My Authors
Read all threads
#イギリスの文学第3回 友であり同胞である学生諸君、こんにちは。今日はイギリス文学史の第3回です。履修登録者の皆さんは第3回のスライドを見るようにしてください。後半は教科書の使います。
#イギリスの文学第3回 本日は、まず「文学って何」という話をします。別に教員は文学論をしたいわけではなく、ここで大きな声で言いたいのは「文学=小説ではありません!!!」ということです。
#イギリスの文学第3回 少なくともヨーロッパの文芸においては、小説というのは比較的新しい文学形式です。文学には詩、演劇、小説、エッセイなどいろいろなものが含まれます。
#イギリスの文学第3回 まずは詩の話をしましょう。詩というのは定義が難しいのですが、ふつうはリズムや韻など、なんらかの決まった形式を持っている言語による作品です。ただし散文の詩もあるので難しいところですが…
#イギリスの文学第3回 多くの詩はリズムに応じて1行に入る音節数が決まっており、種類に応じて決まったところで韻を踏みます。俳句や短歌、ソネットのような短い詩を思い浮かべがちですが、叙事詩のように長大なものや、シェイクスピア劇のように詩(韻文)で描かれた戯曲もあります。ラップも詩です。
#イギリスの文学第3回 古代メソポタミアの『ギルガメシュ叙事詩』、インドの『ラーマーヤナ』『マハーバーラタ』、ギリシャの『イリアス』『オデュッセイア』、古英語の『ベーオウルフ』などは全て叙事詩です。詩は人類史上、物語を語る上で最も古くから用いられてきた形式のひとつです。
#イギリスの文学第3回 次に演劇にいきましょう。演劇は主に役者の演技などを通して、台詞と身ぶりのライヴアクションを用いて行う舞台芸術です。ただし、稀に役者が一切出てこないものや台詞が一切ないものなどもあります。戯曲というのはその上演台本で、台詞やト書きからなっています。
#イギリスの文学第3回 戯曲は出版するよりは上演することを目的として書かれたものが多いですが、中には上演を想定しないで書かれた読むための戯曲もあります。クローゼットドラマとかレーゼドラマと言います。
#イギリスの文学第3回 ギリシャ悲劇、能狂言、シェイクスピアの主要作品(ソネットなどは除く)などは「演劇」(あるいは広義の戯曲)です。シェイクスピアは小説は書いておりません。注意しましょう。
#イギリスの文学第3回 次に小説です。小説というのは、まあおおむね散文によって書かれた物語です。独立した文学形式として近代小説が発達したのはセルバンテスの『ドン・キホーテ』(スペイン)やラファイエット夫人の『クレーヴの奥方』(フランス)などが出た17世紀以降であると言われています。
#イギリスの文学第3回 ただし、ヨーロッパでは古代ギリシャ・ローマの物語や中世ロマンス、日本では紫式部の『源氏物語』など、近代小説の祖と言ってもいいような優れた散文の物語はそれ以前にも多数見られます。
#イギリスの文学第3回 英語圏では18世紀にダニエル・デフォー、サミュエル・リチャードソン、ジョナサン・スウィフト、ヘンリー・フィールディングなどの活躍により発達しました。
#イギリスの文学第3回 日本には物語の伝統があってこれをひたすら古典の授業でやるので、文学というと小説だと思いがちですが、ヨーロッパ風の近代小説と呼ばれるものが体系的に発達したのは17-18世紀以降です。文学形式としては詩や演劇に比べると非常に新しいものです。
#イギリスの文学第3回 その他に文学、つまり主に言語を用いた芸術作品としてカウントされうるものとして、評論や批評、諷刺文、ノンフィクション、ルポルタージュやジャーナリズム、随筆、自伝や伝記、日記、書簡、紀行文、宗教的な作品(お説教など)、口承文学などがあります。
#イギリスの文学第3回 あと、ひとつ気をつけたほうがよいこととして、英語でliteratureという場合、科学論文などを含めた「文献」全部をさすことがあります。たとえばscientific literatureは「科学文学」ではなく「科学文献」です。
#イギリスの文学第3回 文学=小説だという勘違いをしている人はたくさんいます。ここで私が毎年、授業で批判の対象としている例を出します。鼎談「ライトノベルは文学か」、『藝大我楽多文庫第七集』(2015):4-34です。

