▼コロナ後遺症
(Long-COVID)

以前の考察が単発発信の連続でしたので、スレッド形式にまとめていきます。

▶︎原因:いまだ未解明
<仮説>
①免疫特権部位へのウイルス残留
②細胞の瘢痕組織化・線維化
③自己免疫由来の関節痛
④嗅覚障害

以上の4点について
少し手直しを加えながらまとめます。
コロナ後遺症の仮説
①免疫特権部位へのウイルス残留

ヒトには自分の免疫攻撃(炎症)から
自分の臓器を守るために
通常免疫を発動させない部位がある。

具体的には脳、中枢神経系、眼、毛髪、精巣、卵巣など

それらの部位に感染したとすれば、
回復した後でも免疫から見逃されている可能性がある。
果たして
そのような免疫特権部位に
ウイルスが感染しうるのか?

▶︎脳・中枢神経系
イェール大学の研究によって
ヒトの脳神経への直接感染が観察され
実際の死亡患者の皮質ニューロンからも
新型コロナウイルスのスパイクタンパク質が検出された。
➝脳にも直接感染する。
biorxiv.org/content/10.110…
▶︎精巣
(免疫特権部位)

中国医師たちの研究によると
38人の男性感染者のうち
約16%の精子に新型コロナウイルスの痕跡が確認された。

「ウイルスは精巣で増殖できないとしても、免疫特権によって残留する可能性がある」と指摘

➝精巣に直接感染して残留する可能性あり
jamanetwork.com/journals/jaman…
▶︎卵巣
(免疫特権部位)

別の研究によると、
死亡患者への病理解剖で卵巣への感染が確認された。
doi.org/10.1093/nsr/nw…

また、
新型コロナの侵入口となるACE2受容体が
卵胞の5つの段階(原始,一次,二次,グラーフ,排卵前)
すべてにおいて発現することも確認された。
biorxiv.org/content/10.110…
▶︎卵巣【補足】
(免疫特権部位)

ただし、
別の論文によると
卵巣細胞におけるACE2発現率は低いため
卵巣細胞に新型コロナウイルスが感染する可能性は低いとする見解もある。

今後のさらなる研究を待ちたいところです。
doi.org/10.1371/journa…
なぜ、
新型コロナは免疫特権部位へ感染できるのか?

▶︎答え
ヒト細胞のACE2(画像の金色)を
細胞への侵入口に使用するため

新型コロナのスパイク蛋白質
画像のピンク突起がACE2の「偽の鍵」となって扉が開いてしまう

やっかいなことに、
ACE2はほぼ全身で発現するため
➝免疫特権部位も感染しうる Image
結局のところ
新型コロナはACE2から細胞に侵入する
▶︎これが私たち人類にとって
「極めて痛いところ」を突かれており、

①免疫特権への残留のみならず、
これから考察する残りの3つ
②細胞の線維化
③自己免疫疾患(関節痛・慢性胃腸炎など)
④嗅覚障害

これら全てを引き起こす出発点となっている。
ACE2補足
ウイルスのスパイク蛋白がACE2に結合したあと
ウイルスが細胞に侵入するためには
ヒト細胞側にTMPRSS2という酵素(セリンプロテアーゼ)が必要となる。

つまり、
ウイルス感染には
ACE2とTMPRSS2の両方が必要。

ただし、ここではいったん
考察の複雑化を避けるため
追記するにとどめます。
以上では、
ACE2が発現する場所であれば
そこが免疫特権部位であったとしても感染した実例を挙げた。

▶︎免疫特権によって免疫から回避され、
ウイルスが残留している可能性がある。

※TMPRSS2がなければ感染しない説もあるが
難解化回避のため、
いったんACE2があれば感染しうると仮定します。
それでは、
もし免疫特権部位にウイルスが残留しているとすれば
どのような対処法があるのか?

▶︎脳・中枢神経
最重要の器官である脳は
BBB(血液脳関門)という
必要な栄養は通すが有害物は通さない
バリアで守られている。

本来は薬の成分でさえ通さないBBBだが、
新型コロナは通っている。
なぜ?
▶︎脳・中枢神経
困ったことに
血液脳関門BBBの上皮細胞にも
脳血管にもACE2が発現する。

脳への感染が確認された症例では
新型コロナウイルスが
体内に侵入
➝血流にのって脳血管に到達
➝BBBのACE2を利用して浸潤
➝脳実質へ侵入
➝脳細胞に感染

以上のように考えられている。
▶︎脳内のウイルス駆逐

それでは、BBBバリアで守られている
脳や中枢神経系に残留するウイルスをどうすれば排除できるか?

