Thread by @rottenegg0115

「ねぇ、0.01%なんだって」
「えっ、なに？」
「ヒーローがタマゴを持ち帰る確率。0.01%」
「へー…、明里そういうことよく知ってるよね。」

明里は #DFK を始めて出会ったDiscordの友達。
彼女はGen0持ち、僕はヒーローを未だ買えていない。
僕たちは中学生だった。

彼女の送ってくれたnoteを見て入国し、僕はなけなしのお小遣いで、庭に種を植えてみた。

僕は彼女が好きだった。彼女も僕のことを気にしてくれていた。
この種が実を付ける時、きっと僕らの関係も艶やかな緑色に包まれる、そう思っていた。

でも、王国民は僕らの関係に反対だった。
Gen0持ちの彼女と農民の僕とでは、住む世界が違う、そう言ってヒーローを持たない僕を嘲笑った。

悔しかった。タマゴを手に入れて、みんなを見返してやる。クリスマスにプレゼントして、僕たちは結ばれるんだ。

そう決心してから、僕の毎日は一変した。

起きたらまず庭に水をやり、種を増やして庭を必死に育てて$JEWELを貯めこんだ。
これ集めればタマゴと替えてくれるって、Zadaっておじさんが言ってたんだ。

それから毎日Zadaおじさんに声をかけた。
「これで買えますか？」「たりねえな」
僕は諦めなかった。来る日も来る日も庭を耕した。
気づいたら手元には200J貯まっていた。

でも、直接は取扱ってくれないらしい。 GOLDに替えてこいと、無愛想に突き放された。
そんな...替えるっていったって、どこで？

Matoya「僕なら替えてあげられるかも」

広場で絶望に佇んでいると、一人の若いお兄さんが声をかけてくれた。
「え！ほんとう！？じゃあこれ全部お願い！」
僕は両手に握りしめたありったけの$JEWELを、Matoya兄さんに手渡した。

「んー... プラインすごいけど、いいよね？」
なんのことかわからない。とりあえず頷いた。
「はい、5万GOL・・・」

言葉を最後まで聞き終わる前に、奪うようにお兄さんの手からもぎ取り、一目散におじさんの元に駆け寄った。あとで謝りにいこう。

「これでタマゴをください！」
「まさか、、根性あるじゃねえか...」
おじさんは、驚いた顔で色んな色のポーションをぶら下げたコートをチラ見せしながら、金色のタマゴを取り出した。
「ほらよ！一個しかねえから大事にしろよ」

やった！ヒーローなんて要らなかったんだ！
これで彼女と結ばれる！

真っ白な雪が降っている。
半年ぶりに彼女と待ち合わせた場所は、どうやら異国の地のようだ。

あたり一面が雪の国。ここの農民たちはどうやって庭を育ててるんだろう？
そんなことを考えながら、雪山奥地にあるといわれる聖なるサークルに向かった。

ここはどうやらヒーローレベルを上げる儀式をするところらしい。
彼女は丁度Gen0のレベルを上げたばかりで、ウキウキした顔で話しかけてきた。
「ひさしぶり。しばらく見ない内に焼けた？」
「うん、君に渡したいものがあって、毎日頑張ったんだ。」
「なに？ラブレター？」
「ううん、これ」

僕は大事にポケットに入れていた金色のタマゴを、彼女の前にさし出した。
「欲しがってたでしょ。あげる！」
彼女は、驚いた顔をして、言葉が出てこないようだ。

へへっ、そうだろう。タマゴなんて珍しいもの、まだ見たこともないはずだ！

「違うの。」
「えっ、気にしないで！さわってみなよ！」
「この色じゃないの。欲しかったのは、青とグレーのタマゴなの」
目の前が真っ暗になった。
fin.

Special Thanks to:
Zada （左）& Motoya（右）