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Mar 2 10 tweets 2 min read Read on X
「メダリスト」が面白い、と聞いてアニメの方から入った訳ですが、そうこうしてるとTLに「メダリストは原作の方が動きにキレがある」なんて話が流れて来て「漫画は動かないよ?」と思いつつ原作読んでみたら原作は化け物級だったって話をいつもの調子で長文↓
もう何年か前の話ですが、とある漫画家さんが某大先生の所にアシスタントに行った時に言われた愚痴というかお叱りがバズって他の同業者の話にまで波及した事がありました。

そのお説教の内容はこんな感じ。

「最近のアシスタントは車に人が乗り込んで車体が沈み込む描写を描けない」

…そんな描写が可能なんですか?ってのが私の初見の感想。

その御大曰く、車に縦のパースをかける事で縦の動きを表現するのだとか。
そう言われてみれば確かにその大先生の作品に車がやたら出て来る作品があって、人が乗り込むシーンでは車にデフォルメかけて沈み込んでる様に見せてるシーンがあるんです。

パースって本来は遠近法に使われる技法で、動きを表現する技術じゃないんですよね。

で、そのアシスタントで行ってた漫画家さんが「そんなの描けませんよ」と弱音を吐いたら「◯◯と□□は描けたぞ!」と一括。
それを聞いた漫画家さんがひと言。

「…その2人、国内トップクラスじゃないですか」

このツイート(当時はまだXじゃなかった)に対して、同業者の方々の「アシスタント地獄絵図」みたいな報告がリプと引用で次々とやって来ます。

「そんなの描けねぇよ」的なエピソードがゴマンと集まる中で一際光り輝くエピソードが矢口高雄先生のとこのアシスタントのお話。

矢口高雄先生と言えば「釣りキチ三平」に代表される自然の描写が緻密な作品群な訳ですが、そこにアシスタントに行った奴が最初にやらされてたというのが「風呂の水面を描く」事。

何せ魚釣りの漫画ですんで常に水面の描写は付いて回る訳で、とにかく水を描かなきゃ作品にならない。

ちょっと絵心のある方ならここまで読んで「描けねぇよ」って思われると思います。
描けないんすよ水面なんてw
普通は青のベタ塗って終了、白黒ならグラデーションのトーン貼って終わりです。
ところが「釣りキチ三平」の中では水面の様子がガッツリ描き込まれてるんです。
そのリプを読んだ方が、あの作品の中では海水と淡水の水面を描き分けてる、と指摘してました。

そう言われて気が付いたのですけど、そんな些細な話じゃないんですよあの人の絵は。

海か川か、とかそんなんじゃなく、海だったら船の上から見た沖のうねりとか、磯場に海流が当たって波しぶきが当たるとことか、砂浜に静かに打ち寄せる波だとか、全部描き分けてるんですよ、全部。

内水面に至ってはもう狂気で、源流部の飛び越えられる様な細い流れ、深い淵で澱んだ流れ、浅瀬で底石の凸凹で波が立つ様、中流域で沈み岩の後ろで巻き込む流れ、堰堤や落ち込みで出来た深場で縦に巻く流れ、湖なら山間部の木々に囲まれた湖の木々に風を遮られて至って静かな湖面、開けた湖のさざなみ、小さな貯水池の小さなさざなみ、そこに流れ込む小さな流れ込みから広がる同心円の波。

私は連載当時子供で私自身も山育ちで川で遊んでたんで描かれてる自然がそのままだったのでそれが当たり前だと思ってたんですが、いざそれが人の手で描かれてたと気が付かされると驚愕でしかない。
あの絵の中の水は流れてましたし波打ってました。

何でそんなもんを描こうと思ったのか、私は説明する事が出来ます。
それは、矢口高雄先生自身が「釣りキチ」だったからです。

釣り人は魚を釣りたい人で、魚が何処にいるのか常に気にしています。
しかし、大抵の場合は水の中の魚は肉眼で見る事は難しい。
だから見える範囲で推測しなければなりません。

海だと広いし深いんで魚探とかの出番になりますが、川じゃそんなもん使えません。
なので、水面の様子から流れや底の状態を推測して魚が何処に付いているのかを予想します。