osaka-geidai.ac.jp/geidai/departm…
#イギリスの文学第3回 こちらの鼎談に「作品からその作家像を思い描けるのも「文学」の面白さのひとつです」(20)という一説がありますが、古典的な叙事詩や、シェイクスピアの戯曲から作家像を思い描くことはほぼできません。これは文学というのは近代小説だけだという思い込みから出てくる発言です。
#イギリスの文学第3回 この鼎談は「ライトノベルは文学か」という問いを扱っていますが、私のような古典的な演劇の研究者にとっては文学に決まっているだろとしか言えません。なんてったって文字で書いてあるし。身振りやらなんやら、ややこしいものが入ってくる演劇よりよほど文学っぽいでしょう。
#イギリスの文学第3回 もうひとつ例をあげます。Thomas C. Foster, How to Read Literature like a Professor: A Lively and Entertaining Guide to Reading between the Lines (New York: Quill, 2003)という本があります。
#イギリスの文学第3回 この本はトーマス・C・フォスター『大学教授のように小説を読む方法』白水社、2010として訳が出ていますが、この日本語タイトルは間違いです。というのも、literatureですからもともと『大学教授のように文学を読む方法』という意味で、扱っているのは小説だけではありません。
#イギリスの文学第3回 この本はいい本なんですが、日本語のタイトルはおかしいです。なお、続編は続編はHow to Read Novels like a Professor, New York: Haper, 2008でこっちは「小説」です。
amazon.co.jp/%E5%A4%A7%E5%A…
#イギリスの文学第3回 さて、文学は小説だけでないということを頭に入れた後で、古英語の叙事詩の話にいきましょう。教科書がある人は4頁を開いてください。
#イギリスの文学第3回 英語は1066年のノルマン・コンクェストによって大きな変化を被ったため、それ以前の英語を古英語、それ以降から15世紀末くらいまでの英語を中英語、それ以降の英語を近代英語といいます。近代英語の初めのほうを初期近代英語とか近世英語ということもあります。
#イギリスの文学第3回 シェイクスピアの時代の英語は近世英語です。なお、言語の変化は徐々に起こるものなので、いつからが近代英語…といったようにはっきり分けることはできません。
#イギリスの文学第3回 さてさて古英語です。教科書p. 4です。1066年までイングランドで主に勢力があったアングロ・サクソン人の言葉を古英語(Old English、OE)と呼びます。現代英語と全く違うため、英語のネイティヴスピーカーであってもほぼ外国語に近いような形で学習しない限り理解できません。
#イギリスの文学第3回 注意事項ですが、9世紀頃まではイングランドにはいくつか国があり、統一されていませんでした。ちなみに古英語版ウィキペディアっていうのがありますので、見てみてください。
ang.wikipedia.org/wiki/H%C4%93af…
#イギリスの文学第3回 古英語は古い時代の言葉で印刷技術もなかったので、皆無というわけではありませんがものすごくいっぱい写本が残っているというわけではありません。このため、まあ古い言語というのはだいたいそうですが、例文が少なくて意味が判明していない単語とかもあります。
#イギリスの文学第3回 『べーオウルフ』が古英語で一番重要な文学作品です。『ベオウルフ』と呼ばれることもあります。教科書にあるように、8世紀初め頃から吟遊詩人によって伝えられた口誦文学で、10世紀頃に文字として書き記されたという推定がありますが、このへんも議論があり、詳細が不明です。
#イギリスの文学第3回 言われているより成立時期が遅いのではないかとか、いつ写本になったのかとか、とにかくこの手の古い叙事詩というのはわからないことが多すぎるので、非常にたくさん議論されています。作者もわかりません。作者がひとりでない可能性もあります。
#イギリスの文学第3回 内容はデネ(デンマーク)の王家を舞台に、英雄ベーオウルフの事績を描いた長詩です。古英語史上最も有名な作品で、英文学史上重要な叙事詩です。ただ、解読が困難で、物語の理解の根幹にかかわるところについても意味がよくわかっていない単語があったりします。
#イギリスの文学第3回 第一部はベーオウルフが怪物グレンデルと戦って勝利し、さらに復讐に来たグレンデルの母とも戦って倒すというものです(怪物には母子の情なんかないだろうと思っちゃいけません。ありますから)。第二部はドラゴン退治です、勝ちますがベーオウルフご本人も討ち死にします。
#イギリスの文学第3回 もともとは音読で楽しむものなので、冒頭部分を聞いてみましょう。教科書p. 6にテクストがあります。
