争を防ぐことだ。戦争を非難し、止めることだ。それが私たちが、ここでする仕事なのだ。全人類によって、あなたたちはここに送られているのだ」

青と黄のウクライナカラー。

続・米国。

「不当で、不必要な戦争の最前線に送られた、ロシアの兵士たちへ」

そう語りかける。

「あなた方の指導者はウソをついている。戦争犯罪を犯してはならない。武器を置いて、ウクライナから撤退するために全力を尽くしなさい。この戦争はひとりの男の選択によるものなのです」

バチカン。

「この組織は、戦争の惨劇から救い、良き隣人として平和に共存するために作られました。平和を愛するものは、他国民に対する侵略の道具として、国際紛争を解決する手段としての戦争を拒否しましょう」

「影響力が大きいから」と加盟国にはなっていません。オブザーバーとして政治的発言。

マルタ騎士団。

「我々は病める者、貧しい者への奉仕を特別な使命とし、世界規模の人道支援をおこなっている。いま、難民が国境を越えています。今朝の時点で70万人近くが国を逃れています」

こちらもオブザーバー。ウクライナ人の支援の姿勢を鮮明に。難民は最大500万人になると言われています。

民主主義・選挙支援国際研究所(IDEA)。

「プーチン大統領による侵攻命令は、国連憲章の明らかな違反だ。ウクライナの人々への全面的な支持と連帯を表明する。彼らは、侵略による無実の犠牲者である。いまは、民主主義を擁護する世界中の人々にとって、極めて重要な瞬間だ」

何度でも強調したい。

国連総会緊急特別会合、決議案採決直前です。
ウクライナのキスリツァ国連大使。

「我々の世代は、祖先からこう考えられてきました。戦争の惨劇から救われるべきだと。これが国連ができた理由です。そしてきょうもまた、将来の世代を救うことが求めらています」

演説は、そんな始まりです。

続・ウクライナのキスリツァ大使。

「投票は、国連憲章に対する自国のコミットメントを再確認することになります。投票が終わった後、ラウンジに立ち寄って、この小さくて、ブルーの本に署名してください。全ての賛成票は、憲章の歴史的な再確認となるからです」

賛成票がどれぐらい集まるか。

まもなく採決にうつりますが、その前に「投票説明」という手続きがあります。まずはロシア。

「この決議を支持しないよう呼びかける。西側諸国が自分達の考える通りに投票するようにと、前例のない圧力を各国にかけていることを知っている。脅しだ」

ロビー活動はやはり凄まじいレベルのようです。

セルビア。

「いま起きていることは、心から残念なことだ。ロシアとウクライナは、常にセルビアとセルビア人の友好国だった。ウクライナの人々の命が失われていることがつらい。私たちは賛成票を投じる」

シリア。

「この決議案は、政治的プロパガンダに基づくものだ。政治的圧力の手段だ。ソ連、ロシアに対して攻撃的な言葉を入れ込み、国家安全保障に対する脅威から国民を守るロシアの権利を軽んじている」

これの演説こそが政治的プロパガンダです。

セントビンセント・グレナディーン。

コロナに触れて、
"We simply CANNOT afford another conflict."
さらなる戦いをしている余裕はない。

この通りです。

国連総会緊急特別総会、ロシア非難決議案、採決。

賛成=141
反対=5
棄権=35

拍手が鳴り止まず。141カ国は予想以上でした。

国連総会緊急特別総会、ロシア非難決議案、採決。

賛成=141
反対=5
棄権=35
無投票=12

圧倒的賛成多数です。これにより、国際社会がロシアをどう見ているかがはっきりしました。

歴史的な瞬間を、動画でも貼り付けておきます。
鳥肌が立ちました。

投票の詳細はこちらです。

反対=ベラルーシ、北朝鮮、エリトリア、ロシア、シリア
棄権=中国、インドなど

ロシア支持に回るのではと予想されたキューバとベネズエラも、棄権に回ったようです。

グテーレス事務総長、採択を受け声明。

「国連総会が、声をあげた。メッセージは明瞭だ。ウクライナでの敵対行為を終わらせよ、すぐに。銃を置け、すぐに。対話と外交の扉を開け、すぐに」

「ウクライナの人びとは、切実に平和を必要としている。そして、世界中の人々が、それを求めている」

シャヒド総会議長。

「この決議は国際社会の重大な懸念を反映したものだ。即時停戦、人道支援のための自由なアクセス、対話と外交への復帰を改めて求めている。加盟国の要請があれば、緊急特別会合を再開する」

