#数楽 差分作用素をTf(n)=f(n+1)と書く。

a,b,cが異なるとき、

A aⁿ + B bⁿ + C cⁿ

は(T-a)(T-b)(T-c)の作用で消える。

(bⁿ-aⁿ)/(b-a)のb→aの極限naⁿ⁻¹なので

A aⁿ + A' naⁿ⁻¹ + C cⁿ

は(T-a)²(T-c)の作用で消える。続き
#統計 c=a+hとおくと、

cⁿ = aⁿ + naⁿ⁻¹h + n(n-1)/2 aⁿ⁻² h² + O(h³)

なので、h→0のとき

(cⁿ - aⁿ - naⁿ⁻¹h)/h² →n(n-1)/2 aⁿ⁻².

ゆえに

A aⁿ + A' naⁿ⁻¹ + A'' n(n-1)/2 aⁿ⁻² = (nの2次以下の多項式) aⁿ

は(T-a)³の作用で消える。

一般の場合も同様。
#数楽 特性方程式が重解を持つときにはJordan標準形を使うと覚えてしまった人がいるかもしれませんが、重解を持たない場合からの極限で重解を持つ場合も理解できます。

系を摂動したときの解の挙動の変化は重要なので、重解を持つ場合を持たない場合で近似することも重要です。
#数楽 そして、定数係数線形漸化式の場合に、Jordan標準形と重解を持たない場合からの極限の2つの方法が使えることを知った人は、漸化式と無関係に、「Jordan標準形の場合にも対角化可能な所へに摂動の様子がどうなっているか?」という問題を考えたくなるはず。
#数楽 こういう感じで、高校レベルの話題である定数係数の線形漸化式のような易しい話題であっても、方法を1つに固定せずに色々考えると、広がりが出て来てより楽しくなります。
#数楽 L=Tⁿ+p₁Tⁿ⁻¹+…+pₙT⁰のとき、

La(n)=0

型の斉次な定数係数線形漸化式を考えるだけではなく、与えられたf(n)に関する

La(n)=f(n)

型の非斉次な場合も考えるべきです。

f(n)が特別な数列なら非斉次の場合は斉次な場合に帰着できます。続く
#数楽 もしも、f(n)があるM=Tᵐ+q₁Tᵐ⁻¹+…+qₙT⁰についてMf(n)=0を満たしているならば、La(n)=f(n)のとき、a(n)は

LMa(n)=0

という斉次な定数係数線形漸化式を満たします。これによってa(n)の可能な形が制限され、機械的にLa(n)=f(n)を解けます。
#数楽 以上とまったく同じことを Tf(n)=f(n+1) を D=d/dx に置き換えた場合にもできます。ほぼ自明です。

要するに、高校で定数係数線形漸化式について正しく理解していれば、定数係数線形常微分方程式についても本質的に理解していることになります。
#数楽 個人的な意見では、非斉次な定数係数線形常微分方程式の特に重要な場合は、外部から強制振動力を与えている調和振動子です。

強制振動の周期を調和振動子の周期に一致させると共振が起こって振幅が無限に大きくなります。

周期がぴったり一致していない場合での近似の様子の分析も重要。
#数楽 このスレッドに書いたことは以前も書いたと思う。

私のツイログで「線形 漸化式」を検索

twilog.org/genkuroki/sear…
#数楽 線形な漸化式を母函数で解く方法も重要です。

離散及び連続的なLaplaceもしくはFourier変換に繋がる。

twilog.org/genkuroki/sear…

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Jan 28
#統計 P値や信頼区間に関する大学での講義は(数え切れないくらい強調していることですが)、論文 journals.sagepub.com/doi/10.1177/02… の内容(過信や自信過剰を引き起こさない考え方)に従うように改訂されるべきだと思います。

過去の大学の講義のほとんどがその意味では失格。
#統計 帰無仮説は統計モデルのパラメータの値に関する仮説になっており、P値を得るための確率の(近似)計算は帰無仮説下の統計モデル内で行うことになるので、統計モデルについての説明がない仮説検定の説明は最初から相手にする価値がないということになります。
#統計 仮説検定における「統計モデル」は「P値の計算に使われる数学的仮定の全体」のようにざくっと定義しておくと便利です。

例えば、P値の計算に確率の近似計算を使うならば、その近似がうまく行くという条件が統計モデルの中に含まれていると考えると便利。
Read 10 tweets
Jan 28
#数楽

a(n+1)=3a(n)+2ⁿ は Ta(n)=a(n+1) を使えば

(*) (T-3)a(n)=2ⁿ

と書き直せる。(T-2)2ⁿ=0なので、

(*)⇒(T-2)(T-3)a(n)=0.