矢口先生の絵からは「魚が何処にいるのか」を推測する事が出来るんです。
アニメや実写に対して漫画のネガな部分は「絵が動かない」「音が出ない」という点です。

「サルでも描けるまんが教室」の中でも「漫画からは音が出ないのでバンド漫画は成功しない」と結論付けた後で「漫画の中から音が聴こえて来た例」を出して可能性を示唆しています。

実際、サルまん連載時迄ではバンド漫画で大ヒットしたと言える作品はあまりなく(「To-y」くらい?)割と的を得た指摘っぽかったのですが、以降「NaNa!」「BECK」「ぼっち・ざ・ろっく」などのヒット作が出ましたしバンド物とはちょっと違いますが「のだめカンタービレ」も音楽物としては大ヒット作品になりました。

ちなみに「サルまん」の中で「漫画の中から音が聴こえて来た例」とは「ガキでか」の「鶴井村音頭」でした。
確かに音が聴こえて来るんですよね、アレw

漫画は確かに絵は動きませんし音も出ないんですが、動いてる様に見せる事は出来るし音が聴こえる様に錯覚させる事も出来るんです。
以上、ここまで読んだ上で原作「メダリスト」のこれらのシーンを見てどう思います?
私は「ヤヴァい奴が来た!」と思いました。 Image
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もうね、狂気なんですよ、尋常じゃない。

ジャンプをコマ撮りで見せようとするのはギリ分かる、ジャンプはフィギュアの華ですから。
ステップシークエンスを滑った軌跡に合わせて描こうなんて思います?
コマ割りなんてガン無視で1ページぶち抜きですよ。
手塚大明神が歯ぎしりしながら墓から出て来て小言溢すレベル。

私は業界関係者ではない1消費者としては結構漫画読んでる方だと思いますが、こんなに紙面を枠線無視して縦横無尽に駆け回る作品を他に思い付かない。
おそらく、原作者の頭の中にあるイメージを原稿用紙にそのまま落とし込んでる。
で、原作者の人は間違いなくフィギュア経験者で、指導者の経験もある。

「キリン」と同じだ。

「キリン」は、バイクで公道を大っぴらに言えない速度で走った事のある人だけが見た景色を描いてる。
その景色を見た事のある人はいくらでもいるだろう。
しかし、そのイメージを描ける画力のある人は限られてる。

走った事があって、尚且つ描ける人は東本氏の他に居たとしても世界中で片手の指に収まるでしょう。

「メダリスト」は、そういう作品。Image
「何でそんな絵が描けるのか?」と言われたら、それは間違いなく「対象に対する愛情」
最初に例に挙げた大物漫画家氏はクルマに対して。
矢口氏は魚釣りと自然に対して。
東本氏はバイクに対して。

つるまいかだ氏はフィギュアスケートとその選手達や関係者に対して熱烈な愛情を作品の中から感じます。

普通、この手のスポーツ物漫画の場合、主人公とその周辺の関係者、ライバル達くらいしかネームドキャラは居ません。
あんまり増やすと読者が覚えられなくなるし、描く側も描き分けが大変(笑)
野球やサッカーの様なチームスポーツだとどうしても増えてしまいがちですけど、そういう場合は主要メンバーだけ描き分けて後はモブキャラ化するのが普通。

だって、描く側も読む側も覚えられないもんw

…私、人の顔と名前を覚えるのが苦手なんです、漫画やアニメでも実写でもリアルの人付き合いでも。
アイドルユニットが苦手な理由でもあります。
せいぜい3人まで、Perfumeみたいに髪型変えてアイコン化してくれたら更に助かる。
なのでAKB界隈とかもう全然分かんない。
ももクロも人数多かった時は背の高い子だけ区別出来た程度だし男性ユニットに至ってはそもそも男のアイドルに興味ないから更に覚えない。
森君が居た頃のSMAPとか、メンバーの見分け全然付けられなかった。

「メダリスト」って、アイマスか⁉︎ってくらいフィギュアの選手達がゾロゾロ出て来るんですよ。
(…今、「メダリストのソシャゲ化」というアイデアを思い付いたw)
最初は主人公の地元の選手しか出て来ないんですけど(それでもクラブがいくつもあるんで既に数十人)主人公が地方の大会や全国大会に行く様になったらゾロゾロ出て来る。