#イギリスの文学第3回 古英語は勉強しないと全く読めませんので、現代英語の翻訳があります。『指輪物語』の著者でオクスフォード大学教授だった J・R・R・トールキンは『ベーオウルフ』の研究・翻訳をしています。この翻訳は死後の2014年に出ました。
#イギリスの文学第3回 よく教育で使われるのはアイルランドの有名な詩人でノーベル文学賞もとっているシェイマス・ヒーニーが現代語訳したものです。本職の詩人が訳したものなので評判がよいです。こちらにヒーニーウルフを音読する様子を撮った教育用のビデオがあります。
#イギリスの文学第3回 ひとつ注意してほしいのはラテン語の影響力です。ヨーロッパの共通語はルネサンス期までは古代ローマの言語、ラテン語です。日常の話し言葉としては使われなくなっても、キリスト教や学術研究の共通語として使用され、第一言語の違う学者や聖職者同士はラテン語で話しました。
#イギリスの文学第3回 古英語の時代のイングランドでも、修道士などの学識者をはじめとして第一言語ではないラテン語で著述する文人がいました。また、ラテン語起源の単語も多数英語に入っています。
#イギリスの文学第3回 それでは教科書p. 8にいきます。告解王エドワードが1066年に亡くなると誰が跡を継ぐかで紛争が起こります。ノルマンディー公ギヨームがイングランドに攻め込んでハロルド2世に勝ち、ウィリアム1世として即位します。いわゆる征服王ウィリアムです。
#イギリスの文学第3回 ヨーロッパでは地域によって同じ起源の名前でも言い方が変わります。フランス名のギヨームはイギリス名のウィリアムにあたります。私はシェイクスピアの刊本に昔のフランス人が「ギヨーム・シェイクスピア著」ってメモしてる文書を見たことがあります。
#イギリスの文学第3回 これをきっかけにノルマン系の語彙が英語に大量に流入し、古英語から中英語(Middle English、ME)の時代に変わっていくこととなります。もちろん一夜にして変わったわけではありませんが。
#イギリスの文学第3回 中世イングランドにはいろんな作家がいます。『農夫ピアズの夢』を書いた詩人ウィリアム・ラングランド、アーサー王もの『ガウェイン卿と緑の騎士』を書いた名前不明の「ガウェイン詩人」、『恋する男の告解』の著者ジョン・ガワー、聖職者で詩人のジョン・リドゲイト等(p. 9)。
#イギリスの文学第3回 その中で一番のビッグネームがジェフリー・チョーサーです。商人の息子で14世紀末に活躍しました。外交使節の一員として大陸ヨーロッパで教養を積み、イタリアルネサンスに触れるなど、当時としては文化の最先端を知っていた人です。英語で詩作をしました。
#イギリスの文学第3回 主要著作は『薔薇物語』(フランス語から一部英語に翻訳)、『公爵夫人の書』、『トロイルスとクリセイデ』、『良き女たちの伝説』、『カンタベリ物語』(一番有名)です。
#イギリスの文学第3回 とりあえず、チョーサーの作風として一般読者がまず理解しやすいのは、ユーモアのセンスです。中世文学だから真面目だろとか思ってはいけません。アホみたいな話ばっかりだし、一見真面目に書いてるところでもツッコミ待ちか?みたいに笑うところがあります。
#イギリスの文学第3回 『公爵夫人の書』は亡くなった貴婦人の追悼のための書かれた作品なのですが、途中で「どっちがよく眠れるか居眠り合戦」とか、「なんじゃそれ」みたいな話も出てきます。眠りの神モルペウスが登場しますので、『マトリックス』のモーフィアスでも想像しながら読みましょう。
#イギリスの文学第3回 一番の代表作は『カンタベリ物語』で、これは1387年からチョーサーが亡くなる1400年くらいまでに書かれたと考えられています。未完です。長い詩物語なのですが、散文も入ってます。イタリアのボッカチオが書いた『デカメロン』(1353)などと同様の枠物語です。
#イギリスの文学第3回 今でも大変立派な大聖堂のあるカンタベリに巡礼に行く人々が道中、いろいろな話をするという形式です。真面目な話もありますが、非常に下世話なもの、面白おかしいものも多くなっています。すぐに艶笑落語にできそうな話がいっぱいあります。
#イギリスの文学第3回 これも教科書p. 12に原文があります。以下に教育用の朗読音源があり、1:20くらいからプロローグの音読があるので、きいてください。
#イギリスの文学第3回 なお、教科書p. 11にバースの女房の話の解説がのっていますが、この解説は私はおかしいと思います。バースの女房が夫に対する支配権を主張しているところについて「ウーマン・リブの先駆けと言っても良い」とか言ってますが、(続)
#イギリスの文学第3回 ウーマン・リブは夫に対する支配権を主張するものではないし、また私の解釈ではバースの女房の話は全然フェミニストらしくなく、むしろ女叩きが入っている諷刺ものだと思うので。
