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内科医です。ツイートは個人の見解です。

Jan 10, 2023, 9 tweets

アメリカMGHでmRNAワクチン接種後心筋炎を呈した16例(88%が男性、平均16歳)とmRNAワクチン接種後無症状対照群(45例)の比較。心筋炎群の血漿中に抗体と結合していない遊離スパイクタンパク抗原(33.9±22.4pg/mL)が高レベルで検出され、対照群では検出されなかった。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36597886/

Fig1.ワクチン接種後心筋炎を呈した若年者16例と、ワクチン接種後無症状の若年者45例から血液サンプルを採取し、SARS-CoV-2抗体、SARS-CoV-2抗原、サイトカイン濃度の測定を行った。

Fig2.抗SpikeIgGなどの抗体応答においては(液性免疫応答は)心筋炎群、無症状群に大きな違いはみられない。

FigS2A.2B.被験者のT細胞応答もほとんど変わらず。ナイーブT(CD45RA+CCR7+)、セントラルメモリーT(CD45RA-CCR7-)は変わらず、心筋炎群でやや多い程度なのが、エフェクターメモリーT(CD45RA+CCR7-)だった。

Fig3A-G.心筋炎群はMIS様のサイトカインプロファイルを呈した。IL-8↑、IL-6↑、TNF-α↑、IL-10↑、IFNγ↑、IL1β↑であり、IL-4が接種後無症状対照群に比べ低い。

心筋炎群の血漿中に、抗体と結合していない遊離スパイクタンパクが著しく高いレベル(33.9±22.4 pg/mL)あったが(Fig4A)、無症状の接種対照群には検出できる遊離スパイクタンパクが無かった。

ワクチン接種後の心筋炎は臨床的には男性に多く見られるが、スパイクの上昇は罹患した女性にも男性にも等しく見られた(FigS5)。 ワクチン後心筋炎患者では、抗体と結合していないS抗原が血液中を循環している。

ワクチン後心筋炎患者(n=4)から繰り返し血液採取した免疫プロファイル(FigS7)スパイク値はすべての患者で数日から数週間上昇したままだが、検出されたS1は消失。 4人の患者すべてにおいて、抗N IgGは検出されず、SARS-CoV-2の自然感染が心筋炎の要因である可能性が低いことが示唆された。

ポイント
・心筋炎発症者はSタンパクによる抗原血症を起こしていた。
・T細胞応答や、液性免疫(抗体の量)などは心筋炎発症者と無症状のワクチン接種者で大きく変わらない。
・心筋炎発症者のサイトカイン産生プロファイルはMISと類似
・MISと、心筋炎はともにSタンパク抗原血症を起こす。

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