で、話が進んで行くと強化合宿とかでそれらの大会で出て来た子達が集まって練習したりするんです。

…全員とは言いませんけど、だいたい覚えてるんですよ、顔も名前も覚えられない私が。

選手だけじゃなく、コーチ陣とか、選手の親御さんとか、ガッツリ印象に残るんです。
キャラ付けが上手いし、ひとりひとりちゃんと描き分けてる。

ビジネスライクに描いてる漫画家さんはそんな描き方やらない。
手間が掛かり過ぎるから。
なので大変だろうなぁと思いながら読んでる。
月刊連載だからまだマシなんでしょうけど。
「原作はバケモノ」っていう話をした訳ですが、アニメが決して悪い訳じゃない、むしろ凄い。
スケートのシーンとか、おそらくモーションキャプチャからのCGで作ってて、原作のあの迫力に迫ろうという気迫を感じる。

だいたいCGのアニメって画面構成が素っ気無いのが多いんですよ。

CGやってる人ってモデリングやモーションの方に気を取られてフレーミングを意識していない人が多いみたいで、手描きアニメの方は思いっきりデフォルメして誇張してたりするのにCGのカットになると防犯カメラに写ってたシーンみたいになって「たまたま写ってた状況」みたいになってる事がままあります。

おそらく、CGには絵描きの素養ではなくてカメラマンの素養が必要なんですよね。

「メダリスト」では、その辺凄く頑張ってて、滑ってるスケーターをカメラで追い回してて、カメラの移動させるの大変だよなコレって思いながら観ておりました。

…ただねぇ、そこまでやっても原作のあの感じには届いてない。

CGアニメの成功例として「ぼっち・ざ・ろっく」の例を挙げさせて頂きますと、アレはフルCGではなくCGからのトレスなんですが、CG班がモデリングとモーションまで作った所で作画班にデータを渡して、作画班が画面構成決めてトレスしてる。
なので、画面構成は手描きのそれで絵の緻密さはCG準拠っていう凄い絵が作れてる。
ライブシーンは、ほぼPVでした。

おそらく日本のアニメのCG部分は分業化されてて大抵の場合はCG班が全部作って監督がチェックする形になってる様に思えます。
そこにカメラアングルを決める専門家を付けるべきじゃないか?ってずっと思ってます。
別にアニメの人じゃなくて構わない、むしろ実写のカメラマンの方がいい。

多分ね、カメラマンの人もウキウキで仕事すると思うんですよ。
実際にカメラで撮影しようとしたら絶対無理なアングルとかスピードとかで追っかけ回せる訳ですから。
いわゆる「ドローンで撮った」みたいな絵作りが出来る。
でも実際にフィギュアスケーターをドローンで撮ろうとしたら絶対蹴っ飛ばされる訳ですが(笑)VRならその心配も無い。

まぁそのうちカメラテクを持ったCG職人が現れて解決しそうですがw
昨日の夜見て「結構バズったな」とニヤニヤしてたんですが、今見たらもうレス追い切れません…

山程頂いたレスの中に作者の情報が幾つかありまして、私の書いた内容を修正すべき点が。

・「メダリスト」連載開始時点で作者はスケート未経験
・連載中にレッスンを受け始めるも1ヶ月程経った頃に転倒複雑骨折

…えぇ、未経験でアレ?

本物のバケモンやんけ(畏怖)
レスの中に「釣りキチ三平」でバズってたポストが紹介されてたんでどうぞ。

ね?「沖のうねり」だし「川の流れ」でしょ?
しかも「冷たさ」まで感じる。

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Jan 26
フジの件、「広告費=みかじめ料」って話が流れてますが、ちょっと分かりにくい話な上に「みかじめ料」なんてカタギの人は普段使わない言葉ですんでピンと来ないと思います。
なので私が知ってる話の中で広告費が大活躍した例を実際にあった話を踏まえて説明しようかと以下長文↓
皆さん、「武富士」って会社の「武富士ダンサーズ」のCMを覚えてるでしょうか?
キャッチーな曲に軽快なダンスのCMがそれこそ早朝から深夜まで1日中やってんじゃねぇか?って勢いで流れてました。
武富士に限らず消費者金融と呼ばれる貸金業者は昭和の頃からCMを大量に流してて、TVに限らず新聞、雑誌、電車内の吊り広告や郊外の看板など日本国内で生活してたら常に眼にするレベルで広告打ってました。
まぁ要は儲けてた訳でして、バブル崩壊後には特に躍進してまして「不景気の中の優良産業」とか言われて投資家筋には大人気でした。

