Thread by @shirochichi0707

「風の谷のナウシカ」の最も魅力的な登場人物の一人であり、とりわけ漫画版ではもう一人のヒロイン・主人公とすら言えるクシャナ殿下ですが、今回はその「成長」と彼女が目指した「王道」について考察してみたいと思います。
＃ナウシカ

漫画版ナウシカでは、途中（3巻辺り）までどこか浮世離れした理想家（に見える）ナウシカと、実務家・現実主義（に見える）クシャナの対比が目立ちます。とりわけ3巻のサパタ包囲突破戦は軍人クシャナの面目躍如といった感がありとてもカッコいい(　・∀・)ｲｲ!!のです。

そんなクシャナに「異変」が生じるのは4巻。カボの船団基地で異母兄ー自分と母の仇敵の一人ーに鉢合わせた彼女は、普段の冷静さが反転して逆上してしまいます。

異変は続きます。直後、脱出に失敗した兄は艦ごと蟲に襲われ、クシャナの目の前で(恐らく確実に)死んでしまいます。その余りに呆気ない最期にクシャナは呆然自失してしまいます。彼奴らに復讐するために自分はここまで生きて、戦ってきたのに…と。

このあと、クシャナは終盤近くまで生きる目的をほぼ見失ってしまいます。彼女を辛うじて繋ぎ止めるのは今や数少ない部下達を守ることのみーそれすら、まるで死に惹かれるように、ともすれば自分の命をあっさり犠牲にしようとしますが。

結局クシャナは最終巻で、ユパの死と言う大きな犠牲を払いようやく立ち直りますが、ここで問題なのはユパの死でクシャナが何を得たかになります。

実はユパは一環してクシャナを高く評価していました。戦場の現場での経験と人望、的確な現状分析と予測、正しい処方箋(欲望と憎悪に翻弄されない「王道」の追求)。あと彼女に足りないのは憎悪からの卒業と、王道を自ら目指す覚悟でした。

土鬼軍の急進派に襲われる直前、クシャナはユパに言います。憎悪に囚われ続けた自分は今更手遅れだと。それはまだ憎悪に囚われた人生から卒業したくないという、手厳しく言えば駄々をこねるような姿勢にも見えます(どうせ私はナウシカみたいになれないよ、と)。

そんなクシャナに身を呈してユパが示したのは「ナウシカのようになれなくとも、ナウシカと同じ道を行くことはできる」「その道=王道こそクシャナは進むべし」でした。そしてこの場で高まった憎悪を一身に引き受けることで、自身の血でクシャナへの憎悪は清めた(だから後は自分の中の憎悪を捨てよ)と。

これを踏まえると、父ヴ王との最後のやり取りも味わい深くなります。ヴ王は「好きになれない女だったがお前に王位を譲る」と遺言します。さて、ではヴ王はどういう点が好きになれず、またそれでも何故王位を譲ったのか。

恐らくですが、ヴ王は娘の強い憎悪と、その憎悪の復讐以外に「何もないこと」を感じとっていたのではないでしょうか。そんな娘が王になればどうなるか？欲望に翻弄された自分と然して変わらぬーともすればより酷い憎悪と復讐の連鎖になりかねないー惨憺たる治世になることは容易に予想できました。

だがクシャナは変わった。土鬼の艦に乗り、土鬼の民とともにシュワにやってきて、あのナウシカと手を取り合う娘の姿を見れば、瀕死のヴ王も恐らく気づいたのでしょう。娘は何かの試練を経て、憎悪の連鎖を脱しここへ辿り着いたのだと。

そしてヴ王は続けます。「ゴミのような王族・血族の誰も殺すな」と。あのヴ王の発言なのがアレですが、意味としてはユパと同じ「憎悪に囚われず王道を進め(旧弊は自分が墓穴に持っていく)」となります。試練を経たクシャナにとってはこの上ないエールではないでしょうか。

エールはナウシカからもありました。ユパの死を詫びようとするクシャナにナウシカは言います。「全ては終わった。今は全てを始めるときだ」と。そうしてヴ王にクシャナを引き合わせたのも他ならぬナウシカでした。

かくて遂にクシャナは宣言します。王道を開くために祖国トルメキアに帰る！と。それは憎悪と復讐に染まった「幼年期」からの卒業であり、トルメキア中興の祖たる政治家クシャナ誕生のときでもありました。

