佐滝剛弘(2024):「さて、いわゆる「二重価格」がはたして観光公害を救い、観光立国にふさわしい施策かどうかを考えてみたい。
日本は、「観光立国」を標榜してインバウンドを積極的に誘致している。そのために、JRの運賃や高速道路の料金の割引策を実施している。JRの全線が乗り放題の→
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「ジャパン・レール・パス」はよく知られている。〔…〕こうした優遇策が誘致の底流にあったことを考えると、外国人、あるいは地元以外の観光客の入場料や料金を高くするというのは、大きな方向転換である。〔…〕
まず、外国人にだけより高い料金を設けることは、「観光立国宣言」をした→
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国の基本方針とは真逆になる。観光客に「来てください」というメッセージではなく、「高い金を払える人だけ来てください」というメッセージを自ずと発信することになるからだ。ジャパン・レール・パスとの矛盾もある。こちらも廃止しないと辻褄が合わない。
また、これは→
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「日本はインドのように外国人に高い料金を課す発展途上あるいは新興の国と同じレベルだ」と宣言することでもある。もちろん、国民1人当たりのGDPが30位を下回り、近隣の韓国や台湾とあまり変わらなくなったことを考えれば当然と感じる人もいるだろう。それを国や自治体などの公的機関が公式に→
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認めることにもなる。なぜなら税金だけでなく公共交通機関の運賃の変更も、国などの認可が必要だからである。
その「プライド」を捨てて導入に舵を切ったとしても、日本人と外国人観光客を分けるにはかなりの工夫が必要だ。芸能人やスポーツ選手を見ていても→
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今はミックス(いわゆるハーフ)の人が多く、そうしたボーダーが一定の幅を持つ今、日本人か外国人かという二分法はかなり難しい。〔…〕
観光客が地域住民に一定の経済的・精神的負担を与えるのであれば、その費用分を観光客に一部であれ負担してもらうということは理にかなっている。ただし→
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より多くの観光客に来てもらい、お金を使ってもらえるのであれば、受け入れる側が負担してもかまわない。それがこれまでの考え方であった。しかし、*内外の経済力が逆転し*、オーバーツーリズムの問題も広く知れ渡ってきた今、「なぜ我々日本人が豊かな外国人の訪問に対し、もろもろの負担を→
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しなければならないのか?」という不満が顕在化したのが現在の状況である。
インバウンドに対し、受益者負担をどこまで求めるのかは、あらためて「観光立国」という看板を大きく掲げ続けるのか、それとも修正するのか、そうした国の哲学までも問われる課題である。」(『観光消滅』第11章より)
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