平畑光一 Profile picture
Apr 10 34 tweets 3 min read
#ME/#CFS#PS について「こんな感じ」というのって、ちょっと勇気がいるんですよね。日本のそうそうたる先生方が、苦労してコンセンサスを形成してつくられたスケールだと思うし、長年疾患と付き合ってきた患者さんからすると「その解釈は違う」と感じられることも多そうで。
つまり、「PS●の人はこんな感じ。そういう人はこのくらいの活動量が目安です」というのって、偉い先生方からも患者さんからも怒られてしまう可能性がかなりあって、難しいなぁ、と思うんです。
けど、だからといって黙っていれば、今、まさに症状が進行中の #コロナ後遺症 の患者さんたちの不利益に
なってしまいかねないなぁとも思うわけです。
ということで、あくまで「3800人くらい診てきた時点での平畑が考える、#コロナ後遺症#ワクチン長期副反応)の人ではこういう風に考えるといいんじゃないかな」目安として、思いつくままに書いてみます
「それは違う!」と思う方もいらっしゃると思います
が、あくまで「目安」なので、「まぁそういう人もいるよね」くらいで眺めていただければと思います。
PS 9
ほとんど動けない、トイレすらも厳しい状態の方々だと思います。おむつとか、別途サイドのポータブルトイレとかを利用するような状態です。
体を支えてもらいながら清拭をしてもらうということも多いです。ひどいときは指一本動かせません。
基本的にはオンライン診療だけで支えるのは厳しく、
訪問診療の併用が必須と思います。が、実際に利用できるかどうかは地域にもよるでしょうし、経済的にきついという場合もあるかもしれません。こういうところを政治に何とかしてもらわないといけないと常々思います。
本来なら、大きな病院に入院して、しっかり他の疾患でないかどうかの検査をして、
必要があれば習熟した医師のもとで点滴でステロイドを使うなどの処置が望ましい状態と思います。が、そういうことができる病院は、日本国内にはそうそうないような気もします。やってくださるところはぜひ名乗りを上げていただきたいですし、厚労省はそういう研究を推し進めてほしい。
食事も大変だと思います。流動食がやっとということも多く、命にかかわらないように、どうやってカロリーを確保するか、というのが大事な命題になることも多いです。
PS8
トイレまでは何とか歩けるが、あとはあんまりできない、というような状態です。テレビのリモコンが重かったりします。ペットボトルのふたなんて絶対開けられないんじゃないかなと思います。ご家族の介助、理解がないとかなり厳しい。ない場合は社会の福祉サービスを
利用しなければいけないと思いますが、すぐにそういうサービスが受けられる地域ばかりではないと思うので、こういうところも早急に改善が必要と思います。疾患としては、正しく治療すれば改善の見込みも十分あるので、フルのサービスの利用期間は短く済む可能性が十分にありますから、
何とかならんかな、と思うところです。
やはり入浴はかなり厳しい。場合によっては、介助があればシャワーくらいはできることがあると思います。あとでクラッシュするようなら、やはり清拭にしてください。
食事はやはりなかなか摂れないことも多いです。食事も運動なので、なかなか大変かと思います。
PS7
トイレに行ったり食事をしたり、といったところについては問題なくできる状態です。ただ、掃除とかをし始めると一気に悪化するのでまだ駄目です。スマホを見る時間も相当制限しないと悪化の原因になりやすいです。入浴はやはり厳しいですね。髪の毛などはご家族に洗ってもらう方がいいと思います。
食事はある程度摂れますが、やはり相当気を付ける必要があるでしょう。逆流などもしやすいので、インフィニティチェアでずっと過ごすなどの工夫も必要かと思います。
調子がいいときに家事をしたくなることも多いかと思いますが、基本的には無理です。ごみとか持つと一気に悪くなったりしがち。
#コロナ後遺症#ワクチン長期副反応)は腕を使うと悪くなることが多いので。
力をこめないで生活することを心掛けてください。
たぶん、トイレでいきむのもきついと思います。お通じが硬くて辛ければ、酸化マグネシウムなどを処方してもらって、お通じを柔らかくするといきまずに済んでいいかも。
PS6
調子がいいときなら少し家事ができます。でも、できるからって、続けて掃除機なんてかけちゃダメ。一部屋掃除機をかけたらしばらく休んで、また次の部屋を掃除して、という感じで、続けて作業をしないようにしてください。力をこめるのも、やっぱり駄目です。
休む時間は長くとりましょう。できるだけインフィニティチェアか、それに近い形で休むとよいです。
お風呂はまだきつい場合がほとんど。特に洗髪は負荷が強いので、まだ家族にやってもらう方が安全かと思います。
この段階では、ほとんどの方で何かに集中することが危険です。
パソコンとかスマホとかテレビとか、まだあまり触らない方が安全。
そもそも座っていること自体が運動になってしまう段階だと思います。座るときは運動になってしまうことを意識して。
今は休むことが仕事で、軽い家事が息抜きです。筋肉が落ちるのが心配かもしれませんが、
軽い家事をするだけで精一杯なのに、筋トレとかは無理。プロテインを飲んで家事をするだけでも十分筋トレだと思って、気長に取り組んでください。
