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Mar 12 22 tweets 2 min read
mRNA型生物製剤への製造時に使用した発現ベクターが、最終製品にかなりの量(mRNAの20%から35%)残存していることがある研究者から示され、アメリカでは最近問題に。plasmidgateというキーワードで検索すると関連する情報がたくさん見つかります。プラスミドゲート事件。大きな問題になるのか?
この図は発現ベクターの遺伝子マップ。赤い部分がスパイク遺伝子、oriと書かれた黄色い部分は大腸菌でDNAを複製させて増やすための複製開始点。赤で示されたのがスパイク遺伝子ですが、その上流部、矢印の起点付近にT7 promoter配列があります。この配列がmRNA合成では重要なはたらきをします。
T7 promoter配列ですがT7というのは大腸菌に感染するウイルスの1種のこと。この配列があるとそこにT7由来のRNA合成酵素が結合して大量にmRNAを合成することができます。さらに、このDNAにはSV40プロモーター配列も存在していますのでその下流の遺伝子はヒト細胞でも発現。薬剤耐性遺伝子も存在します
NeoR遺伝子(オマイシンという抗生物質に耐性にするための遺伝子)が加えられています。この選択マーカーは大腸菌でも哺乳類細胞でも使用できますので、ファイザーの研究者たちは、この発現ベクターをヒト細胞に導入して実験することも考えていたのかもしれません。MluIとかStuIとかは制限酵素部位。
MluIとかStuIとかいうのが円からはみ出して書かれていますが、これらは制限酵素のことで、細い線で示された部分がこれらの制限酵素(ある特異的な演繹配列を認識してそこで切断する酵素のこと)で切断される部位です制限酵素切断部位と呼びます。このプラスミドの全長は約7500塩基でかなり長い部類。
mRNA型生物製剤に困窮しているとされていた量は、最初は3000分の1とか350分の1とかだったのですが、MITでヒトゲノムの解析プロジェクトに参加し、次世代型DNAシークエンサーのSOLidの開発にも参加した研究者のKevin McKernanさんが自分のブログで発信しました。それがきっかけで問題になりました。
さあ大変だということで、こんなイラストが貼り付けられた発信もあります。アメリカでは追加接種を行う人はほとんどいませんし、追加接種者の割合も日本より遙かに少ないので、今更、なんだという雰囲気です。一方、日本ではDNA混じりのmRNA型生物製剤をなんと、これからも接種しようとしています。
政府は、mRNAの合成に使用した発現ベクターがmRNAの20%から35%含まれたものを今から接種するのでしょうか。スパイク遺伝子をヒトゲノムに導入したらどうなるかという大規模な人体実験を行うようなものです。この図に書かれたような実験をヒトで行うことになります。これは正気の沙汰ではない。
脂質ナノ粒子(LNP)にプラスミドDNA、それも直鎖状にされたものを内包させると高い効率で細胞にDNAが導入されます。この際の導入される細胞は非特異的でLNPが遭遇した細胞に片端から遺伝子が入ります。細胞内に導入された遺伝子は一部は細胞内で分解されますが、多くの分子は核に移行します。
DNAを細胞に導入した場合、この確率は1%から1万分の1程度と言われています。この遺伝子の導入反応には逆転写酵素は不要です。そのため、mRNAだけのものと比べると格段に高い確率でゲノムに組み込まれます。
ここで明記しておきますが、この発見はまだ研究者一人のものでブログ記事です。
さらに続けます。プラスミドというのは細菌の染色体外DNAです。遺伝子工学で使用される遺伝子を細胞に導入するときに使用するベクターの1種です。これには遺伝子の改変に主として使用するクローニングベクターと遺伝子発現を目的とした発現ベクターとがあります。今回のものは発現ベクターです。
今回、問題になっているのは発現ベクターです。発現ベクターというのは発現したい、つまり、mRNAを合成したい遺伝子の上流部にプロモーター配列を持っていて細胞に導入するとmRNAが大量に生産されます。あるいは試験管内でRNA合成酵素と基質を加えるとmRNAを合成することが可能です。
ここで、mRNA型生物製剤に使用されているmRNAがどのように製造されているかを説明。スパイク遺伝子はかなり長いため有機合成的な方法でのいわゆる化学合成は不可能。そのため、DNAからmRNAを試験管内で酵素を使用して合成する方法を採用。RNA合成酵素を使用してDNAから合成するというものです。
