ここ10年間で着工した原発のほとんどは中露製です。西側諸国が原発に力を入れるべき理由は、気候変動、化石燃料高騰対応だけではありません。平和・国際秩序・安全保障も重要です。

トルコで「ロシア原発」建設着々 大統領肝煎り事業に懸念の声(時事通信)
#Yahooニュース
news.yahoo.co.jp/articles/5a48b…
西側諸国はこの30年、日本はこの10年原発建設がほぼ中断状態でした。それを横目に、ロシアや中国は建設実績を重ね、予算内工期内で原発を建設する技術を磨いています。特に途上国には有利な条件で中露製原発が建設されています。IEAの資料によると、近年着工した原発のほとんどが中露製です。
今では東側の建設技術は西側を凌駕すると言っても良いでしょう。バングラディシュでもロシア製原発が順調に建設されているというニュースが先日は入りました。一方、途上国のインフラが東側に握られることのリスクもあります。これはウクライナ侵攻で表面化しました。
途上国は安価で信頼できるエネルギー源を求めています。この流れに対し、中露は政治的意図がある「国是」として原発や火発を提供します。ビジネスとして輸出する西側は対抗しにくいです。ただし、途上国も中露依存のリスクを認識しつつあります。これに対応できる現実的な答えが求められます。
西側諸国は原発建設技術を復活させ、途上国に提供できる体制を整えなくてはなりません。その中で、10年前まで原発をほぼ国産化できる技術を有していた日本の貢献は期待できます。国内での原発建設早期再開と国際協力体制の拡充が求められます。
(まとめ)
インフラの輸出は、単なるビジネスではありません。日本でもバングラへの石炭火力輸出計画が停止しましたが、その判断は誤りでしょう。なぜなら穴埋めを行う国(中露?)が出てくるからです。西側諸国がインフラを売る意味の重さを考えていく必要があります。
(参考情報)
西側諸国の原発建設技術弱体化、中露製原発躍進の問題については、国民民主党の玉木代表も指摘しています。
(関連情報)
ロシア製原発を導入すると、基本的に原発燃料もロシア依存になります。EU域内には5か国にロシア製原発があり、燃料のロシア依存が懸念されています。EUは燃料の西側からの代替調達を目指しています。なおウクライナはすでに西側からの代替調達を実現しています。

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Nov 20
COP27の場でルーマニアでのSMR導入に向けた前進が見られました。ルーマニアの電力会社RoPowerとイタリアの製鉄会社AFVグループのDonalam社はSMRの導入に向けた覚書をCOP27の場で結んでいます。COPでは原発活用に向けた動きが活発です。
計画ではイチェシュティの石炭火力発電所をNuscaleのSMR(462MWe)に置き換えます。政府は、SMRと太陽光による脱炭素エネルギーを用いて初のクリーン製鉄所を実現する計画です。これを足掛かりに、多くの産業との協力関係構築が促進できると期待されています。
(まとめ)
COP27の場ではIAEAが初めてパビリオンを設けるなど、気候変動対策と原子力についての活動が活発に行われています。この事実は、日本国内でも積極的に報じられるべきでしょう。
#COP27 #Atoms4Climate
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Nov 19
COP27、SDGs関連です。
あまり注目されませんが、衛生環境の改善は貧困撲滅のための必須事項です。日本製のゴミ焼却施設の輸出は途上国の衛生環境改善に貢献します。COPなのでCO2排出削減が強調されていますが、最大の貢献は衛生的な環境の実現だと思います。
このほかにも上下水道技術も貢献できる分野の一つと言えます。さらにトイレも衛生面の改善で重要です。水とトイレについてはNo.6で明確にうたわれています。衛生的なゴミ処理も水質汚染防止につながるためNo.6の目標達成に貢献するでしょう。これらは世界に積極的にPRすべき技術です。
今後のゴミ焼却施設は、気候変動対応としてCO2回収とアップサイクル技術を入れた複合施設へと発展することになるかもしれません。イノベーションの余地はまだあります。
気候変動は技術革新で乗り切るべきです。美術館で作品を壊したり、対案もなく○○反対と叫んだところで何も変わりません。
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Nov 19
令和4年11月15日に実施された資源エネルギー庁の分科会配布資料についてです。報道では反対派の意見が強調されましたが、実際にはエネルギー政策上重要な情報も記載されています。まずは概要についてエネ庁の資料で見ていきます。
enecho.meti.go.jp/committee/coun…
分科会の構成は以下の通りです。多くの資料は過去のGX実行会議、原子力小委員会の焼き直しになります。ここでは、2.の最近話題になっている原発の稼働期間延長について紹介したいと思います。資料は、延長についての各案と、それについての意見が示されています。
原発の稼働延長については、図に示す3つのパターンが示されています。一般的なのは(2)のパターンで、上限を設けず一定期間毎にライセンスを更新する制度です。さらに、審査などの期間を除外し、実質60年以上運転可能にする(3)の案も示されています。読売報道では2案の方針とのことです。
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Nov 18
若いから、社会運動に対する抵抗以前の問題として、稚拙だから批判されるということを忘れてはいけません。
「これ以上の豊かさはいらない」は、議論を成立させないフレーズです。