BBBは脳に必要な栄養素は通す。
脳にとって有害な物質(細菌・薬など)は通さない

この特徴を考えると
ウイルス阻害力をもつ栄養素があれば
有効性を期待できるのではないか。
まずは、
ウイルス阻害力のある栄養素を考察するにあたって

プレプリントではあるが
インド Era大学の研究をおさらいしたい。

この研究は各栄養素が
どれ程の度合いで新型コロナウイルスへ結合するのかをシュミレートしたもの。

結合力が高いほどウイルス阻害力が高くなる
researchsquare.com/article/rs-195…
シュミレーション研究では、
新型コロナウイルスのスパイク蛋白や
メインプロテアーゼなど7箇所に対する結合力を測定。

緑茶成分EGCGの結合力が際立って高く
クルクミンやケルセチン、グルコサミンにも結合力があることがわかる。

日本語まとめは以下を参照ください。
marinne.net/egcg
研究結果をみると
20成分(植物18種・医薬品2種)の中で
EGCGが新型コロナの7つの蛋白質
全てに対して結合親和性が最も高い。

ウイルスは結合されることでその機能を失う。

例えば
イベルメクチンはメインプロテアーゼへの結合を目的
ファイザーのワクチンはS蛋白に結合する抗体の産生を目的としている Image
▼脳への透過性①
上述の研究から
どの栄養素にどれ程のウイルス結合性
=阻害力があるかが仮定された。

脳内の残留ウイルスへの考察にあたっては
▶︎その栄養素が果たして脳へ到達するのか?
これが次なる課題となる。

脳は必要な栄養素以外が入らないよう
BBB血液脳関門によって守られている。
▼脳への透過性②
そこで、
新型コロナウイルスへの結合阻害力をもつ
上位10成分のBBB透過可否を調べてみた。

▶︎結果
確認できた限りにおいて、
誘導体などへの分子変化をさせない
純成分としてBBBを透過できる成分は
10成分のうち5成分が確認できた。
▼脳への透過性③
※インビトロの結果
※ウイルス阻害力が高い順

▶︎EGCG:4%が到達

▶︎アピゲニン:
マウス実験で透過を確認/数値不明

▶︎ケルセチン:65.54%が到達

▶︎ダイゼイン:
「透過」できる/数値不明

▶︎ゲニステイン:
「ある程度」透過する/数値不明
各栄養素の脳への到達度合いに関しては
以下の論文を根拠とした。

▶︎EGCG:4%が到達
katosei.jsbba.or.jp/view_html.php?…

▶︎ケルセチン:65.54%が到達
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/14980703/

▶︎その他3成分:
「透過する」との記載はあるものの
残念ながら、具体的な数値の記載はなかった。
以上のように
コロナ阻害上位10成分のうち
脳への数値が明確
▶︎EGCG
▶︎ケルセチン

残りの3成分は「数%」など不明確
5成分は記載自体が確認できなかった。
脳ケアにあえて使う必要はないかも。

11-18位成分の脳到達は
独力では検証が追いつかず一旦留める。

論文等あれば追記で非常に助かります Image
▼脳・中枢神経
残留ウイルスへのアプローチ案

このように脳内到達率を考えると
EGCGよりケルセチン(QCT)が優位かもしれない。

<S蛋白阻害力 / 脳到達レベル>
▶︎ EGCG:8.66 / 4%
▶︎ QCT:6.59 / 65.54%

新型コロナウイルスへの結合性
=阻害力 はEGCGの方が高いが
脳到達はQCTが圧倒的に高い。
【補足】
脳・中枢神経へのアプローチ

ただし、
EGCG・ケルセチンによる阻害作用は
主に細胞外での話であり
細胞外のウイルスが主な標的だと考えている。

これまで何度も発信してきたように
細胞内の残留ウイルスを阻害する栄養素は亜鉛。

亜鉛は亜鉛イオノフォア成分によって細胞内へ届けられる。
生活習慣予防協会も発表しているように
亜鉛は、ウイルスの複製に必要な
RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)を直接阻害する。