儲けてるにしても明らかに異常な広告戦略を業界上げてやってた理由が上記の「みかじめ料」でして、本来「敵」になるメディアを味方に付ける為の手段だったのです。

銀行ではない高金利の貸金業はそれこそ大昔からありまして、消費者金融の前身に当たる業者形態は戦後に発生します。
当時の業者はVシネのアレみたいなモロヤクザでしてそれこそ本物の舎弟でもあったので世間の評価はあまりよろしくありませんでした。

そんな折に彼らから借金した家族が一家心中する事件が全国報道されます。
ぶっちゃけ貸金業から金借りた人の自殺なんて太古の昔からある物で改めて大騒ぎする様な事じゃ無かった筈なんですが、
彼らが取り立てする際の「営業行為」をド派手にやり過ぎたせいで今で言う「大炎上」してしまいます。
彼らは普段顧客と1vs1でやり取りしてますんで強めの営業掛けていた方が顧客との交渉で優位になりますんでメンチ切りまくってた訳ですが、「顧客=世論」という視点が欠けていたのですね。

これが60年代の話だったと記憶してます(おっかない話ですが、こういった金融業界の遍歴はあちこちで消えてます、10年くらい前までは過払金関連のまとめサイトがあちこちにあったんですが根こそぎ消えてます)

世論に押されて政府が動く事になりまして、貸金業に関わる法律が大幅に改正される事になり、個人向けの貸金は利息上限を大幅に制限(年利20%迄)法人向けの貸金の場合、条件を付ける事で高金利での貸金を認める。
また、督促の際にもその方法を大幅に制限して恫喝的な督促を禁止しました。

これで高金利に乗じた経営を行ってた業者やパワフルな営業してた業者は軒並み閉業する事になり、生き残ったのは全国チェーン持ってる大手と比較的健全に営業してた業者だけになりました。
じゃあ大手の業者は健全な業者になったのか?と言ったらそうじゃなかったんですね。
その頃から消費者金融は全国紙などを中心に広告を出すようになります。
その頃から普及し始めたTVでもCMを出すようになりました。

それで金融業界が健全になったか?と言われたら答えは「No」です。

ヤクザみたいな社員は居なくなって小綺麗なスーツ着た社員ばかりになり店舗にはカウンターに制服着た女子社員が待ってるパッと見はとても健全なお店に見えるようになりました。

ところが実際の仕事はさもありきでして、政府が決めた新しい法律は気持ちいいくらいにスルー。
金利に関しても相変わらず高金利で貸し付けてて督促にしても以前ほどじゃないにしてもガッツリ力押し。
で、本来はそういった行為を監視・取締りしなければならない金融庁は◯ーパンしゃぶしゃぶで接待されてたりした訳で(アレは銀行でしたが、銀行がやってんのに消費者金融がやってない訳がなく…)

自殺に関しても相変わらずで、業界では「自分の担当3人死なせて一人前」なんていう格言がまことしやかに呟かれてたくらいで、要は大っぴらにやってた以前より悪事が表面化しなくなっただけで以前より凶悪化・組織化されて実質的には悪化する事になります。

そんな有様なんですがメディアはそういった貸金業の負の部分に対してはせいぜい夕方のニュースや3面の隅っこに申し訳程度に報道する程度で大きく報道する事はありませんでした。

で、当時から週刊誌などでは「グレーゾーン金利問題」なんて書かれてましたがそれ自体がフェイク記事で、契約書や領収書に記載が義務付けられた内容が書かれてなかったりとグレーでもなんでもなく一発アウトな漆黒案件がゴロゴロあり実際裁判になったらあっさり負けていたんですけど、そんな事はTVや新聞は勿論、週刊誌に書かれる事さえ稀でした。

…広告費、凄いですね。
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Dec 30, 2024
中国の「第6世代機と“思われる”」画像が出て来てバズってましたが、私はこれ見て腹抱えて笑ってました。
「そんなに面白い事ある?」と思われるでしょうけど、何が一体そんなに面白かったのかを以下に↓ Image
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賑わってたのは初日だけで追加情報が無かった事からすぐ鎮静化してしまいましたが、画像から推測される点はかなりの大型機っぽい事から「FB-22の様な戦爆なのでは」と推測されてました。
また、「第6世代機」という点もそもそも第6世代の定義自体がまだ無いのでそう呼称する事に無理がある、と識者の意見が出てました。

