【インターオペラビリティって何?根本から図を使って解説】
1/ 「インターオペラビリティ」について、40ページにも及ぶディープダイブを執筆しました。

マルチチェーン、クロスチェーン、オラクル、リレー、資産発行メカニズム、ブリッジデザインなど、重要なコンセプトを総合的に解説しています👇
2/ 最初の作品「ノードからネットワークへ」を読んでいない方は、まず読んでみることを強くお勧めします
3/ これは、Web3のインターオペラビリティレイヤーをカバーする、私のマスターWeb3ファンダメンタルシリーズの第2部です。

このスレッドを読めば、資産がブリッジされると実際に何が起こるのか、ブリッジがハッキングされると何が起こるのかが理解できます。
4/ その前に、いくつかの用語を整理しておきましょう。

> マルチチェーンとは、複数のネットワークが共存し、互いに補完し合うという考え方です。

> クロスチェーンは、ネットワークが相互に通信する機能です。
5/ なぜブリッジが必要なのか?

すべてをこなせる単一のモノリシックなブロックチェーンはありません。ブロックチェーン・ネットワークは、特定のユースケースのために妥協する必要があります。

これは、@VitalikButerin の次のようなスケーラビリティ・トリレンマの理論で説明されます。
6/ このトリレンマでは、ネットワークは3つの特性のうち1つについて妥協する必要があると提唱しています。
> スケーラビリティ:高いTPSを処理する能力
> セキュリティ:攻撃に対する経済的・技術的な安全性
> 分権化:多くのアクターにコントロールを分配すること。

その結果、3つのネットワークプロファイルが出来上がりました。
7/ ネットワークを比較する場合、そのプロファイルによって分類することができます。

各ネットワークには、ユーザーが利用できる独自の利点があります。

しかし、ユーザーがあるネットワークから別のネットワークに移動したい場合、インターオペラビリティレイヤーが必要になります。
8/インターオペラビリティと互換性の比較

インターオペラビリティ(Interoperability)とは、異なるシステムが互いに協調して接続し、通信する能力のことです。

これは、他のシステムからの出力を理解する能力を意味する互換性(Compatability)とは異なります。
9/ブロックチェーンネットワークの文脈では、ブロックチェーンシステム間のアセット(=システム出力)の互換性は、相互運用性と密接に関係しています。
アセットに互換性がない場合、インターオペラビリティを可能にするために、インターフェイス(ブリッジ)によって互換性のある表現を作成する必要があります。
10/ブリッジは、ネットワーク間のデータ(資産=アセット)の移動を可能にします。

ブリッジを設計する場合、相互に関連する3つの設計領域を考慮する必要があります。

1. クロスチェーン通信機構

2. クロスチェーン資産同等性

3. 資産移転プロセス
11/クロスチェーン通信機構

ネットワーク間の通信を円滑にするために使用される主要な技術は3つあります。

> オラクル (Oracles)
> リレーヤー (Relayers)
> ライトクライアント(Light Clients)
12/オラクル

オラクルは、ブロックチェーンネットワーク上のスマートコントラクトにデータを書き込んだり、そこからデータを読み取ったりするサービスです。
ブロックチェーン・ネットワークは、その内部にあるものしか見ることができない閉じたシステムであることを忘れないでください。

オラクルは、外部のデータをネットワークに書き込むことで、その制限を克服することができます。
13/ インバウンドオラクルはOUTSIDEデータをネットワークに書き込みます。

アウトバウンドオークルはINSIDE(オンチェーン)データを読み取り、ネットワーク外で利用できるようにします。
15/ Oracleの分散化は、(より)正しいデータの受け渡しに役立ちます。

複数の異なるソースが同じデータを提供することで、正しいデータが渡される可能性を高めることができます。
16/ リレーヤー

リレイヤーとは、ある当事者から別の当事者へ情報を中継する存在です。
インターオペラビリティの文脈では、リレーヤーはノードにインストールされたソフトウェアクライアントであり、そのノードには他の2つのネットワークのクライアントソフトウェアもインストールされています。
17/ リレークライアントは、一方のネットワークから状態変化(受信TXやスマートコントラクトの交信など)を読み取り、他方のネットワークでトランザクションを送信することができます。
セキュリティを高めるために、複数のリレーヤーを使用してリレーヤーネットワークを形成し、リレーされる前にアクションを検証することができます。
18/
ライトクライアントは、ソースネットワークとターゲットネットワークを持つ物理ノードにもインストールされます。
ただし、ライトクライアントは、ブロックチェーンに関連するすべての情報ではなく、ブロックヘッダーのみを保存します。

ライトクライアントのセキュリティは、多数決のコンセンサスではなく、暗号技術に由来するものです。
19/
あるネットワークでTXが行われ、そのTXが別のネットワークで行われたことを誰かが検証する必要がある場合、ライトクライアントにMerkle proofを提出します。

このMerkle proofは、ブロックヘッダ内のMerkleツリーと相互参照されます。

それらが一致すれば、Txは有効とされます。
20/ 一元管理/信頼されるエンティティ

中央集権的なエンティティや信頼できるエンティティは、上記のどのような組み合わせでも、あるいは私たちが聞いたこともないような高度な技術でも、私たちにはわからないようにすることができます。
集中管理されたエンティティはブラックボックスであり、我々はそれらが安全であることを「信頼」する必要がある。
21/ クロスチェーン資産等価性

