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Aug 18 6 tweets 1 min read Read on X
「お前さ!一度でいいからマジで仕事やってみろよ!」
人生で はじめて胸ぐらをつかまれた相手は
両親でもなく、学生時代の友人でもなく
バイト先の先輩だった。

自分で言うのもアレだけど、当時の僕は
本当に最悪のバイトで…具体的には

接客が雑
電話に出ない
レジに入らない
休憩は気持ち長めに
とにかくラクしたいムーブ
まさにバイト先で”お荷物的”な存在だった

そんな自分に対してバイトの先輩は
なぜか気にかけてくれてて

クレームになりかけた時は
「代わるよ。あとは任せな」
って言ってくれたり

自分がダルそうに仕事してたら
「ちょっと休んできたら?」
なんてフォローもしてくれる

店長からあーだこーだ言われる度に
”いつかやめてやる”
なんて考えてたけど
あの先輩がいる空間が居心地よくって
なんやかんや働き続けていた

本気で仕事をしてこなかったのだ。

そしてあの事件が起きた→
→その日はシフトインしている人数も
少ない状態でお店も忙しかった

チンッ!とレジに置いてある呼び鈴が
鳴り響く

周りを見ても他の従業員がいない
仕方がなくレジに向かうと

子供を連れた親子で
購入したゲームソフトが動かなかったらしい

”あーーーーメンドクサイ”
っていう表情がにじみ出る

客「交換してください」
僕「あー…はい。ワカリマシタ」

お客様が電話ではなくわざわざ
お店までご足労頂いているんだし
本来ならそこでまずは
”申し訳ございませんでした”
って言うのが筋だろう

だけど、当時の僕は
”とにかくこの面倒な状況を早く片づけたい”
という気持ちばかりが先行していたので
そんな事は頭にまったくない。

幸いにも同じ在庫がいくつかあったので
それをパッと手にとって
僕「はい。こちら交換品です」
って渡すと

客「あの…これ、動きますか?」
僕「動きますよ」
客「確認してませんよね?」
僕「しましたって」
平気で嘘をついた

とりあえず納得してそのまま帰ってくれて
ホッと胸を撫でおろす

…が、それから1時間ほどして
お店の電話が鳴った

先輩が電話応対をしてくれたんだけど
どうも時間がかかっているし、電話越しに
頭を下げる様子を見て
”さっきの客かな?”って察した

先「ちょっといいか?」
先輩からチョイチョイと手招きをされて事務所へ

どうやら自分の予感は当たったらしい

先「商品、交換したんでしょ?」
僕「しました」
先「……動作確認した?」
僕「忙しいのでしてないです(笑)」
ヘラヘラと返事したのは
”お前ちゃんとやれよ~(笑)”
みたいにいつもの調子で突っ込んでくる
先輩の姿を想像してたからだった

ところがその予想とは全く違うことが起きる→
→突然胸ぐらを捕まれ、更衣室のロッカーに
バンッ!!!!!!!!!
と、背中を押し付けられたのだ
「お前さ!一度でいいからマジで仕事やってみろよ!」

先輩は目を赤くしながら
「子供泣かせるのはマジでねぇよ」
って言う言葉を聞いて驚く

どうやらあの商品は子供へのプレゼントとして
購入したものだったらしく、せっかく購入したのに
遊べずに泣かせてしまっていた

先輩が電話応対する後ろで
ひっくひっくさせながら
「もういいよママ」
という子供の声が先輩の怒りに触れた結果だった

結局その日はお客様側の都合が悪いらしく
次の日に直接自宅まで交換品を届ける対応になった

本来はお客様宅に向かうのは社員とか
店長の仕事で
バイト一人で行くのは基本NG。

だけどあのときの先輩の
「お前さ!一度でいいからマジで仕事やってみろよ!」
という言葉が胸にぶっ刺さって
どうしても直接謝罪したい気持ちが
自然と湧き上がっていた

「お客様宅へ謝罪に行かせてください」
と店長にお願いをすると
許可をもらったので僕一人で向かう事に

車に乗り込むと
”コンコン”と窓を叩く音
「一緒に行こうぜ」
先輩だった

助手席に座りつつ
「一人より二人のほうが何かあったとき対応しやすいからさ。店長に頼まれた」
なんて言うけど、そんな話は店長から聞いてない
っていうかその日は先輩のシフトは
”おやすみ”

つまり、心配して来てくれたのだ
その優しさがまた心に沁みる

お客様宅に到着すると
ガッチガチに緊張している自分に対し
「俺もいるから大丈夫」
そう肩をポンとされ、呼び鈴を押した→
→玄関から出てきたのはきのう
自分が対応した親御さん
”お前かよ”
という視線が鋭く突き刺さる

頭を深く、深く下げて
「大変申し訳ございませんでした」
緊張から足が震えるし
手汗がにじむ

あれはきっと今までの仕事の中で
心から真剣に謝罪をしたことがなかったからだ

頭を下げ続けていると
客「もういいですよ。頭をあげてください」
声こそ落ち着いているけど目はまだ怒りに満ちていた

本気で怒っている相手を真剣に対応する
のはこうも緊張するのか
しかもその怒りの原因を作ったのは僕自身
”交換品をお持ちしました”
という言葉が脳ではわかっていても
口から出てこない…

