日本では4学年ほど子宮頸がんワクチン接種率が比較的高い年代がある、今の22歳から27歳になる。その年代でどの程度子宮頸がんが減少しているかのデータはもう少ししたら出てくることになるから、それはおいといて。

普通に考えたところは当たり前どころか医学的標準からかけ離れているので解説。
『子宮頸癌はウィルスが子宮内膜の表面で増殖』
まず、表面は『上皮組織』ということであればいいとして。子宮頸部の特殊性は、膣側の重層扁平上皮と内膜側の単層上皮の移行帯であることです。HPVは基本的には重層扁平上皮に感染するウイルスですが、この移行帯に→

感染すると非常にがんになりやすい細胞があって、その細胞に感染することが子宮頸がんの原因になってます。大雑把に言って、HPVが感染するのは子宮内膜細胞ではないし、子宮内膜由来のがんではないです。扁平上皮―円柱上皮境界(S-Jジャンクション)由来のがんとするので、この辺からなんかズレてます→
感染細胞やがんになってしまった細胞にワクチンが誘導する中和抗体は全く有効でないのですが、
『ワクチン打って血中にできた抗体が子宮内膜へ到達するかい?』だからワクチンが効かないというのは的外れです。
でも、血中の中和抗体が表皮への感染を予防できると思います?→
1930年代には、ウサギパピローマウイルス(UPVじゃないよ)を用いた実験で、パピローマウイルス感染症はワクチンで予防できることは示されてました。HPVが子宮頸がんの原因であることがわかってから、ワクチンの開発においてはイヌパピローマウイルスが大活躍します。ワクチンを接種すると体の表面の→
皮膚に感染するウイルスの感染を予防できるって不思議ですよね。実際マウスを使った実験で、感染防御の主体は血中の中和抗体であることが示されました。実際そうなのだから、理由はどうでもイイのですが(ウイルス学者としてはどうでもよくない)、パピローマウイルスが感染するときには皮膚の→
一番底にある基底層に一度接着してウイルスが感染性を持つように変化するステップが必要である、その過程が比較的ゆっくりで中和抗体で捕捉される弱点になっていると考えられています。

こっちで説明してます。


普通に考えたらだけでは決してわからないので、よく調べてみたら実は面白かったということです。

通算パートナー数が増えることはHPV感染リスクは増えます。でも、ピルは関係ないし、コンドームもHPVの感染予防の点からはあまり期待できません。→
HPVに感染すること、高度異形成・子宮頸がんになることに関して、不適切な・不用意な性行動があったとする観点から議論することは偏見の原因になってきた黒歴史があるので、はっきり言って不適切です。

ほとんど人が感染するのですよ。

『大事な若年者を犠牲にしてまでビジネスを展開する奴らに腹が煮えくり返る』

この一文には全く同感しますが、それまでに述べられたことが理由であるのであれば、的外れに聞こえますが。どうなんでしょうね。

5学年あるみたい、95年から99年生まれ。
基底層→基底膜の間違い。

恥ずかしい(あ、言わんかったらばれんかった?)
SCジャンクション😢🥲

あれほど推敲しろと

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Apr 9
特に推進しているわけではないけど、なぜ男性に積極的に推奨していないか。残念な理由がある

男性女性関係なくどちらも、できれば初交前に、それ以後もなるべく若いうちに接種したほうが、HPV感染症の負担がひとつ少なくなった人生にすることができます。それがわかった上で、現時点では若い女性→
定期接種対象者とキャッチアップ対象者を中心に推進しているのが現状のようです。
①公費補助がない場合非常に高価なので経済的に接種できないという方がいるのは当然で、無闇やたらに進めることができない。少なくとも定期接種対象には早期にしてほしい。公費補助がでれば全力で推奨されるでしょう→
②ワクチンが足りない。次の3年間の女性のみでも、定期接種・キャッチアップ接種対象者全体の6割くらい確保しているのがギリギリでないか?男性女性両方に接種するワクチンがないのですよ。現実的には、男性と女性どちらがHPV関連疾患の負担がより大きくて、どちらを優先した方がいいかを考えたら→
Read 6 tweets
Apr 8
20代の子宮頸がん検診が女性にとって有利と言えるのか?

