Gakushi Fujiwara / 藤原学思 Profile picture
Feb 27, 2022 28 tweets 7 min read Read on X
1) NY時間の日曜午後、また安保理会合があります。1月31日以来、6回目となります。

ただ、今度は少し趣旨が異なります。「国連総会緊急特別会合」という名の場を設けるためのものです。聞きなれませんが、かなり珍しい形態です。

大事な会合なので、整理をしておきます。

asahi.com/articles/ASQ2V…
2) ご承知のように、安保理は25日、ロシア非難決議案を通すことができませんでした。ロシアが拒否権を行使したからです。

それに対し、ウクライナのキスリツァ国連大使が、総会決議に基づく緊急特別総会招集の手続きを、安保理理事国に求めました。

この手続きは1950年に国連総会決議で定められたものです。要約すると、

「国際の平和と安全の維持に対し、安保理が機能不全になった場合、議論の場を総会に移すことができる」

というものです。1956年以降、10件しかありません。

un.org/en/ga/sessions…
4) 召集には安保理か、国連加盟国193カ国の半数からの要請が必要です。

そこで安保理として要請すべく、決議採決のために会合を開くわけです。米国とアルバニアがすでに、決議案を配布しています。

手続き的な話なので拒否権の行使はできません。9カ国の賛成で事足ります。

5) 安保理から、最後に「総会緊急特別会合」が要請されたのは、国連によると、1982年です。

実に40年ぶりとなります。

要請から24時間以内の開催になるので、NY時間月曜午後までに開始されます。

6) 2014年、クリミア併合の際には、通常の国連総会会合が開かれ、ウクライナの主権や領土保全を尊重するとの決議が採択されました。

当時の表決は、賛成100、反対11、棄権58。

これと今回のものを比べると、どれぐらいロシアが「孤立」しているか、それを示す目安になるはずです。
7) 欧米諸国は棄権に回りそうな国にロビー活動をしているはずです。

総会決議に法的拘束力はなく、「ロシアは撤退を」と書かれていても、実効力はありません。

ただ、プロセスが可視化され、1人でも多く「声を上げねば」と感じてもらうことが重要だと、そう感じています。

asahi.com/articles/ASQ2V…
NY時間日曜午後3時。安保理会合が始まります。フランス大使が会合前声明。

「2日前、ロシアは拒否権を行使した。82もの国々が名を連ねた決議案だった。紛争による人道的な結果についても懸念している。あす午後、この点についての安保理会合を開く」

7回目の安保理会合も決定。
ウクライナのキスリツァ大使、会合前に報道陣の問いかけに応じ、外相のコメントを読み上げる。

「(ロシアとの)交渉の結果として、平和と戦争の終結が実現すれば、我々は幸せだ。ただ、もう一度強調しておきたい。私たちは諦めないし、屈服もしない。領土を1㌅足りとも手放さない。それがゴールだ」
そして早速採決にかけられます。

賛成=11カ国
反対=ロシア
棄権=中国、インド、UAE

昨日の結果と変わらずでした。
採択後の発言、米国から。

「この数十年で初めてとなる、緊急特別会合の開催を要求した。ウクライナを助けるため、特別な行動をとる必要がある。ロシアに対し、核兵器に関する危険なレトリックを抑えるよう求める。立ちあがろう。できることをすべてやろう。ウクライナの子どもたちのためにも」
共同提出国のアルバニア。

「5行の短い文章だが、その意義は歴史的なものだ。大きな扉を開き、発言し、不当な、純粋な侵略行為を非難するのだ。世界に耳を傾け、何が許され、何が許されないのか、明確で、強いメッセージを送ろう。いまこそ、過去の過ちから学ぶべきときだ」
フランス。

「安保理が国際の平和と安全に主要な責任を追うことは変わらない。それを国際社会は、連帯と法の支配の優位性において、団結を示す義務がある。フランスはウクライナ、その国民に、揺るがぬ立場をとっている」
アイルランド。

「先日は11カ国の明確な意志があったにもかかわらず、無力にさせられた。恐ろしく悲劇的な状況において、時代錯誤の拒否権を行使するというのは非難されるべきことだ、また、安保理の正統性を損なうものでもある。ウクライナの人々を失望させるわけにはいかない」
メキシコ。

