Thread by @hottaqu

科学哲学者「電子は実在でしょ」
物理屋「実際の検証では電荷や質量を間接的に測るので、それは操作主義、道具主義でやってると言えるね」
「じゃ、実在じゃないの」
「いや直観を与えるという意味で「電子は実在する」と日常的には言うね。月と同じ。素朴な実在論的見方は僕らのアイデアの源。」

物理屋「でも素朴な実在論が与える直観は量子力学の領域で成り立たなくなることも、経験で痛いほど知っているから」
科学哲学者「 ... 」
物理屋「結局、文脈依存。目的に応じて変わる。ぶっちゃけて言うと、今後の科学の営みにおいて、素朴な実在像が便利かどうか。それだけ。」

物理屋「電子のスピンだって、イメージはボールがクルクル回っているものだけど。それは本当はまずい。電子自体に球のような大きさはないし、あったら球の表面の回転速度は光速度を超えてしまう。でも、その素朴なイメージで予想できる現象も実際あるから。便利。」
科学哲学者「 ... 」

物理屋「君等の言う科学なんて現場にはないんだよ。大半は全く自由無碍な営みであり、最後には最大限確定的なことを述べていくのが我々の作業。まずは君も科学研究を体験してみたら？」
科学哲学者「若いものに、まかせます」
物理屋「だったら、それをしてる若い人の仕事をちゃんと評価してあげてね」

最近の科学哲学の若手の中には、量子論の数学も物理屋の理解もきちんと踏まえながら、全うなことに挑戦しようと気運もある。これまでのような自分の庭で遊ぶだけの哲学者か、それとも物理屋の掴んでいる量子的世界像をきちんと自分のものにしてから先を目指す哲学者かで、学問に大きな差が出るだろう。

２１世紀でも大学で「鏡を見ると左右反転するけど上下反転しないのは何故」と真顔で講義している科学哲学の先生には、鏡像反転モンスターが憑りつきますように。

無重力空間で生まれた「鏡像反転モンスター」は、球対称な目と脳に４本の腕が等間隔かつ同一平面上にのるように生えていて、それがゆっくり１方向に回転している知的生命体。腕の運動の向きで認識できる、正面（表）と背中（裏）の差だけはある。

このモンスターは、鏡の中に自分の背中を見る。