私自身の個人的な感想としては、「中国はこんな飛行機も作れる世界の技術を先取りしてる偉大な国であり、そんな国と戦っても負けるに決まってるんだからとっとと屈服しろ」という中華プロパガンダの一環で、リーク情報の体を為した「中国凄い」ムーブの延長だろう、です。

まぁ確かに60~70年代の米国みたいに新規の軍用機をバカスカ作れる現代の中国の経済力はとんでもないんですが、一方で要求されている(と思われる)仕様をクリアするのに必要な技術が足りてない、という現代中国の懐事情が垣間見える情報でもあるんですねコレ。
まず指差して笑っちゃって構わなそうなポイントが「3発機」って点。

3発機と言えば、大戦中の輸送機改造爆撃機の定番手法で「パワー足りないからエンジンもう1機載せちゃえ」って奴で、機首に単発機よろしくエンジン括り付けた機体が結構ありました。
大戦以降のジェット機だとトライスターみたいな民間機では数例ありますが少数派で、航空機の開発が保守化した80年代以降はすっかり見かけなくなりましたし軍用機となると私みたいなニワカミリオタには思い当たる機種が無い、ってくらいにはマイナーです。

そもそもね、インテークがコクピット後方背面ってのがもう無茶苦茶。
そんな機体、実機だとフォッケウルフくらいしか思い浮かびませんし、後は小説版雪風かエースコンバットくらいです。
しかもメイヴや震電Ⅱはブレンデッドウィングでこそあれ全翼機ではないのでギリ言い訳出来ますが、この中華ステルス戦爆はまごう事なき全翼機です。

全翼機は下げフラップ使えないので離着陸時は結構な迎え角になる訳で、そんな機体の背面にインテーク付けたらもう空気吸えないんですよ。
現代のジェットエンジンなら最悪ストールは避けられるんでしょうが、吸入空気量がバラバラな状態で離着陸するとかどんな罰ゲームですか?って話です。

「エンジン径を小さくして全高を低くし前面投影面積を抑えてステルス性の向上をはかる」といったポジティブシンキングな意見もありましたが、それならもっと径の小さいエンジンを4発積んだ方が賢いし、そもそも背面インテーク増設してる分だけ全高を抑えられてない。

アレは当初双発で作ったけども出力が足らず、かといってこれを「失敗」として計画自体やり直しにすると開発各位のクビが飛ぶので「要求仕様をクリアする為の改良」として真ん中のエンジンを追加したのではないかと予想します。
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Dec 30, 2024
欧州自動車勢の経営不振報道で一旦落ち着いてた「EV過激派の純BEV推し」が再燃しております。
欧米の関税強化で売れなくなったので日本に売りたくて仕方ないんでしょうけど、まぁ無理ですわw
そんなEV過激派の皆さんが拡散してるEVの何がダメなのか?ってお話を以下に↓
Q :「日本の自動車メーカーはEVで出遅れてる」って本当ですか?
 
A:日本のメーカーは石油ショック以降ずっとEVの開発・販売をしていて、出遅れてるのはむしろ欧米で中国に至っては自動車産業自体で出遅れてます

産油国を旧植民地に有してたりロシアやアフリカや北海からパイプラインで天然ガスを湯水の様に引き込んでる欧州や、自国が最大級産油国である米国と違って100%近くの石油を輸入に頼ってる本邦にとって石油の枯渇はモノホンの死活問題であり、90年代辺りから「環境ガーCO2ガー」なんて騒ぎ出したファッションでエネルギー問題やってる連中とは格が違うのです。

「鉄腕ダッシュ」の「車だん吉」覚えてます?
ハイゼットのEV仕様車に太陽電池パネル載せて走らせてたアレ、特別仕様車ではなくカタログモデルで、お金出せば一般ユーザーでも購入出来ました。
っていうかですね、丁度アレ作ってる頃に前橋のダイハツ車体に出入りしてましてね、検査場の脇に寄せられて組み上げされてたの見てました。