話は前後しますが、上記の直前、クシャナは「既に新しい王がいるから自分は王にならない」と亡きヴ王に告げます。新しい王とは何か、そしてそれでもクシャナが目指す王道とは何か。

まず「王道」についてはユパも語った、「ナウシカにはなれずとも同じ道は進める」という道行き、言い換えれば「過程」ではないでしょうか。必然、それは「こうだ」という明確な未来図も正解もない、試行錯誤の困難な道筋が予想されます。

そしてそれは墓所の浄化計画という、(現在を犠牲にした)定められた未来(と現在を拘束する過去)を拒否し、困難な今を精一杯生きることを選んだナウシカの「道」と確かに似たものでした。

ではクシャナにとっての「新たな王」とは誰(何)か。そのまま考えれば王=ナウシカになりそうですが、クシャナが選んだ「王道」の険しさ・不確かさを考えれば、その「王」も到達困難で正解の無い人物像ではないでしょうか。

今の人間には到達困難(恐らくは到達できない)だが、何時かは辿り着けると信じるに値する存在。それは漫画版における「青き清浄の地」に近い存在かもしれませんね。

以上、再び長々とクシャナ殿下について考察してしまいました。映画版の悪役堂々たる殿下も、漫画版前半の凛々しく部下想いの殿下も素晴らしいのですが、漫画版後半の苦悩を経て成長する殿下もまた、とても魅力的で、ある意味ナウシカにはない「等身大の主人公」感があります。

そんなクシャナ殿下の魅力を少しでも伝えることが出来たのでしたら、名もなきクシャナ殿下親衛隊志願者のワタクシとしては、これに優る喜びはありません。それでは、ここまでお付き合いいただき、皆様本当に有難うございました。

500ふぁぼ、有難うございます！では、歓呼三声でともに殿下を称えましょう。ラー！ラー！ラー！

1000ふぁぼ有難うございます！というわけで宣伝（?）。トルメキア装甲兵フィギュア、今月末に発売だそうです。第3軍ver.とヴ王親衛隊ver.があるらしいので、これはクシャナ殿下親衛隊志願者としては見逃せませんね(*´Д`)ﾊｧﾊｧ。
figsoku.net/blog-entry-197…

2000ふぁぼ有難うございます。遂に同志が殿下の第三軍1個連隊分に到達…こうなると次は第三軍再建（6000ふぁぼ）を目指したくなりますね。夢は大きく！

3000ふぁぼ有難うございます。いよいよ第3軍再建も夢ではなくなってきましたね（？）。というわけで以下宣伝。当方、殿下親衛隊志願者のほかに、「異端審問官城」というサークル名でビザンツ史や金沢城研究の同人誌を下記BOOTHから出していますので、宜しくお願いします。
shirochichi.booth.pm

4000ふぁぼ、ありがとうございます。今回の連投ですが、予告ツイにも書いた通り、最強の姫騎士=クシャナ殿下というTLを見たのがきっかけでした。姫騎士…騎士といえば騎士道…そういえばクシャナ殿下は王道を唱えていたな…というわけで出来たのが今回です。

6000ふぁぼ有難うございます！遂に第三軍再建が達成されました。さあ、軍団長に歓呼三声！ラー！ラー！ラー！

7000ふぁぼ有難うございます。いよいよ殿下の第三軍にも予備部隊ができてきましたね♪

8000ふぁぼ、有難うございます。これだけの第三軍参加者が…殿下親衛隊がいればヴ王はおろか世界を獲れる…はず！

11000ふぁぼ有難うございます。また、リプや引用リツイで多くの感想を頂き、嬉しい限りです。特にこのツイートがきっかけで漫画版ナウシカを購入した/読み返したという声を頂く度、ガッツポーズしております。では、今日も朝から軍団長に歓呼三声！

12,000ふぁぼ有難うございます。遂に第3軍がもう一つ編成できそうですよ殿下！

13,000ふぁぼ有難うございます！そしていよいよ10時、＃エアコミケ4日目 の開幕です。というわけでクシャナ殿下とともにいざ入場いたしましょう（殿下は待機列先頭につかれていたのか…流石常在戦場のお方（違））