PS5
家事がある程度できるけど、仕事とかは無理、という段階です。この段階で仕事ができるのは、現場にちらっと顔を出して簡単な指示を出せばいいだけの社長さんくらい。複雑なことを考えなきゃいけない場合は、作業時間が短くてもまず無理かなと思います。
このくらいの段階で、働きたくなってしまう方が多いですが、よくばっちゃだめです。この病気は順番が大事。回復してからやることを増やす。
回復する前にやることを増やすと症状が悪化してしまいます。
シャワーは大丈夫な方も多いかもと思いますが、この段階でも毎日はきついことが多いかと思います。
PS4
ギリギリ在宅での仕事が可能になってくるレベルです。ただし、画面の光が無理、という方は仕事はまず無理かなと思います。(画面を見ないで済むタイプの在宅の仕事があれば別ですが…)
散歩などの運動をしたくなる方も多いと思いますが、博打だと思ってください。
屋外は、帰ってくるのに時間がかかります。ヤバいと思ってすぐに休めないところに行くのはリスクでしかないので、やむを得ないとき以外は自宅から離れた場所に行かない方がいいです。
「仕事復帰するために散歩をしている」という方も多いですが、見回りの仕事など、歩行することが仕事でない限り、
それは社会復帰を遅らせるリスクになることはあっても、早めることにつながりません。
(なお、近くに日光浴スポットがある場合には、積極的に日光浴はしてもいいと思います。)
勉強も同じですね。リモートの授業は受けられると思いますが、リアル登校はかなりリスクになると思います。
入浴はある程度できることが多いと思いますが、だるくならないように、疲れないようにという工夫が必要だと思います。普通にドライヤーを使うのはまだ無理だと思うので、置いて使うか、ご家族にお願いするかするとよいでしょう。
PS3
在宅の仕事であれば、たいていの仕事ができることが多いレベルです。ただし、短時間で判断を求められるような仕事、長い面談やミーティングが多い仕事だと、難しいことがあると思います。たとえば、多くの方とweb面談をしなければならないという場合、それが30分以内で済んで、
一人面談するごとに5~10分休める、という場合には大丈夫な可能性があります。ただし、1日の業務についてまとめた報告書を書かなければならないといった場合には、面談業務後に1~2時間休んでから報告業務をさせてもらうというような配慮を、職場の方と相談してお願いした方が無難です。
このレベルでも、画面を見ることがつらい方は結構いて、その場合には、やはり業務が難しい場合が多いです。
通勤が必要な場合でも、歩いて5分の所に事務所があって、3~4時間の事務作業をするだけ、といった場合には、就業が可能な場合があります。このあたりはケースバイケースですね。
入浴はそれほど問題にならないことが多いかと思いますが、だるくならないように、疲れないように気を付けることが必要なことは変わりません。
また、いろいろと余裕感が出てきて注意が緩みがちになりますが、食事などに気を付けないと、胃酸逆流がひどくなって復職が遠のいたりしがち。

こちらの動画などをよく見て、胃酸対策もばっちりしていきましょう。あと少しで復職可能なところですので、気を緩めず、頑張ってください。
PS2
通勤が片道40分以内で、デスクワークなら、たいていは復職できるレベルです。欲張って片道1時間や体を動かす系の仕事で復職すると、ほとんどの場合、症状が悪化します。
「多少のことは頑張れる」と無理をして悪化させがちなレベルでもあるので、重々注意してください。
軽い運動ならできますが、ジョギングなどはまだ早いです。したくなりますが、するのは負ける確率の高い博打。
PS1まで回復すれば、比較的安心してうごけるようになりますので、もうちょっと我慢してください。
なお、このPS2がPS1になるまでの距離は、治療的にはそれほど遠くないのですが、
できることには割と雲泥の差があります。
もうちょっと我慢すればできるようになるのに、待ちきれずに無理をして、一気にPS4くらいまで悪くなるというケースが頻繁にあります。本当にしんどいと思いますが、頑張りましょう。
症状的には、軽い仕事でも疲れて休まなくてはいけないうちは、PS2以上です。
PS1
ちょくちょく疲れを感じるが、休まなくても大丈夫なレベルです。このレベルになって、初めて体を動かす系の仕事が可能になります。
保育士、看護師、ずっと立っていなければいけない接客業、物を運ばなくてはいけない業務などが該当します。
もちろん、このレベルになっても、いかに疲れないように働くか、だるくならないように生活するか、という探求をやめてはいけません。どうやったら楽をすることができるかを探求するのが「仕事」の一部です。がんばってください。

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Apr 8
イギリスでは人口の2.7%が #コロナ後遺症 になっているとの報告。
絶対に無策で臨んではいけない疾患と思います。COVID-19罹患後2か月の安静である程度予防できる可能性が高いし、治療も可能です。
当院の2022/3/31までのデータ。2022年1月1日以降のCOVID-19発症の方を、「オミクロン株」としてカウントしています。また、対象を発症から60日以内に受診している患者さんに限定しています。