RdRpはウイルスがヒト細胞内で産生する物質。

細胞内に十分な亜鉛があれば阻害できるが、
亜鉛は単体では細胞内へ入れない。
イオノフォアが必要。
seikatsusyukanbyo.com/main/opinion/p…
幸運にも
EGCG・ケルセチンQCTには
亜鉛イオノフォア作用もある。

※医薬品基準値を100
EGCG:62% QCT:32%
詳しくは『理科の時間』で解説済み
marinne.net

▶︎脳へのアプローチ
細胞外での直接阻害とイオノフォア作用
総合的に判断すると
EGCG・QCTの両方補給でより可能性が高まる。
日本生活習慣病予防協会によると
・亜鉛は免疫機能に必須
・亜鉛は必須微量元素(ミネラル)のひとつ

もちろん、
脳の細胞にとっても必要な栄養素であるため
BBB脳関門も通過する。

ウイルスRdRpの阻害だけではなく、
亜鉛+EGCG+ケルセチンによって
一石二鳥、三鳥の効果をねらいたい。
さて、ようやく次は
②細胞の瘢痕組織化・線維化の考察へ入ります。

コロナ後遺症はメカニズムが複雑で
なかなか話が進みませんね(汗)

感染後も続く息苦しさは
先述①の残留ウイルス再活性と
この②からきている可能性。

瘢痕(はんこん)組織とは、
簡単にいうと火傷あとのケロイドのようなもの。
ウイルス感染によって
細胞が破壊された範囲が広いと
主にコラーゲン(線維蛋白質)によって修復
➝瘢痕組織化する。

残念ながら、
瘢痕化した細胞は移植でもしないともう元には戻らない。

また、免疫がウイルスと戦っている状態
=「炎症」の長期化によってもコラーゲンが産生
➝蓄積➝線維化する。
つまり、
コロナ感染によって細胞が壊死
➝瘢痕組織化
には至らなかったとしても、
炎症が長期にわたれば細胞が線維化する可能性がある。

この線維化は特に肺で確認されており、
復旦大学付属病院の研究によると、
回復した患者の約7〜8%に重度の肺線維症が確認されている。
nature.com/articles/s4140…
日本国内でも
国立近畿中央呼吸器センターの医師は
「感染後肺線維症」を指摘。
medical-tribune.co.jp/rensai/2021/01…

また東京大学医科学研究所も
新型コロナに感染して回復したネコが
無症状でも肺の炎症が4週間続いていたことから
ヒトにおいても炎症が長期化する可能性を発表した。
ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/about…
瘢痕化・線維化した細胞を
元に戻すことはほぼ不可能
・炎症の長期化
・炎症中の線維化
これらを抑える必要がある。

新型コロナ感染の炎症による
線維コラーゲンの過剰蓄積の予防法としては
炎症中期からの抗線維化薬が有効との研究があるが、抗線維化薬には肝毒性もある。
hindawi.com/journals/pm/20…
抗線維化薬の併用は
炎症の長期化による線維化予防には有効そうだが、
肝毒性は悩ましい。

他の論文を検索してみると
日本人研究者による興味深い研究がヒットした。

緑茶成分EGCGが
線維化の強力な原因となるTGF-βを抑制したとの研究。
※TGF-β:サイトカインの一種
kindai.ac.jp/bost/files/res…
▼線維化のメカニズム

免疫がウイルスを探知
➝炎症性サイトカインの放出
➝炎症
➝他のサイトカインを誘発
※線維症の促進因子TGF-βはココ

➝筋線維芽細胞が活性化して集積
➝線維化

▶︎吉田教授の研究では
EGCGがTGF-βの受容体へ結合
➝TGF-βを活性化させないことを確認
wjgnet.com/2220-315x/full…
【補足説明】
サイトカインとは
もともと体内にあるタンパク質。

免疫に関わる情報
「炎症を起こして敵をやっつけよう!」
「そろそろ炎症し過ぎだから鎮めて!」
これらの情報を伝達して
免疫が機能するために必須の成分。

炎症/抗炎症のバランスが崩れると
線維化、慢性胃腸炎などの障害が起きる。
▼線維化因子TGF-βの抑制
ケルセチン(QCT)もTGF-βを抑制する。

EGCGがTGF-β受容体への結合で抑制するのに対し、

QCTはTGF-βが発信する情報タンパク質
:SMADを阻害することで仕事をさせない。

例えると、
TVのリモコンを押しても
電波が阻害されてTVがつかないようなもの。
ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/P…
▼線維化因子TGF-βの抑制
ビタミンD
※疲労回復さんご教示

