Thread by @worldofyuki

米英の西洋古典学・西洋古代史で起きている諸議論は、米国での動きの一環だと思います。現代の倫理では容認できないが、古代世界では一般的だった物事(例：奴隷制・帝国主義的研究領域それ自体）を研究・教える際にはどうするべきかという議論も続いています。
gendai.ismedia.jp/articles/-/749… #現代ビジネス

だからこそ、「Classics」という白人男性研究者がこれまで占めてきた研究の枠組みそのものをも一度取り払い、新たに学問を構築しなおす方が良いのではないか？という意見も出てきているわけです。

He Wants to Save Classics From Whiteness. Can the Field Survive? nytimes.com/2021/02/02/mag…

議論は続行中なので、今後の方針はわかりませんが、ここ数年でThe Women's Classical CommitteeやThe Asian and Asian American Classical Caucusが設立されたのは（他にも色々あるでしょう）、現代社会での動きがきっかけです。古代世界を研究する者として、議論を注視していきたいと思います。

https://twitter.com/pharosclassics/status/1377289589899976706?s=20

フーコーがキャンセルされるのか否かがここ数日議論されているけれど、西洋古代史・聖書学研究でフーコーと同様の行為をして逮捕・立件された研究者は一様に「キャンセル」されつつある（特に米国で）。彼らの中には古代のジェンダー研究者もおり、研究者の行動と研究内容がリンクしているからだそう。

難しいのは、「何等かの害を加えた研究者がキャンセルされた」ということを知らない研究者が、注などを付さずに文献引用等をした場合に、加害者と同様の思想を支持していると見なされてしまうかもしれないということ。いくら注意をしていても、見落としてしまうことは当然あるので、難しい。

「研究業績と研究者の人格・行動は別」という立場も、「被害者が受けた苦悩や、一生苛まれ続けるであろう苦しさ」もわかるからこそ、注が必要な場合には注を付けたい。一方で、「もしも何か見落としていたら？」という不安は常に付きまとう。ガイドラインが欲しい。

※ここでいう「注」は、なぜ「誰か・何かに害を加えた（とされる）研究者」の論考や思想を引用・使用するのかを説明する注のことです。

今回の議論の背景として、約5年前の記事が参考になると思います（一度シェアしていますが、再掲）。
記事の題は「研究者は、倫理的・人道的規範を逸脱した研究者の業績を引用するべきか」です。

Should academics cite those who have breached moral and humane borders? theconversation.com/should-academi…