既に多くの方々が発信されている論文ですが、自分の頭の整理のため再掲しました。
「mRNA-LNPプラットフォームの脂質ナノ粒子成分は非常に炎症性が強い」
The mRNA-LNP platform's lipid nanoparticle component used in preclinical vaccine studies is highly inflammatory cell.com/iscience/fullt…
ハイライト
・前臨床研究に使用される脂質ナノ粒子(LNP)は炎症性が高い。
・LNPは複数の炎症経路を活性化し、IL-1βとIL-6を誘導する。
・LNPの炎症特性は、イオン化可能な脂質成分に由来する。
・LNPsはアジュバント効果といくつかの副作用の原因である可能性がある。
・前臨床ヌクレオシド修飾mRNAワクチン研究で使用されたAcuitas社のLNPがマウスで非常に強い炎症性を示した。
・これらのLNPの皮内及び筋肉内注射は、大量の好中球浸潤、多様な炎症経路の活性化及びさまざまな炎症性サイトカイン及びケモカインの産生を特徴とする、迅速かつ強力な炎症反応を起こした。
・鼻腔内に送達された同じ用量のLNPは、肺に同様の炎症反応を引き起こし、高い死亡率をもたらした。メカニズムは未解決。(論文の本文中に以下の記載があるようです…成体マウスに2.5μg〜10μgの範囲のLNPを鼻腔内接種し、最大8日間モニター。10μgのLNPで処理したマウスの約80%が24時間以内に死亡)
・したがって、適応免疫応答の誘導をサポートするmRNA-LNPプラットフォームの効力と観察された副作用は、LNPの高度に炎症性の性質に起因する可能性がある。
・これらのワクチンのmRNA成分は、潜在的な自然免疫認識を減少させるために修飾されたヌクレオシドである。
・LNPは、mRNAを分解から保護し、細胞内送達とエンドソームエスケープを助けるためのキャリアビヒクルとして選択された。
・LNPは、リン脂質、コレステロール、ペグ化脂質、及びカチオン性またはイオン化可能な脂質の混合物で構成されている。リン脂質とコレステロールには構造と安定化の役割があるが、ペグ化脂質は長時間の循環をサポートする。
・カチオン性/イオン化可能な脂質は、負に荷電したmRNA分子の複合体形成を可能にし、翻訳のためにエンドソーム(小胞)からサイトゾル(細胞質基質‥細胞質から細胞内小器官を除いた部分)へのmRNAの出口を可能にするために含まれている。
・イオン化脂質は、永久に荷電したカチオン性脂質の一部の高度な炎症性及び細胞毒性効果を軽減するため開発された。
・前臨床研究では、独自のイオン化脂質を含むAcuitas TherapeuticsのLNPと複合体を形成したヌクレオシド修飾mRNAがアジュバント活性を有することが示された。
・LNPによって誘発される炎症環境は、ヒトにおけるmRNA-LNPベースのSARS-CoV-2 V の報告された副作用の一部を担っている可能性があり、報告されている抗体反応を誘発する高い効力に寄与している可能性がある。
(中略)
・鼻腔内に接種されたナノ粒子を含むさまざまな性質の物質は、中枢神経系(CNS)に容易に侵入し、血液脳関門を克服して活性物質を脳に送達する。
・筋肉内に注射されたM社のmRNA-LNP-VからのmRNAは脳内で非常に低いレベルであるが検出される可能性があることが報告されている。
・この場合、CNSで検出されたわずかな量は、重大な炎症を誘発しない可能性があるが、発熱、吐き気、眠気などの視床下部による副作用を引き起こす可能性がある。
(中略)
・免疫原性のあるPEGに対して形成された抗体は、いわゆるアナフィラクトイド、補体活性化関連擬似アレルギー(CARPA)反応をサポートすることが知られている。注目すべきは、PEGは化粧品や歯磨き粉に頻繁に使用される化合物であり、多くの人が抗PEG抗体を持っている可能性があることである。
・簡単に言えば、mRNAは主に注射部位近くの細胞にトランスフェクトされるが、仮説的には体内のあらゆる細胞に到達する可能性がある。
・得られた翻訳されたタンパク質は、ペプチドの形でMHC-I上に提示されるか、細胞膜にタンパク質全体として提示される。どちらの場合も、適応免疫系及び自然免疫系の
細胞、CD8+T及びNK細胞によって標的にされ殺される可能性がある。(抗体依存性細胞毒性‥ADCCを介して)
・一部の患者では、V接種の数日後に発症する遅延型過敏症反応である、いわゆる「Covid-arm」、または接種後の心筋炎/心膜炎、少数のMS患者で観察されたCNS炎症なども、上記の機序の可能性がある。
・全体として、LNPによって誘発される強力な炎症環境は、抗原提示細胞の外側のV由来のペプチド/タンパク質の提示と組み合わされて、組織の損傷を引き起こし、副作用を悪化させる可能性がある。
・炎症環境における自己抗原の提示は、自己免疫疾患の発症に関連しているため、今後さらに調査する価値がある。
・LNPの高いアジュバント効果は、直接的な細胞毒性によって悪化するさまざまな炎症経路の活性化に依存している。
(以上)

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Oct 21
かなり難解で長い論文だけど、自然免疫破壊の機序や悪性形質転換の検知システム調節不全、miRNAとエクソソーム、コドン最適化とGC濃縮とG-四重鎖。現在の知見が総論・各論で網羅されている。何回も読み返してみたい。

sciencedirect.com/science/articl…
結論のところまで行き着くのがとても素人には難しいのだが、三つの非常に重要な側面に注意を喚起している。
一つ目は、主にIFN-αとそれに関連するシグナル伝達カスケードの抑制による自然免疫破壊の可能性。潜在性ウイルスの再活性化や将来の感染と効果的に闘う能力の低下にも繋がる。
二つ目は、細胞内で遺伝的に引き起こされる悪性形質転換を防止及び検出するためのシステム調節不全を接種が促進する可能性。がん増殖に繋がる。
三つ目は、mRNAがエクソソームで行われる細胞内コミュニケーション混乱と、細胞が高レベルのSPを含むエクソソームを生成し深刻な全身炎症を起こす可能性。
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