まぁ、売れてませんでしたわw
あの型のハイゼットが出た時って軽が新規格になってまず乗用車が出てしばらくして軽トラとバンが出たんですが、それまでの3倍近い生産台数になって毎日数百台のガソリン車が出て行く傍で月に何台売れてます?って程度で、工場創業以来の稼働状況で毎日が地獄絵図の一般製造ラインの方々から「あんなもん作る余裕があるなら人手こっちに回せ」「せめてバックオーダー捌けてからやれ」などと工場全体のヘイトを一身に浴びてましたw

まぁ、当時はハイゼットみたいに一般ユーザー向けに売られてた例は稀でしたが、例えば配送業務用のバンとか路線バスとかお役所の公用車とかで「社会実験」として導入されてた例は全国にあって、ちゃあんとノウハウを蓄積していたのです。
で、それらの「社会実験」によって得られた経験から、EVに対する検証結果はだいたいこんな感じ。

・ともかく電池容量と充電がネックで長距離運転は高リスク、配送業務や路線バス、役場の公用車の様な「比較的近距離を低速で移動する用途に使用して、戻って来る度に充電出来る環境」においてはその能力を発揮出来るが、幹線道路を走る様な長距離を高速で移動する用途に使用するのは厳しい
・電池が環境負荷に対して性能を左右されるので高温・低温での使用は航続距離や行動時間を著しく損なう

モーターショーを重箱の隅までチェックする勢はご存知かと思いますが、日本のメーカーはバブル以前からこういったEVに向いている限定的な環境での使用を前提にしたコンセプカーを出展して市場の反応を見てましたし、配送業者はこういう社会実験に協力的で社用車の一部を実験車両に置き換えて社会実験に協力してました。

そうやって得たノウハウからEVのネガティヴな部分をカバーする為に考案されたのがハイブリッド車の様な既存の燃料インフラを利用出来る半EVとも言える様な車で、実際世界中で売れてますし発売以来ずっとベストセラーです。

そんな我が国のEV事情を知ってか知らずか「日本は未だにハイブリッド車を作っていていつまでも内燃機関から足抜け出来ないEV後進国」みたいな事を言いやがるんですわ。
そんなの、アメコミとバンドデシネしか知らない海外オタクが「日本の漫画は遅れてる」なんてほざく様な話です。
そういう奴はタンタン×ウルヴァリンの濃厚BL本に漬け込んで二度と元の世界に戻れない様にしてやればよいのです。
Read 11 tweets
Dec 1, 2024
「ロシアは経済的に破綻すると米国が分析してる」なんていう話がTLに流れて来るくらいに「ロシア経済破綻説」が浸透して来ました。
開戦初年度から「ロシアは経済破綻して負ける」と主張して来た者としてはやっと目処が付いてひと段落してます。
ここでこれまでの経緯と今後の予想を長文で↓
私がロシアが破綻すると確信するきっかけになったのは、為替の動きからでした。

大きな戦争や災害の様な世界の経済に取ってネガティブな事が起きると『円高』になる、という為替の動きはバブル期以降為替の『鉄の掟』で、それは災害が日本で起きても同様という徹底した物でした。
東日本震災の時はただでさえ民主政権で円高になってたのに更に円高になり、それでなくてもインフラ破壊で停滞する羽目になった国内製造業は白目を剥くことになりました。

それくらい『ガチ』な『大惨事=円高』の図式でしたから当然ロシアのウクライナ侵攻でも起きると考えるのは当然で、しかもロシアは一応『演習』という建前ではありましたが1ヶ月以上前からウクライナとの国境線に軍を配置して囲むという分かりやすい前置きしてたので、おそらく世界中の投資家が開戦の報が入ったらエントリーする気満々でスタンバイしてたと思われます。

…ところが、いざ始まってみると為替は円安方向に大きく動きます。
そらもうビックリです。
それこそ『万有引力の法則』がひっくり返ったくらいの衝撃でした。
木の枝からもげたりんごが地面に落ちずに空高く舞い上がって行ったら大抵の人は驚くでしょう。

とはいえ、そういう理不尽が起きるのも為替の常で、私は『鉄の掟』と書きましたが、その掟は鉄みたいなフリして意外とフレキシブルで、忘れた頃にサラッと裏切ったりします。