決議に再び会合を開けると明記されています。これは、ロシアへの圧力になりえます。

米国、トーマスグリーンフィールド国連大使。

「世界は、はっきりとした、団結した声をあげました。世界の大多数が、ロシアの戦争を非難した。我々は、ロシアが孤立し、孤独を感じ、ロシアが諦めるまで代償は大きくなり続けるとを示した」

「国連の真の力、真の目的を全ての人に示そう」

EU、スクーグ国連大使。

「ロシアが安保理を阻止した直後から、我々は仕事に取り掛かった。ウクライナ、多くの国々とこの決議案を起草し、総会がきょう、責任を果たした。ロシアは孤立している。世界がはっきりと、侵略停止、軍の撤退、国連憲章の順守、この組織を守ることについて語ったのだ」

速報記事。

"決議は「国家間の法の支配を促進する上で、国連憲章が最も重要であることを再確認する」との文言で始まり、ロシアによる「特別軍事作戦」宣言を非難。「いまの世代を戦争の惨劇から救うため、緊急の行動が必要であることを認識する」と記された"

asahi.com/articles/ASQ33…

ウクライナ、キスリツァ大使。

「極めて重要な1日になりました。私は国連を信じています。人びとが国連を信じる理由はこれで、より多くなりました。ただ、まだ始まったばかりです。投票が終わりではなく、投票自体が目的ではありません。投票は、ロシアへの強いメッセージです」

どう活かすか。

投票行動の説明続く。日本の石兼大使。

「総会は、ロシアの侵略に立ち向かう、国際社会の圧倒的な声を届けることに成功した。ロシアに対し、この声に耳を傾け、直ちにこの決議を実行に移すよう求める。我々はウクライナの、未来の世界中の正義の回復に投票したのであり、憎しみを高めるためではない」

豪州の席には #TodayWeAreAllUkraine

"Life will win over death and
Light will win over darkness"
生は死に勝ち、光は闇に勝つ。

「この戦いによって我々は前に進むが、これは始まりにすぎない」

その通りです。国連、国際社会にとって、この決議はまったく「終わり」などではありません。

国連総会、緊急特別会合、決議案採択。

国連の加盟国がどのような投票をしたのか。全193加盟国の投票行動を一覧にしました。また、決議案の骨子も日本語に訳しています。

これだけの言葉を並べて141カ国が集まったというのは、強い危機感が理由です。

■記事→bit.ly/346EeWm

共同提案国96カ国というのは本当に驚きです。

たとえば2014年、クリミア併合「無効」決議案では、私の計算が合っていれば、以下の47カ国でした。

しかも8年前の決議案より、ロシア非難のトーンは今回の方が強い。それだけ、国際社会の怒りを買ったということでしょうか。

主な国の投票理由。中国、棄権。

「全加盟国による十分な協議を経たものではない。現在の危機の歴史、複雑さも十分に考慮されていない。政治的解決の推進、外交努力強化の緊急性も強調されていない。中国の一致した立場と一致しない。やみくもな圧力により、状況をさらに複雑にする」

UAE、賛成。安保理では2回棄権。

「私たちの責任は、人道状況のさらなる悪化を防ぐために、あらゆる努力、外交手段を尽くすことにある。この決議は、我々が進むべき方向を示す必要なシグナルであると認識している」

安保理で棄権したのは、極めて政治的な理由でした。

インド、棄権。安保理での2回棄権に続き。

「国際社会による即時停戦の呼びかけ、紛争地域の安全な人道的アクセスも支持する。私たちは、相違は対話と外交を通じてのみ解決できるという信念を持っている」

意味不明ですが、ロシアとは軍事的な強い結びつきがあります→bit.ly/3HAC7b5

エリトリア、反対。

「主権、領土保全、政治的独立の尊重は神聖な原則であり、尊重されるべきだ。我々の投票は、平和への妥協なき姿勢を示すものである。一方的な制裁は、国際関係をさらに分極化させ、市民に多大な影響を与えるほどに状況を緊張させる」

遠藤記者@YujiEndo6に解説を請いたい。

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