Thread by @armyghobby

9/15にミサイルを発射した鉄道発射式ミサイルの発射機は中国P61型有蓋車(北朝鮮名称ユ12形)を改造、あるいはこれに擬装したものです。
#北朝鮮 #ミサイル
#北朝鮮の鉄道 #チョソン鉄道

中国・北朝鮮の鉄道に馴染みが薄い方も多いと思うので、基礎的な部分も含めて車両について少し解説していきます。

【貨車の正体】
2両の茶色の車両の外観は中国のP61型有蓋車に酷似しています。北朝鮮では中古車が『ユ12(유12)』という形式で使用されており、よく目撃される貨車の一つです。
P61型有蓋車(P61型棚车)は中国国鉄が1967年に開発した最初期の60t積み有蓋車で4500両程が製造されました。
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→余剰となった車両が北朝鮮へ放出されいると見られ、近年多数が北朝鮮国内で目撃されています。他の中古中国製貨車と共に丹東(中国)～西浦(平壌郊外)の国際貨物列車にも充当されており、2021年5月に一部の国際列車が再開したと報じられた際にも当形式が撮影されています。
google.co.jp/amp/s/news.tv-…

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【原型との差異】
通常のP61との形態上の差異としては、①側面に増設された排煙用扉、②片側2箇所設けられた床下のアウトリガー、③開閉式の天井、④車内の発射機、⑤車内中央の隔壁　が挙げられます。原型では板張りの車内も格子状になっているため、構体にも手が加えられているかもしれません。→

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【鉄道車両の製造能力】
北朝鮮は蒸気機関車以外の鉄道車両を自国製造する能力を持ちます。現在では、基本的に機関車と旅客車両は平壌、貨車は元山の工場で製造されています。→
画像:平壌の鉄道工場

→電気機関車については、1960年代には量産を開始しています。以降はほぼ自力で調達しており、高い電化率の鉄道網を支えています。最も知られる車両は、ポーランドあるいはチェコスロバキアの機関車を参考にした「赤旗1号」型電気機関車とその派生型で本線用の主力形式となっています。→
画像:赤旗1号

→ 【貨車の製造】貨車は遅くとも1963年には自国製造がされており、有蓋車や無蓋車をはじめとした各車種が製造されています。日本統治時代、4軸車は30t積が一般的でしたが、現在は隣の中国と同様に60t積が一般的となっています。1987年には100t積8軸無蓋車「ム12(무12)」が開発・量産されています。→

→ なお、日本の4軸貨車はコンテナ車の場合、28～48t積みが一般的です。
北朝鮮の貨車の形式称号は「車種記号+番号」で表され、無蓋車(무개차)は「무」、有蓋車(유개차)は「유」、車掌車(차장차)は「차」という記号とされる場合が多いですが、形式自体が書かれない場合も多くあります。→

→【中国からの中古車両輸出】
2000年代から中国で余剰となった多数の中古車両が北朝鮮に渡っています。特にディーゼル機関車と貨車が多く、ソ連崩壊に伴う経済停滞で荒廃した車両群の更新を担っています。
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画像:もと中国C62型無蓋車などを牽引する内燃225号機(もと中国 東風4型)。

訂正:225→228

→【牽引車両はソ連製M62】
M62形はソ連が製造したディーゼル機関車で、ソ連や周辺国で運用されました。北朝鮮では1967年から断続的に導入され、新製と中古車、コピー生産車両が使用されています。のちに一部は電気機関車に改造されました。→

画像:セメント列車を牽引するM62

→ 今回使用された車両は角型ライトボックスをもつ車両のため、DM62かM62UPだと考えられます。DM62はソ連・ロシアが鉄道発射式ICBMを牽引するために製造したタイプです。仮にDM62だった場合、当初から鉄道発射式ミサイルの導入を念頭に置いていた可能性も検討に値するのではないでしょうか。→

→牽引車両の同定に関してはMichael Duitsman氏のTweetが詳しいのでこちらを参照してください。
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https://twitter.com/duitsywashere/status/1438303011646828547

→個人的な意見ですが、近年増えた東風4型などの中国製ディーゼル機関車ではなく、角型ライトボックスのM62を選択した点には何らかの意図を感じます。とはいえ当初から鉄道発射型ミサイル牽引を念頭に導入したものなのか、たまたま適した車両があったのかは分かりません。→

過去のツイートの一部はまとめてあるので、お時間のある方は、興味のある方はどうぞ。
togetter.com/id/armyghobby
togetter.com/id/armyafutetsu

→M62は北朝鮮において最も一般的なディーゼル機関車であり、139両程度が導入されました。このうち内燃602号機は金日成の現地指導を受けたため丁重に扱われており、メディアへの登場も頻繁です。2007年に南北朝鮮の鉄道が接続運行された時には、越境列車を牽引しました。
afpbb.com/articles/-/222…
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→因みに、2013年にハサン(ロシア)〜羅津の鉄道が改修された際の記念列車にはロシア所属のM62(連結型の2M62)が使用されています。M62は北朝鮮の表舞台に何かと縁のある車両でもあるのです。しかし、発射で使用されたタイプが重要行事へ登場したのは初めてのように思います→
shikoku-np.co.jp/national/inter…