そこで先輩がすかさず
「動作確認したものをお持ちしました。お手数ですがご確認お願いします。僕たちは外で待機しておきますので」
と、フォロー

無事動作確認が取れ、その帰り道
僕「本当、すみませんでした」
先「いいってことよ」
僕「あと…ありがとうございます。お休みなのに…」
先「へぇ!」
”予想外”みたいな先輩の反応の意味がわからないでいると

先「ちゃんと”謝罪”も言えるし、”お礼”も言えるじゃん。それが当たり前にできると自然に仕事もできるようになると思うよ。」

という言葉に視界がにじみそうになった→
→当時の店長や、先輩、そして何よりもお客様に対して迷惑をかけたことをちゃんと自分で”マジ(本気)で”対応したことが僕の人生にとって大きな経験になった。

マジ(本気)でやらないとわからないことのほうが多いし、マジ(本気)でやれば学べることがたくさんある。自分の人生を変えた言葉の一つだ。自戒を込めて

「お前さ!一度でいいからマジで仕事やってみろよ!」
っていうあの先輩の言葉を今でも忘れないようにしている。
→長文にも関わらずここまでお読み頂き本当にありがとうございました。普段は保育士の妻との何気ない会話や仕事で感じたこと、日常生活で感じたことをポストしてお届けしております。 毎日違うお話をお送りしてますので「今日はどんなポストかな~」ってフラッと寄って頂けると嬉しいです!

過去に大きな反響になったポストはプロフに並べましたのでそちらも是非見てください。

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Aug 9
僕はタクシーで寝ることができない。
きっかけになったのは
残業でクタクタになって
珍しくタクシーを使って
帰宅した日のこと

何もない平日の夜
幸いにもタクシーはすぐにつかまった

「どちらまで?」
「〇〇までお願いします」

これで少しだけ寝れる…
ちょっと身体を休めようとしたところ→
→「随分とお疲れですねぇ」
と運転手さんが声をかけてきた

「えぇ。残業してたらこんな時間になってしまって”眠い”んです」
僕はやんわりと
”寝かせてほしい”
”声をかけないでほしい”
アピールをするも

「景気はどうですか?」
「お仕事は何されているんですか?」
と、更に話を続ける

頼む…寝かせてくれ…
そんな気持ちから
声をかけてきた運転手さんには
申し訳ないんだけど

「すみません。疲れているので寝かせてほしいです」

って一言伝えると
ミラー越しの運転手さんの
眉毛がピクッと動くのが見え

「なんか感じ悪いっすね」
って言われてしまった→
→気分を悪くさせてしまったら申し訳ないけど
本当に寝かせてほしい気持ちが強かった

気のせいかハンドル捌きも荒くなり
アクセルやブレーキの踏み方も強め
運転手さんも何やらブツブツ
言っている声が聞こえていたけど
そのまま目をつむると

それからどれくらい経っただろうか

「お客さん、お客さん到着しましたよ!」

”声かけ”
というより
”怒鳴り声”
のような声に飛び起きる

「すみません。いくらですか」
「8110円だよ」
「え!?」→
Read 5 tweets
Jul 17
ちょっと長くなります。
同僚がもう夏のボーナスがなくなって「金を貸してほしい」という相談を受けた。
貸してほしい金額は5万円。
金額もそこそこ大きいし
僕「とりあえず飯でも」
ということで話を聞くことに

僕は軽いランチのつもりだったんだけど何やら様子がおかしい。

同「予算いくら?」→
→同「予算いくらぐらい?」
よっぽどお金がないのか今からランチに行くお店について聞かれるので
僕「こっちが出すから」
同「すまねぇ…」
こんなやりとりからお店についていよいよ本題に。

話を聞くとボーナスは”なくなった”というより”溶かした”と彼は表現した。つまり、パチンコにパチスロのギャンブルで”あて”にしてた夏の賞与に手をつけてしまい困ったというわけだ。

今年車検だけど7月だというのに未だに
自動車税を収めておらず、”足りる”って
予想してた車検代がちょうどその金額分
不足してたということ

自動車税を納めないと車検は通すことができない
それで5万円を貸してほしいということだった

そもそも”いくら必要なのか”というのを
把握せずにギャンブルする時点で
呆れる話なんだけど

過去に自分も経験があるので
”そうなってしまう”過程も
”そうなってしまった”あとの
焦る気持ちは痛いほどわかる。

当時の僕とは違うのは
彼には家族がいるということ
それに子供もいる

なんとかしてあげたかった→
→僕「お金は貸すよ」
即返事をすると
心底安心したのか同僚はホッとした表情

僕「ただし、今後ここに通ってほしい」
そう言って提示したのは病院
そこは”ギャンブル依存症”について
診療を行っているところ

同僚は苦い顔をしつつも
同「よかった」
って意外な返答をした

僕「なにが?」
同「いや、貸すよ!っていう話だけだったらそのお金でまたパチ屋に行ってたかもしれないって想像したら怖くなってね…。こういう条件を逆につけてくれて本当に心配されてるんだなって」