準寝たきり以上になる方の大部分が、60日以内にそこまでいっていることが分かります。 Image
WHOヨーロッパ事務局の資料(apps.who.int/iris/handle/10… )にも書かれている通り、倦怠感が強い方が運動をするとどんどん悪化することは間違いのない事実ですので、そのことを考え合わせれば、COVID-19罹患後2か月の安静でかなりの準寝たきりを防げる可能性があると思います。
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Apr 3
コロナ後遺症を診始めたときは、全国に同様に気づいて診療を始めた医療機関がたくさんあって、協力・競争しながら患者さんの利益を追求する世の中になるはずと確信してました。
(「後遺症の専門家」なんてまだ存在しない&後遺症の治療において呼吸器や感染症学の知識にどれだけの意味があるかも
分からない段階なのに)「専門家でもないくせに」と叩かれる世界が待っていました。
多くの医療機関を後遺症の患者さんが受診されていたはずで、「感度の高い先生なら絶対に気づくはず」と思っていましたが、そうではなかったようでした。
今、ワクチン長期副反応の患者さんが多くおられます。
厚労省の感度がバリバリに上がっていて、想像より遥かに速く通達が出ました(厚労省の後遺症担当の方はものすごく実直で優秀な方のようでした)が、現場の感度は今一つ。
保険診療で頑張る医療機関は逼迫し、根拠のない高額な自費診療がはびこる原因になっています。
なんでなんでしょうか。
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Apr 2

土曜恒例の無料公開質問会、ちょっと遅れてしまいましたが、開始しました。
 追補版です。
お答えしきれなかったので、このあともう一つ追補版をやります。

追補版2です
Read 4 tweets
Apr 1
反ワクチンの医師が、#ワクチン長期副反応 の方に、「それ見たことか」と不安を掻き立てる説明をし、全くエビデンスのない高価な(原価は安い)点滴などを勧めている実態の片鱗を知りました。(東京の話です。)
患者さんは突然働けなくなって経済基盤を失っていることも多く、そんな方々に対して
よくもそんな業の深いことをするなぁ、と呆然となりました。不安が募り、なけなしのお金を出しているかと思うと、胸がえぐられる思いがします。
でも、そんな商売が成り立つのは、ひょっとしたら「ワクチンにそんな副反応はない!」と断言してしまいがちな今の医療にも原因があるようにも思えます。
ほとんどの #ワクチン長期副反応 の患者さんたちは、そういう医療機関を受診する前に、普通の医療機関を受診しているはずだと思います。その際に「そんな副反応はない。気のせいだ」とか「嘘をつくな」などと言われたり、怒鳴られたり、なんてことがあれば、「今」確かに症状を持っている患者さんは、
Read 8 tweets
Sep 30, 2021
大変お世話になっている #筋痛性脳脊髄炎/#慢性疲労症候群 の専門の先生に、#ME/#CFS の診断について伺いました。
ME/CFSの診断基準のゴールデンスタンダードはカナダ基準とされていますが、その他にもいくつもあり、日本では研究班による診断基準試案 fuksi-kagk-u.ac.jp/guide/efforts/… があるのみです。
さらに、実際にME/CFSの専門外来を受診された #コロナ後遺症 患者さんたちのお話や、従来のME/CFS患者さんたちの話を伺うと、私が信頼している先生方も必ずしも診断基準通りに診断されていない様子。そのような混乱した状態にあるのに、ポッと出の私のようなものが診断を乱発していいはずがないという
思いがあります。今まで2800人以上の #コロナ後遺症 の患者さんたちを診察させていただいていますが、当然ながら「コロナ後遺症=ME/CFS」ではありません。「コロナ後遺症の一部がME/CFSに移行する」というのが正しい理解と思います。
ME/CFSは「症候群」ですから、本来は様々なサブグループに
Read 6 tweets
Sep 30, 2021
#コロナ後遺症 について、いまだに「#ストレス が原因」と説明してしまわれる先生がいらっしゃるようですが、私の知る限りでは、そのような議論をしている論文はありませんし、それで説明がつくような疾患に米国が1100億円も国家予算を付けるわけがありません。
ストレスが原因だとすると、「ぜひ朝起きて散歩をしましょう」ということになるかと思いますが、実際に状態の悪い患者さんがそれをすると、容易に寝たきり状態に移行します。
「ストレスが原因」というのは分かりやすくて説明が楽なのかもしれませんが、
そのミスリードによって患者さんの人生を破壊してしまうとしたら、責任は重大です。後遺症診療の初期、私もうっかり患者さんに「散歩してOK」と安易に言ってしまって病状の悪化を招いてしまいましたが、そういう失敗をするのは私だけで十分です。そういう不幸はこれ以上繰り返されるべきではない。
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