Masahiro Hotta Profile picture
Theoretical Physicist, PhD. Relativistic Quantum Information, Quantum Energy Teleportation, Black Hole Physics, ... https://t.co/UHmLtpAkgL
Mar 11, 2023 7 tweets 1 min read
東日本大震災の時、自分達が動ける部分すら動かない住人が多数だと、その地域のコミュニティはアッという間に崩壊していた。逆に、サッと多くの住民が動いてたコミュニティは強かった。平時には社会益を貪るだけでもなんとか回って見えていた幸せも、いざというときには真っ先に壊れる。 明治の頃から長く教育に力を入れてきた地方の自治体では、震災と原発事故のときでも、舌を巻くほどの驚くべき機動性を示していた。福島県の三春町や宮城県の登米市が、その例だ。
Mar 10, 2023 12 tweets 2 min read
東日本大震災と原発事故から12年。宮城県内でも原発事故は市民に大きな動揺と厳しい選択を迫った。壊れた原発から飛び出した放射性物質のプルーム(雲)は県内を通過した。ただその汚染状況に関する情報を震災で寸断された情報網から正確に掴むことは、市民にはとても難しかった。 東北大学では、医学部や歯学部の多くの人が津波で亡くなった方の身元確認ボランティアをしていた。また医学部の一部と、農学部、理学部のメンバーは、原発事故の汚染状況の調査に急遽係った。
Mar 10, 2023 31 tweets 1 min read
震災のような市民が無力感に潰される事態の中では、普段忙しかった人達でも、夜空を見上げる時間が長くなる。停電のせいで、数多の星が目に入る。無数の流れ星も。それで昼間は押し隠していた感情も一気に吹き出る。世界の多くの紛争地域でも、今多くの人々は同じ数多の星を見ている。 東日本大震災直後の4月、仙台市は学校人事異動を敢行。被災沿岸部の小学校に先生が多数外部から赴任してきた。その校長はまず着任した全員を近くの津波被害地区に送り出した。帰ってきた先生の顔は変わっていた。校長は言った。これから先生方が受け持つ生徒達が見た光景です、よろしくお願いします。
Mar 9, 2023 14 tweets 2 min read
2011年3月10日には、普通の日常がありました。翌日多くの人々が居なくなり、また多くの人々の人生が激変するのを知ることもない、極普通の日常がありました。平了さんが書かれたこの詩のメッセージは、これからも誰にとっても重要だと思います。 平了さんは、震災当時に『スコップ団』として活動され、多くの方々の体と心を支えられていた方です。

ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9…
Dec 16, 2022 12 tweets 1 min read
量子テレポーテーションについて、カナダ在住の哲学に興味がある一般の方から質問を受けたことがあります。転送される人体は装置によってバラバラの素粒子に分解され、到着地にあった別な素粒子を使って再構成されるわけですが、そのときに現れる人間は本当に出発した人間と同じ人物なのかという質問。 量子情報物理学の立場から答えると、それは本当に同一人物です。人体を含め、量子テレポーテーションされる様々な物体の本性は、多数の素粒子に記憶された量子情報そのものです。情報を持たない素粒子1つ1つには個性は全くないし、誰かの体を作っていたという記憶もありません。
Dec 15, 2022 10 tweets 1 min read
科学には誰もが唯1つの真理を目指すという前提があります。ある物理屋が科学で人の言説を取り締まる「警察」は嫌い。「みんな自由で誰もがオンリーワン」的なTWをしてましたが、職業として科学者の厳しさを自覚してないか、「みんな自由」ということを自分の思考の浅さの免責に使ってると思ってます。 アインシュタインは、科学研究が持つ厳しさを自覚していました。どれだけ自分が長く取り組み、膨大な計算ノートが溜まっても、うまくいかない場合には、その全部をゴミ箱に捨てる覚悟の必要性を説いてました。
Dec 15, 2022 27 tweets 1 min read
前世紀に散々喧伝された量子力学の観測問題を使って、スピリチュアル系の自己啓蒙をされている方も現在多数見受けられますが、実証科学の物理学として、その根拠はないと思います。観測問題そのものも現代的理解では無かったことも分かっています。このことを多くの方にまず知って頂ければと思います。 多世界解釈などを扱う量子力学の一般書で現在でも紹介されている観測問題ですが、前世紀に散々喧伝されたこの「問題」は、実は物理学の真の問題では全くなく、理論としての量子力学の中に矛盾はありません。理論構造として観測問題は起きていないのです。