分かりやすい例が北朝鮮のミサイル発射に伴う動きで、当初北朝鮮がミサイル撃ち出して大きなニュースになってた頃、一部の投資家がミサイル発射の報に連動して為替が円高に動いている事に気が付きます。
日本だといつも早朝か深夜でしかも相場が動いてる時間は短く、24時間体制でチャートと報道に張り付いてる人か、「この時間にミサイルが撃たれる事を分かってる」人じゃないと対応出来ない事から「北朝鮮が為替にエントリーしてミサイル打ち上げで稼いでるんじゃないか?」なんて言われたりしてました。
当然私もそんなのに乗っかれませんでしたがその話を聞いて以来ミサイル警報で目が覚めた朝はTwitterとドル円チャートを開くのが習慣になりました。

そんな事が続いていたある日、確かその日は私の住んでる地域では警報ならなくて朝起きてTwitter開いたら軍事クラスタの皆さんが「北朝鮮がまた撃った」と書いてたのでいつもの様にドル円チャート開いたらローソク足が円安方向にガッツリ動いてました。

…うっわ怖っわ!

おそらく世界中で即応してた投資家が口座吹っ飛ばしたんじゃないですかね?

こんな感じで『鉄板馬券』と思わせておいてある日突然裏切られる事があってそのダメージは今までコツコツ稼いで来た分を一瞬で失いかねない。
なのでエントリーは慎重に、というのも為替界隈の『鉄の掟』でもあります。

北朝鮮のミサイル発射に伴う為替の動きはこの時以降急速に鎮静化してミサイル発射の報道があっても相場は動かなくなってしましました。

まぁ、こんな風に相場が逆に動く事はままあるのですけど、大抵はそれまでに何度かお約束通りに動いた後なんですよね。
初手からいきなり逆ってのはちょっと記憶にない。

前例と言っても「阪神が優勝する」位の確率でしか起こらない珍事が前置きもなくいきなり起きた事が「この戦争、おかしいぞ?」と思った最初の事象でした。
(まぁ、その後おかしい事が次々と起こる摩訶不思議な戦争だったのですが)
下図は2017年以降のドル円チャートです。

2021年の頭くらい迄は100~110円くらいの範囲を100円に向けて収束する様な動きをしていましたが、2021年に入ってから明確に円安に動き出します。
そしてその円安の勢いはロシアのウクライナ侵攻開始(赤線)と共に加速して多少の調整は入りつつも円安一直線です。

青丸部分はコロナ禍に入った頃に110円~100円の間を短期間で往復した部分です。
確かこの頃に「ドル円が1日で1円動くと世界中で自殺者が千人出る」なんて話をしたと思います。

バブル期以降のドル円はだいたいガチガチの安定市場で、大きく動く事はまず無くて夢は無いけどリスクは小さく安定して稼げる場所でした。
それがコロナ禍に入って1日に数円動く様な修羅場と化して当時為替界隈は大騒ぎだったんですがそれでも今となって見てみると微々たるもんで、素人が手を出しては口座吹っ飛ばす事で有名なポンド/ドルも真っ青な荒れ相場と化してます。

まぁこの円安には米ドルの高金利も絡んでいてむしろ為替界隈はそれこそが円安の要因だと言われてますが、あの界隈ってロシアがウクライナ囲んだ時は「ロシアがウクライナに攻め込んでも一銭にもならないから戦争は起きない」って言ってたし、戦争が長引きそうになった時には「ウクライナもロシアもいつまでも戦争してたら浪費するだけだから早々に和解して停戦する筈」なんて調子で「世界はお金で回ってる」と信じてるのでロシアの脳筋為政者の考え方を理解出来てませんでした。Image
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Oct 20, 2024
「中国には勝てないんだから〜」って話はTwitter(X)ではあまり相手にされてませんし実際シミュでは中国さん苦戦の上で負けるんですけど、今や米軍に次ぐ規模の大規模な軍隊が何でこんなにショボいのかというと中国軍は「他国と戦争する事をあまり考えてなかった」からっていうお話を↓ Image
「他国と戦争する事を考えてないって何だよ侵攻を考えてないならともかく侵略される事はこちらの都合で起こる事じゃないからそのつもりが無くても備えるだろ」
支局真っ当なご意見でございます。

…しかしですね、中国さんって他国から侵略されるかも?と備えてる様子がとんとないんですね。
かつて本邦に侵略された過去から非難はするんですが、自衛隊や米軍による攻撃や上陸侵攻に備えて装備を揃えたり部隊編成したりしてる様子が無いんですね。

