オッカム Profile picture
May 7 9 tweets 1 min read
5年前の今頃のツイートをまとめたものが流れてきた。今は東京の私立大学の文学部教授になっている。前任校の所属学部は学部再編で消えてなくなった。当時の同僚たちは定年退職したり配置転換した。たった5年で何もかも変わった。

教授「君は定年まで専任講師だ」 togetter.com/li/1103045 #Togetter
わざわざこれをツイートしたのには別の理由がある。僕がこれを言われたのは着任1年目だからさらに9年遡る。前任校の所属学部がなくなったのはもちろんこんなちっぽけなことが理由ではない。14年前、東京理科大学が葛飾区金町に新キャンパスを購入した時に、学部再編案が理事会から出て大騒ぎだった。
賛成論、反対論が渦巻き情勢はそもそも葛飾キャンパス購入の是非にまで遡り、学部間でのパワーゲームも凄くて、当事者の端っこにいた外様の僕には物事がどう転がるか分からない情勢だった。この間、理事会のメンバーも変わり、理事長も2回代わり、3人目の理事長も僕の在籍中に理事会で更迭された。
ちょうど僕が所属していた基礎工学部長万部教養キャンパスが30年を迎えた頃(僕はこの年度一杯で現任校に転出)、体勢がほぼ見えてきた。驚くべきことに、14年前の理事会案にほぼ沿った形で学部再編がなされていた。これが大組織の経営というものかと驚き呆れた。
親しい同僚の先生に「凄いですね、結局は、9年前に僕が聞いた理事会案通りになりましたね。現在の理事会には9年前の反対者もいるのに」と申し上げたら、ある先生が、「これが経営判断というものなんだね」と。一度、文言化された文書は独自の生命をもち存続を図り、様々な人々の思惑は収斂する。
いちいち具体例は挙げられないが、例えばある大臣がトンチキな発言をして、その発言をもとに官僚が文書を作りそれに従い現場が動くとする。その後、その大臣がスキャンダルや権力闘争に敗れて失脚しても、その大臣の時の決定は正式に覆されない限り、大臣とともに消滅することはない。
中央官庁の意向を反映されやすい組織(大学もそうかと思う)で、妙だなあということがあったら試みにそうしたルールの形成過程を遡ってみると面白いだろう。意外なほど多くがその時の権限保有者の無造作な思いつきで、その当事者はもう生きてさえいなかったりする。行政の継続性というもの。
18世紀のアメリカ政治史という、一見すると浮世離れした研究をしている僕だが、法学、政治学、国家学の畑(法学部)で育ったので、確かに随所にそれを知っているはずであった。ただ、若手(客観的には中年だったが)で大学の外を知らない学究だったのでその辺りに注意が向いていなかった。
長万部の9年間は、研究者としては間違いなく深刻なハンデだったことは否定できない。この伸び盛りの9年間にもう少しマトモな環境にいられたらと思うことは正直ある。ただ、僕は長万部で確かにオトナになったのだと思う。

• • •

Missing some Tweet in this thread? You can try to force a refresh
 

Keep Current with オッカム

オッカム Profile picture

Stay in touch and get notified when new unrolls are available from this author!

Read all threads

This Thread may be Removed Anytime!

PDF

Twitter may remove this content at anytime! Save it as PDF for later use!

Try unrolling a thread yourself!

how to unroll video
  1. Follow @ThreadReaderApp to mention us!

  2. From a Twitter thread mention us with a keyword "unroll"
@threadreaderapp unroll

Practice here first or read more on our help page!