「拒否権があらゆる場面において特権であってはならない。何度も主張してきたが、その責任は非常に大きく、また、デリケートなものでもある。メキシコは全面的に緊急特別総会の召集を支持する」
棄権票を投じた中国。

「安保理は、ウクライナ問題の解決に建設的な役割を果たすべきだ。緊張の高まりを回避する外交的解決を促進するべきだ」

ごくごく短い説明で終わり。ウクライナ危機に関与し過ぎたくないのだろう。
英国。

「きょうの結果を歓迎する。ウクライナへの侵略を非難しようと世界が一丸となった。ロシアはそれを止められない。またも孤立してしまった。ロシア軍は即時撤退を」

やはり棄権が3だと、「孤立」はなかなか厳しい。
棄権したインド。

「ウクライナの状況がさらに悪化していることは遺憾。外交と対話の道に戻る以外の道はない。両国が階段を実施することを歓迎。状況を相当的に勘案し、棄権することを決めた」

官僚レベルの高い答弁。
ノルウェー。

「ロシアの行動は受け入れらない。間違っている。ロシアは侵略者だ。金曜日、安保理は責務を果たせなかった。侵略者自身による拒否権によって失敗した。ロシアが戦闘を無条件に、完全にやめることを求める」

インドの後だと歯切れがよく聞こえる。
ブラジル。

「タイミングと平和への貢献度という意味で疑問があるが、賛成した。そうした懸念は、国連憲章、安保理の役目を尊重し、それを守るのだという不退転の決意から死生じている。まだ、全ての外交的ツールを使い果たしてはないのではないかという信念を損ねるものではない」

やはり不満も。
ガボン。

「無辜の人々に想いを寄せている。自分で選んだわけでもない戦争の恐怖に苦しむ人々、自宅や故郷を離れた人々。民間人、民間施設に対する攻撃を深く憂慮している。即時停戦、誠実な対話の再開を求める」

犠牲者がいることをやはり忘れてはならない。
棄権したUAE。

「対話と外交こそが相違を解決する唯一の道であるという信念を持ち続けている。会談開始のニュースを歓迎する。人道支援者へのアクセス維持を。主権、独立、領土保全の尊重は絶対的に必要」

やはり棄権の理由がよくわからない。
ガーナ。

「外交が戦争に勝利する必要性を指摘することから始めたい。対話の維持を強く求めたい。我々が賛成したのは、この世代のためだけでなく、二つの世界大戦で血を流してくれた人たちのためでもある。」

すごくまっすぐな言葉。
唯一反対のロシア。

「安保理で建設的な解決策を見出そうとする気配が見られない。2日前も一方的でバランスが悪いという理由で拒否権を行使したが、新たな構想が見られない。拒否権は特権ではなく、世界全体にとって極めて有用な利害のバランスを保つためだ。この場でも嘘と欺瞞、偽りが気になる」
ウクライナ。

「少なくとも16人の子どもが死亡。35万人もの児童・生徒が、学校に通えない状況になっている。ロシアの侵略によってさらに死亡したり、暴力を受けたりするのをやめるためにあらゆる措置を」

捕虜になっているロシア兵について、ロシアからの相談受付の電話番号を読み上げ。
国連総会議長が会合の日程について発表。

緊急特別会合は「要請から24時間以内」と決まっている。開始はNY時間28日午前10時。18時間後…。

さらに午後3時からは、人道状況についての安保理会合。まだまだ山場が続く。

「異例」という言葉を使いすぎているかもしれませんが、異例の日曜の安保理会合で、異例の国連総会会合が決まりました。

「平和のための結集決議」に基づく総会会合が開かれます。安保理の要請では、実に40年ぶりになります。最大限の圧力をかける試みが続いています。

asahi.com/articles/ASQ2X…
国連や安保理は、ウクライナ危機に対して何ができるのか。国連を専門とする国際関係学者に聞きました。

国連の武器は"naming and shaming"、名指しして恥をかかせることだと言います。公の場で、いかに間違っているかを批判する。まさに、欧米諸国が試みていることです。

asahi.com/articles/ASQ2W…

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