Thread by @azukiglg

「名作マンガとその盗作？と言われた小説が「同じ実在の人物をモデルにしていたかも」という話」togetter.com/li/1876001 をお気に入りにしました。#Togetter

「都市伝説｣は、「その話、どこかで聞いたことがある！」ってなると話に俄然信憑性が出てくるんだけど、
「実話怪談」は、「その話、どこかで聞いたことがある……」ってなると話が急に「パクリじゃね？」とか言われ始めることがあってｗ

都市伝説は「埋もれていたが、実は皆が知っていた」というところに価値があり、
実話怪談は「埋もれていたが、実は誰も知らなかった」というところに価値が見出される、とかそういう。

実話怪談でも過去に｢恐らく同じ体験者が語った話であろうものを、別々の著者がそれぞれ書き起こしたケース」とか、「同じ地域の伝承を、別々の体験者がそれぞれ語ったものを、別々の著者が書き起こしたケース」とかがあった気がした。

僕は、業界では比較的多くの「採話され、実際に原稿に書き起こされた実話怪談」に触れてるほうじゃないかなって思うんだけど、類型って訳じゃないけどときどき構造が似通った話が出てくることはある。

「幼い頃、山の中で迷子（遭難）したが、無言の大男（鬼だったりする）に連れられて麓の里まで送り届けられて助かった」
とか、
「幅が狭くて長さがある布状の何か（反物）と遭遇する話｣
とかは、場所、時代・年代、話者の年齢を問わず、割と遭遇する気がする。

これが、「前にテレビで見た」「どこかの本で読んだ」「友達に聞いた」とかだと、どこかに同一のルーツがあって、伝聞で再生産、伝播されたものなのかな、という想像もできるんだけど、「この俺が見た」「私がこの目で見た」という一次ソース的体験談で、構造が殆ど同じものが出てくるの興味深い。

反物と遭遇する話は幾つかバリエーションがあって、
1)川面（水面）ぎりぎりを布が飛んでいるが、太鼓を叩くような打撃音が聞こえ続ける
2)夜間、郊外や山林の道を自動車で走っていると音とともに近付いてきた布に並走される、追い抜かれる
3)空のとても高いところ（雲の合間とか）で蜷局を巻いている

反物遭遇譚は結構あるんだけど、特に多いのはこれのどれか。
(3)は布が反物ではなくて、「帯」だったり「縫製済みの着物（振り袖とか）」だったりする、という報告例がある。
所謂「一反木綿怪談」なんだけど、幽霊（人物）が出てこない、後日談や前日譚がないなどが共通している。

ほんで、「一反木綿」系怪談は水木しげる翁の描いたものがあまりにも知名度がありすぎるせいでｗ、「それだけは絶対に嘘！」と信じて貰えないんだけど、類似物の目撃証言はもうほんといっぱいある。
「小汚い黄色い褌だった」という話もあるんだけど、これを反物怪談に入れていいのかどうかは悩ましい

反物怪談のバリアントでは、
「山奥で遭難したが、森の高い梢にとても長い布がたくさん掛けられているのを目撃した」
というのがあって、記憶にある限り確かこれに似た話を少なくとも二話くらいは見かけた気がする。

僕は｢仕事以外ではなるべく怪談読まない（怖いから）」ので、僕が遭遇した怪談/体験談の中だけの話になるけど、これが僕が知らない別の著者が採話執筆した怪談まで入れたら、さらに多そうな気はする。

が、これが「同じ体験者から別々の著者が採話した」とばかりは限らないのに、何故か似通った話が出てきたりするあたり、体験談蒐集の醍醐味っちゃ醍醐味かもしんない。

他に、
「家にいる（留守番だったり、一人で寝かされていたり）と、誰かの話し声が聞こえてきて【この家か】【こいつじゃない】みたいな相談をされているのを声を抑えて耐えていると、覗き込まれたりして、翌朝近隣で死人が出たりする」
というのも、繰り返し発掘されてる気がする。

今後は聞き取る機会が激減していくだろうけど、戦前戦中の体験談とかでは、
「出征したまま生死不明の夫や息子が突然帰ってくるんだけど、何も言わず、人を呼びに行ったら消えていて、そのすぐ後に死亡通知が届く」
みたいなのが結構あった。

これは、シチュエーションがロマンティックなせいか、その後の創作のテンプレになってる気がするので、類話を聞くと「何が元になってるんだろう」と思われがちなんだけど、90年代とか、およそマンガやドラマを見てそうにない体験者がまだ矍鑠としていた頃に直接採話された話にそういうのあった。

おもしろいよねえ、そういうの。