それどこか、2010年頃に尖閣諸島で揉めた時に中国が尖閣諸島上空を「防空識別圏」に設定したんですが、それまで中国は防空識別圏を設定してなかったんですよ、北京の上空でさえ。

更に、そのせっかく設定した防空識別圏、宣言した当日の夜に中国の偵察機がパトロール飛行してるそうなんですが、自国による管理主張らしいのはこれっきり。
その3日後に米軍機が、更にその2日後に自衛隊機が尖閣上空を中国への事前通告無しに通過したのですが、防空識別圏宣言した中国は通過機に対する処置を取らないどころか監視さえ行っておらず、米軍機や自衛隊機が通過した事実を確認したのは後に米軍や自衛隊からの発表を報道したニュースを見て知った、なんていう有様。

イスラエルがイランにやられた様に大規模なミサイル攻撃受けたらほぼノーガードでやられ放題なんやろな、と仮想敵国ながら心配になりますよ、えぇ。
で、中国さん、守りもお留守なら攻める方もうーんでして…

例えば対台湾。
50年代迄はバチボコにやり合ってた中で最近では台湾侵攻匂わせてる中国さんですが、バチボコ期からもう70年近く経ってるのに上陸用装備を充実させる気配が無いんですね。
民間船を徴用するなんて呑気な事言ってるんですが、100年前ならともかく現代戦でそんなん通用する筈が無い。
今から作ると言ってるみたいですが、それでも装備が充足するのは2040年だと予想されてまして、正直それまで中国経済持ってるの?って有様です。

中国さん、核兵器持ってまして、米国やロシアに比べれば随分少ないですが搭載能力持ってる弾道ミサイルもあって常任理事国らしさを見せてます。
ところが、中国の核弾頭ってミサイルに載せてないんですね。
降ろした状態で保管されてるんだそうで。

IAEAの核兵器使用に関する規定では、核兵器の使用は核兵器を使用された時の報復にのみ認められる、とあるのだそうです(読んだ事は無い)
なので、核保有国は自国が核攻撃された時に即時に反撃出来る体制を維持してる所ばかりです。

ところが中国さんはそれやってない。
せっかく核武装してるのにその抑止力を放棄するとか不思議でしょ?
Read 8 tweets
Oct 13, 2024
そうそう、カネなんすよw

でね、技術屋をバカにする連中は開発にカネ突っ込めば技術は進展する、なんて寝ぼけた事を言う訳ですが、そうじゃない分かりやすい例を出しますね。

例えば電池。

世間じゃEV需要でやれ全個体だの湯水の様に開発費突っ込んでます↓
そもそも電池なんて日本で鉛蓄電池が発明されて以来、軍需を始めとした戦略物資で世界中の国と企業で開発競争行ってるんですよ。

その発展具合を皆さんが一番実感出来るのが携帯電話の電池。

80年代後半に携帯電話が登場した時、それ以前にあったウォークマンの様な携帯オーディオ用の電池として需要があった Ni-Cd電池が流用されたのですが全然容量が足らなくて、それまでは高額で一般には使われてなかったニッケル水素やリチウムイオンが使われ出します。
それでも1日に何度も電話してれば半日持たない程度だったので、ハードユーザーは交換用電池をいくつか常備してないといけませんでしたし当時の携帯電話充電器には携帯本体挿す場所の他に電池単体を充電する場所があるくらいでした。

で、それからだいたい半世紀、カネを突っ込めば技術が進展するのなら1回充電すれば1ヶ月くらい余裕で使える携帯電話が出て来てて当然なんですけど、実際にはあなたの手に持ってる物のまま。

技術の進展なんてそんなもんです。
技術者バカにしてる経営層はそれこそ出来もしない技術を要求しますし「空飛ぶクルマ」みたいな技術詐欺に引っ掛かったりする訳です。

カネを積めば技術が進展するのなら、タイムマシンやワープを実用化するにはいくらくらいカネ積めばいいんですかね?

バカな経営者でも「そんな事出来るか!」って事は分かるんですが、空飛ぶクルマとか実用的なBEVとかは「何かすぐ出来そう」と思っちゃうんでついつい詐欺に引っ掛かっちゃう訳です。
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