#シン・仮面ライダー の「SHOCKER」の目的が人類の幸福だという点だが、実はこれも原典の一つである石ノ森版にある。というか、昭和の変身ヒーロー物は子供向けなんで、正義と正義の衝突を真っ向正面からは描けなかったんだナ、これが。石ノ森版「ショッカー」は乱れた世の中に秩序をもたらすため、→
→人間のロボット化による支配を目指していると、構成員に説明しているらしいし、事実連中の行動は徹頭徹尾「人間の支配」に置かれている。例外は「怪奇くも男」に資金調達計画が横軸の「よみがえるコブラ男」と、本郷抹殺話の「13人の仮面ライダー」の三編だね。→
→正義と正義の衝突を縦軸に持ってきた特撮作品は、たぶん『大鉄人17』が最初じゃないかなぁ。当時小学二年生になったばかりだったが、ブレインの目的が地球の環境保全だと知りひどく驚いた。それまでの「敵」って、自らを悪とうそぶくキャラばかりだったからね。まさか地球の自然を守るためには→
→人類の排除こそが最適解だと結論づけたスーパーコンピュータが敵だなんて、公害の記憶がまだ記憶に新しかった当時は、ブレインの言ってることは正しいのかも!?と思わせるものがあり、僕ら児童には衝撃的だった。「大人も唸るテーマを内包している」作品は、何も平成や令和になってから→
→突然出現したわけではなく、こつこつとそれまで積み上げられてきた過去の作品の延長線上に存在するのである。子供向け番組はジャリ番と蔑まれ、俳優たちも中には自ら望んで出演したわけではない者たちもいた。藤岡弘、氏でさえライダーのイメージを払拭し、役者としてのキャリアアップに→
→努めていたほどだ。宮内洋氏の様な、好んでヒーロー番組に出演する人物など珍しかったのである。乗り気じゃなかった村上弘明に事務所がオーデイションを受けさせたのは、一年間レギュラーを務めるとジャリ番であっても「お土産」が得られるから、という判断だったのだと推察する。→
→東映が二年目も打診したら、今度は事務所から断ったことからもその意図は明白だろう。昭和の時代はデビューが特撮番組で、主役級の役者として大成した例は数少なかったと思う。ちなみに仮面ライダー主演後にNHKの『君の名は』で若い女性の人気を得た倉田てつをが→
→タモリの『笑っていいとも』にゲストで呼ばれた際「デビュー作は仮面ライダー」と明かされたときの、視聴者席からの否定的なニュアンスを含んだ驚きの声が、平成一桁時代の世間における特撮番組の立ち位置を改めて認識させてくれた。『クウガ』以後に想いを馳せると、嘘みたいな話である。→
→役者側も平成になってから状況が変わってきたな、と感じるようになってきたのは、演者たちが老いていく横で、かつての私の様な児童視聴者たちが社会に出てきてからである。老いれば仕事が限られていく上に、ジャリ番出身者として色眼鏡で見られてきたのだ。彼らがおかれた状況は察せられるだろう。→
→昔の大部屋俳優や等級の低い俳優は、歳を喰ったら転業するのが常道だった(専属制は1970年代になる前にほぼ破綻していた)。それが90年代に入ると、子供時代にヒーロー番組に観ていた僕らは、大人になっても彼らのことを忘れていなかった。悪役や脇役であっても、だ。否、だからこそ、だった。→
→昭和時代は時代劇の放送が多く、特撮番組で悪役を演じた名バイプレイヤーたちや、端役で出演していた俳優たちの活躍を、番組終了後も観られたため忘れることがなかったのである。HDに貯め込んでいた昭和50年代の時代劇を昨日観たんだが、主演のスターを囲む脇役・客演俳優がこれまた→
→特撮好きには堪らない陣容だった。睦五郎(エスパイ、メカゴジラ二部作、惑星大戦争)、誠直也(ファイヤーマン、ゴレンジャー)、森田健作(惑星大戦争)、大門正明(メカゴジラ二部作)、堀田真三(ライダーシリーズ、アイアンキングその他多数)、宮口二郎(仮面ライダー)等々。→
→ああ、中山昭二(ウルトラセブン)に菅貫太郎(仮面ライダーBLACK)、千波丈太郎(仮面ライダーV3)も見かけたな。「三つ子の魂百まで」なんて諺があるけれどまさにそれ。子供時代に夢中になった番組に出演していた役者のことは、何歳になっても忘れることが出来ないのだ。そして今度は→
→自分たちが作り手側に回ったとき、そういった「憧れの役者さん」と組んで仕事をしたいと思い、事実動き出す人たちが出てきたわけ。若い時は大部屋や客演ばかりで苦労したが、年老いてからも支持してくれるかつての視聴者がいるという事実は、とても幸福なことなんじゃないか?と思うのダ。