RNAを構成する基質、つまり、構成ブロックですが、ヌクレオチド三リン酸を4種類、A,C,U,Gを加えます。この中のU,ウリジンが、本来のウリジンではなく1メチルシュードウリジンを使用。T7RNA合成酵素は強力なRNA合成能力を持っており、この方法でシュードウリジン化されたmRNAの大量生産が可能です。
反応が終了した時点では、RNAにDNAが混じっている状態ですので、この反応が完了した段階でDNAを除く必要があります。DNAを除く方法ですが、RNAには反応せずにDNAだけを分解する酵素を使用すればDNAを断片化して取り除くことは可能。今回はこの酵素処理が不十分だったと考えられています。
既にmRNA型生物製剤にDNAが混じっているという報告があったことを契機にKevinさんが混じっている量を調べたのが今回紹介している記事です。どのような方法でDNAの量を策定したかを細かく説明されており。その方法は妥当なものだと思いました。結果の一例として定量的PCR法の結果をあげておきます。
定量的PCR法、アガロースゲル電気泳動法などで解析しさらには次世代型DNAシークエンサーで塩基配列解析のも行っています。プラスミドは直鎖状にされていますが環状のものも残存していたということ。解析の結果、最終的に含まれるDNAの量はmRNAの20%から35%というのが彼の結論です。
ここで彼の元ツイッターを貼り付けておきます。Kevinさんですが、現在は受託分析のバイオテックのCSOで創業者。彼は関連する論文をたくさん発表しています。ここからブログ記事に行くことも可能です。
途中でも書いておきましたが、これは査読済みの論文の紹介ではありませんが、これが事実だった場合のインパクトはかなり大きいので紹介することにしました。彼は論文として発表することを考えていますが、問題は採択してくれるジャーナルがあるかどうかでしょう。
この定量結果が正しいのか、ロットごとのばらつきはあるのか、など残された課題は多々ありますが、品質に問題のあることは否定できないでしょう。発現ベクターDNAがこれだけまじったものをヒトに接種するとかなりの確率でスパイク遺伝子がゲノムに取り込まれます。その影響は計り知れません。
Kevinさんが行った実験はそれほど困難ではありません。分子生物学の研究室であれば容易に実験可能。残念ながらmRNAワクチンは研究者に供給されておらず実験不可能。厚労省の関係研究機関はこのことが事実かどうか実験して国民に示す責任があると思います。否定されるまでは接種を中止すべきです。
このようなゲノムの改変につながる懸念が出てきた以上、接種を即座に中止すべきです。DNAが混じっている量にばらつきがあるとしても接種を繰り返すほどリスクは高まります。非接種者はもう接種しないでしょう、接種された方も追加接種は絶対にやめましょう。ここで立ち止まることが重要です。

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Mar 11
少し前の長いスレッドを再度紹介しましたが、そのスレッドの根拠となる論文が多数収載されているレビューが発表されました。マッカロー博士らの論文ですが福島先生も著者に加わっています。スパイク発現細胞が免疫システムに攻撃されることが広く認識されてきました。ここから論文にアクセスできます。
論文はあまり長くないのですが、スパイクタンパク質が細胞膜に局在することや、細胞内で産生されたタンパク質がMHCクラス1分子に結合して抗原提示され、それで免疫システムの攻撃を受けることが書かれています。またスパイク発現細胞が免疫系システムの攻撃を受けたという実例の論文も示されています
接種後どのくらいまでスパイクが検出できたかという論文も集めていますし、エクソソームという細胞から放出される顆粒状のものについて、その役割を議論しています。ファイザーの研究者がmRNAワクチンで免疫が誘導される仕組みを理解しないまま緊急承認に進んだことも示唆されています。
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Feb 24
いろいろコメント・質問をいただき、どうもありがとうございます。まとめて質問に回答します。まずは、IgG4がどのくらいの期間で減少していくのかということですが、私の周辺の研究者で二回接種後経時的に抗体価の変化を自分で採血して解析している方がいます。回答方々、そのデータを紹介します。
一人はモデルナ二回接種でもう一人はファイザー二回接種です。接種は2021年の夏でしたので、1年半以上経過したことになります。抗体の測定系は内部標準を使用して定量的な解析ができるようにしたものです。測定レンジは下限が0.01AU(AUというのは便宜上設定した単位です)で最大は2000AUです。
