高齢の患者さんが複数のクリニックを掛け持っており。処方を見ると、どの外来もたぶん、「ある症状を本気で治そう」というよりも、「多分薬はいらないけれど患者さんが欲しがるから、当たり障りのないものを処方しておこう」的な意図が感じられ。
患者さん自身は「いくつものクリニックに通うのが大変だった」とおっしゃるけれど、じっさいにはたぶん、この人は症状の解消を求めてクリニックに通っていたのではなく、おしゃべりの機会を購入する方便として、症状を用いていた側面が少なからずあったように思う。
おそらく「おしゃべりの機会」を購入したいという独居のお年寄りはそこそこ多いのだろうけれど、こういう人に、有償のおしゃべり代行業みたいなものを提案しても、買わないんじゃないかと思う。それを買うのは、おしゃべりの相手がいないことを認めてしまうことにもなってしまうだろうから。
言い訳としての「症状」があり、仕方無しにクリニックに出向き、主治医と世間話をし、受診料を支払う。おしゃべりの機会は得られ、保険が効いてお得だし、何よりも「おしゃべりの機会をお金で買う」という状況を迂回できるし。購買への閾値を下げる触媒的なものがないと、需要は収益を生み出せない。
手厚い顧客サービスを売りにする家電量販店なんかも、あれは家電を売るのではなくコミュニケーションの対価に家電を販売する側面もあるのだろうし。地域のケアマネージャーが転職するときに、手土産として名簿を持参する可能性はないんだろうか？
• • •
Missing some Tweet in this thread? You can try to
force a refresh
