(続く)
俳優が観客の心の空間に出現させたものだけが、舞台上に存在する。僕はそんな芝居にしたかった。
俳優が抜かなくても存在する実物の刀を使うのも良いですが。しかし思い切って、演じた時のみ全てが存在し得る芝居にしたかったのです
時に役者が観客とともに視線を定める、「ピント」の拠り所として、黒い空間と同じ黒い色の「棒」を使うことにしました。(これで少し俳優の体力も楽になりますし)
まーペダルでもずっと同じことをしてるんですけれども。
「俳優が出現させた時のみ、そこに自転車はある」です。
観客席に折れた先が飛んでいくトラブルを回避し、安全に演じるためにとても良い棒です。
稽古場では僕も随分振らせていただきました。
しかし全体として台本を上手に書くことができず、皆を困らせました…
困らせました…、と言う言葉で片付けられないわだかまりが僕にはずっとありました。
今それがほどけそうな気がしています。
心細い日々が続きますが。しっかり自分を見てゆきます。