高校生のデモ炎上で見えた 環境問題と貧困問題のバランス(Forbes JAPAN)
#Yahooニュース
news.yahoo.co.jp/articles/44e14…
活動を行う上で、最低限必要と思われる条件です。
1.反対だけではなく代替案を提示する
2.状況を考慮して、妥協できる着地点を考える
3.自然科学の理論から逸脱しない提案をする
ここで、「これ以上の豊かさはいらない」について考えてみます。この発言は1.2.から逸脱します。
途上国の人に「豊かさはいらない」と言った場合、彼らは「豊かになりたい」というでしょう。この時点で議論がかみ合いません。
ここで重要なのは1.の代替案、2.の妥協可能な着地点です。つまり「排出を極小化できるエネルギー源」「省エネ技術」の提案がそれにあたります。
Read 7 tweets
Nov 18
途上国の貧困撲滅と脱炭素目標を両立するためには、信頼できる低コストの脱炭素エネルギーが必要です。アフリカなどの途上国にSMRの普及させることはSDGsの理念に合致します。

COP27:「アフリカ諸国こそSMR」ニュースケールCEO - 原子力産業新聞 go.shr.lc/3X819ra
COP27には、アフリカからの参加者Africa4Nuclear
@Africa4N も参加しています。途上国こそSMRを用いた原子力のマルチユースが適します。途上国が欲しているエネルギーは電気だけではありません。例えば、衛生的な水も必要です。一方、需要規模や経済規模も大きくありません。
途上国に適したソリューションは、投資規模が小さなSMRを都市近郊に設置し、電力だけではなく海水の淡水化、熱などをまとめて供給することで、貧困対策と脱炭素化を一気に進められます。例えば淡水化では、NuscaleのSMRを4基設置するだけでケープタウンの需要を賄えます。
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Nov 18
エネルギー危機で厳しい立場にある英国ですが、Sizewell Cの原発新設計画に前進が見られました。英財務相のハント氏は、この計画を「エネルギー自立のための旅の大きな一歩」と木曜日に議会で表現しました。

UK's Hunt says Sizewell C nuclear plant will go ahead zawya.com/en/world/uk-an…
最終的な政府承認に向けて、初期投資に向けた契約が、EDFを含むパートナーと今後数週間以内に行われるようです。投資額は7億ポンドで30年ぶりの国が支援する原発プロジェクトです。(参画している中国CGNの扱いは気になりますが)
edfenergy.com/energy/nuclear…
(まとめ)
SizewellCに対する7億ポンドの投資を発表した際の、ジョンソン元首相の発言に、原発建設を行わないことが‘absolute madness’「明白な狂気」であると表現したことが印象的でした。そして今回は、自立に向けただ一歩と評しています。各国でエネルギー政策の正常化が進んでいます。
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