Dec 15, 2022 6 tweets 1 min read
ブルーバックスがそういう路線を変えないのならば、他の出版社からでも現代的な量子力学の新書を出したほうが良いです。もし研究者だけでは読みやすい書籍に仕立て上げられないのならば、関心のある優れた編集者の方にも参加してもらって、新しい時代にふさわしい一般向け新書を出して欲しいものです。 ホーキング博士の有名な『ホーキング、宇宙を語る 』(A Brief History of Time)も、彼の用意した原稿では固すぎて商用として通用しないということで、プロの編集者があの形まで仕上げたものでした。
Dec 14, 2022 10 tweets 2 min read
多くの方がこの教科書を読み進めて下さっている昨今、少なくとも業界内では量子力学の脱魔術化が進んでいる実感があります。観測問題があると未だ信じる人の数は圧倒的に減った感じです。観測問題や多世界解釈などを研究したいという物理学徒は見かけなくなりました。新しい時代になったなと思います。 「物理量が演算子で、それが複素数である謎めいた波動関数に作用する?その波動関数って何?因果律を破って観測で収縮するっていいの?シュレディンガー方程式に従う連続的な時間発展ではないから、その観測による収縮って変でしょ?」という疑問から解放されたい方は『入門現代の量子力学』をどうぞ。 Image
Oct 8, 2022 12 tweets 1 min read
これは量子力学のバランス感覚の良い(特定のイデオロギーを持たない)科学史家に検証をお願いしたいところですが、20世紀における量子力学の日本における根付き方は、欧米とかなり違っていると、業界内から見た自分には思えます。 湯川と朝永から日本の量子力学の定着は始まったと思うのですが、彼等自身がShut up and caluculate!という乱暴な欧米の雰囲気とは既に異なり、「観測問題」などの原理的な話に高い関心がありました。
Oct 7, 2022 6 tweets 1 min read
粒子の量子力学において、その粒子の位置について実験的にはどこまでも連続的になっているかどうかは確認されておらず、位置間隔がプランク長程度に離散的な値しかとれないとする理論でも、現在の全ての実験と整合しています。 ですから複素ヒルベルト空間に収まらないデルタ関数を避けたければ、大きいけれど有限の次元をもつ状態空間で昇降演算子とそれから位置演算子と運動量演算子を定義すれば、実際の実験と矛盾のしない理論が作れます。
Oct 7, 2022 4 tweets 1 min read
「なぜ量子論では複素ヒルベルト空間が現れるのか?」という問いに対して、実証科学の立場では「なぜ(Why)」を「どうやって(How)」とすることが原則ですね。するとやはり「実験結果から複素ヒルベルト空間が現れる」とするのが自然な理解であり、それを書いているのが『入門現代の量子力学』です。 数学的な立場でのいくつかの前提から複素ヒルベルト空間を出す議論もこれまでいくつかありましたが、どれも実験で検証できる自然な前提だけから導くことはできていないと思います。
Oct 6, 2022 4 tweets 1 min read
量子力学の「観測問題」を論じたい哲学分野の方は、古典統計力学等の確率論を使う他の物理学では、どうして「観測問題」が起きていないのかを、まず考えられたほうが良いと思います。そうすることによって、量子力学に「観測問題」はそもそも存在しなかったと、自然に腹落ちすることができます。 古典統計力学に出てくる確率分布が観測後に収縮することは問題視されないのだから、量子力学で確率分布の集合である量子状態の収縮を問題視するのはおかしいと、普通に思えてくるはずです。

Sep 14, 2022 10 tweets 1 min read
量子力学を学ぶときに、どの入口から始めるかというのは、initiation的にずっと後々まで影響を与えるものです。前世紀のボーアやアインシュタインの議論に基づいた古い教科書で洗礼を受けてしまった方は、「実在」は物理学の大前提と心に刻んでしまうことが多いように見受けます。 アインシュタインが晩年までそうであったように、信じている「実在」の根拠に目を向けない。一種の信仰としてのスタート地点に、実在概念を据えてしまっています。なぜ見ていないときにも月はそこにあると思ってしまうのか?この問いを内省的に深めることこそがその思考の轍から逃れる方法です。
Apr 22, 2022 7 tweets 1 min read
