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内科医です。ツイートは個人の見解です。

Apr 1, 2022, 12 tweets

東大の石井健先生のmRNAワクチンとアジュバントについてのnatureレビュー
Making innate sense of mRNA vaccine adjuvanticity
nature.com/articles/s4159…

ワクチンに必要な成分は、抗原とアジュバント。アジュバントは、抗原を標的とした免疫応答(免疫原性)を引き起こすのに不可欠だが、局所や全身での炎症を引き起こす反応原性(時に毒ともなる)の原因ともなる。ワクチンの有効性と安全性の理解のためにはアジュバントが免疫系を刺激する機構が重要。

抗原は単独では免疫原性が不十分で、効率の良い免疫応答のためにはアジュバントが必要
①病原体関連分子パターンPAMPs型アジュバント:ビルトインアジュバント
(ワクチン製剤の一部に、免疫系を刺激する病原体由来のタンパク質や脂質を組み込む)

②損傷関連分子パターンDAMPs型アジュバント
(アルミニウム塩、LNP等の非生物学的材料を添加し、注入部位の細胞を刺激、損傷することでヒト自体の免疫応答を誘発する)

mRNA-LNPワクチンにおいて、mRNA自体にアジュバント性があるか?
メチル化mRNAは、TLRやRIG-1などの自然免疫系の認識を低下させており、自然免疫系から逃れていると考えられている。

LNPの成分のうち、イオン化可能な脂質成分がアジュバント活性を有することが示されている。LNPそのものがIL-6産生を誘導し、強力なTFH細胞と胚中心B細胞応答をもたらす。LNP自体がビルトインアジュバントとして機能することを示唆している。
doi.org/10.1016%2Fj.im…

各種自然免疫センサーのノックアウトマウスにBNT162b2 LNP-mRNAを投与したところ、比較的長い二本鎖RNAの受容体であるMDA-5だけがI型IFN応答に重要な役割を担っており、抗原特異的CD8+T細胞に反応するビルトインアジュバント経路として重要であることが示された。
doi.org/10.1038/s41590…

一方でLNP-mRNA製剤からワクチン生成過程でできる二本鎖RNAを除去し純度を高めると、(MDA-5へ反応する二本鎖RNAが減るのに)むしろ免疫原性が向上する。MDA-5の真の認識部位(リガンド)がワクチン由来か宿主RNA由来かは確認できていない。
doi.org/10.1101/2021.0…

BNT162b2を筋肉内接種すると、リンパ節、肺、脾臓の樹状細胞、単球、マクロファージを活性化しI型、II型のIFNを誘導する。特に2回目の接種後に血中IFNγと単球でのIFN刺激遺伝子の発現が高くなりヒトでLNP-mRNAを2回接種後に反応原性が強く起こったことを反映している可能性。
doi.org/10.1038/s41590…

修飾mRNAは自然免疫を回避する。ワクチンとして免疫原性をもたせるためにはアジュバントが必須、だからLNPがアジュバントとして作用しているだろうという話のようですが、その機序は完全には良くわかっていないみたいです。

LNPがアジュバントとして作用するなら、mRNAワクチンの特有の全身性の炎症反応(つまり毒性、反応原性)に繋がっている可能性もあり、また、LNPが全身の様々な臓器で炎症を起こす要因になると思います。

LNPが実はDAMPs型アジュバント(ヒト組織を損傷させて免疫応答を誘発するタイプ)ってことはないのかな?とも、思いました。

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