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Mar 22
#仮面ライダー

オンタイム当時、本郷ライダーを1号、一文字ライダーを2号と最初に明示したのはテレマガだったと記憶している。初のダブルライダー編である第40話のサブタイトル「(前略)二人のライダー」からも分かる様に、劇中ではあくまで本郷、一文字共に<仮面ライダー>だった。→
#仮面ライダー

→OPクレジットにも1号2号の表記はなく、二人とも「仮面ライダー」になっている。これはTVだけではなく、本郷編の再開となる第53話直近で公開された劇場版でも踏襲されている。全98話中、本編で「第1号」「2号」と出てきたのは前者はナレーションを含むと計3回。→
#仮面ライダー

→内訳はナレーションが第40話と第52話。本郷自らが名乗ったが第52話。後者はわずか1回。第98話のみである。この時点では便宜上出てきた感が強く、クレジットにも表記されていない以上、公けの物とは言い難いだろう。ただテレマガの発信した「技の1号力の2号」は、最終回までには→
Read 10 tweets
Mar 20
#シン・仮面ライダー』観てきたよ! 初期本郷編と一文字編だけでなく、石ノ森版も読み込んでおくと最っ高!!って思える映画でした。原典の劇伴流用数はシン・ウルよりもグッと下がったけど、さすが『仮面ライダー(`71)』オタクの庵野秀明監督、ツボを突いた選曲。→ Image
→原典の劇伴流用数はシン・ウルよりもグッと下がったけど、さすが『仮面ライダー(`71)』オタクの庵野秀明監督、ツボを突いた選曲。にしても、冒頭のダンプから「三栄土木」で「どこまで原典をリスペクトしてんのよw」と苦笑い。→
→クモオーグ関連のシーンはアングルやタイミングまでなぞってやんのw 最高すぎるだろ! 夾雑物を徹底的に排除した作りはシン・ゴジ、シン・ウル以上だと思った。
 池松壮亮の本郷猛は良かったけど、予想以上だったのが柄本佑の一文字隼人。 Image
Read 5 tweets
Apr 17, 2022
『シン・ウルトラマン』は『シン・ゴジラ』以上に正しくリブートだと感じている。実製作された『ウルトラマン』を下敷きにするのではなく『マン』が制作される以前にまで立ち戻り、同じ素材を用いて現代で作り上げようとしていると推測する。だから恐らく『シン』と『マン』を比較し→
→どれくらい66年版を「再現」しているのか、という我々マニアにありがちな行動を行ってもあまり生産的ではないに違いない。成田亨のデザインに忠実なウルトラマン、というだけならそうではなかっただろう。しかし作品のテーマを謳う主題歌の曲名が「M八七」だと知ったとき、→
→『シン』は『マン』を原点にしているのではないゾ!と悟り、悦びに震えた。ウルトラマンはM78星雲人であるが、そもそもこれは脚本を活版印刷する工程中に発生したミスによる、イレギュラーで生まれた文芸設定だと考えられることはマニアなら知っていると思う。金城哲夫のメモにあったのは→
Read 7 tweets
Mar 27, 2022
日本がなぜロシアのウクライナ侵略を非難し、経済力で攻撃しているのか。侵略が違法だからということもあるが、最も大きい理由は日本に経済的且つ国防上の利益をもたらしいるのが現在の国際秩序そのものであり、ロシアの侵略はそれに真っ向から反するからである。ゆえに侵略を擁護したり→
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→現状変更を是とする勢力」の戦いなのだ。ロシアが今回の侵略で利を得れば、中国を始め似たような「武力による現状変更」を目論む国が「俺も俺も」と出てくるだろう。もしそうなれば世界は百年以上前の「力のある国は力のない国を欲しいままに出来る」という、弱肉強食の時代に逆行することになる。→
Read 5 tweets
Aug 19, 2021
日本は明治の近代化以降、天皇(と皇室)が国民統合の象徴として存在し続けている。いわゆる国體。この国體ってのは国民国家の芯に言い換えられると思う。で、世界各国、様々な国體を持ってる英国を始めとする立憲君主国家なら王室、米国なら自由と民主主義。中国なら中華式共産主義と言ったところ。→
→北朝鮮ならキム一家だろう。有形無形の違いはあれども、およそ芯を持たない国民国家はあり得ないと考える。そうした中で珍しい芯を持つのが隣の半島南部の国。王朝は滅んだので共和制である。では芯は自由と民主主義? いや、違う。反日である。民主化以前は反共と反日の双子が芯だったが、→
→民主化以降、基本的に左派政権が続いてきた(イ・ミョンバクとパク・クネの右派政権はイレギュラーに近い)。結果、右派が奉じてきた反共は芯ーー国民統合の象徴の座からずり落ちた。しかし反日だけは揺るがない。日本では勘違いしていた人が実に多かったが、保守/右派=反共だが、→
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