将来のAIが自動生成をする文学作品や映画やアニメが、人の心を感動させる時代が来るのか来ないのか。これは意見が分かれるところでしょうが、「文学とは何か?」「アートとは何か?」という本質問題に、科学的手法が切り込む糸口かな、とは思っています。 実際多くの方が「感動した!」という作品には、割りと共通な構造があったりしますよね。人の心を動かすドラマの盛り上げ方や伏線の配置の仕方、その伏線の回収の方法などには、基本的なパーツが繰り返し使われていて、そういう部分は簡単に機械学習で再現できるかなという気もします。
Apr 20, 2022 6 tweets 1 min read
凄いですね。カナダの友人であるMartín-Martínezさんと、元IQC所長であり、また量子計算で有名なLaflammeさん達が入っているグループで、私が提案をした量子エネルギーテレポーテーション(QET)を実現していると考えられる実験に成功したそうです。

arxiv.org/abs/2203.16269 トランスクロトン酸を使って量子コンピュータの動作をさせる系での実験で、ミニマルなQETを実装したとのこと。転送エネルギー自体の直接測定はされていないのですが、QETの操作後にその系の量子状態トモグラフィーをして、そのエネルギーを推定している話です。
Feb 26, 2022 12 tweets 1 min read
物理と数学の価値観の違いを知りつつ、双方の知識をきちんと基礎から勉強している方は、問題はないのですが、ろくに数学自体の内容も知らないのに、数学な定理とかがあると、その物理的考察もせず、権威として有難がたがり、物理としても正しいと妄信する物理学徒や物理屋には、問題を感じています。 例えば4次元時空の場の理論において、4次のスカラー場ポテンシャルが存在できないという厳密な数学の結果でも、物理学として深く考えずに、自然界にも意味があると思ってしまうような物理屋もいました。
Feb 26, 2022 4 tweets 1 min read
佐藤文隆さんが昔ある研究会で若手に刺激を与えるためかもしれませんが、ゲージ不変性を確かめたという研究発表は「ご苦労様」という感じでしかない的なことを発言して、それを聞いた一部の人達が怒っていました。でもそれは物理の本質を忘れるなという彼一流の表現なのだろうと、自分には思えました。 ゲージ不変性は物理学の基礎原理で、ある計算でそれが破れていれば間違いだとすぐに分かる優れものでもあります。そしてゲージ不変性を保つ計算手法を身に付ければ、手際よく正しい計算ができ、遠くの地平まで目が届くという利点もありますし、ゲージの取り方による間違った物理的解釈も避けられます。
Feb 25, 2022 8 tweets 1 min read
数学とは異なり、物理学の諸概念の定義が分かりにくいのは、ある意味それが物理学という学問そのものの本質だからです。物理学が「物」の「理(ことわり)」を探る学問であるということは、つまり「物」の定義や本質がまだ分かってないからこそ探るということです。数学と違い、物理学は自然科学です。 物理学での諸概念は、その時点まで得られた実験結果からの理解をきちんと踏まえて、それに基づいて暫定的な操作的定義が行われるのです。そしてまた実験できる領域を拡大し、その新しい結果に基づいて、これまでの定義や理論をどんどんと改良していく営みこそが、物理学です。
Feb 25, 2022 9 tweets 2 min read
物理学徒でさえ、数学の美しい形式論に魅せられて、根本を勘違いする人は例年多いのですが、理論物理学は数学の近似ではありません。物理学は実証科学ですので、この視点に立てば、数学のほうが、むしろ自然を記述しようとする理論物理学の近似であるという普遍的事実を肝に銘じてほしいと思います。 美しさを追求しても、それは既に物理的対象の記述を超えたメタでの数学になることは多いです。例えばよく上げる例として、量子力学の位置の固有ベクトルに対応してデルタ関数の扱いもそうで、物理学としては所詮原理的に無意味な領域を、厳密に数学化している側面が強いわけです。
Dec 30, 2021 5 tweets 1 min read
量子力学文庫版教科書で話題のワインバーグさんは、亡くなるまで科学の営みは人間とは独立した真理を教えてくれると思ってたようですね。でも量子力学は結局確率に基づいた情報理論でしかありません。人間が自然を自分なりに理解するために発明した精度の高い言語でしかないのが、量子力学の本質です。 実証科学とは、人間の五感を出発点にして、高度な測定機を使った実験観測を対象に行って、その対象がその反応として返してくるデータを解析するだけの、人間の営みに過ぎません。ですから人間の理解できない自然像は最初から得られません。