このように、ダイナミックレンジはかなり広くなっています。二回接種後の最大値は400AUとか200AUです。モデルの方がmRNAの量が多いためか初期値も高く、減衰も遅いようです。と言っても現在はそのレベルはピークの100分の1程度です。ファイザーはさらに低下しておりピークの数百分の1程度まで減衰。
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Feb 20
以前、このスレッドでIgG4に関して説明しましたが今回はこの続編です。今回はmRNA型生物製剤で誘導される抗体がIgG4化されることの生物学的インパクトについて、さらに説明します。
この前のスレッドで紹介した抗体の機能活性一覧表を再度貼っておきます。今回のものは日本語化したものです。この表の下の部分には各抗体の分布が書かれています。抗体の血清中の濃度を見ていると桁違いに濃度が低いのはIgE。IgE抗体が増えるとアレルギー反応が誘導されるので濃度が低いのは合理的です
IgG4はIgGのサブクラスの中では一番濃度が低い。IgG4は同一の抗原で繰り返して免疫しないと誘導されないので濃度が低いということは理解可能。同じ抗原で繰り返して免疫されることは通常ではまれ。IgG4がmRNA型生物製剤の接種の二回目以降で誘導され接種の繰り返しで増えていくことは既に紹介済みです
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Feb 18
巷ではモデルナがインフルエンザ用のmRNA型ワクチンの開発を進めているというニュースが報道されています。また前回のスレッドにはいろいろなコメントをいただき、どうもありがとうございます。少し気になったのが、内容が難しいという指摘です。そこで、予定を少し変更して基礎的なことを説明します。
今回は高校で学ぶ生物基礎の教科書と大学の学部で使用される教科書の模式図を対比しつつ、免疫学の基礎的なことを説明し、mRNA型生物製剤の根本的な問題を再度指摘したいと思います。原著論文を読まなくても教科書レベルの知識で今回の問題の本質が理解できることを示すことも重要な目的の一つです。
免疫学の基礎を学ぶことができる動画は免疫学とか免疫学の基礎とかいう言葉で動画検索を行うとたくさん見つかります。You TubeはmRNA型生物製剤の弊害を紹介する動画をすぐに削除しますが、さすがに免疫学を説明する動画は削除していません。mRNA型の問題を知られたくなければこれらも削除すべきです
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Feb 11
人体は何度も同じ抗原刺激にさらされると産生される抗体の種類が変化します。最初に誘導される抗体は炎症誘導性の抗体ですが、同じ抗原にさらされると炎症を誘導しない種類の抗体に変化していきます。IgG4は抗原接種を繰り返した後に誘導される非炎症誘導性抗体です。抗体の機能は二つに分けられます。
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最近、mRNA型生物製剤の接種によりIgG4が誘導されるという現象に注目が集まっています。IgG抗体が非炎症性抗体に変化するとなにがおきるかを今回は考察します。最初に抗体分子の構造を紹介します。ここで覚えておいてほしいのは抗原結合部位が二つあるということ。左はWikiから。右は免疫生物学から。
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Jan 8
mRNA型生物製剤の後遺症をどのように治療するかは重要な問題。有志の医師の会の先生方が、治療プロトコールの確立に向けて模索されています。その中でイベルメクチン(IVM)を使用することによって一定の効果が得られています。なぜ効果があるかについて、科学的なエビデンスとなる論文を紹介します。
今回紹介する論文では、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質が試験管内の反応で赤血球の凝集反応を誘導すること、さらに、オミクロン型のスパイクタンパク質はより低い濃度で咳血球の凝集をおこすこと、そしてIVMをこの実験系に加えると赤血球の凝集を阻止することが示されています。
これが今回紹介する論文です。IJMS掲載の査読済み論文です。最近この雑誌のインパクトファクターはかなりのびていて、我が国の分子生物学会の科学ジャーナルであるGenes to Cellsは追い越されてしまいました。
mdpi.com/1422-0067/23/2…
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