#イギリスの文学第3回 教科書にもたまに史実と違うこと、現在の一般的な解釈と違うことが書いてあることがありますので、そこは注意が必要です。私がこの教科書にそってしゃべっていることにも、ことによると間違いがあるかもしれません。大学では知的な用心を身につけましょう。
#イギリスの文学第3回 もうひとつ中世で重要なのは教科書p. 11に出てくるトマス・マロリー『アーサー王の死』です。アーサー王と円卓の騎士たちについての散文ロマンスです。ロマンスというのは中世~近世ヨーロッパで流行した騎士物語の類ですが、後世になるとより広い意味で使われるようになります
#イギリスの文学第3回 教科書にあるように、1469-70年頃に書かれ、当初はおそらく写本として流通していたのではないかと考えられています。1485年にイングランド印刷史上の重要人物であるウィリアム・キャクストンが印刷本として刊行しました。
#イギリスの文学第3回 アーサー王ものはこの後の文学に大変大きな影響を与えます。本来であれば、例年はここで『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』か『ロック・ユー!』を見て騎士物語の解説をするのですが、今年は遠隔授業のためこれができません。興味ある人は見てください。
#イギリスの文学第3回 さて、スコットランドのことを少しだけ話します。15世紀の半ばくらいから17世紀の末頃までスコットランドで使われていたゲルマン系の言語(英語の近縁)をMiddle Scots(ミドルスコッツ、中期スコッツ語)と呼びます。スコットランド・ゲール語とは全く異なるので注意してください。
#イギリスの文学第3回 15世紀後半にスコットランド宮廷で活躍したウィリアム・ダンバーなど、スコッツ語で詩作する優れた詩人もいました。ダンバーの詩はこちらで見ることができます。 d.lib.rochester.edu/teams/text/con… あとスコッツ語版ウィキペディアもあります。sco.wikipedia.org/wiki/Main_Page
#イギリスの文学第3回 最後に少し中世演劇の話を。中世ヨーロッパの演劇は古代ローマ・ギリシアの演劇とも、近代演劇ともかなり違い、キリスト教の影響が濃厚です。祝祭時に上演され、ブリテン諸島、イタリア、フランス、ドイツなどヨーロッパのいろいろな地域で発達しました。
#イギリスの文学第3回 この手の中世演劇は、文字があまり読めない一般の信徒にも、聖書の物語やキリスト教的教訓などをわかりやすく伝えることができました。ブリテン諸島においては、宗教改革とともに衰退したようです。
#イギリスの文学第3回 サイクル・プレイと呼ばれるものは、聖体祭(移動祝祭日、5月末~6月末くらいの初夏の時期)の時期に上演されることが多いのですが、他の祝祭に上演されることもあったようです。細かい違いはありますが、天地創造~最後の審判まで、聖書の出来事を題材にした芝居を上演します。
#イギリスの文学第3回 ただし必ずしも旧約・新約聖書に厳密に沿っているわけではなく、伝承などを取り入れた筋立てのものもあります。「それ聖書にないよね?」っていうところもたくさんあります。
#イギリスの文学第3回 残っているサイクル・プレイとしてはN・タウン劇、ヨーク聖史劇(復活上演あり  yorkmysteryplays.co.uk )、ウェイクフィールド(タウンリー)聖史劇、チェスター・サイクル(chestermysteryplays.com )などがあります。作者はわかりません。失われた台本もあると思われます。
#イギリスの文学第3回 上演は山車みたいなものを用いて大がかりにやったということですが、詳細は不明なとこもあります。興味ある方は石井美樹子『中世劇の世界-よみがえるイギリス民衆文化』をどうぞ。シェイクスピアのような劇作家も、子どもの頃にこうしたスペクタクルに触れた可能性が高いです。
#イギリスの文学第3回 降誕劇はイエスの誕生を扱う芝居でサイクルの一部になるのですが、今でも降誕劇はクリスマスとかに教会でやってますね。ちなみに降誕がテーマの芝居や絵画に出てくるマリアの夫ヨセフはたいがい、大変なおじさんです。これはなぜでしょう?(レーニの絵)
upload.wikimedia.org/wikipedia/comm…
#イギリスの文学第3回 これは、ヨセフが若すぎるとイエスの母マリアの処女性が疑われるからです。若くて健康な夫にしてしまうと、やはり若くて健康な妻マリアと性交渉がないというのは信じがたいですよね。ヨセフがおじいさんなら、まあ健康状態でそういうこともあるか…と見てる人が納得するので。
#イギリスの文学第3回 降誕劇では、ヨセフが妻の不倫を疑って大騒ぎするが、やがて神への信仰を取り戻すみたいなものもあります。降誕劇にも笑うところがあるんですね。
#イギリスの文学第3回 それから受難劇もサイクルの中では大事です。イエスが裁判にかけられ、虐待され十字架にかけられて死ぬまでを描きます。反ユダヤ的、あるいは反イスラム的(イスラムってイエスの時代にはないんですが…)な描写があることもあります。
