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急峻な四国山地において、徳島・高知県境一帯は河川が山塊を切り刻み、深い谷間を形成している。そんな険しい地形に位置する集落の中には"天空のモノレール集落"と言われる十家集落の様に、未だに車道の無い集落が存在している。そのうちの一つである『平井集落』に行ってみた。
四国山地を走っていると、急斜面の遥か上方にポツンと一軒家があったりして驚かされることが多々ある。『平井集落』のある"つるぎ町(旧・一宇村)"は、殆どが険しい山岳地帯を占める。そして、先述のような一軒家が町内の険しい山の中に点在しているのだ。
まずは、R438を経由して平井集落に隣接する河内集落へ向かった。このR438はいわゆる酷道で、更には観光地"剣山"へのメインルートにあたるため、次から次へとやってくる対向車に悩まされることになる。そして辿り着いた河内集落。この集落も消滅へと進む集落で、人の気配は殆どしない。
貞光川を挟んだ対岸に目的の平井集落がある。しかし、河内集落から見る限りでは、森が広がるだけで集落があるようには見えない。平井集落に向かうには国道から脇道に入るのだが、いきなりモノレール(モノラック)が現れる。しかも、やたらと本格的だ。
『併用橋』
貞光川を渡る橋。モノレールも渡る併用橋だ。橋はしっかりしているものの、殆どメンテナンスされていないようで、床版は錆びて穴が空いている。いずれは通行できなくなりそうだ。それにしても、このシチュエーションは楽しくて仕方がない。
対岸に渡ると、森の中にモノレール本体が鎮座していた。使われなくなって久しいようだ。その先には山道が続いている。苔生した石段、堆積する落ち葉。それでも踏み跡は残っているので、今でもここを通る人がいるようだ。そして、山道に寄り添うようにしてモノレールが伸びる。
それ程長くない距離を登ると、森が開けて『平井集落』に出た。斜面には三軒の廃屋が見える。積まれた薪木、新しい犬小屋、どの家屋も突然時が止まったかのように生活臭が漂っていた。ごく最近に無住化したようだ。耕作地も放棄されていた。そんな集落のど真ん中をモノレールが通る。
『モノレール集落』
そんな言葉がぴったりの集落だ。モノレールはそれぞれの家屋に分岐していた。更には家の中まで伸びていた。集落内を縦横無尽に通り、更には各家屋に伸びるモノレール。この集落の主力となる輸送機関はモノレールだったのだ。
この地域でよく見られる様式のお堂。しかし、お堂は荒れていた。僅かでも住民がいる限り、お堂は住民の手によって守られる。しかし、この荒れ方を見る限りでは、平井集落に住む人は既にいないようだ。このお堂も、後は朽ち果てるのを待つだけなのだ。
モノレール伝いに進むと、再び森の中へと入った。モノレールは森の中をも縦横無尽に進み、更には分岐を繰り返す。そして色んな方向に伸びていく。このモノレールは一体何処まで続いているのだろうか。
終わりは突然やって来た。森を抜けた先で途絶えるモノレール。目の前には家屋が潰れていた。各家まで伸びるモノレールであるが、どの家も無住となった今、無用の長物と化していた。棄てられたお墓。倒木に埋もれるモノレール。この地に人が戻ってくることはもう無いだろう。
続いて、地図上に見える徒歩道(点線)に従って、平井集落の奥地にある家屋を目指した。しかし、どこまで行っても地図上にある徒歩道が見当たらない。森の中を彷徨っていると、貞光川の河原に出た。深く険しい渓谷とは裏腹に、小さく美しい流れであった。この流れが大渓谷を造り出したとは思えない。
河原から斜面を見上げると、岩の陰に謎の建築物が見える。近づいてみると、扉は開いていたが、怪しいので中は覗かなかった。これは一体何なのだろうか(ご存知の方、ご教示願います)。結局、"平井集落の奥地"への道を見つけることが出来ず、河内集落に戻って情報収集することにした。
幸いにも、とある家屋のお爺さんにお話を伺うことができた。『平井には誰も住んでいない。住人がいなくなってから10年も経っていない』、『(地図を見せると)手前が下平井、奥が中平井、更に奥が法正だ』、『中平井にはこの先の橋を渡る。モノレールもそこから出ているよ』更にモノレールがあるのか!
『凄い!』
お爺さんにお礼を言って、300mほど上流へ向かった。そこには最高すぎるモノレールがあった。建物(ターミナル)から出て、橋(併用橋)を渡り、急勾配で集落へ向かう。先程のモノレールよりも本格的だ。しかし、モノレール本体はシートを被り、随分と使われていないようだ。
斜面の先へと続くモノレール。これを辿れば中平井に行くことができる。しかし残念ながら日没がきたので、ここで引き返した。結果として、今回は"下平井"の探索となったが、"中平井"も近いうちに探索する予定だ。
後日、平井集落についてつるぎ町役場にお聞きした。『平井は誰も住んでいない。10~15年前に最後の住人が亡くなった』、『今も住民票が2名残る』、『モノレールは町が建設し、本体は住民が負担した。今は使用されていない』
集落は住民が亡くなった後も管理されていたようだが、それも途絶えていたのだ
『平井集落』
四国山地の山中にはモノレール集落があった。しかし、かつては多くの人々が生活を営んでいたモノレール集落は"消滅集落"と化していた。そして、集落に張り巡らされたモノレールは、住人の生活と思い出を運び終えていた。
以上で平井集落についてのツイートは一旦終わりです。最期に、お話を伺わせていただいた河内集落の方々、及びつるぎ町一宇支所、つるぎ町商工観光課のご担当の方にはこの場を借りてお礼申し上げます。
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