More from @oxomckoe

May 8
本棚を見た学生から「先生、これ全部読んだんですか」と聞かれる。案外重要な問いだと思うのでいちいち応えている。「まず第一に、読んでません。ただ大学院博士課程で修行をすると、所蔵すべき重要文献が何かわかります。題名・目次・著者からおおよその内容は分かります。自分が書く時に読みます」。
「第二に、創造とは自分が所蔵している文献を把握できなくなってから可能となります。その時の問題関心から文献を購入するのですが実際には忙しさからすぐには読めません。時が流れ、新たな問題関心から何かを書こうとした時、異なる関心から購入した文献がインスピレーションを与えてくれます」
本棚を眺めていると、愕然とすることがあります。まるでいつ購入したか覚えていない文献がしばしばあります。それを紐解くと、そこに重要なヒントが記述されていることがあります。問題関心は肉体のように変化すると同時に、同じ一つの頭がそれを購入していることがとても重要なのです。
Read 4 tweets
May 7
中学か高校の記憶では『週刊プロレス』での田中ケロ・リングアナウンサーの記事ははっきり前田氏に対する反感が書かれていたという印象だったので、21世紀になりこのお二方が共演し答え合わせをしている映像に眩暈がするほど万感迫るものがあります。
僕はぜんぜん読めていなかったのかもしれない。いや今だからこういう発言になっていて、確かに当時は反感があったのかもしれない。前田氏がケロさんを「ケロヨン」と呼んでいたことも悪意が伝わらないように書いていたが、はっきり不快感を持っていたように僕には読めた。
しかし前田氏らの影響がプロレスに与えた影響について、『基本に還る』、『アキレス腱固めとか練習では皆んなが使っている技に光を当てた』ということに衝撃というか感銘を受けた。放映されるプロレス選手の序列は、確かに道場での練習に示される「実力」を反映してたんだなと。
Read 4 tweets
Mar 9
国際政治もロシア史についても素人なので本当にわからないのだけど、本件については、「戦闘の勝利と戦争の勝利が一致しない」ということはあるのだろうか。マレーシア航空17便撃墜事件とか皆見事に忘れてますよね。ロシアに対して欧米の腰も定まっていない。ロシアは戦闘で勝てれば支配能力はある。
ことが終われば人は忘れるということは、まさに今回の戦争が起こったこと自体に示される通りのことで、軍事的に勝ってしまえばほとぼりがさめ、欧米諸国も取引再開するでしょう?中国は健在でしょう?軍事的冒険は、軍事力で叩くしかないように思うんだけど違うのだろうか。
急に話を個人に落とし込んで興醒めかもしれないけれど、僕はよく勝負に負けるんだけど、観察する限り、「世の中、勝ったもん勝ち」なのですよね。天罰とか見事に下らないものです。世俗のことは世俗で蹴りをつけるべきなんだなと思うことが多く、国家になればなおさらそうです。
Read 4 tweets
Mar 8
第一次世界大戦、第二次世界大戦、朝鮮戦争、ヴェトナム戦争という数少ない事例から推測するしかないが、アメリカが自国に致命的利益を抱えていない戦争に本気で動くのは、「敵」に対して関係国が一枚岩になっている場合に限られる。
外国の政治的「パワーゲーム」に参加しないというのは、初代大統領ジョージ・ワシントンから第6代大統領ジョン・クインジー・アダムズにかけて(辺境の弱小国から辺境の帝国主義国家になるまで)形成された外交に関する国是のようなものである。その支配力は21世紀になっても続いている。
この理念型を踏まえた上で話はもう少し複雑になる。アメリカは民主主義の国なので、大統領も連邦議員も選挙で選ばれる。アメリカの有権者は外交には関心はない。立候補する政治家も関心はない場合が多い。しかし当選して高度な情報に接する立場になると考えは変わる。
Read 13 tweets
Mar 7
「西側的価値観」に疑問を呈するのは非常に有益なことですが、それがロシアのウクライナへの侵略と市民への虐殺を容認するようでは話にならないと思います。9.11以降、ちょっと「危うい」言説が高度な知性の持ち主からも出ているのが気になります。
私に関しては偉そうなことは言えません。私は、西欧・アメリカの白人キリスト教徒への敵愾心が高じて宗教改革やアメリカ革命を研究し始めました。あんなに戦争に強い連中をやっつけるにはどうすれば良いのかというのが動機の一つにありました。アジア・太平洋戦争の報復を考えていたのですマジで。
ただですね、「紛争解決の手段として軍事力を行使しない努力」とか「個人の権利の尊重」とか「ジェンダーの平等」を受け入れられないとなると放置はできんでしょう。これは文化の問題でもあるのでゆっくり行きつ戻りつするものでラジカルな解決はカルト宗教のように馬鹿げてますが、戦争は別です。
Read 4 tweets
Mar 7
確定申告が終了。ポリシー通り税務署行で。皆が税務署のブースでスマホに入力する様は妙でしたが、少しでも戸惑うことがあれば税務署の職員に聞けるのがよかった。最初の僕の入力では、追納額が月給手取り分になり文字通り泡を食って相談したら、すぐに未入力を発見してもらい常識的な額になりました。
学者の副収入の場合、証明できる「経費」が漠としているのは今後考えなければならない。死ぬほど苦労し時間をかけた書き物や講演のパワポ作成だが、何を材料にしたかというと、これまでの研鑽だとか、図書館の史料だとか、研究費で買った蔵書とか。経費ゼロの場合が多い。特に僕のような研究だと。
具体的なことは忘れちゃったけど、確定申告には、兼業を禁止している職場に属している人への配慮もなされているのですね。税務署としてはちゃんと税金取れれば良いわけで、なかなか粋なはからいというか、就業規則など知るかというリアリズムがある。大学は兼業OKなので問題はないんだけど感心した。
Read 5 tweets

Did Thread Reader help you today?

Support us! We are indie developers!


This site is made by just two indie developers on a laptop doing marketing, support and development! Read more about the story.

Become a Premium Member ($3/month or $30/year) and get exclusive features!

Become Premium

Don't want to be a Premium member but still want to support us?

Make a small donation by buying us coffee ($5) or help with server cost ($10)

Donate via Paypal

Or Donate anonymously using crypto!

Ethereum

0xfe58350B80634f60Fa6Dc149a72b4DFbc17D341E copy

Bitcoin

3ATGMxNzCUFzxpMCHL5sWSt4DVtS8UqXpi copy

Thank you for your support!

Follow Us on Twitter!

:(