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Sep 5 6 tweets 2 min read
なんか、「#N抗体の呪い」なる怪しげな呪文が跳梁跋扈しているらしい。
既に何度も俎上に上がった話ではあるが、「未接種で感染するとN抗体が出てIL-6が上昇する。IL-6は重症化の原因である。しかしワクチンを接種すると感染時にN抗体がでないので重症化しない」という主張だ。1/6
確かに感染時の過剰なIL-6の上昇は「IL-6アンプ」によるサイトカインストームを発生させる。免疫反応とは炎症だ。炎症はそれ自体が燃え広がる性質がある。だから当然、広がりすぎないように適切に炎症を抑制するための仕組みがある。2/6
covid19-jma-medical-expert-meeting.jp/topic/4565
それが制御性T細胞(Treg)だ。Tregが適切に働かないか、あるいは感染初期に適切な免疫反応が起きず、ウイルスが増殖し、その後急激な炎症が発生した場合など、抑制が間に合わないということが起こりうる。いずれも宿主側の免疫制御の不具合であり、N抗体やIL-6がなければいいというのは短絡だ。3/6
Nタンパクは表面に出てこないのでN抗体は役に立たないという誤解があるが、N抗体はNと結合し、それを樹状細胞が貪食してTRIM21によって分解を媒介される。それが抗原提示されることで、Nに対する細胞傷害性T細胞を活性化する。つまりN抗体は細胞性免疫を惹起する。4/6 Image
embopress.org/doi/full/10.15…
普通のマウスとTRIM21をノックアウトした(KO)マウスでのリンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス感染実験。感染5日目から劇的な体重減少、両方で同一。8日目に普通のマウスは体重を取り戻し始め12 日目までに完全に回復。それに対してKOマウスは全滅。5/6
N抗体による細胞性免疫の重要性が理解できるだろう。
ということはつまり、このグラフは細胞性免疫の抑制を示したグラフということになるわけだが、それでも「N抗体でないから重症化抑制!」と喜ぶのだろうか?6/6 Image

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Sep 7
風邪の原因となるウイルスは200種類ほどあると言われている。症状も大して違わないただの風邪の原因はこんなにたくさんあるわけだ。このことからも感染症の症状はウイルス要因よりも宿主側の免疫反応だということが理解できる。1/4
これらの一つ一つのウイルスはデビュー当時は新型コロナと同じように新興呼吸器感染症として人類を苦しめただろう。しかし、我々は徐々にそのウイルスに対して免疫を獲得し、そのウイルスはただの風邪ウイルスの仲間入りをしたのだ。
我々は長い年月の間にこのプロセスを何回も繰り返したわけだ。2/4
これらのただの風邪ウイルスは無症状でも常在化することでウイルス干渉を起こして他の強毒な感染症から我々を保護する。これがまさに共存だ。
このただの風邪だって免疫のバランスの乱れで発症することもあるし、高齢者や弱者は肺炎に罹って亡くなることはある。これはもう自然の摂理である。3/4
Read 4 tweets
Aug 2
腸は第二の脳などと言われていますが、それは真実ではありません。腸こそが第一の脳であり、脳が第二の脳なのです。進化の過程で腸がその機能を脳にオフロードして腸が小さくなり脳が大きくなったのです。
何故そのようなことが可能になったかというとエネルギー密度が高い食餌を摂るようになったからです。
カロリーの高い肉を食べる肉食動物は腸が短く、草食動物は発酵のために腸が長い。
つまり人間は進化の過程で肉食寄りに食性を変えたと考えられます。
通常の肉食動物は狩りをするための肉体の強化(例えば筋肉や牙)に「ステータス」を全振りします。
しかし、人間は体を精密に制御することができる脳に「ステータス」を全振りしたわけです。
人間の体は脆弱ですが、すべての動物の中でもっとも自由に体をコントロールできる脳を手に入れました。
Read 4 tweets
Jul 30
再度引用。
jimmunol.org/content/181/10…
麻疹感染によってTregとM2マクロファージが上昇する。これがIL-10の供給源で麻疹でIgG4抗体が産生される理由だろう。つまり、やはりこの図の通りのことが起きていて、最も重要なポイントは麻疹に罹患すると宿主の免疫機能を一過性に抑制し二次感染を起こすことだ。 Image
もちろんIgG1とのバランスやメモリーT細胞の存在で麻疹に対しては終生免疫は獲得できるのだろうが、やはりIgG4は免疫抑制の結果であると判断せざるをえない。
麻疹はウイルス自体の特殊性で免疫抑制を起こすが、ワクチンの場合はやはり長期にわたる炎症に対するネガティブフィードバックではないか?
麻疹の例から留意すべきなのはIgG4産生のプロセスが易感染性になるのは他の感染症に対して、ということだ。
ワクチンによる免疫抑制のリスクが新コロではなく他の感染症に対して起こることを意味する。もちろん、もはや作られる抗体自体がポンコツだから新コロにも感染しやすくなるだろう。
Read 4 tweets
May 1
@Atama_Saru @dizsqMGBPgF0DT4 体細胞超変異はそもそも、無限の体外抗原に対してB細胞が対応するための仕組みですのでワクチンによる抗原がどうあれ、本来新変異株にも対応できるようになっているはずです。しかし。。。。
@Atama_Saru @dizsqMGBPgF0DT4 にも関わらず、似たような抗原が現れたときには前に感染して記憶しておいた抗原に対する抗体を作ってしまう現象が起きます。これはおそらく素早い抗体産生のための仕組みだと考えられ自然感染でも起こります。
@Atama_Saru @dizsqMGBPgF0DT4 自然感染の場合はあまり問題にならないのは、ウイルス全体を抗原として細胞性免疫や液性免疫がテイクされるからです。とくに細胞性免疫はSタンパク以外の変異の少ない部分をターゲットにして免疫反応を起こせます。
Read 7 tweets

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