EGCG・ケルセチンに加えて
ビタミンDもTGF-βを阻害する。

作用メカニズムはQCTと同類
TGF-βが発出する情報シグナル蛋白質
:SMADを抑えることで抑制する。
ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/P…
つづいては、
③自己免疫疾患由来のコロナ後遺症
について考察をすすめます。

自己免疫疾患とは
自分の免疫が自分の細胞や臓器を
過剰に攻撃してしまう疾患。

具体的な症状
・倦怠感
・呼吸困難
・関節リウマチ
・血管炎
・慢性胃炎
・潰瘍性大腸炎
・無精子症
・習慣性流産
・膠原病(総称)など
▼自己免疫疾患の原因

【現段階で解っていること】
本来は自分を守るためにはたらく
ヘルパーT細胞が
「自分を過剰攻撃するT細胞」に変化するため。

この「自分を過剰攻撃するT細胞」は
「Th17細胞」と呼ばれ、
サイトカインのバランス崩壊がひとつの発生原因とされている。
jst.go.jp/pr/announce/20… Image
「自分を過剰攻撃するT細胞」
:Th17細胞はどのように誕生するか?

東京医科歯科大学や
慶応大学の研究によると

まだ刺激を受けてないT細胞が
Ⓐ IL-6(インターロイキン6)
Ⓑ TGF-β の刺激を受けることが必須。

ⒶⒷはともにサイトカインで
コロナ感染によって過剰放出される可能性がある。 Image
Ⓐ IL-6 は、
主に炎症に関わる成分で
これが出っぱなしだと炎症が長期化する。

Ⓑ TGF-β は、
前述した線維化や細胞増殖に関わっている。

この2成分の刺激増加
➝Th17細胞の増加
➝免疫疾患が発症と考えられる。

▶︎つづいて、
コロナ感染によって
なぜサイトカインが過剰となるかを考察します。
▼新型コロナ感染による
サイトカイン過剰メカニズム

※かなり省略します。

ヒト細胞のACE2が
ウイルスによって使用中となる結果
→ IL-6アンプ(増幅回路)なるものが起動する。

他のウイルスでもIL-6は増加するが
新型コロナではアンプによって驚くほどに増幅される。
igm.hokudai.ac.jp/neuroimmune/jp…
▼IL-6アンプ
増幅回路のメカニズム

省略はしたが、興味ある人向けに。

新型コロナウイルスの
細胞侵入口であるACE2。

本来のACE2は何をしているか?

アンジオテンシンⅡ(AngII)
という成分を受け入れる受容体で、
血圧を調整している。

ACE2受容体が
新型コロナに奪われた結果どうなるのか? Image
ACE2受容体が
新型コロナに奪われるとどうなるか?

①ACE2受容体が新型コロナで埋まる

②ACE2受容体に結合するはずの
血圧調整AngIIがフリーとなる

③AngIIが別の受け皿であるAT1Rへ結合

④細胞に備わる酵素:ADAM17が起動

⑤ADAM17がTNFα・IL-6を活性化

⑥IL-6アンプが起動する

▼北海道大学 Image
新型コロナと自己免疫疾患
▶︎IL-6アンプが正体

以上のように、
コロナ感染によって
IL-6アンプが起動してしまうと
IL-6が過剰に産生される。

「アンプ」とは、あるものを増幅する装置。

音楽をする人に馴染み深い
YAMAHAのアンプは「音」を増幅する装置。

IL-6アンプでは、IL-6が増幅される。 Image
▼なぜ新型コロナ感染で
自己免疫疾患を引き起こすか?

