Thread by @azukiglg

沖縄の民意がー、というキーワードがトレンドに入ってるけど、この十年ずっと言ってる気がするけど、沖縄から基地をなくすというのは、
1)難易度高い
2)沖縄自身の地政学的リスクを引き上げる
ということを、たぶん沖縄の有権者が一番知らないか、【知らされなさすぎ】かもしれない。

沖縄自身が独自の戦力を保有し、日米中韓比のいずれにも侵略を受けない軍事力の整備をするか、沖縄県民の強い意向で沖縄本島及び南西諸島を別の場所に移動できる何らかのブレイクスルーを得るかしない限り、『戦略的要衝』という沖縄の価値が減じることはない。

沖縄県が独自の戦力で日米中韓比に対抗する能力を整備しない場合、沖縄県は実力で米軍を排除できない。
仮に排除できても、自衛隊を排除できない。
仮に実力で排除しようと思ったら、人民解放軍を招き入れてそうするしかなく、その時点で基地利用権限がアメリカから中国に移るだけ、ってなる。

その他の選択肢としては、『戦略的にまったく無価値になる』とかが求められる。
今の沖縄は、韓国、台湾、フィリピン、東京に展開できる地理的拠点であり、西太平洋に進発するときの『突堤』『港』でもある。

そこに価値があるのは、沖縄以南以東が中国の勢力圏ではなく、沖縄以北以西がアメリカの勢力圏ではないからじゃないかな、と。
拮抗しているかどうかは分からんけど、『結着していない勢力伸長競争』の狭間に沖縄はあり、今は【日米サイド】にいる。

日米サイドからの離脱を実現したら、誰からも奪取されない無価値な島になれるのかというと、なれない。
『観光地としての価値』とか、『インド洋からの貨客船経由地としての価値』しか思いつかない人には気の毒ではあるけど、そういうことじゃない。

『日米が追い出されたら、中国が来る』
というの、脅し文句だと思われがちだけど、2つの勢力圏の拮抗を沖縄自身が崩して、中国側の西太平洋進出を手助けする、と言ってるのと実質同じことなんで、まあそうなる。

問題は、「たった四年でその状況が大きく動く」ことがあるのかどうか？という点。
米軍は資機材を沖縄に置いて、人員はグアムから投入する計画とかになってるんじゃなかったっけ？

米軍の資機材の常備すらさせない、とかなると、中国の台湾、韓国、沖縄、東京などへの展開について、【沖縄が中国に助力する】のと実質同義になる。
「そんなつもりはない」「そういうことじゃない」とかは通用しない。

仮に米軍が「沖縄に資機材を置かない」とする場合、つまりは、「何らかの他の地域に置く」とかする必要が出てくる。
それは、済州島辺りにあるか、台湾島当たりになるか、鹿児島辺りかな。
でもなあ、鹿児島や済州島にいっちゃうと、台湾危機リスクが高まるんだよなあ。

台湾危機リスクが高まると、巻き込まれて被害を被るのは結局沖縄県（の島嶼部）になるんじゃないか、という気はする。
元々、沖縄も「島嶼部と本島では安全保障戦略についての温度差がかなりでかい」とは言われてきたけども。

仮に米軍が台湾に米軍駐留とかいうドラスティックな戦略変更を行（おうとする）うとしたら、もうそれだけで中国は「シグナルだけで行動を起こす」んじゃないかな、という気がしちゃう。
だって、台湾に米軍常駐されたら、中国が台湾取り返す契機が消えちゃうから。

沖縄が【断固として米軍を蹴る】と、迅速にそれ（台湾危機の前倒し）が起きる潜在的リスクはあるんじゃないかしらん。

たぶん、ここらへんの問題については、
「米軍基地などあるから中国に狙われるのだ」
「米軍基地がなければ沖縄は無価値になるから、中国も素通りするはずだ」
という楽観論が、一連の意見に対する反論として出てくる。

が、実際には西太平洋～東シナ海のプレゼンスのバランスが崩れるんで、中国がアメリカの後釜として沖縄本島、島嶼部に展開（浸透）してくるか、沖縄に持たせていた米軍の機能を別の地域に代替させるため、台湾か済州島か鹿児島かが代理候補地になるか。