高度異形成の発症ピークが今の検診率でも30歳未満にあることを考えると当然の問いです。結構難しい問題ですが、できるだけ行ってみます。

まず検診の利益としては①がんになる手前の前がん病変(高度異形成)を予防的に治療することで→
子宮頸がん自体を予防する②がんを早期(低ステージ)発見で発見することによって子宮頸がんによる死亡を予防する、になります。子宮頸がんはHPV感染症の特殊形態であることがわかった(そしてそれを見つけることができる)ために、検診によってがんの罹患率が下がるかなり特別な疾患であり検診です
実現可能性とコスト(不利益)を度外視すれば、子宮頸がんは検診だけで結構いい線まで予防できます。
先日ワクチンの死亡率に対するRCTやるべきという話がありましたが、検診が機能した場合は死亡率は大きく変わらないと考えれるので差が出ません。検診を行わない国では差が出ますが、これだけ効くと→
Read 21 tweets
Apr 7
どんな理由であろうと、正しい情報に基づいた判断であれば正しいと言える。正しい情報に基づいていれば…

元noteの英国に関する記述だけ確認した範囲では、ほとんど出鱈目です。21年末に報告された、12/13歳で85%が接種した集団で9割弱の子宮頸がんと97%の高度異形成が減少した報告をみれば→
ほとんど間違いだった(データを曲解したためそうなった)のはわかるのですが、一つだけ解説。

『全国統計によりよると2016年20〜24歳の女性の子宮頸がんの発生率が急激かつ有意に増加したことが示されました』これデータだけ見ると正しい。なんでだと思います?ワクチン接種したから?

まさか

20代の子宮頸がんなんて、検診で見つかるのがほとんどです。検診を受けないなら症状がでて30代で見つかります。英国の初回検診は25歳だったのですが(25〜のがんとして診断される)、2016年に初回検診年齢が24 .5歳に変更されました。その結果…はい、20−24歳で子宮頸がんと→
Read 8 tweets
Oct 24, 2021
山のようにあるがどこから行こうか。

保険当局にメールで聞いて、”書類がありませんでしたー”みたいな簡単な話じゃない。何人もの研究者の仕事と、積み重なったエビデンス・議論のその果てに現在のおよそ”正しい”だろうといっていいことは存在する。

HPV1から行ってみようか。→
HPVは見つかった番号順に名前がついている。つまり、HPV1は最初にHPVとして同定・分離・遺伝子のクローニングがされたものになります。

あと、なぜHPV1がHPV1になれたかと言うと、一番発見されやすかったからです。HPV1は俗に”ミルメシア”と呼ばれる特徴的な足底疣贅の原因ウイルスになっていて→
その輝かしい特徴の1つは、ウイルス産生量が多いこと。そのためにウイルス分離が試みやすかった。イボ集めてきてすり潰してきて電子顕微鏡で除けばウイルスがウヨウヨいますからね。
そこから、分離同定してきたウイルス・ゲノムを報告したものがこちらの論文→

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/6281972/
Read 8 tweets
Oct 23, 2021
『恐怖を煽る』のところがよくわかりませんが、生涯罹患率1.3%の子宮頸がん、3.5%の高度異形成は単なる事実として、95%以上のひとが罹患しないというのが、公衆衛生上の問題でないとすれば、ワクチン(検診すら)出番はないかなと。
そうだとすれば、おせっかいでした。申し訳ない。
検診やめるのも手です。高度異形成罹患率0%になります。子宮頸がんの罹患率は2倍。死者は…進行がんで見つかることになるので、相当増えそうです。

それでも圧倒的に多くの人が『がん』になりません。つまり、検診も恐怖を煽っていることになるのかもしれませんね。

疾患の特性から、せっかくワクチンを接種するなら初交前、集団で見ると思春期前がいいのでどうしても対象は特定の年齢になります。これは、他のワクチンも一緒。
ワクチン接種は受けた人がリスクも利益も享受しますし、その逆もそう。特に「打たせたく」はないけど、「打ちたくなる」と思ってます。
Read 4 tweets
Oct 23, 2021
色々基本的で当然出てくる質問だけどしっかり伝わっていないことたち

『それは日本人の統計ですか?』
日本人を含めた世界全体の統計になります。地域で微妙に割合は変わりますし、真の意味でどの程度違うのか曖昧な部分は残っていますが、ざっくり同じ傾向だと思っていいです。

『皮膚接種、便座共用でも移る可能性を示唆した医師がいましたが』
基皮膚接触やものを介した感染もあると思っていいです。結局のところ頻度の問題で、幸いにも性的接触以外の感染伝搬の寄与が低かった。ワクチン接種者で2世代回すとそのような感染リスクも減るでしょう。

『ならば接種前になぜ抗体を調べないのですか?』『抗体があるならやる必要はないと思いますが』

当然こう思いますよね。色々な点でHPV感染症には当てはまりません。
①抗体があると言うことは、以前感染したということで、ざっくりその型に関しては手遅れ。抗体があると言うことは感染を排除した→
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