まぁ、なんらかのアレな映画が話題になった時に出てくる「デビルマン」だが、あれも監督がすでにこの世になく、「死人に口なし」になったところはあるが、いろいろ背景を伺わせるものがあるんだよなぁ。
そもそもが件の監督、「ビー・バップ・ハイスクール」の実写版なんかの人で、そこでの評価はむしろ高い。
全6作作られ、ファンからも支持され、新人だった主演の仲村トオルは大きく知名度を上げた。
ちゃんと実績のある人なのだ。
んで、なんでもこの監督、最初は「セーラームーン」の実写化をしようとしていたと。それも当時人気だったモーニング娘を出演させて。
そこからわかるように、「エンタメに全ふりした娯楽映画」を作りたかったと思うのだ。
正直、やはり2000年代はまだまだ「マンガアニメの実写版」はやや一段低い扱いで、「人気原作という下駄のおかげで一定の収益が見込めるので企画が通りやすく、演技力の乏しい新人を使いやすく、また原作の人気キャラのポジティブイメージにあやかりやすい」的な味方が強かった。
「邦キチ映子さん(六巻収録エピ)」でもネタになっていたが、「現代舞台のラブコメ(ちょっとH系)」の実写化率が意外と高いのも同じような理由で、「それなりに固い」企画なのだ。
ちなみにやや話はそれるのだが、これ系の企画はやはり「お色気」が強く、同時に「実写化作品はやや落ちる」の印象もあり、なにより映像使用料が妙に高いので、そのせいもあって黒歴史化が激しいそうな。
テレビで画像を使うだけで十万以上する。
まぁ要は、90年代末までなら、この監督の企画方向性はさほど間違っておらず、「観てちゃんとおもしろい」ものを作れただけ、実はまだ「アレ」や「それ」よりも遥かにマシな人だった。だが、この時期がいろいろ悪かった。
そもそもが2004年前後、デビルマンも含めて、「残念な実写化邦画」がけっこう多かった、一部識者など、「聖杯戦争でもしてんのか?」とツッコむほどだった。
だがこの遠因はどこにあるのかと。
この前段階で、ハリウッドでは「X-MEN(00年)」「スパイダーマン(02年)」「ハルク(03年)」さらに「X-MEN2(03年)」など、ヒーローコミックの映画化が大ヒットしまくっていた。
無論、それ以前もヒーローコミックの実写化映画はあったが、新時代を彷彿させるVFXによるド派手なアクションと子どもやヒーローファンだけでなく、一般層まで大きく取り込んだ重厚な演出ストーリーは、現在に至る大きな潮流となった。
まぁぶっちゃけ、この流れに「乗っかろうと」したのではと・・・「名前は知っているがどんなお話かよく知らん」だったアメコミヒーローですら大人気だったのだ。国産のお尻の小さな女の子やニンニンや20で8号とか実写のアクション作品にしたらイケるのでは・・・と。
まぁでもこれも邦画界隈ではよくあることみたいで、その大きな理由が「上を説得しやすい」なのではなかろうかと。日本は総じて前例主義なので、企画を通そうとしたら「海外ですでに同ジャンルがヒットしているのでいまならいける」は、判子押す人には通じるんですよ。
「デビルマン」もそうですが、このテの話をすると出てくる「北京原人」も然りで、「タイタニックが公開された年にアレぶつけるってなんじゃそら!?」と今では思いますが、
どうもあの当時、「遺伝子操作で蘇った古代人がなんやかんや」な企画がハリウッドで進んでおり、それこそ「ジュラシックパーク」級の大ヒットは間違いないと下馬評が立てられていたそうで、それに「乗っかった」企画だったのではと・・・
二番煎じというのもなかなか難しいもので、「二番」ならともかく「三番」だと大きく下がります。速さが命、タイミングが全て! 二位じゃなきゃダメなのです。なのでその情報を聞きつけた段階でスタートしたのですが・・・
その大本の企画自体がお蔵入りになってしまい。
「柳の下のどじょうを釣りに行ったら柳がへし折れていた」というのが、この顛末の真相だったと。
一番煎じがない二番煎じなんだからそらああなりますよという。
「デビルマン」も似たようなものだったのではと・・・
「海外でコミック原作のアクション映画が大ヒットしている」
「日本もその流れに乗っかろう」
そのためのイケそうな知名度の高い原作使用権を探したら、「デビルマン」が見つかった。
その段で「誰に作らす?」となった。
「そういや前に、マンガの実写化したいって企画上げてた監督いたな」
「前もマンガの原作実写化でヒット出している人ですよ」
「なら問題ないな、決まり」
ってな感じで、白羽の矢が立てられたのだと。
まぁここまで来るとわかろうというもので、
「良くも悪くも娯楽エンタメ作ろうとしてた人に、ハリウッド大ヒット大作映画みたいなん作れとオーダーされ、ついでに事務所売り出し予定の双子タレントを主役にしろ。マンガの実写化ってそういうもんでしょ」という、状況に立たされていたのが件の監督と。
ちなみに、「デビルマン」のプロデューサーは、「北京原人」と同じ人です。
要は、「昔のノウハウしかない人が、最新の作品の二番煎じを作らされ、にも関わらず昔と同じ材料しか渡されなかった」という話です。
醤油と味醂と鰹出汁しかないのに、ビーフシチュー作れと命じられたようなもんです。
これが料理なら、見様見真似で肉じゃがが誕生し、「これはこれで美味しい」になったかもしれません・・・と言いたいとこですが、「肉じゃがはビーフシチューが起源」は実はただの都市伝説です。
実際はそんなことはありませんし、なりません。
肉じゃがの材料しかないのにビーフシチューを作れと命じられた料理人が、がんばったが出来たのが、「肉じゃがでもビーフシチューでもない、なんだかよくわからないもの」が、映画「デビルマン」だったのではと・・・そう考えると、哀愁すら感じる話です。
ちなみに、監督はお亡くなりになりましたが、脚本担当だった奥様は、その後日本アカデミー賞で優秀脚本賞を受賞しています。「肉じゃが」の人としては、間違いなく優秀な方だったんですな。

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