吃緊のリスク懸念がある台湾に米軍常駐させようとするだけで中国は行動開始しちゃうだろうし、済州島や鹿児島だと台湾から遠すぎるしなあ……。

玉城知事とその支持者は、地方自治体には「軍事に関する権限がない」（県庁には、安全保障戦略とその遂行で県民を守る義務がない）ことを忘れているか気付いてないかかもしんないけど、米軍追放で台湾危機が加速したら、結局直接攻撃受けなくても沖縄に影響出るわな。

例えば、県主要事業である観光は、
「近隣の台湾で戦争が起きるかもしれないのに、沖縄にわざわざ観光客が集まると思う？」
ってなる。
沖縄県を物流経由地に、みたいな構想もあった気がするけど、台湾危機がぶちアゲしたら、リスク高すぎて無理じゃろ。釜山のままのほうがまだ安全。

また、台湾危機が持ち上がると、日本から欧州、アフリカに向けた輸出入航路が事実上封鎖に近い状態になるよな。
燃料輸入から製品輸出まで全部止まる。

これらは、沖縄が米軍基地を追い出すだけで起こり得る。

ここまでのどでかい玉突き事故がどこまで起きるかはともかくとして、「現状では場に出ているカードを見れば、【起こり得る】｣とは。
米軍がスービックのように沖縄から去る、というのを期待してる向きも多いみたいだけど、今それやったらもうほんと台湾危機ヤベーと思うけどなあ。

まあ、僕は専門家じゃないので。
そして、「あり得るけど可能性極小（現状では）の最悪を想定している」だけなので、必ずそうなるという話ではありません。
が、米軍を追い出してめでたしめでたし、幸せに暮らしましたとさ、とは【絶対にそうならない】ことだけは断言できる。

あんなあぶねえ場所、そしてあんな美味しい場所に、軍事力の空白を許すと思えるのは、「安全保障についての意識が欠落している自治体首長とその支持者」くらいのものではないんだろか、という気はするけど、元々自治体には「外国からの安全保障」が求められてないからしょうがないか。

沖縄から鹿児島に米軍の資機材を移したあと、台湾危機が起きた場合。駆け付けるのに掛かる距離は単純に倍になるらしいよ。
距離、所要時間は倍になり、到着地点での作戦遂行時間は短くなる（帰投のための燃料残さないとならないんで）。
つまり、想定戦域から遠くなるほど「能力が落ちる」。

オール沖縄とか、基地のない沖縄とか、米軍憎しでキャホってる、まあ一般人はしょうがないとは思うんだけど、立民、共産、東京新聞辺りの人達は、やっぱ人民解放軍の代理進出か、台湾危機勃発を歓迎してるとしか思えないんだよなあ……。
火薬庫で火遊びする幼稚園児なみにやべえ。

百万歩譲ってローグ/トルネコ平和主義のジャーナリストや活動家はしょうがないにしても、立民、共産などがオール沖縄ではしゃいでいるのは、
1)中国を信頼しすぎている
2)武器を持たなければ戦争に巻き込まれないファンタジーで自家中毒
3)安全保障戦略という概念がない
のどれじゃろ。

「沖縄さえよければ、他がどうなろうと知ったことか」
「沖縄だけが苦痛を強いられるのなら、他も地獄に引きずり込んでやる。道連れだ！」
なのか、今のオール沖縄とその賛同者は、どっちのつもりなんだろうかなあ。

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【ローグ/トルネコ平和論とは】
「１ターンの行動は一度だけで、行動は互いに交互」
「相手は自分が何かするまで待ってくれる」
「自分から何かしなければ、相手は何もしてこない」
という、ローグ（トルネコの大冒険/風来のシレン）のようなクラシックなゲームシステムで語られる平和論。

「こちらが何かしなければ相手からは先に手を出してこない」
「こちらが武装しなければ相手は武装しない」
「こちらが武力行使しなければ相手が先に武力行使することはない」
専守防衛論を拗らせた平和論だと思うんだけど、割とガチでこれ言ってる反戦論者多いんだよ……。