以上の考察から
①コロナ感染によるACE2の占領
②行き場を失ったアンギオテンシンⅡのAT1Rへの結合
③IL-6アンプの起動
④IL-6の大量生産

▶︎結果
→自己攻撃T細胞Th17の量産化
→自己免疫疾患
例:リウマチ関節痛・慢性胃腸炎の発症
となる。 Image
結局のところ
新型コロナはACE2から侵入する

▶︎これが私たち人類にとって
「極めて痛いところを突かれた」ことになる

さらに変異株は
スパイク変異によってこの能力を高めた。

▼結 果
IL-6の過剰放出
→自己攻撃細胞Th17産生
→自己免疫疾患へとつながる
・関節リウマチ
・膠原病
・慢性胃炎など Image
コロナ感染による自己免疫疾患
▶︎改善策への考察

とにかく、
Th17細胞を減らせば、
自己免疫疾患は抑えられるはず。

そのためには以下の2つが重要
❶Th17細胞を減らす
❷Th17細胞をつくらせない

※そもそも感染しなければ後遺症もない。
ここでは感染したことを前提に改善策を考察します。
❶Th17細胞を減らす

残念ながら、
このT細胞を直接的に阻害したり
減少させる成分はまだ発見されていない。

間違って自分を攻撃するTh17細胞は
健全なT細胞が特定の刺激を受けて分化したもの。

▶︎直接阻害はできないが、
その「刺激」を抑制することで
新たなTh17の誕生を減らすことはできる。
❷Th17細胞をつくらせない

健全なT細胞がTh17に変化
その要因となる「刺激」を抑制

▶︎医薬品
ウステキヌマブ
刺激:IL-23を抑制
➝Th17への分化阻害
※完治した過去のウイルスへの
再感染リスクあるため医師の診断必須

▶︎植物成分
EGCG(エピガロカテキンガレート)
詳しくは次回、解説します。
❷Th17細胞をつくらせない
EGCGは以下のダブル効果あり

▼Th17誕生のメカニズム
(イラスト参照)
①IL-6の刺激を受ける
②STAT3という転写因子を発現
③Th17細胞になる

▶︎EGCG
①刺激:IL-6
②因子:STAT3
両方への阻害性をもつ
➝Th17つくらせない

タフツ大学の研究から
researchgate.net/publication/51… Image
▼亜鉛も転写因子STAT3を抑制するとの研究報告。
(理化学研究所)

▶︎亜鉛はSTAT3を直接阻害する
➝転写「因子」を阻害することで
IL-6による「刺激」があったとしても
T細胞がTh17細胞になるのを抑制する。

※STAT3は細胞内シグナル
➝細胞内亜鉛の作用ということになる
researchgate.net/publication/51… Image
▼自己免疫細胞Th17の抑制
(まとめ)

▶︎直接阻害できる成分はないが、
「つくらせない成分」は存在する。

・刺激となるIL-1/IL-6を抑える成分
・刺激を受けて発動するSTAT3シグナルを抑える成分

ここでは、
亜鉛や緑茶成分EGCGなど
生活に身近な栄養素による阻害作用を
その一例として紹介した。 Image
【余談】
Th17細胞をつくらせないためには
ウイルスとACE2の結合を阻止することが最善だ。

ACE2結合がなければ、
IL-6アンプの起動も起こらず
サイトカインのバランス崩壊も起こらない。

▶︎ACE2結合を阻止する有力手段
:抗体
抗体はウイルスのスパイクに結合して
ACE2に結合できないようにする。 Image
つまり、
ACE2に結合される前に
抗体のような物質がスパイクに結合していれば
ACE2結合を阻止できる。

これは結局、
「感染させない」ことも意味している。

▶︎スパイクに結合する抗体を
体内でつくるために接種するのがワクチン。

また抗体そのものを
人工でつくる抗体医薬の開発もすすんでいる。 Image
ACE2に結合される前に
スパイクに抗体が結合できれば
▶︎ACE2から細胞感染されない
▶︎ACE2不足によるサイトカイン過剰が起きない
のだからこれが最良だ。

しかし、
それはウイルスもよく知るところ。

変異株は
スパイクの構造を変化させており
E484Kに至っては
抗体価が約10倍も低下している。
これはウイルスとワクチンの
「いたちごっこ」だから仕方ない。
インフルもそうだった。