資産は、実際にはあるネットワークから別のネットワークに移動されるわけではありません。

その代わりに、あるネットワークでは「使えない」ようにし、別のネットワークでは「使える」ようにするのです。
クロスチェーン資産等価性を実現するために、以下の3つのメカニズムを使用することができます。

> ロックとミント
> バーンとリディーム
> Local Liquidity Pools
22/ ロックとミント

資産はソースネットワーク上で「ロック」(ブリッジが保持)され、ターゲットネットワーク上で資産がMint(発行)されます。
23/ バーンとリディーム

資産の発行者がソースネットワークとターゲットネットワークの両方にスマートコントラクトを持っている場合、資産のネイティブバージョンは両方のネットワークに存在することができます(「マルチチェーン」資産)。
ソースネットワーク上のアセットはバーンされ、ターゲットネットワーク上に新しいアセットがミントされます。
24/ Local Liquidity Pools

資産をソースネットワークに固定するのではなく、流動性プールに保持し、ネットワーク間で資産が移動するたびに資産を追加・削除する。
25/ 資産移転プロセス

通信という手段と資産管理・発行のアプローチを組み合わせることで、ソースチェーンの資産価値をターゲットチェーンの同価値の資産に変換するプロセスを設計することができます。

これがブリッジです。
26/
ここでは、以下のアプローチについて説明します。

> ノータリースキーム ブリッジ
> サイドチェーンまたはリレーネットワーク ブリッジ
> SPV ブリッジ
> アトミックスワップ
27/ ノータリースキーム ブリッジ

中央の第三者がクロスチェーン取引のバリデーターとなり、ソースネットワークで資産を受け取ったことを確認し、ターゲットネットワークに同等の資産がユーザーに送られることを確認します。
28/ サイドチェーン&リレーチェーンブリッジ

サイドチェーンとリレーチェーンは、ソースネットワーク上で特定のイベントが発生したことを検証し、ターゲットネットワークにデータを配信するために、独自のコンセンサスレイヤーとバリデータセットを持つ別のネットワークに依存しています。
29/ SPVベースのブリッジ

SPV(Simple Payment Verification)ブリッジは、ライトクライアントがソースネットワーク上で資産を受け取ったかどうかを確認することに依存しています。
30/ アトミックスワップ

アトミックスワップは、ブロックチェーン同士が直接やりとりすることなく、異なるブロックチェーン間で2者間のトークンのピアツーピアのやり取りを促進するために使用されます。

アトミックスワップは、「ハッシュドタイムロックコントラクト」(HTLC)に依存しています。
31/

HTLCは、パスフレーズを提供する(ハッシュロック)か、一定の時間閾値を超えた後(タイムロック)に、ユーザーが資金を償還することができます。

簡単に言うと、HTLCは時間拘束型の条件付支払契約です。
32/(成功例)

アトミックスワップを設定するには、一方の当事者が他方の当事者にパスフレーズのハッシュ化されたダイジェストを提供する。このパスフレーズは、両当事者がそれぞれのネットワーク上でHTLCをセットアップする際に使用されます。
パスフレーズが資金交換に使用されると、そのパスフレーズは可視化され、相手側は資金交換に使用できるようになります。
33/(失敗例)

パスフレーズが使われなかった場合(つまり明らかにされなかった場合)、タイムロックが発動します。

一定時間が経過すると、パスフレーズのない側は自分の資産を払い戻すことができる。パスフレーズが公開されなかったので、その当事者は相手の資金にアクセスすることができません。
34/

上記のプリミティブ、メカニズム、プロセスは、事実上すべてのブロックチェーンの相互運用性プロトコルで使用されています。
35/

これらを学ぶことによって、LayerZeroやCosmosのIBCプロトコルなどのプロトコルを理解し、ブリッジがハッキングされた場合に何が起こるかを理解することができます。

この記事では、これらのプロトコルと5つの有名なブリッジ・ハッキングについて詳しく解説しています。
web3edge.io/fundamentals/m…
お疲れ様でした!

インターオペラビリティについて、学ぶことはできましたか?

知識欲に満ち溢れてる人にとっては、インターオペラビリティ領域はワクワクで溢れてるような気がしました!

気に入っていただけたら、下記の最初のツイートにいいねとRTをいただけると幸いです。

Thanks @0xPhillan

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Feb 1
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(以下、一部翻訳)
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上海アップグレードに近づくにつれ、リキッドステーキングの物語がフルスロットルになっています。

2023年の初めから、リキッドステーキングのプロトコルはアウトパフォームしており、マーケットリーダーの$LDOは過去3週間で167%も上昇しています。

さまざまな種類のトークンを見てみましょう

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stETH: リベーストークンで、保有するトークンの数は累積したステーキングイールドを反映して増加します。

cbETH & rETH: 保有するトークンの価値が累積したステーキングイールドを反映して増加するリワードベアリングトークン。

sfrxETH: frxETHによって補完される報酬を持つトークン。

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(以下、翻訳)

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1. @DefiLlama

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彼らは常に新しい機能を追加しプロダクトを成長させています。

特に、ETHのLSDデータをよくみていますが、便利です

defillama.com

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プロトコルが生み出す収益を追跡するのに最適で、ここで検索すると、実態を反映していない価格のトークンを見つけることができます。

tokenterminal.com/terminal

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