#イギリスの文学第3回 受難劇のことをパッションと言いますが、ドラマティックな題材なので、今でも映画などになっています。アンドルー・ロイド・ウェバーのミュージカル『ジーザス・クライスト・スーパースター』は代表例です。こちらに2012年の歌のクリップがあります。
#イギリスの文学第3回 他にも受難劇のパロディ映画『ライフ・オブ・ブライアン』(1979)とか、ラテン語とアラム語を用いた受難劇映画 『パッション』(2004)などがあります。
#イギリスの文学第3回 オーバーアマガウの受難劇ってのがありまして、疫病流行からの救いを求めて祈るために10年に一度受難劇を上演する伝統で、ドイツの村で17世紀から続いているんですが、今年は新型コロナウイルスで中止だそうです…悲しいですね。
#イギリスの文学第3回 それから寓意を用いて道徳を説く「道徳劇」というジャンルが別にあります。「人間」「万人」などという、人間一般を象徴するような登場人物の魂を、「美徳」「悪徳」などという抽象概念を擬人化した登場人物が争う筋立てのことが多いです。
#イギリスの文学第3回 代表作としては『人間』(Mankind)、『万人』(Everyman、オランダの芝居に基づく)、『堅忍の城』(The Castle of Perseverance)、『生の驕り』(The Pride of Life)、『賢明』(Wisdom)などがあります。抽象概念を擬人化する、というのは演劇に限らず詩や美術でも頻出しますね。
#イギリスの文学第3回 ちなみに『万人』は大スターのチュイテル・イジョフォー主演、桂冠詩人キャロル・アン・ダフィによる現代語台本でロンドンのナショナル・シアターで上演されたことがあります。中世劇とは思えないモダンな美術です。
#イギリスの文学第3回 それでは次回より近世に入ります。参考文献は資料をよく見ておいてください。課題については掲示で指示を出しますので、登録履修者は注意しておいてください。課題が3Sに反映されるにはたぶん4-5限の時間くらいまでかかります。
#イギリスの文学第3回 それではこれで今日のクラスを終わります。パックはおうちに帰ります。
Missing some Tweet in this thread? You can try to force a refresh.

Keep Current with 2020年夏学期武蔵大学「イギリスの文学」授業用アカウント

Profile picture

Stay in touch and get notified when new unrolls are available from this author!

Read all threads

This Thread may be Removed Anytime!

Twitter may remove this content at anytime, convert it as a PDF, save and print for later use!

Try unrolling a thread yourself!

how to unroll video

1) Follow Thread Reader App on Twitter so you can easily mention us!

2) Go to a Twitter thread (series of Tweets by the same owner) and mention us with a keyword "unroll" @threadreaderapp unroll

You can practice here first or read more on our help page!

Follow Us on Twitter!

Did Thread Reader help you today?

Support us! We are indie developers!


This site is made by just two indie developers on a laptop doing marketing, support and development! Read more about the story.

Become a Premium Member ($3.00/month or $30.00/year) and get exclusive features!

Become Premium

Too expensive? Make a small donation by buying us coffee ($5) or help with server cost ($10)

Donate via Paypal Become our Patreon

Thank you for your support!