重要なことは抗体価は下がるが
ゼロになったわけではないということ。

ワクチンの抗体で足りないなら補えばいい。
▶︎EGCGやクルクミンなど
S蛋白②④⑤へ結合する成分は存在する。

数打てば当たる総力戦だ。 Image
ようやく最後の項目
④嗅覚障害についての考察です。

嗅覚障害は
他のウイルス感染でも特にめずらしいことではない。

ただし、従来は2〜4週間程度で治るが、
コロナでは多くの長期事例が報告されている。

この原因メカニズムにも
自己免疫疾患と同じように
サイトカインの不均衡が指摘されている。
また稀な事例ではあるが
直接感染。

新型コロナウイルスは
ヒト細胞側にACE2受容体があれば感染しうる。

嗅覚を伝える嗅神経にもACE2は発現する
➝嗅神経が直接感染されて広範囲に壊死
➝コラーゲンなどの結合組織で修復される

こうなると、
嗅覚が完全に元通りに戻ることはないだろうと考えます。
▼嗅覚障害の改善
破損した嗅神経が
結合組織に置き換わっていなければ、
時間の経過とともに改善されるはず。

改善を促進するためには
自己免疫疾患と同様に
感染によって不均衡となった
免疫サイトカインを整えることが重要。

特に嗅覚障害に関しては
大きな原因に嗅上皮の脱落が指摘されており、
脱落した嗅上皮の再生には
サイトカインが重要な役割を担っている。

▶︎TGF-β
前述の細胞線維化では促進因子となったが
上皮細胞の増殖においては
逆に抑制する因子としてはたらく。

つまり、
TGF-β抑制➝嗅上皮の再生が進む理屈

抑制方法は線維化の項目で考察した通り。
コロナ後遺症まとめ
▼最大の原因
ACE2から細胞に侵入される

▶︎ACE2発現細胞への直接感染
①免疫特権部位へのウイルス残留
②細胞の瘢痕組織化
④嗅神経の破損による嗅覚障害

▶︎ACE2占拠によるサイトカイン不均衡
②長期炎症による線維化
③自己免疫疾患の発症
④嗅上皮の長期欠落による嗅覚障害
コロナ後遺症
期待される改善策
①免疫特権部位
:脳・中枢神経へのウイルス残留
脳内到達率を考えると
細胞の内外両方でケルセチン(QCT)に期待か。
QCT/65.54% EGCG/4%

▼細胞外
S蛋白阻害力
EGCG/8.66 QCT/6.59

▼細胞内
亜鉛を届けるイオノフォア作用
医薬品基準値を100
EGCG/62% QCT/32%
コロナ後遺症
期待される改善策
②細胞の瘢痕化・線維化
▼線維化済み
残念ながら改善不可
※広範囲の場合は移植手術

▼線維化前
▶︎新型コロナ治療中からの
抗炎症薬・抗線維化薬(肝毒性あり)の投与
※医師による診断が必要

▶︎緑茶成分EGCGによるTGF-β抑制
※TGF-β:強力な線維化因子
コロナ後遺症
期待される改善策
③自己免疫疾患
原因細胞Th17をつくらせない

▶︎ウステキヌマブ
因子:IL-23を抑える抗体製剤
※すでに回復した感染症や癌の
再発リスクがあるため医師の診断が必須

▶︎EGCG
❶刺激:IL-6
❷因子:STAT3
両方への阻害性をもつ

▶︎細胞内亜鉛
❷因子:STAT3を抑制 Image
コロナ後遺症
期待される改善策

④嗅覚障害
脱落した嗅上皮の再生を促進するため
サイトカインTGF-βを抑制したい。
※嗅神経が結合組織で修復されていない場合

【期待される成分例】
▶︎EGCG
TGF-βの受容体へ結合➝抑制

▶︎ケルセチン・ビタミンD
TGF-βが発信する情報シグナルSMADを阻害
➝抑制
【追記】
4月6日 英医学誌『THE LANCET』
▼回復者236,379人を調査
新型コロナ発症から半年以内に
回復者の33.62%が神経・脳疾患を発症していた。

内訳(一部抜粋)
▶︎脳内出血:0.56%
▶︎脳梗塞:2.1%
▶︎精神障害:23.98%

血栓による脳梗塞が50人に1人の計算となる。
thelancet.com/journals/lanps…
▼23.98%を占める精神障害
内訳(抜粋)
▶︎気分障害:13.66%
▶︎不安障害:17.39%
▶︎精神病性:1.4%

この論文には原因については言及されていない。

神経・脳疾患の原因としては、
当スレッド①で考察した免疫特権部位
脳・中枢神経系への直接感染と残留が
ひとつの可能性として考えられる。

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