いやいや、それはないでしょ(笑)
とは言えなかった。
自分もそういう”状態”になったことがあるから。

依存症だと手元にある”使ってはいけないお金を使ってしまう状態”。自分の意思でやめることができない病気。「意思が弱いから」とか「やめる気がないから」ではなく、脳内の機能異常が原因だとも言われてる。こうやって話を親身に聞くだけじゃ相手のためにはならない。だからこそ専門機関を勧めた

同「お金は返すから」
僕「返せるときに頼む!」

返却期限はあえて設けずにそのまま銀行によってお金を渡すと、その場ですぐに自動車税を収めていた。

それから半年後
また冬のボーナスの時期になって

同「ちょっといいか?」
また声をかけられた

まさか…?
一瞬心がザワつくも
ランチに誘われた

席につくなり→
Read 7 tweets
Nov 24, 2022
「まだ未清算の商品お持ちですよね?」
やっと捕まえた。
『・・・』
女性は黙ったまま静かに頷く。そのまま事務所に連れていき、盗んだものをオーナーと二人で確認していく。盗んだのは菓子パン2つ。身分証明書の提示を求めたが運転免許証も保険証もない状況だった。決して綺麗とは言えない身なり→
→経済的に困窮しているのが雰囲気でわかった。一商店の万引きの被害は小さい金額でも影響が大きい。それに犯行を重ねていたのは把握してた。絶対に許せない。警察に突き出してやる。
「通報しますね」
と受話器を取ると”待て”とオーナーが手の平をこちらに向けた。ゆっくりと手をおろすと女性に→
→「何故」と、問いかける。『お金に困っているんです。頼れる人もいない。どうしたらいいのかわからなくって…子供と自分用にパンを盗みました』目に光が無く淡々とした口調で話す。

話を聞いてオーナーは立ち上がり1枚のA4の用紙を手に取った。そこには経済的な支援についてまとめてあり→
Read 9 tweets
Nov 23, 2022
『生きていられるだけでありがたいんだよ(笑)』

病室のベッドで笑顔で答える友人。その隣には車いすが用意されてた。久々に見た顔は少し痩せて見えた。『やっぱりまだ感覚に慣れないんだよね。ここにまだ”ある”みたいでさ』彼は負傷した足を軽く上げると途中から不自然に凹んだ形の布団が見えた。→
→【〇〇さ、交通事故にあったんだって】
3,4か月前にクラスで噂になってた。
自転車で通学途中の事故。右足を膝から下を切断した。面会許可の連絡を受けてクラスメート数人とお見舞いに来てた。足を切断なんて自分だったら絶望してお見舞いとかは拒否する【だろう】。→
→彼はもともと活発でバスケ部で活躍してた身。心の痛みは想像を絶するものだった【はず】。笑顔で迎えられた事に少し安堵。病室では彼がいなかった間、学校でのできごとをはなし、会話に花を咲かせていく。事故当時の話題になり、「でもさ、【元気そう】でよかったよ」と僕が軽く一言。→
Read 7 tweets
Nov 22, 2022
祖母は出前を取ったあと、必ず食器を綺麗に洗い、拭いてから玄関先に返却をしてた。理由を尋ねると「”きれいに食べる”というのはね、”食べたあと”までのことを指すのよ」徳を積む人の言葉は深かった。
職場の同僚も食べ終わったあとの弁当箱を毎回職場で綺麗にしてた。理由を尋ねると「洗い物が1つでも減ると妻の負担が軽くなる。ほんの少しだけどこういう細かい家事をなくす努力はしているんだ」なるほど。徳を積むことは夫婦仲にもつながるんだな。と、さらに納得した。
今日もたくさんのご意見ありがとうございます。「洗う」「洗わない」という点ではなく、衛生面や回収する手間。こうした相手へのちょっとした気遣いが大事。洗わないから気遣いが無いわけじゃないですし、リプ欄を見るとそれぞれの理由があります。『押し付けにならない気遣い』が大切。そう感じます。
Read 4 tweets
Nov 19, 2022
『僕はただ落とし物を届けようとしただけなのに…』

交番の中で警察官二人に囲まれ、肩を落としている自分。遡ること1時間ほど前。通勤でいつもと違う道を行き公園を通ろうとした時、小さいバッグが落ちていた。あまり汚れておらず、今落としてたような状態。仕事に遅れたら嫌だし、このまま→
→スルーしようか迷ったが「持ち主が困っているかもしれない」自分の良心に従い近くの交番に届けた。落ちてた日時や中身の確認を行い一通りの手続きを終えて帰ろうとした時に「あの、すみません…」外からの声。振り返ると男性がバッグを指さし「それ、僕の落とし物だと思います」→
→あぁよかった!念のため警察の方と一緒に全員で中身の確認を進めていく
「あれ無いな…」
財布を広げた時にポツリと男性が漏らす
「お金が1万円くらい入ってたのですが、ないんですよ」
冷静に説明すること自体に違和感
「落としたのついさっきなんでなくなるのっておかしいですよね」→
Read 9 tweets

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