ゆえに(*)の解は

a(n)=A×3ⁿ+B×2ⁿ

と書ける。このとき(*)⇔B=-1.

以上の完全に機械的な解法は大幅に一般化可能。
#数楽 Ta(n+1)=a(n)と書く。

(Tⁿ+p₁Tⁿ⁻¹+…+pₙ)a(n) = 0

の形の斉次方程式の解の形が完全にわかっていることを使えば、f(n)がそのような形の斉次方程式の解であるときの

(Tⁿ+p₁Tⁿ⁻¹+…+pₙ)a(n) = f(n)

の形の非斉次の場合も機械的に解ける。技巧的な式の変形技術は無用になる。
#数楽 そういう技巧を不要にする機械的解法は、

 ある種の方程式を満たす数列全体の集合が具体的に完全にわかっていること

から、ただちに出て来る。

ある街の様子を完全に知っていれば、その街で苦労無しに快適に暮らせるのと似ている。
Read 8 tweets
Jan 27
#統計 mdsc.kyushu-u.ac.jp/lecturesmdsc.kyushu-u.ac.jp/wp/wp-content/… の内容が滅茶苦茶。添付画像を参照。

①信頼区間の説明で「母平均の分布もわかる!」と書いてある。酷い!

②「t分布する二つに値の「差」も、やはりt分布」と書いてある。酷い!

③Wilcoxonの順位和検定は中央値の差の検定法ではない。 ImageImageImage
#統計 P値や信頼区間に関するより現代的な知識は論文 journals.sagepub.com/doi/10.1177/02… で得られる。

統計的有意性とP値に関するASA声明 biometrics.gr.jp/news/all/ASA.p… は必読で、講義動画 ocwcentral.com/subjects/01GB4… には時代遅れな説明が書いてある教科書に批判的コメントがある。

これらの代替案に従えば無難。
#統計

mdsc.kyushu-u.ac.jp/lectures

slideshare.net/ssuserf64eb4/s…

にも同様に酷い説明がある。

①真の平均が正規分布しているかのようなグラフの下に【真の平均は,95%の確率で,標本平均±1.96σ/√Nの範囲にある!】と書いてある!酷い。

②【t分布する二つの値の「差」も,やはりt分布】とある!酷い! ImageImageImageImage
Read 5 tweets
Jan 27
#統計 「全部pだと困る問題」について。個人のノートでは

p₁(y|x,c)p₂(x|c)p₃(c)p₁(yₐ|a,c)

の代わりに、

p(y|x,c)p(x|c)p(c)p(y=yₐ|x=a,c)

と書くことにしている。引数名を固定して、引数xにaを代入する場合には引数をx=aと書くという方針。

#Julia言語 のp(; y, x, c)と同じ仕様を採用😊
#Julia言語 での p(; x=y, μ=0, σ) のような書き方はこんな感じ。

using Distributions

p(; x, μ, σ) = pdf(Normal(μ, σ), x)

y = 1.96
σ = 1

p(; x=y, μ=0, σ) using Distributions  p(; x,...
プログラミング言語の仕様になっている書き方であれば、well-definedな表記法であることが保証されていると考えてよい。

#Julia言語 との類似は、変数名が違えば型も違うことにすると、同一の名前の函数(メソッド)の多重ディスパッチの仕組みによって、より完璧になる。
Read 4 tweets
Jan 27
#統計 2009年頃に、添付画像の場合に傾向スコア法を使うとバイアスが生じたりしないのか、という質問にルービン先生がまともに答えることができなかった件はもっと知られてよいと思う。

この件については、ルービン先生的な因果推論を学んだ人達もルービン先生個人に批判的になるべきだと思いました。
#統計 ある程度以上、統計的因果推論について学んだ人であれば、Cによる条件付けで調整すると、EのOutcomeへの効果にバイアスが生じ、因果効果の見積もりを誤る危険性があることを理解しているはずです。

易しい話です。
#統計 ルービン先生は、「この場合の因果推論では、傾向スコア法に限らず、Cによる条件付けをしてはいけない」とクリアに答えればよかった。

ルービン先生は単にCによる条件付けに警告を発し、警告する機会を与えてくれたことについて、質問者にお礼を述べればよかった。
Read 31 tweets
Jan 26
冷える。 Image
さらに冷えた。 Image
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